なぜ「言いにくいこと」は言いづらいのか
冒頭ではりまが、社内の人や取引先に「ここを改善してほしい」と思っても言えない場面を切り出します。
言いづらい理由として、相手を傷つけるかもしれない、人間関係が壊れるかもしれない、という不安が挙げられます。
嫌われたくないという本能がありますから。ネガティブな伝達を避けるのは、正常な反応なのかなと思います。
ただし、言わないと伝わらないこともあります。そこでどう言えばいいのかが、この回のテーマになっています。
言いづらい理由はほかにもあります。自分にも落ち度があると感じたり、うまく伝える自信がなかったり、「察してくれ」と祈るような日もある、とはりまは話します。
クイズで考える「良い伝え方」と人格否定
一番やってはいけないのが人格否定だ、とはりまは指摘します。そこで、伝え方が良いか悪いかを当てるクイズが始まります。
「あなたはいつもルーズですね」という伝え方は良いか、悪いか。
これは悪い例です。ルーズかどうかはその人次第で、自分の主観で相手を査定してしまっているため、人格否定に当たります。
自分ではルーズだと思ってないケースもあると思うんですよ。そのルーズであるかないかのベクトルはその人次第なんで。そこを自分のベクトルに合わせて人の査定をしない方がいい。
一方で、「今回の納期、三日過ぎていますね」は良い例だとされます。三日過ぎたのは事実なので、では何日ならよかったのかという建設的な話に進みやすいからです。
会議中に「やる気がないなら出ない方がいいですよ」も悪い例です。やる気の有無は相手の心を勝手に推測した主観だからです。
ここでやーまんは、見た目だけで決めつけられる例として、笑ってないのにニヤニヤするなと言われた話や、出っ歯を「ヘラヘラするな」と怒られた同級生の話を挙げます。
なかなかこの見た目だけのこっちの独自の判断だけで決めつけない方がいいよね。
フィードバックの黄金律「SBIモデル」
模範的な言い方として、「パソコンをずっと見ていると会議に集中していないように見えて残念です」といった表現が紹介されます。
やーまんは、自分なら「今日体調悪そうだったけど大丈夫だった?」と心配する体で入っていくと話します。相手を責めずに、いつもと違って見えたことを伝える工夫です。
本来であったらもっとできてたんじゃないの?っていう。裏を返せばね。でもそうは言わないです。大丈夫?って。なんかぼーっとしたように見えたけど、体調悪い?
はりまは、これを言えば必ずOKという万能の言葉はなく、バリエーションの引き出しを増やすほうがいいと話します。相手のキャラクターにもよるからです。
トラブルの多くは関係性の見間違いから始まっている、とはりまは指摘します。自分はこう見られていないだろうという思い込みと、実際の見られ方の齟齬です。
そのうえで、種本として『フィードバック入門』が紹介され、そこで提唱されるSBIモデルが説明されます。
S:状況
どんな場面で起きたことかを示す
B:行動
相手が実際にとった行動を具体的に述べる
I:影響
その行動でどんな困りごとや影響が出たかを伝える
この流れで伝えると、「お前が悪い」ではなく、状況と行動と結果を一つのシステムとして示せるので伝わりやすくなる、とまとめられます。
感情でぶつけてこられると、こっちでも感情で返したくなるけど。この行動で、こういうことが起きて、こういう現象になったって言われると、あ、じゃあこれやめようってなるものね。
「責任感を持って」がなぜ伝わらないのか
「もっと責任感を持って仕事をしてほしい」という伝え方は良いか。
場合によっては人格否定になり得ます。責任感は抽象的で、本人は責任感を持ってやった結果かもしれないからです。事実を交えて伝えるほうがよい、とされます。
はりまは、こうしたトラブルの多くは期待値のずれから起きると話します。こちらの期待を相手が知らず、勝手に期待して勝手に失望している、というわけです。
相手に期待値をちゃんと開示しないといけないんですよね、本来は。勝手に期待して勝手に失望してるんで。
そして、言い方や内容やタイミングは自分のスキルで変えられる、コントロールできる部分だ、と続けます。
やーまんは言葉の力に触れ、人の動きを止めることも動かすこともできると話します。いま文句を言うと相手の動きが止まるなら、翌日落ち着いたタイミングで、相手を動かす言葉に翻訳して伝える、というコントロールの例です。
SBIモデルの補足として、客観的な数字に基づいて話すと主観的な印象論にならず、説得力が出て改善してほしい行動も伝わりやすい、とはりまがまとめます。
意味のない会話の魅力と「せんべい事件」
ここから話は転じ、やーまんが「言葉に意味を求めすぎて、意味のない会話をしなくなった」と語ります。
やーまんは意味のない会話が好きだと言い、友人から聞いた「せんべい事件」を紹介します。イケメンの先輩がせんべいを食べた後に電話に出たとき口が臭かった、という話です。
米のそういうの匂いとかじゃなくて、うんこの匂いがする。
せんべいのくだりいらんかったやん、じゃあ。
落ちも教訓もない話で四人が大爆笑した、というエピソードです。やーまんは、何が言いたいかも分からず、聞いて何をすればいいかも分からない、そういう会話が好きだと言います。
チョコレートプラネットの、意味不明な世界観で持ち物を自慢し合うコントも好きだ、とやーまんは付け加えます。
世の中一個一個に意味を求めすぎてるんで、たまには意味不明なことするっていうのも忘れないでいたい。
やーまんは、はりまから意味のない会話を聞いたことがないと指摘します。はりまの話はいつも問題提起や経営者的な視点が含まれている、というのです。
はりまは、何か言う前に頭の中でまとめてから話す癖があると認めつつ、本当は無駄話もしたいけれど仕事中はその隙がない、と応じます。
言葉のマイルールと漢字・ひらがなの印象差
コミュニケーションのマイルールとして、はりまは2ちゃんねるで学んだ「お礼は三行以上」を挙げます。
「ありがとう」だと一行なんですよ。あと二行いるんで。
やーまんのマイルールは、動詞を入れること。お願いなら「これをしてほしい」と意図をはっきり書くようにしていると話します。雑誌の編集をしてきた「言葉の人」らしいこだわりです。
続いて、メールやチャットで違和感のないものはひらがなにしたほうが丁寧だ、という話が出ます。
かたく、意味や意図を強調しやすい
やわらかく、丁寧に見えることがある
はりまは「いたします」を例に、開ける・開くという表現でひらがなにできるものはひらがなにしていると言います。
やーまんは、「目指す」を開くよう指示された経験を紹介します。理由は「目に指」で目を刺すから、というものでした。
目指すは開いてくれと。その理由を聞いた時に目を刺すからって言われて。どの世界の話なんだろうと思いながら、僕はそれ反映しましたけど。
そのうえで、重要なのは言葉がどんな効果をもたらすかだ、と話は整理されます。
やーまんは、「欲しいものを手に入れろ」というコピーで、ひらがなの「欲しい」より欲望の「欲」を使った漢字表記がコンセプトに合うとして変更した仕事を紹介します。漢字一文字が持つ印象の効果です。
いつか使いたい難しい言葉たち
後半は、難しい言葉を使いたいという二人の願望で盛り上がります。やーまんは、十文字ほどの説明を一語で表せる言葉に憧れると話します。
はりまは、ブログで見つけた「心の弾力」という表現をメモしたと紹介します。自分の語彙から出てこない言い回しへの興味です。
やーまんは「杞憂」を挙げます。書き言葉では読めても、とっさの会話では引き出しが開かない、という悩みです。
はりまは「慧眼」と「乾坤一擲」を挙げます。慧眼は本質や将来性を見抜く力、乾坤一擲は運命をかけた乗るかそるかの大勝負を意味します。
はりまがブログで見つけてメモした表現
まだ起きていないことを過度に心配すること
本質や将来性を見抜く力
運命をかけた乗るかそるかの大勝負
二人は、難しすぎると「は?」と言われるので、なんとなく意味の分かるギリギリの言葉をさりげなく使うのがいい、と笑います。番組内で毎回一語をイースターエッグのように仕込むアイデアも飛び出しました。
こういう言葉をね、使って、エスプリの効いたインテリチックな自分を作っていきましょう。
まとめ
前半は人格否定を避けて事実で伝えるSBIモデル、後半は言葉そのものへのこだわりという、雑談ならではの広がりを見せた回でした。伝え方も言葉選びも、相手にどんな効果をもたらすかを考える点で通じています。
- 言いにくいことは、人格ではなく状況・行動・影響に分けて伝えると角が立ちにくい
- 「ルーズ」「やる気がない」「責任感」など、主観や抽象語は人格否定になりやすい
- トラブルの多くは関係性の見間違いや期待値のずれから起きるため、期待は開示したほうがよい
- 言い方・内容・タイミングは自分で磨けるコントロール可能な部分
- 漢字とひらがなの使い分けや語彙選びも、言葉が生む効果を意識する遊びになる
