この半年で加速した東京の家賃高騰
雑談は、種市さんが最近気になっているという東京の賃貸事情から始まりました。周りの友人たちも家賃の上がり方に不満をこぼしているといいます。
今もう本当に割と切迫はしてないけど、ちょっとずっと最近気になってて。周りの友達もブーブー言ってる東京の賃貸の状況というか。
以前から東京の家が高くなった話はあったものの、当時は資材の高騰などが理由で、賃貸そのものはそこまで言われていなかったと種市さんは振り返ります。
その東京の家が高くなった話はしてたじゃん。資材が上がってなんでとかって上がってたけど、賃貸ってそんな言われてなかったんだけど、この半年ぐらいじゃない。
住まいの高騰は特定の高級エリアだけの話ではなく、普通の賃貸にも広がっているという実感が語られます。知人が住む都心の一等地でも、最初に聞いた値段からかなり上がっているそうです。
なぜ小畑さんは2016年に世田谷で家を買ったのか
話は小畑さんの持ち家の話に移ります。小畑さんは今は賃貸ですが、2016年に世田谷の中古マンションを買い、今はそれを人に貸しているといいます。
購入の動機は、ベンチャーへの転職でした。会社を移るとローンが組みにくくなるかもしれないと考え、その前に買ったのです。
ベンチャーに転職するから、ぶっちゃけ今俺はあんま関係なかったんですけど、ローン組めなくなるかもしれないなと思って買いました。
種市さんによれば、大きなブランドや会社にいるうちに、独立前に家を買っておくという人は周囲にも意外と多いそうです。
でっかいブランドにいたとか、会社にいたって時に独立する前に買ったんすよみたいな。ローン効かなくなるからみたいな。
当時は2020年の東京オリンピックが決まっており、周囲からは「もう高い」「オリンピック以降は絶対下がる」と言われていたと小畑さんは話します。しかし実際は下がりませんでした。
小畑さんは、不動産価格はバブル崩壊やリーマンショックを経ても、基本的にずっと上がり続けていると指摘します。特にリーマンショック以降は上昇が続いているという実感です。
もうこれもう天井だと当時言われてて。オリンピックも来るから、もうその値段も織り込まれてるから、もう絶対オリンピック終わったら下がるよって言われてたんですけど、全然そんなことないじゃないですか。
80平米の中古マンションを、購入額の半分より少し多いローンで手に入れたそうです。当時は売却や賃貸は考えず、終の住処のつもりで買ったといいます。
「近さ」に全振りした六本木時代
世田谷で家を買った後、小畑さんはベンチャーでの多忙さから六本木に住むことになります。都心が好きだったという理由だけではありませんでした。
当時は連日、深夜や朝まで働き、タクシーで帰ってはまた出勤する生活だったといいます。とにかく職場の近くに住むことが最優先でした。
どっちかっていうと本当に辛すぎて、もうどれだけ近くに住むかみたいな。毎日毎日あれ多分ほんと十八時間。
働いていたビットフライヤーでは、暗号資産の価格が深夜も含めて24時間動き続けます。取引が急増するとサーバーが落ちることもあり、対応が必要でした。
小畑さんはビジネス側の担当だったため、システム障害時にユーザーへの謝罪連絡やSNSでの告知などを行う必要があったといいます。急成長する会社で整備が追いつかず、深夜1時に出社することもありました。
結構本当に急速に会社が大きくなったんで、そういういろんなのが整備が追いついてないところもあって。普通に夜一時に行くとか全然ありましたよ。だからそういうこと近くないと無理だった。
会社によっては「近隣手当」もあったといいます。小畑さんは、渋谷から数駅以内に住むと補助が出るサイバーエージェントの例を挙げていました。近くに住むことが働き方そのものと結びついていたのです。
都心一択から離れていく小畑さんの価値観
40歳になった今、小畑さんは家を買うことについて考えが変わってきたと話します。まず、価格が高すぎて買えないこと。そして、買いたいという気持ち自体が薄れてきたことです。
だからまず僕買えないんですよ。高すぎて。もうちょっと言うと、なんかあんまり買いたいとも思わなくなってきてて。
もともと都心が大好きだったという小畑さんですが、子供が育つ環境として東京がどうなのか、と考えるようになったといいます。自身は小学校の途中まで北九州で育った経験があり、田舎の良さを思い出すようになったそうです。
背景には、近年の東京の異常な暑さもあります。湾岸にタワーマンションが建ちすぎて風が入ってこないという話にも触れられました。
外出てりゃわかるじゃん。サーフィン行った時とか、海外行ったりいろんな時にただの気温じゃないじゃん。同じ気温でも全然違うわけじゃん。
そこで小畑さんは、自然の近い場所への移住を検討し始めます。葉山などを念頭に、実際に物件をかなり探しているといいます。ただし今は毎日中目黒に出勤しているという現実もあります。
湘南・鎌倉へ広がる移住の実感と、東京に残る理由
種市さんは、葉山や鎌倉に住む知人と仕事をする機会が多いといいます。BEAMSのメンバーにも鎌倉在住者が多く、湘南新宿ラインなどで意外と東京に通いやすいと話します。
茅ヶ崎で仕事をした知人の話も紹介されました。原宿の事務所を引き払い、東京へも行きやすく暮らしているそうです。一方で、藤沢の鵠沼あたりの物件はもう出物がなく、価格も大きく上がっているといいます。
マンションで本当に五、六千万とか平均で奥ぐらいのがあったりとか、あのノリになってて。茅ヶ崎も結構そういう状況になって、家賃もどんどん上がってて、そういう人たちがどんどん逆にあっちの大磯とか。
高騰した湘南エリアから、さらに小田原や大磯へ移る人も増えているといいます。住まいの高騰は東京だけの現象ではなくなっているようです。
一方の種市さんは、ずっと東京育ちで東京にストレスを感じないと話します。むしろ、どこへ行くにも放射線状にアクセスしやすい東京の利便性を評価します。
雪山もいろんなとこチャージできるじゃん。サーフィンもいろんなとこ行けるじゃん。茨城、千葉。ここで湘南でじゃあスローライフだって言った時に、じゃあ千葉行くのって意外と結構めんどくさかったり。
種市さんによれば、地方から出てきて疲れを感じた人が自然を求めて鎌倉などへ移るケースが多い一方、生まれも育ちも東京だと、そもそもそのストレスがないため感覚が異なるといいます。
都心が好きだったが、暑さや子育て、自然志向から葉山などを検討。ただし毎日の出勤という現実もある
東京育ちで都会にストレスがなく、海・山・雪山へ放射線状にアクセスできる利便性を評価する
もう「都内で買う」とは言わない時代の空気
種市さんは、収入があり買える人でも、今は都内で家を買うと言う人が減ってきていると感じているようです。頑張れば買えても「別に」というマインドになってきていると話します。
一方で小畑さんの周囲では、まだ活発に新築マンションの情報交換が行われているといいます。デベロッパーやスペック、値上がり見込みを語り合い、抽選に申し込む人もいるそうです。
新築のマンションと、例えば三井がどこに建てます、これはこういうスペックでこれぐらいの値段で、で、絶対これ価格落ちないからとりあえず抽選に申し込んだみたいな会話めっちゃしてるんですよ。朝一緒にランニングとかすると。
種市さんは、アパレル業界では、財力がある人ほど葉山や鎌倉に家を買い、東京は事務所的に賃貸で持って行き来するスタイルが多いと語ります。業界によって「住む」の選び方が違うことがうかがえます。
小畑さん自身も、以前は資産としての住まいに興味があったものの、今は暑さや子育て、自然志向から気持ちが揺れていると話します。起業家仲間には「これからなのに隠居するのか」と言われ、悩みは尽きないようです。
いや、ちょっと前だったらすごい興味あったんですけど、なんかちょっとなーって感じにだんだんなってきてて。子育て的な観点でどうなのかなとか、そもそも自然好きだしなとか思ってて。
葉山は賃貸の出物がなく、購入も視野に入れて土地や中古を探しているといいます。最後は、逗子在住で長くローカルに根ざした種市さんの先輩に、リアルな湘南ライフを聞いてみようという話で締めくくられました。
まとめ
この回は、東京の家賃高騰を出発点に、家を買った経験を持つ小畑さんと東京育ちの種市さんが、それぞれの実感から「これからの住まい」を語り合いました。価格や資産性だけでなく、働き方や子育て、自然とのつながりが住まいの選び方を左右していることが浮かび上がりました。
- 東京の住居費は、この半年ほどで賃貸まで含めて一段と高騰していると二人は実感している
- 小畑さんはローンを組めなくなる前にと2016年に世田谷で購入し、多忙期は「近さ」を最優先に六本木・麻布十番に住んだ
- 都心の暑さや子育て、自然志向から、小畑さんは葉山などへの移住を検討し始めている
- 湘南エリアも価格が高騰し、鵠沼や茅ヶ崎から小田原・大磯へと移る人が増えている
- 財力があっても「都内で買う」とは言わない層が増える一方、業界によって住まいの選び方は分かれている
