牛は草以外に何を食べられる?
番組ではTikTokから届いた「牛さんって草以外に餌あげていいの?」という質問を取り上げています。
牛といえば草を食べているイメージが強いですが、実は穀物や副産物も食べられるんです。
川上さんはまず、トウモロコシや大豆、綿実といったものが混ざった配合飼料をあげていると説明します。
さらに最近は餌代の高騰を受けて、地元で手に入る副産物や未利用資源を使う牧場も増えているそうです。
なかなか餌代が高くなってしまって、コロナの影響とか、ロシア・ウクライナの戦争の問題とかで、餌代がどんどん上がってきてるんで、地元で入る副産物、未利用資源なんかを使ったりする牧場も増えてきておりますね。
牛の胃の仕組みと川上牧場の餌
なぜ牛は草以外のものも食べられるのか。川上さんはその理由を牛の胃袋の仕組みから説明します。
牛の胃袋は4つあり、特に第1胃「ルーメン」には数兆個の微生物が住んでいるそうです。
この微生物が草を発酵させて、タンパク質やエネルギーを作っています。だから牛は基本的に草で育つ動物なんですね。
そのうえで、より効率的に栄養を補うために穀物や豆類、発酵飼料なども組み合わせて使うといいます。
川上牧場では、イタリアンやチモシー、オーツなどの牧草に加えて、地元産のWCS(ホールクロップサイレージ)なども取り入れているそうです。
お米が余ってた2、3年ぐらい前から、お米食べないんだったら牛にあげればいいじゃないということで、ホールクロップサイレージというものが地元で作られているので、それを購入したりしてますね。
ほかにもトウモロコシサイレージや配合飼料、もやしかす・酒かす・醤油かすといった食品残渣の未利用資源も使っているとのこと。
これらを牛の個体や時期に合わせて組み合わせるのが、川上牧場のやり方だそうです。
「飼料(A飼料)」って何?国が定めるルール
続いて、質問のキーワードでもある「飼料」について解説します。
「A飼料」の「A」はアルファベットのAで、家畜に与えていいと国が認めた飼料専用の食品のことです。
正式には飼料安全法という法律で定義されているといいます。
川上さんは、飼料として認められるための基準を4つ挙げています。
つまり飼料として認められるには、安全性と品質のチェックがとても厳しいんですね。
飼料以外を与えるとどうなる?
では、飼料ではないものを牛に与えるとどうなるのでしょうか。
川上さんは、菓子パンや野菜くず、残飯、認可されていない食品工場の副産物などを例に挙げます。
こうした非飼料を与えることについて、答えははっきりしています。
こういう非飼料を牛に与えるとどうなるのか。結論は絶対にダメ。違法です。
健康や乳質、安全性に重大な問題が起きるといいます。具体的な影響を整理してみましょう。
胃のpHが急低下
甘いパンやデンプン、残飯でルーメンが酸性に傾く
ルーメンアシドーシス
食欲低下・下痢・乳量や乳脂肪の低下などの障害が起きる
異物や病原菌の混入
プラスチックやガラス、添加物などが牛乳に残留するリスク
法律違反
飼料安全法違反で行政指導・業務停止・刑事罰の可能性も
なぜここまで厳しいのか。理由はとてもシンプルです。
牛が食べたものは、そのまま消費者の体に入るもの。だから国は飼料に極めて厳しい基準を設けているんですね。
SNSの「おやつ」動画と伝染病のリスク
最後に川上さんは、SNSでの牛の見せ方についても触れます。
農家さんが「おやつ」として牛の餌ではないものを見せる動画を、時々見かけるそうです。
法律的にというか、厳しいところではそういうのをあげてはダメなので、そういうのをSNSに上げるのはやめてほしいなと個人的には思っております。
その背景には、家畜伝染病のリスクがあります。飼料でないものを与えると、伝染病にかかるリスクが上がるといいます。
もし伝染病が発生して押さえ込めなかった場合、その都道府県の牛全体が殺処分になる病気もあるとのこと。
さらに国として「清浄国」でなくなると、牛や精液・受精卵の輸出入にも影響が出てしまうそうです。
「個人で別にいいじゃん」という行動が、大問題につながる可能性があるんですね。
川上さんはリスナーにも、SNSで気になる動画を見たら軽い感じで聞いてみてほしいと呼びかけます。
同業者でいうとちょっとトゲがあったりして「わかってるよそんなこと」みたいなことがありますんで、軽い感じで「本当に素人質問ですが、それは飼料ですか?」っていう感じで聞いていただけたら嬉しいなと思います。
観光牧場などで牛に勝手にお菓子をあげないこと、触れ合い動物園では手や靴裏の消毒をすることも大切だと締めくくっています。
まとめ
牛は草だけでなく穀物や副産物も食べられますが、それは国が安全性を保証した「飼料」に限られます。何でも食べるように見えて、実はとても繊細で科学的な管理が必要なんですね。
- 牛の第1胃ルーメンの微生物が草を発酵させて栄養を作るため、牛は基本的に草で育つ動物
- 穀物・豆類・WCSや食品残渣などの飼料を、牛の状態に合わせて組み合わせるのが現代の酪農
- 飼料(A飼料)は安全性・成分表示・トレーサビリティ・家畜用加工の4基準を満たしたもの
- パンや残飯など飼料以外を与えるのは違法で、ルーメンアシドーシスや異物混入、伝染病リスクにつながる
- SNSの「おやつ」動画には注意が必要で、気になったら軽く「それは飼料ですか?」と聞いてみるのがおすすめ
