リスナーからの核心的な質問
この回の中心は、ポポポネームリンさんから届いた一つの質問でした。
普通の社会ならどこに卸すかなんて自由だし、変わるのは当たり前だと思うのですが、なぜ酪農業界は批判されるのでしょうか?
川上さんは、消費者にこうした情報が届いていること自体に驚いたと話します。
ここがですね、消費者の方にこの情報が届いているかと思うと、いやすごいですね。やっぱり皆さんが酪農とか牛乳とかに関心を持ってニュースを見ていただくと、こういうニュースが届くようになってきてるのかなと思います。
結論から言うと、酪農は普通の市場のルールで見ると違和感が出る構造だから、というのがこの回の答えです。
結論から言うと、普通の市場のルールで見てしまうと違和感が出る構造だからです。今日はそのこの構造をしっかりとお話ししていこうと思います。
酪農は「自由市場ではない」理由
川上さんはまず、酪農は完全な自由市場ではないと言い切ります。
その理由は牛乳という商品の性質にあります。牛乳は毎日牛から出て、賞味期限が短く腐りやすい。止められず、溜められず、売れなければ廃棄になる食品だからです。
止められない、溜められない、売れなかったら廃棄。これがある食品ですね。つまり、売り先を自由にするイコールリスクが爆増するということになります。
つまり売り先を自由にすることは、そのままリスクの増大につながるという説明です。
需給と収入を支える畜安法
ここで登場するのが畜安法という法律です。正式名称は「畜産経営の安定に関する法律」です。
役割はシンプルで、牛乳と乳製品を安定供給すること、そして酪農家の収入を安定させることの二つだと説明されます。特に重要なのが需要と供給の調整です。
さらに補助金制度も絡みます。これはバターやチーズなどの加工用の牛乳に、国がお金を補填する仕組みです。
加工品は価格が安くなってしまうため、そのままだと酪農家が成り立たない。そこを国が支えている構造がある、と川上さんは話します。
一番「自由じゃない」指定団体制度
もう一つの仕組みが指定団体制度です。川上さんは、ここが一番自由じゃない理由だと説明します。
日本では指定生乳生産者団体、たとえば北海道のホクレンなどが代表例として挙げられます。ここが一元集荷・一元販売を行っています。
いろいろな酪農家の牛乳を一か所に集め、一か所がまとめて売る。つまり個人が好きなところに売る仕組みではありません。
なぜそうするのか。理由は、全体でバランスを取るためだと説明されます。
そのまま飲む飲用牛乳に回す量と、バターやチーズに回す量、そして余ったり不足したりする分の調整をしているのです。
これを個人の企業がお任せすると、今日はもう売りたいから売っちゃうぜ、今日は安いからいらないぜみたいなことになってしまうと、需要と供給が崩壊して、酪農家さんも安定的に牛乳を搾ることができません。
だからこそ、全体最適で動くシステムになっている、というのが川上さんの説明です。
2018年の改正と、いまの厳しい需給バランス
この畜安法は、2018年に大幅に改正されました。
改正では、需給調整をより柔軟にし、市場ニーズに対応しやすくする方向に変わったと説明されます。今は少しずつ自由市場に寄せている途中だということです。
ただし、この変化への評価は立場によって分かれます。
これ酪農家、酪農業界としてはかなり改悪になってます。でも消費者さんとか、その販売するメーカーさんとかの方にとっては緩和されたという形になってますね。
最新の状況として、乳価は2025年に一キログラムあたり四円アップしたものの、コストはそれ以上に上がっていると語られます。
さらに生乳生産量は減少傾向です。夏は需要が増える一方、暑さで牛がバテて生産が減るため、バランスが崩れやすくなります。
つまりめちゃめちゃ繊細な需給バランスで今回っているということです。自転車操業ですね。
なぜ批判が生まれるのか
川上さんは、批判が生まれる理由を三つに整理します。
自由に見えない
普通のビジネスと違うため違和感を感じる
税金が入っている
加工用への補給金が「なぜ牛乳だけ守るのか」と受け取られる
構造が見えない
複雑すぎてわからず、現場が見えないまま想像で語られる
一方で、酪農は他産業に比べて守られている業界ではない、と川上さんは強調します。
価格は自分で決められず、コストは上がり、牛は待ってくれない。その中で毎日出荷し続けるしかないというのが現場のリアルです。
もし完全に自由競争にすると、牛乳が届かない地域が出たり、三百六十五日二十四時間、乳製品がある状態を保つのが難しくなる。それを防ぐために、一部は税金で支えられているという構造です。
自由と安定は両立しないこともある
川上さんはこの回を、いくつかのポイントでまとめます。
この構造は、電気や水道、食料などと同じだと川上さんは言います。完全に自由にすると崩れてしまうため、ある程度のルールの中で守っている、というわけです。
最後に川上さんは、自分の意見も一つの意見にすぎないと付け加えます。テレビのコメンテーターでも構造を理解していない場合があるとし、いろいろな情報を精査して自分で考えることの大切さにも触れました。
いろんな情報を得て、精査して、自分で考えてっていうのがやっぱ大事かなとは思ったりしますけども、僕の意見も一意見ですので、それは理解していただけたら嬉しいなと思いますね。
まとめ
酪農は牛乳の性質ゆえに完全な自由市場ではなく、畜安法や指定団体制度によって需給と収入が支えられています。その仕組みが外からは不自由に見えるために批判が生まれやすい、というのがこの回の答えでした。
- 牛乳は毎日出て腐りやすいため、売り先を自由にするとリスクが大きい
- 畜安法は牛乳・乳製品の安定供給と酪農家の収入安定を担う法律
- 指定団体制度による一元集荷・一元販売が全体のバランスを取っている
- 2018年の改正で少しずつ自由市場寄りに変わってきている
- 自由と安定は両立しないこともあり、電気や水道と同じ構造に近い
