質問は「世界で一番牛乳が安い国と高い国はどこ?」
この日の配信は、リスナーから寄せられた牛乳の価格に関する質問がテーマです。
質問の主は、配信アプリ「ポポポ」から届いたポポポネームもぐらさん。内容は素朴でありながら、酪農の核心につながるものでした。
日本と海外で牛乳の値段ってどのくらい差があるの?世界で一番牛乳が安い国と高い国ってどこなんだろう?
川上さんは、答える前に前提を丁寧に置きます。牛乳の価格は、為替の変動や各国の情勢、農業政策などで動くため、あくまで一般的な傾向として受け止めてほしいと話されています。
実際僕は海外に行って買ってみてるわけでもないですし、牛乳製品ってめちゃめちゃ幅がありますんで。
日本では乳飲料や加工乳、脱脂粉乳など種類がありますが、海外ではオーガニックやアニマルウェルフェア、低脂肪など、文化や付加価値によって値段設定が変わる点も加味してほしいと補足されています。
世界の牛乳価格を国ごとに比較
ここから川上さんは、実際のスーパーの価格データをもとに、国ごとの牛乳価格を紹介していきます。
まず日本は220円から260円ほど。アメリカは約160円、ドイツやフランスは約200円、イギリスは250円という水準だと話されています。
一方で高めの国は韓国が約300円、カナダが約340円。逆に安い国としてインドが約100円だと紹介されました。
| 区分 | 国 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| 安い | インド | 約100円 |
| 中間 | アメリカ | 約160円 |
| 中間 | ドイツ・フランス | 約200円 |
| 中間 | 日本 | 220〜260円 |
| 中間 | イギリス | 約250円 |
| 高い | 韓国 | 約300円 |
| 高い | カナダ | 約340円 |
こうして並べると、牛乳の価格差は100円から300円台まで幅があることがわかります。日本は中間、そのなかでも中の上あたりの価格設定だと整理されています。
最安と最高の国、そして日本の立ち位置
続いて、世界で一番安い国と高い国の話に移ります。ここで川上さんは、最安・最高は固定ではないと強調します。
ここが一番大事で、最安最高は固定ではありません。為替、時期で変動していきます。
そのうえで傾向として、安い国はチュニジア、イラン、インドなどで、0.5から0.7ドルほど。高い国はシンガポール、香港、スイスなどで、2ドルから3ドル以上になると話されています。
都市型で原材料を輸入している国ほど、価格が高くなる傾向があるといいます。
日本の立ち位置についても数字で示されました。日本の平均は1リットルあたり約226円、世界平均は約270円。つまり日本は、むしろ少し安い側だという結論です。
原料は高いのに売値は普通という「圧縮構造」
ここからが酪農家にとって最も大事な部分だと川上さんは言います。日本は原料となる生乳の販売価格が高いのに、小売価格は普通だという点です。
他の国と比べると、その特殊さがはっきりします。
| 国 | 原料(生乳) | 小売価格 |
|---|---|---|
| アメリカ | 安い | 安い |
| EU | 安い | 普通 |
| 韓国 | 高い | 高い |
| 日本 | 高い | 普通 |
アメリカは原料も小売も安く、EUは原料が安く小売は普通。韓国は原料も小売も高い。日本だけが、原料が高いのに小売は普通という状態になっています。
これを川上さんは「圧縮構造」と表現します。
日本だけ原料が高く、小売りが普通ということになってます。これを一言で言うと、圧縮構造が起きているということです。
この構造では、乳業メーカーがかなりの負担を強いられます。値上げしにくく、消費が落ちると一気に崩れてしまう、バランスの難しい状態だと説明されています。
なぜ日本は牛乳を値上げしにくいのか
この特殊な構造は、日本で今問題になっていることに直結します。牛乳の値段がなかなか上げられないのです。
引き取り価格は他の国と比べて高いのに、販売価格はやや安い。そのため酪農家は採算が合わず、辞めていく人が増えていると話されています。
一方で、酪農家からはメーカーが安く売っているからだという声も出ますが、川上さんはメーカーの立場にも触れます。
メーカーさんも安く売りたいわけじゃないですよね。自分たちが苦しくなるんで高く売りたいんですよ。
だけど高く売ってしまうと消費が落ちてしまうので、ここら辺が難しいということですね。
さらに、インドのような生産大国から安い牛乳が入ってくれば、国内のバランスは一気に崩れかねません。輸入も必要で、国内の農産物も守らなければならない。その複雑さを知ってほしいと川上さんは語ります。
そして最後に、消費者への呼びかけで話は締めくくられます。
まとめ
リスナーの素朴な質問から始まったこの回は、世界の牛乳価格の比較を通じて、日本の酪農が抱える特殊な構造を浮かび上がらせる内容でした。
- 牛乳価格は世界で100円から300円台まで幅があり、日本は中間のやや上
- 日本の平均は約226円で世界平均の約270円より安く、高い国ではない
- 日本は原料が高いのに小売価格は普通という「圧縮構造」になっている
- この構造では乳業メーカーが負担を強いられ、値上げしにくく崩れやすい
- 消費者が価値を理解して支えることが、酪農を続けるうえで大切になる
