リスナーからの質問「濃い牛乳が消えた」
今回の配信は、リスナーから届いた質問からスタートします。牛乳をとても熱心に飲んでいる方からのお便りです。
1リットルで乳脂肪分が4.3ぐらいの濃さのがなくなったのです。牛乳に生クリームが入っていて、濃くしている牛乳でした。
生クリームの表示が乳脂肪に変わったので買うのをやめました。
スーパーの棚には成分調整牛乳、成分無調整牛乳、加工乳など、似たような見た目でいろんな種別が並んでいますよね。
川上さんは「値段が安いと思って買ったら成分調整牛乳だった、ということもある」と、消費者にとって分かりにくい部分に触れます。
そもそも牛乳と加工乳は別物
川上さんはまず結論から話します。ポイントは、表示が変わったからといって中身をごまかしているわけではない、ということです。
大前提として、日本で「牛乳」と名乗るには生乳100%であることが必要です。牛乳も成分無調整牛乳も、これは同じものになります。
つまり、あとから生クリームを足したものは、厳密には牛乳とは表示できないんですね。
昔あった「生クリーム入り牛乳」は、生乳に生クリームを加えて意図的に濃くしたもの。これは分類としては加工乳になります。
生乳100%。成分を足したり引いたりしていない
生乳に生クリームなどを加えて濃くしたもの。牛乳とは別カテゴリー
なぜ生クリーム入りの牛乳は減ったのか
質問にあった「生クリーム入りで濃い牛乳」は、なぜ姿を消したのでしょうか。川上さんは理由をいくつか挙げます。
1つ目は表示ルールの厳格化。消費者に誤解を与えないためです。2つ目は生乳100%志向の高まりで、シンプルな牛乳が好まれるようになったこと。
3つ目はコストと製造の問題です。クリームを足すと加工の手間でコストが増えます。物価高で高い牛乳が買い控えられる傾向もあり、そこも関係しているのではないかと話します。
表示ルールの厳格化
消費者に誤解を与えないため
生乳100%志向の高まり
シンプルな牛乳が好まれるように
コストと製造の問題
加工の手間でコスト増、買い控えも
乳脂肪◯%という表示の正体
では、今売られている牛乳に書かれた「乳脂肪◯%」とは何なのでしょうか。これは生乳そのものの中の脂肪量です。
牛乳の乳脂肪はもともと一定ではありません。季節や餌、牛の状態で変わっていきます。
これは牛が生き物で、工業製品ではない自然な濃さだということを知ってもらえたら嬉しいです。
たとえば「3.6%」と書かれたものは「3.6%以上」を守っているという表示です。冬は牛の体調が良く、乳脂肪が4%や3.8%と多めになることもあります。
冬の牛乳はちょっとこってりした乳脂肪の多い味わいに、逆に夏はあっさりした牛乳になる。そんな自然な変動があるんですね。
本当に濃い牛乳とは何か
ここが本質だと川上さんは言います。本当に濃い牛乳は、脂肪だけでなくタンパク質や風味も含めたバランスで決まります。
濃い牛乳が欲しい人には、品種で選ぶ方法もあります。ジャージー牛やガンジー牛、ブラウンスイス牛は乳脂肪や乳タンパクが高いそうです。
今回いちばん大事なのは、表示イコール品質の上下ではない、ということ。川上さんはいろんな牛乳を飲み比べてほしいと呼びかけます。
酪農家からメーカーへの価格の話
最後に、川上さんは牛乳の裏側にある価格の仕組みにも触れます。酪農家が乳業メーカーに売る牛乳には、飲用向けと加工向けの2種類の価格があるそうです。
生乳をそのまま殺菌して飲用向けに売るのが、いちばんコストがかからず酪農家の手取りも増えます。
ただ冬場などで牛乳の需要が減ると、長期保存のために生クリームやバター、脱脂粉乳などに加工する必要が出てきます。
この手間賃を酪農家さんに負担してくださいよということで、ちょっと安くなってしまうんですよね。牛乳の販売価格が。
メーカーはその安い牛乳を仕入れ、自社の企業努力やブランドを使って牛乳に似た商品を作り、利益につなげているという側面もあると話します。
見分け方も紹介されました。表示に「成分無調整牛乳」「牛乳」と書かれているもの、そして牛乳パックの上部にくぼみがあるものが牛乳になるそうです。
まとめ
似たように見える牛乳の棚も、表示を読み解くと中身がまったく違うことが分かります。今回の回は、生乳100%の牛乳と加工乳、乳脂肪の自然な変動を切り分けて教えてくれる内容でした。次にスーパーへ行ったら、ちょっと表示を見比べてみてくださいね。
- 日本で「牛乳」と名乗れるのは生乳100%のものだけで、生クリームを足したものは加工乳になる
- 昔あった「生クリーム入りで濃い牛乳」は加工乳で、表示ルールの厳格化や生乳100%志向などで減っていった
- 乳脂肪◯%は生乳そのものの脂肪量で、季節や牛の状態によって自然に変わる
- 本当の濃さは脂肪だけでなくタンパク質や風味のバランスで、品種で選ぶ方法もある
- 表示は品質の上下ではない。牛乳かどうかは「成分無調整牛乳」の表記やパック上部のくぼみで見分けられる
