リスナーから届いた「加工乳とお腹の関係」への質問
今回のテーマは、TikTokのリスナーから寄せられた質問から始まります。
加工乳はお腹が下るけど、生乳だけは下らずに飲める。なんで加工乳ってものが流通し始めたのですか?
川上さんは、この疑問には3つの要素が重なっていると整理します。
これはですね、体質の問題、牛乳の製造技術、日本の酪農と流通の歴史、この3つが重なったお話です。
まずは言葉の整理から。似た名前が多くてわかりにくいところを、ひとつずつ見ていきます。
生乳・牛乳・加工乳、それぞれの違い
最初に、原料である「生乳」の位置づけが説明されます。牧場で絞られたそのままの牛乳のことで、じつは私たちが買うことはできません。
生乳。こちらは牧場で絞られたそのままの牛乳ですね。原料になる牛乳です。こちらは市販はされていません。
いっぽう「牛乳」や「成分無調整牛乳」と書かれたものは、この生乳を加熱殺菌しただけのもの。水も乳成分も足していません。
そして今回のテーマである「加工乳」は、生乳に脱脂粉乳やクリーム、乳タンパクなどを加えて成分を調整したものです。
加工乳は生乳100パーセントではない、設計された牛乳ということになります。
牧場で絞られたそのままの牛乳。原料であり市販はされない
生乳を加熱殺菌しただけで、何も足していないもの
生乳に脱脂粉乳やクリーム、乳タンパクなどを加えて調整したもの
なぜ加工乳は作られたのか
では、なぜわざわざ成分を調整した加工乳が作られたのでしょうか。川上さんは理由を大きく3つ挙げます。
1つ目は、牛乳が余る時期があること。日本では季節によって生乳の量に波があり、余った生乳は脱脂粉乳やバターに加工して保存されます。これを後から再利用する調整役になっているんですね。
2つ目は、いつも同じ味・同じ成分が求められること。給食や業務用では味の安定が重要で、脂肪分やタンパク質を調整できる加工乳が便利だったといいます。
3つ目は、コストと供給の安定です。原料の組み合わせで価格を抑えやすく、不足時も供給しやすいため、大量流通に向いていました。
生乳が余る時期がある
夏は足りず冬は余るなど、季節で量に波がある
余った生乳を保存
脱脂粉乳やバターに加工しておく
味と成分の安定が求められる
給食・業務用では味が安定していることが重要
加工乳として活用
成分を調整し、価格と供給を安定させて大量流通へ
なぜ加工乳でお腹が下る人がいるのか
ここが今回いちばん大事なポイントです。川上さんは、お腹が下る理由も主に3つあると説明します。
1つ目は、乳糖(ラクトース)の負荷が高くなる場合があること。脱脂粉乳や乳成分を足すと乳糖の割合が相対的に増えることがあり、これを分解する酵素が少ない人は腸で分解できず、ガスや下痢、腹痛につながります。
2つ目は、タンパク質の構造の変化。加工乳は加熱・乾燥・再溶解という工程を経るため、その過程でタンパク質の構造が変わり、腸で刺激になる人もいるといいます。
3つ目は、脂肪球の状態の違いです。多くの加工乳は強くホモジナイズ(脂肪を細かく砕く工程)されていて、これが吸収が早すぎたり、腸に刺激になる人も一定数いるとのこと。
では、なぜ生乳由来の牛乳は大丈夫なのか
質問者さんが「牛乳だけは下らずに飲める」と言っていた点について、川上さんは「かなり理にかなっている」と話します。
成分が自然なバランス、余計な再加工がない。脂肪、タンパク、乳糖の比率が自然ということで、特に低温殺菌やノンホモタイプの牛乳はお腹に優しいと感じる人がいるかもしれないですね。
ただし、これは体にいい・悪いという話ではなく、あくまで体質と相性の問題だと念を押します。
そのうえで、加工乳を「偽の牛乳」と決めつけないでほしいとも語ります。
そう伝えたうえで、「ただし万人受けではない」ということも知っておいてほしい、とまとめます。
カフェの「ラテ」に使われているのも実は加工乳
最後に、身近な例として川上さんはカフェの飲み物を挙げます。スタバなどでよく見る「牛乳増量」や「なんとかラテ」。じつは、その多くに使われているのは加工乳だといいます。
コーヒー会社が味を安定させるために調整しているためで、「牛乳を使っています」と書かれていても、正確には牛乳ではないケースが多いんですね。
なんとかラテとか言ってますけど、牛乳ではないっていうのを知ってもらって。
お腹が気になる方は、まず成分表示を一度じっくり見てみるとよさそうです。飲み比べてみると、自分に合う一杯が見つかるかもしれませんね。
まとめ
加工乳は、余った生乳の活用や安定供給、コスト調整のために生まれた「設計された牛乳」でした。お腹がゴロゴロする理由は乳糖やタンパク質、ホモジナイズなど体質との相性によるもので、大切なのは「正しさ」より「自分に合うか」だという話でした。
- 生乳は原料の牛乳で市販されず、牛乳は殺菌しただけ、加工乳は成分を調整したもの
- 加工乳は余剰生乳の活用・味の安定・コストと供給の安定のために作られた
- お腹が下る理由は乳糖の量、タンパク質の変化、ホモジナイズなど体質との相性
- 加工乳は偽物ではなく、安定供給や給食を支えてきた存在
- カフェのラテなどに使われる牛乳の多くは加工乳。気になる人は成分表示をチェック
