リスナーからの質問「宇宙食に乳製品はある?」
今日のお便りは、配信アプリのポポポから、かんしんさんが寄せた質問です。
スペースXが近々上場しますが、宇宙食での牛乳・乳製品はどんなものがあるのでしょう?
この質問のきっかけは、宇宙開発企業のスペースXが上場したというニュースでした。
川上さん自身も宇宙食の乳製品について「非常食や北海道の宇宙関連施設で販売されているのは聞いたことがあるけれど、詳しくは知らなかった」と話しています。
そこで今回、調べた内容をまとめて答えていきます。
宇宙では牛乳を「粉」で持っていく
川上さんの結論はシンプルでした。宇宙では紙パック牛乳をゴクゴク飲むのではなく、粉乳やチーズ、バター、フリーズドライ食品の材料として使われることが多いそうです。
NASAの宇宙食資料にも、インスタントミルク、チェダーチーズ、バターなどが食品原料として登場します。マカロニチーズやスクランブルエッグにも粉乳やチーズ、バターが使われているとのことです。
日本でも、JAXAが認証する宇宙日本食に乳製品があると紹介されています。
それが森永乳業の大人向け粉ミルクをベースにした「ミルク生活 宇宙用」で、宇宙で不足しやすい栄養を補う目的の粉乳だそうです。
なぜ液体ではなく粉や加工品なのか
では、なぜ液体の牛乳ではなく粉や加工品なのか。理由はシンプルだと川上さんは説明します。
宇宙では、重いものや腐りやすいもの、こぼれるもの、保存が難しいものは扱いにくいからです。
牛乳は水分が多く、冷蔵が必要で、無重力では液体が飛び散ってしまいます。だからこそ、粉にして水で戻したり、チーズやバターとして料理に使う形が向いているというわけです。
牛乳の価値を「分解して」持っていく
酪農家の目線で見ると、宇宙食の乳製品はとても面白いと川上さんは語ります。
牛乳そのものを持っていくのではなく、牛乳の価値を分解して持っていくという発想です。
タンパク質、脂肪、カルシウム、ミネラル、風味、そして満足感。宇宙でも「美味しい」は大事だと話されています。
国際宇宙ステーションでは食事は栄養管理されていて、宇宙飛行士は標準メニューから食べるものを選び、摂取量も管理されています。
つまり乳製品は、宇宙でもただの嗜好品ではなく、栄養と心の満足を支える食品だということです。
月面基地や火星、そして宇宙で牛を飼う未来
将来、月面基地や火星基地が本格化すると、乳製品はさらに面白くなると川上さんは考えています。
本物の牛を宇宙で飼うのは現実的にかなり難しいそうです。
ただ、粉乳や乳タンパク、発酵技術、微生物を使ったヨーグルトやケフィアのようなものは、研究対象として可能性があると話されています。
未来の宇宙食で一番大事なのは、単なるカロリーではなく「地球を思い出させる味」ではないか。川上さんはそう語ります。
話は宇宙飛行士に求められる能力の変化にも及びます。
これまでNASAは科学的な技術など能力の高い人を求めてきましたが、今は宇宙で農業ができる人や、牛を飼えたり牧草を育てられる人も集めているそうです。
宇宙の何もないところに牧草地を作って、そこから家畜が住むみたいなのを狙っていく。そんなのももう近いところにあるんじゃないかなと思ってワクワクしますね
さらに、宇宙で使える技術を地上で再利用する動きも面白いと言います。災害時に宇宙食の技術を応用して、美味しく楽しく牛乳や乳製品を食べられるようにするといった例が挙げられました。
まとめ
リスナーの質問から始まった今回は、宇宙食としての乳製品の姿と、その先にある酪農の未来まで話が広がりました。宇宙の時代になっても牛乳の価値は消えず、形を変えて宇宙飛行士の体と心を支えていく。そんな想像をふくらませる回でした。
- 宇宙での乳製品は、主に粉乳・チーズ・バター・フリーズドライ食品の材料として使われている。
- 液体の牛乳より軽くて保存しやすい形が宇宙には向いている。
- 日本にもJAXA認証の宇宙用粉乳「ミルク生活 宇宙用」がある。
- 乳製品は宇宙でも栄養と心の満足を支える食品として位置づけられている。
- 月面や火星、宇宙で家畜を飼う未来も見据え、酪農は地球だけの仕事ではなくなるかもしれない。
