スタバ47都道府県グッズの概要
スターバックスは日本上陸30周年を記念して、47都道府県ごとに異なるグッズを発売しました。都道府県ごとに違うのはバッグとステッカーで、ステンレスボトル自体は全国共通のデザインになっています。
価格はボトルとバッグのセットが4,200円、ステッカーが700円とされています。詳細な金額は公式サイトで確認する必要があります。
松田さん自身もスターバックスの常連で、毎週のように利用していると話されています。
見落とされがちな「ステッカー」の仕掛け
注目すべきは、ステッカーが現地の店舗でしか買えない設計になっている点です。ボトルはオンラインでも購入できますが、ステッカーは店舗限定になっています。
さらに4種類のデザインのうち3種類がランダムに封入される形になっており、松田さんはこれを「完全にガチャ構造」と表現しています。
今風でいうとですね、完全にこのガチャ構造ですね。何か自分のお目当てのものが出るかどうかみたいなところですね。このランダム性にして、現地でしか買えなくするということによって、ただの限定グッズではない、集めるというふうな仕掛けを作ってるんじゃないかなと。
この設計により、単に売上を上げる限定商品ではなく、「コンプリートしたくなる」収集心を刺激する構造ができていると解説されています。
なぜ人は「集めたくなる」のか
松田さんは、トレーディングカードやポケモン、集印帳、スタンプラリーなどを例に、揃っていくプロセスに快感を覚えるのは人間の性質だと話します。今回のスタバの企画も、ボトルという商品ではなく「集めたくなる欲求」を設計しているという見方です。
その背景として、行動科学の3つの効果が紹介されています。
エンダウドプログレス効果スタート時点ですでに進捗が与えられていると、完全にゼロから始めるより完遂率が高まるという行動科学の効果。飲食店のポイントカードで最初に数個スタンプが押されている手法などが代表例です。について松田さんは、10個ゴールのスタンプカードよりも、12個で最初から2個ハンコが押してあるほうが達成率が2倍になるという研究に触れています。
店舗限定とオンラインのバランス
松田さんは、店舗限定とオンライン販売のバランスは非常に難しいと話します。何でもネットで買えるようにすると現地に行く体験価値が失われ、逆にネットで一切売らないと多くの人に届かなくなります。
いつでも買える状況、インターネットでいつでも買える状況になると、Amazonのカートに入れたままの放置の商品とかって結構皆さんもあるんじゃないかなと思うんですが、やっぱいつでも買えるは買わなくなると。
その点、スタバはボトルはオンラインでも売りながら、ステッカーだけを店舗限定にすることで「今ここだけ」という希少性を出し、集めたくなる仕掛けを保っていると評価されています。
「新しい行動」ではなく「既存の行動に意味を追加」
この取り組みは体験を売っているとも言えますが、松田さんが面白いと指摘するのは、新しい行動を作っているわけではない点です。旅行や出張はもともと存在する行動で、そこに「その土地限定を手に入れる」という意味が追加されたのです。
東京に行く、大阪に行く、福岡に行く。そこのその土地の限定を手に入れるという意味を追加した。旅とか出張を、まあゲーム化したみたいな。
たとえば大阪旅行なら地元の喫茶店に行くところを、限定商品があるからスタバに行こうとなる。既存の行動をゲーム化する発想の面白さがあるという解説です。
ゲーミフィケーションの効果と落とし穴
経営の文脈では、ポイントカードやバッジ、称号などを使うゲーミフィケーション仕事や日常の行動にゲーム的な要素を取り入れて、参加意欲や継続率を高める手法。ポイント、レベル、バッジ、ランキングなどが代表例です。という考え方があります。スタバの黒エプロンもその一種と紹介されました。
松田さんの会社でも「日報革命」というシステムに日報スコアを導入し、経営情報を上げた貢献度をランキングで見える化しているそうです。
ご褒美が目的化すると本来の行動が弱まり、つまらない作業を安易にゲーム化しても逆効果になるため、目的設計が欠かせないと注意が促されています。
強みと独自資源の違い
今回のスタバのすごさを理解するには、「強み」と「独自資源」を分けて考える必要があります。ボトル自体は真似できても、47都道府県に広がる店舗網はすぐには真似できません。
接客・営業力・商品力など、真似されやすいもの
店舗・顧客・文化・ブランド・実績など、長年蓄積された真似しづらいもの
スタバは新しい強みや設備、技術を作ったわけではありません。すでに持っていた全国の店舗という独自資源を再編集し、ゲーム化することで今回の企画を成立させたと松田さんは整理しています。
集めたくなる仕組みを作る型
集めたくなる仕組みは、いくつかの要素に分解して型にできると解説されています。
AIによって文章・画像・動画が高品質に量産できる時代だからこそ、体験・コミュニティ・文脈・「集める」といった価値は相対的に高まっていくと松田さんは見ています。
松田さんは自身のアイデアとして、47都道府県すべて集めた人限定のイベントや会員専用エプロンなどを挙げ、SNS上での口コミが広がりさらに盛り上がる可能性を語っています。
自社の独自資源を棚卸しする
最後に松田さんは、聴き手に向けて「自社の独自資源とは何か」を棚卸ししてほしいと呼びかけます。今まで積み上げてきた資源を洗い出し、それを再編集することで、集めたくなる仕組みやゲーム化に活かせないかを考える時間にしてほしいというメッセージです。
限定商品やゲーミフィケーションを導入することそのものが目的ではなく、独自資源を再編集して新しい価値を生み出す発想を持つことが本質だとまとめられています。
まとめ
スタバの47都道府県グッズは、全国の店舗網という独自資源を「集めたくなる仕組み」として再編集した事例です。集める単位・進捗・特典・文脈を設計することで、既存の行動に新しい意味を追加できます。自社の独自資源を棚卸しし、再編集の切り口で価値を作り直す発想がヒントになります。
- 新しいものを作らずとも、既存の独自資源の再編集で価値を生み出せる
- コンプリート欲求はツァイガルニク効果・エンダウドプログレス効果・希少性の原理で設計できる
- 店舗限定とオンラインを組み合わせ、「今ここだけ」の文脈を残す
- ゲーミフィケーションは目的設計を誤るとご褒美が目的化して逆効果になる
- 強みは真似されやすく、独自資源は蓄積されるほど真似されにくい
