報酬は経営者目線でどう決まる?評価・報酬設計の戦略論
ぼくらの戦略論は、グロービス・キャピタル・パートナーズ代表パートナーの高宮慎一グロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)代表パートナー。Forbes「日本で最も影響力のあるベンチャー投資家ランキング」2018年1位。メルカリやカヤックなど多数のIPO投資実績を持つ。さんと、編集者・ライターの長谷川リョー編集者、ライター、ポーカープレイヤー。東大情報学環→リクルート→独立→ケニアで3年のポーカー生活を経て現在。『ChatGPT vs 未来のない仕事をする人たち』等の編集協力で知られる。さんが、スタートアップや経営の戦略を語る番組です。今回は長谷川さんのリアルタイム相談として、「数値化しにくい貢献をどう評価・報酬に反映するか」をテーマに、経営者・マネージャー視点での評価制度設計について議論しました。その内容をまとめます。
福祉×ポーカーという異色の新規事業
本題に入る前に、長谷川さんが進めている新規事業の近況が語られました。福祉事業とポーカー事業を同じ物件で両立するという、かなりユニークなプロジェクトです。年末ごろにようやく「福祉とポーカー両方やっていい」物件が見つかり、内装工事が完了。4月から福祉事業を開始し、5〜6月にはポーカー事業もスタートする予定とのことです。
高宮さんは「いきなり新規事業を任されて、事業計画はどうなっているのか」と問いかけましたが、長谷川さんの答えは「ざっくり」。ただし、ポーカーに詳しく福祉にも詳しい人材は世の中に10人もいないだろうという読みがあり、模倣されにくい参入障壁を持つ事業として位置づけているようです。
ポーカー詳しくて福祉詳しい人って世の中に多分10人もいないと思うんで、模倣もなかなか難しいと思うんですよね
定性的な貢献をどう評価するか
ここから本題です。長谷川さんが抱えている悩みは、「数字に直接現れない貢献をどう評価・報酬に反映すればよいか」というものでした。
営業成績のように数値化しやすい貢献にはインセンティブを出しやすい。しかし、「その人がいるだけで職場の雰囲気が良くなる」「組織カルチャーを体現してくれている」といった、数値化しにくいけれど明確に価値のある働きをどう評価制度に乗せるべきか——多くのマネージャーや経営者が直面する課題です。
売上・利益などの数値目標
定量的な成果が見える
場の雰囲気づくり・組織カルチャーへの貢献
数値化しにくいが、確実に価値がある
高宮さんの回答は明快でした。結論としては、「カルチャー的な貢献も評価に反映すべき」です。ただし、好き嫌いや属人的な印象で評価してしまうと不公平感が出てしまう。そこで重要になるのが、評価項目として明文化することだと語っています。
カルチャー的な数値化しにくいものをどう反映するのかは、反映するんだと思うんですよ、結論
評価・報酬設計の「3点セット」
高宮さんによれば、きちんとした人事制度を回すには、目標設定→達成度の評価→報酬設計という3点セットが不可欠です。この3つが紐づいていないと、「あの人は好き嫌いで評価してるんじゃないか」という不満が生まれてしまいます。
特に定性的な貢献を評価する場合のポイントは、「書き下し」をしておくことです。たとえば「明るく元気にチームの一体感をつくる」という抽象的な目標だと、達成したかどうかの判断が曖昧になります。そこで、以下のように具体化するわけです。
「明るく元気でチームの一体感をつくること」
→ 達成したかどうか判断できない
「定着率の維持」「離職者ゼロ」などの指標を設定
+ 「毎月チームビルディングの会を開催してリードする」などの行動目標
さらに、複数の事業所や部門がある場合は「評価の甘い辛い」が発生しがちです。同じ仕事をしているのに事業所間で給料が大きく違う、といった事態を防ぐためにも、基準を明文化して横並びで比較できるようにする必要があると高宮さんは強調しました。
なるほど。ブレイクダウンして明文化するっていうことか
まとめ
今回のエピソードでは、長谷川さんが自身の事業で直面している「定性的な貢献をどう報酬に反映するか」という悩みに対して、高宮さんが経営者・投資家の視点から評価制度設計の原則を解説しました。
カルチャーへの貢献や場の雰囲気づくりといった、数値化しにくい働きも、評価項目に組み込んで「書き下し」をすれば、公正に評価できるようになります。そして目標設定・達成度評価・報酬設計の3点セットを紐づけることで、「好き嫌いで決めてるのでは」という不信感を防げるという話でした。組織が拡大するほど、この仕組みの重要性は増していきそうです。
- 数値化しにくいカルチャー貢献も、評価制度に組み込むべき
- 定性的な目標は「定着率」「離職者ゼロ」など具体的な指標と行動目標に書き下す
- 目標設定→達成度評価→報酬設計の「3点セット」を紐づけることで公正さを担保する
- 複数事業所・部門がある場合は、評価基準を明文化して横並び比較できるようにする
