『ぼく戦』流!Notionフル活用で誰でも始められるPodcastの戦略論
ぼくらの戦略論の番外編。MCの高宮慎一さん・長谷川リョーさんに加え、番組プロデューサーの岡島匠さんが登場し、番組初のスポンサーとなったNotionとのコラボ回として、Podcastの裏側のオペレーション体制を全公開しています。SlackとNotionの連携によるネタ出しの自動化から、Notion AIミーティングノートを使った書き起こし・編集指示の一気通貫ワークフローまで、「とにかく楽をしたい」という一心で突き詰めた制作フローが語られました。その内容をまとめます。
Podcast運営は「続けること」が最大の戦略
Podcastの成功に必要なものは何か。プロデューサーの岡島さんが真っ先に挙げたのは「継続」でした。ポッドキャストで成果を出している人はみな「拾ってもらえるまで続けるのが大事」と口を揃えるといいます。実際、『ぼくらの戦略論』も開始前には「1年続けて1,000フォロワーいたら御の字」と期待値調整されていたところ、約2ヶ月でその倍近いフォロワーを獲得しているそうです。
僕はやっぱ継続だと思ってるんですよ。で、どうすれば継続できるかっていう1個の要素に、マジでこのオペレーショナル体制があるんじゃないかなって思います
しかし、継続の最大の敵は「配信疲れ」です。ストリーミング系の事業では、配信者が疲弊してコンテンツの質や頻度が下がることが事業上の最大リスクとされています。高宮さんも「話者の配信疲れが終わるとマジ終了」と断言しています。
そこで『ぼくらの戦略論』チームが徹底したのが、MC2人の負担を極限まで減らすオペレーション設計です。ツールの中心に据えたのがNotionドキュメント・データベース・プロジェクト管理・AIアシスタントなどを1つのワークスペースに統合したオールインワンの生産性ツール。2016年にサンフランシスコで創業。でした。
SlackとNotionの連携でネタ出しを自動化する仕組み
Podcast制作で地味に大変なのがネタ出しです。わざわざ企画会議を設けると「集まって30分ミーティングするのか、当日持ち寄って微妙な空気になるのか」という問題が起きがちだと岡島さんは話します。
『ぼくらの戦略論』ではSlackに専用チャンネルを作り、MC2人が思いついた時に「こういう話するのどうですか?」とどんどんメッセージを流しています。ポイントは、そこにZapier異なるWebアプリ同士をノーコードで連携させる自動化ツール。「AのアプリでXが起きたら、BのアプリでYをする」というワークフローを設定できます。を使った自動化を組み込んでいること。メッセージに特定の絵文字リアクションをつけると、その内容がそのままNotionのネタデータベースに自動転送されます。
Slackでネタ投稿
MC2人が思いついた時にチャットで投稿
絵文字リアクションで分類
「ネタ」「施策」など絵文字ごとに別のDBへ
Notionのネタデータベースに自動蓄積
Zapier経由でSlackの投稿がそのまま転送される
台本に自動埋め込み
Notionの「シンクドブロック」機能でネタ帳が台本内に表示
絵文字は複数種類あり、「ネタ」をつければネタ帳へ、「施策」をつければ施策データベースへ飛ぶ仕組みです。さらにNotionのシンクドブロックNotionの機能で、1つのブロック(テキストやデータベースなど)を複数のページにリンクして表示できる。一方を更新すると、すべての表示箇所に反映されます。機能を使い、ネタ帳のブロックが台本ページの中にそのまま埋め込まれています。つまり「Slackに書いたものが、もう台本に入っている」状態ができあがっているわけです。
あん時のブレストでどういう流れでこのネタ出てきたんだっけ?っていうのが分かりやすくなってるから、そん時の悪ノリのブレストのノリで話せる
お便りの仕組みも同様です。多くのPodcast番組がGoogleフォームを使う中、『ぼくらの戦略論』ではNotionフォームNotionが提供するフォーム機能。回答データが自動的にNotionのデータベースに格納されるため、別途スプレッドシートに転記する手間が不要になります。を採用。届いたお便りはデータベースに入り、台本にそのまま埋め込まれるため、収録時にそのまま読むことができます。さらにお便りはZapier経由でSlackにも通知されるので、そこでの会話からまた新しいネタが生まれるという好循環が回っています。
Notion AIミーティングノートで編集指示まで一気通貫
収録後のワークフローでも、Notionが大きな役割を果たしています。核となるのがNotion AIミーティングノートNotionが提供するAI機能の一つ。音声をリアルタイムで書き起こし、自動要約を生成する。会議やインタビューの記録を効率化するために設計されています。です。
毎週月曜0時のリリース前に、岡島さんから編集済み音源とともに、Notion AIで書き起こされたテキストと要約が共有されます。高宮さんはこの要約を見てタイトルを検討したり、SNSで拡散する際のコメントを考えたりしているそうです。3本撮りをすると話した内容を忘れがちですが、要約があれば内容をすぐに思い出せるとのこと。
ぶっちゃけ書き起こし精度、最初そんな良くなかったのが、最近すげえ上がってるような気がして。あと書き起こしそのものがちょっと精度高くなくても、要約されたところがすごい精度いい
さらに岡島さんが「これがいい」と強調するのが、リアルタイム書き起こしへの直接コメント機能です。収録中にどんどん書き起こされていくテキストに対して、その場で「ここの間を切る」「ここを詰める」といった編集指示をコメントとして書き込めます。
つまり、収録が終わった瞬間に編集指示書が完成している状態が作れるのです。岡島さんは「僕側でボールを持つ時間がなくなる」と話しており、このタイムラグの解消がオペレーション全体のスピードを大きく引き上げているようです。
高宮さんはこの仕組みをPodcast以外の本業でも活用しており、ミーティング前にブレットポイントのメモだけ用意して臨み、書き起こし+自分のメモをNotion AIに要約させると、「肉付けされた精度の高い議事録」が出てくるとのことです。
Googleドライブをやめて全部Notionに一元化した理由
岡島さんが高宮さんに「びっくりされた」と振り返るのが、Googleドライブの使用をやめたことです。音源・台本・タイトル・説明文・書き起こしなど、すべてのファイルとデータをNotionに集約しました。
この決断の背景にあるのは、ドキュメントが複数サービスに散らばることへの不満です。一般的なフォルダー構造では、たとえば「エピソードごと」にファイルを整理すると、「音源だけを一覧で見たい」という別の切り口で並べ替えることができません。Notionのリレーショナルデータベース複数のデータベースをリレーション(関連付け)でつなげる機能。1つのエピソードに台本・音源・書き起こし・公開情報などを紐づけつつ、それぞれを別の切り口で一覧表示することもできます。であれば、エピソードごとにも、音源だけでも、書き起こしだけでも、いろいろな軸でデータを切り直せます。
1つの軸(例:エピソード別)でしか整理できない。音源だけ一覧したい時に不便。ファイルが複数サービスに散らばりがち。
プロパティやビューを使い、エピソード別・音源別・日付別など複数の軸で切り直し可能。全データが1箇所に集約される。
具体的には、毎回の収録ごとにデータベース内にページを1つ作成し、そこに書き起こし、素材音源、公開時のタイトル、説明文などをプロパティで紐づけて管理しています。高宮さんも「岡島さんに『どこにあるの?』って聞かなくても、自分で遡ってコンテンツのところに行くと、音源でも書き起こしでも遡れる」と、その一覧性の高さを評価しています。
移行作業自体は「本当にめちゃ大変だった」そうですが、岡島さんが全体の構成を設計し、スタッフに作業を依頼する形で完了。エンジニアではない岡島さんがデータベース設計をできたのは、前職のアルマンガコミュニティサービスを運営する企業。岡島さんが2020年に入社し、自社コンテンツの企画・制作・PRに携わっていた会社です。でNotionを日常的に使い込んでいた経験が大きかったとのことです。
個人・スモールビジネスこそNotionが効く
高宮さんは、Notionの使い方を「個がエンパワーされる時代」という文脈で捉えています。副業やフリーランス、趣味のプロジェクトを立ち上げる際に、機能ごとに別々のSaaSを契約するのはハードルが高いもの。Notionであれば、プロジェクト管理・ドキュメント・データベース・カレンダー・AIアシスタントをワンストップで使い始められます。
起業してもうちょっと1年ぐらいの状態の中で、めちゃくちゃコアになってる。完全にうちの基幹システムです
岡島さんの会社コウ岡島匠さんが2024年11月に創業した会社。PodcastやnoteなどSNSコンテンツのプロデュースを手がけています。では、Notionカレンダーも導入済みで、カレンダーの予定開始時に「AIミーティングノートを回しますか?」という通知が出て、ボタン1つで議事録作成が始まるそうです。「なんか無いと回らないぐらいで組んでる」と岡島さんは話しており、フリーランスやスモールビジネスにとっては十分な基幹システムとして機能し得ることがわかります。
なお今回のコラボに合わせて、スタートアップ・スモールビジネス向けに、Notion for StartupsNotionがスタートアップ向けに提供する支援プログラム。条件を満たす企業は、AIを含むNotionの有料プランを一定期間無料で利用できます。としてAIを含むNotionの有料プランが3ヶ月無料になる特別プランが用意されているとのこと。詳細は番組の説明欄に記載されたリンクから確認できます。
まとめ
「とにかく楽をしたい」という一心でオペレーションを突き詰めた結果、Notionを中心に据えた低コスト・高効率なPodcast制作体制が生まれました。Slackでの気軽なネタ出しがZapier経由でNotionに自動蓄積され、台本に埋め込まれる。収録中にはAIミーティングノートがリアルタイムで書き起こし、編集指示までその場で完了する。すべてのデータが1つのデータベースに集約されているから、誰でもどんな切り口でも情報にアクセスできる。
Podcastに限らず、あらゆるプロジェクトに応用できる考え方ではないでしょうか。「配信疲れ」を防ぎ、継続するためにオペレーションを仕組み化する——その土台としてNotionが果たす役割は、想像以上に大きいのかもしれません。
- Podcastの最大の成功要因は「継続」。そのために話者の負担を極限まで減らすオペレーション設計が重要
- Slackでのネタ投稿 → Zapierで絵文字分類 → Notionデータベースに自動蓄積 → シンクドブロックで台本に埋め込み、という自動化パイプラインが企画会議の苦痛を解消
- Notion AIミーティングノートのリアルタイム書き起こしに直接コメントすることで、収録完了=編集指示書の完成を実現
- Googleドライブからの全面移行により、エピソード別・音源別など多軸で切り直せるリレーショナルデータベースで情報を一元管理
- フリーランスやスモールビジネスでも、Notionをワンストップの基幹システムとして活用可能
