2回目の収録から始まる回
冒頭、川崎さんはこの収録が2回目であることを打ち明けます。1回目は熱を込めて話したものの、録音できていなかったといいます。
原因は、イヤホンマイクを使い、携帯をポケットに入れて話していたため、通知などで録音が止まったことに気づけなかったことでした。
もうね、この収録のやり直し、めっちゃショックです。だってさ、ものすごい熱量を込めて喋ってたから余計にね。
それでも伝えたいと気力を振り絞って再収録したと語り、テンションの低さも含めて聞いてほしいと前置きしたうえで本題に入ります。今回のテーマは、広報が届かなくなった時代の広報についてです。
座談会で急増するマイナンバーカードへの不安
川崎さんは地元で国政報告会と座談会を開いています。国政報告会は自分から国政の話題を伝える形ですが、座談会は10人ほどに絞り、参加者の気になっていることを聞くところから始めるといいます。
消費税や皇室典範、地元の海岸改修など話題はさまざまですが、ここ最近とにかく多いのがマイナンバーカードへの意見だと話します。
不安の中身は具体的です。金色のICチップに個人情報が入っていて、カードを落とすとそこから抜かれるのではないか。口座を登録すると預金情報を見られるのではないか、という声です。
デジタル庁やデジタル社会推進本部に所属する政治家は、SNSや国政報告会で大丈夫な理由を一生懸命説明していますが、広げられる範囲は広くなく、なかなか伝わらないと川崎さんは言います。
「広報していない」のではなく「届いていない」
座談会で不安が解けると、次に必ず出てくるのが「もっとしっかり広報周知をしてほしい」という要望だといいます。半ば怒りのように言われることもあるそうです。
しかし、政府が広報をしていないわけではありません。毎年しっかり予算を組み、デジタル庁も政府広報も周知活動を行っていると川崎さんは説明します。
それでも「もっと周知しろ」と言われるのは、つまり見られていないということだと指摘します。
問題は、広報の量ではなく、届いていないというギャップにある。このギャップは何によって生まれているのか、という問いへと話は進みます。
テレビも新聞も見ない時代とフィルターバブル
第1の原因として川崎さんが挙げるのは、人々がテレビを見なくなったことです。番組内のCMや企画は届きにくく、ワイドショーではむしろ批判的な意見がフォーカスされやすいというデメリットもあると話します。
若者がテレビを見ないとよく言われますが、川崎さんは高齢者も見ていないと言います。前日の座談会でアンケートを取ったところ、ほぼ見ていなかったそうです。テレビはおろか新聞も見ていない実態があるといいます。
では何を見ているのか。答えはYouTubeです。しかし、デジタル庁のマイナンバーカード解説の記事を自分から見る人はいないだろうと川崎さんは考えます。
YouTubeやSNSは、利用者の趣味嗜好に合わせて情報が出てくる、いわゆるフィルターバブルの世界に入っています。そのため、政府の情報は永遠に手元に流れてこないというのです。
仮に広告を出しても5秒でスキップされれば意味がなく、政治に興味のない人がわざわざ政府の動画を見るとも思えない、とも語ります。
この結果、情報は趣味嗜好に合う人にしか届かず、そうでない人にはまったく届かない。川崎さんは、こうして情報格差が広がっていくことこそ、今の社会の恐ろしいところだと話します。
仮にYouTubeの閲覧履歴をリセットしたとしても、完全にアルゴリズムが消えてるとは思えないんですよね。
検索履歴などをもとに、手元に届く情報はどうしても趣味嗜好に偏る。この中で広報活動をするのは非常に難しいと川崎さんは言います。
「もっとSNSで」と簡単に言う人もいますが、SNSの仕組みを知ってほしいと内心思いつつ、グッと我慢して話を聞いていると本音も明かしました。
逆説 生活動線に溶け込むアナログな広報
SNSをジャックできないなら、どうするか。川崎さんが重視するのは、いかに生活に溶け込むかという視点です。
究極の例として挙げたのが、トイレットペーパーに4コマ漫画のようにマイナンバーカードの誤解を書いておく、というアイデアです。人は必ずトイレに行くからです。
だから、そういう生活動線の中に広告を埋め込むというのはね、とても大切なんですよね。
実際にトイレットペーパーに書くのは難しいとしつつ、要は生活の動線にどれだけ溶け込ませるかが、これからの広報のポイントになるという趣旨だと補足します。
そう考えると、政治家がポスターを印刷して街中に貼る行為も、一見アナログで古く感じますが、ネット社会がさらに進むほど、むしろ最も印象に残る方法かもしれないと川崎さんは言います。
名探偵コナンのポスターが示す集客の逆説
川崎さんは、テレビ番組でキングコングの西野さんが語っていた例を紹介します。
ドラえもんの映画「海底奇岩城」は大ヒットしましたが、CMを見て来たという人はほとんどいなかったといいます。
一方、名探偵コナンは街中に貼られたポスターを見て来た人が多かった。つまり、人が移動する場所にアプローチすることが集客につながる、という話です。
だから政治家が未だにポスターを印刷して街中に貼り、陣取り合戦をしているのも、この理屈につながっていくのではないかと川崎さんは結びます。
周知のやり方は政府全体で考えるべき
最後に川崎さんは、周知のやり方は政府全体が本当に考えなければならないことだと述べます。
アイドルを使ってマイナンバーカードを訴求しても刺さらず、YouTubeやSNSのネット広告に時間と労力を割いても届かない。それならポスターをたくさん作って街中に貼る方が、明らかに効果があるのではないかと話します。
テレビCMやYouTube・SNS広告。フィルターバブルにより趣味嗜好に合う人にしか届かず、スキップもされやすい
ポスターなど生活動線に溶け込む手法。移動する場所でアプローチでき、印象に残りやすい
現実的な落としどころを、デジタル庁や政府の広報施策の中でも考えてほしいと要望を述べ、この回を締めくくりました。
まとめ
マイナンバーカードへの不信を入り口に、川崎さんは「広報していない」のではなく「届いていない」時代の広報を考えました。行き着いたのは、生活動線に溶け込むアナログな手法という逆説的な答えでした。
- 座談会ではマイナンバーカードのICチップや口座紐付けへの不安が急増している
- 政府は予算を組んで広報しているが、テレビも新聞も見られず届いていないのが実情
- YouTubeやSNSはフィルターバブルにより、政府の情報が届きにくく情報格差を生む
- SNSのジャックは不可能で、生活動線に溶け込む広報のほうが有効
- 名探偵コナンのポスターの例のように、アナログな手法こそ印象に残り集客につながる
