内定を出しても給与で辞退されるという悩み
内定を出したけど、給与の条件で他社に負けてことごとく辞退されます。会社のフェーズや事業の規模で、正直これ以上の金額提示は厳しいです。給与が安くても人を採用する方法はありますか?
吉田さんはまず、事業フェーズによっては良い条件を提示できず、採用に困ることはよくあると受け止めます。
そのうえで、万能な解決策はないとしつつ、一つの方法として「会社の将来と、そこから実現できるキャリアを提示すること」が重要だと話します。
事業フェーズによっては、なかなかいい条件が提示できなくて、採用に困るということはよくあるんですね。
万能な解決方法はないんですけれども、会社の将来とそこから実現できるキャリアを提示するっていうことがすごく重要だと思いますね。
たとえば「会社がこうなったら給料が上がる」、あるいは会社が小さいなら「あなたが活躍すれば給料が上がる」と、未来を見せていく方法です。
そうすることで、今この瞬間の給料が低くても、優秀な人が入社してくれることはあると吉田さんは言います。
理想は給与テーブルの開示、SmartHRの事例
吉田さんによると、一番の理想は給与テーブルを作成し、その人のキャリア像を明確に見せることです。
例として、労務系のクラウドソフトを出しているSmartHRが挙げられます。同社は給与テーブルを社内だけでなく社外にも開示しているそうです。
これにより、社内の人は自分の今後の給与の上がり方がわかり、社外で転職を検討している人は転職後の年収を把握できるため、応募しやすくなると説明します。
実際SmartHRの場合、給与テーブルを公開したことによって、求人への応募ってすごく増えたそうです。
ただし、初期のスタートアップだと、そうしたテーブルを作るマンパワーがない場合もあると吉田さんは補足します。
給与以外で勝負する報酬設計
テーブルを整えられない場合は、給与以外のところで勝負するのも一つの手だと吉田さんは言います。働きに対する報酬は給与だけではない、という考え方です。
わかりやすい例として挙げられたのが「経験」です。職種が決まっていないぶん、営業も経理もいろいろ経験できることを売りにして採用するケースがあります。
ただし、ブラックなスタートアップも多かったため、経験だけを売りにするのは今では難しくなってきたと、吉田さんは正直な現状も語ります。
別の角度として挙げられたのが、休日の多さです。給与は少なくても休日を多くすることで優秀な人を確保する方法があると言います。
これまで週休2日がスタンダードでしたが、最近は週休3日の会社も増えてきました。人生のフェーズによっては、休みが多いほうがありがたいケースがあるためです。
小さいお子様がいらっしゃるとかだと、正直給料が多いよりも時間が確保できるっていう方がその人にとって魅力なんですよ。
さらに、働く場所も一つのポイントです。コロナ前は出社が当たり前でしたが、その後リモートが増え、通勤時間がなくなることで働きやすさにつながると説明します。
都合のいいことだけ言う経営者への戒め
パーソナリティは、企業が成長しても社員を安い給与のまま働かせる社長はいないのか、と踏み込んで尋ねます。
吉田さんは、大声では言えないがそういう人はいる、と認めます。そして、知っているなかで最もひどいケースを紹介しました。
若手で優秀な人を低い給与で散々働かせ、モチベーションを保たせるために「君は私の会社の後継者だ」と調子のいいことを言っていた経営者の話です。
ところが、いざ事業承継の場面になると、その経営者は自分の親族に事業を渡してしまったといいます。
もうそれは詐欺ですね。
法律上の詐欺罪に当たるかどうかわからないですけど、やられた方はもう本当に、自分の人生返してくれよって思いますよね。
このケースでは、最終的にその社員が怒り、会社に対して未払い残業代を請求し、その相談が吉田さんの事務所に来たそうです。
吉田さんは、同じようなケースでは労働組合に加入して団体交渉を申し入れてくることもあると付け加えます。
都合のいいことを言っていて、安い給料で働かせていた時に、落とし前をつけるのは社長自身なんですよ。
経営者としてのけじめの付け方
最後は社長が損をするからこそ、吉田さんは、どうしても安い給与で優秀な人に来てもらう必要がある場合の考え方を示します。
金銭以外の報酬を用意できないなら、3年や5年など時間を区切って手伝ってもらい、その人のキャリアにプラスになることを後押しするという方法です。独立や転職を後押しする例が挙げられました。
パーソナリティは、受けた恩やもらったものはちゃんと返すのは人として当然のことであり、そこをしっかり守っていきましょう、とまとめます。
まとめ
限られた予算でも優秀な人を採用する方法はあります。ポイントは給与以外の部分で勝負することですが、調子のいいことばかり言って約束を守らないと、どこかでしっぺ返しが来る点に注意が必要です。
- 事業フェーズで条件を出せないときは、会社の将来と実現できるキャリアを提示する
- 理想は給与テーブルの開示。SmartHRは社外にも公開して応募が増えた
- 経験・休日の多さ・リモート勤務など、給与以外の報酬で勝負する選択肢がある
- 都合のいい約束を守らないと、未払い残業代の請求や団体交渉につながり、最後は社長が損をする
- 安い給与で来てもらうなら期間を区切り、その人のキャリアを後押しするのが経営者のけじめ
