まず押さえたいのは「子が3歳未満」
タイトルへの回答からいきますね。育児のための短時間勤務は、原則として子が3歳未満のときに利用できます。
なので、これだけ言うと今週はもう終わってしまいそうなんですけど、それだと話が広がらないので、もう少し掘り下げます。
まず会社の方に絶対に気をつけてほしいことがあります。3歳未満のお子さんを養育しているスタッフさんから「短時間勤務させてもらえませんか」と言われたときに、「うちにはそんな制度はない」と突っぱねてしまうことです。
これは法律違反になってしまうので、本当に気をつけてください。
損害賠償までいくのは難しいかもしれませんが、行政官庁に「短時間勤務の権利が与えられていないんじゃないか」と相談が行けば、労働局の調査に発展して、会社の間違いを指摘されることはあり得ます。
お金の話を生々しくするのもあれですけど、権利が認められないという理由でスタッフさんが退職してしまう可能性もあります。
そうなると他のスタッフさんにも「この会社は法律的な権利も行使できないのか」という印象を与えてしまいます。これは当然よくないんです。
小さな職場でも「珍しいこと」ではない
お子さんを養育している方に向けても言っておきたいことがあります。短時間勤務は法的に認められた権利です。
産休・育休を取ったあと、フルタイムでの復帰が難しいなと思ったら、短時間勤務の権利があるので、それを前提に会社と復帰後の働き方を相談してもいいと思うんです。
小さな職場だと前例がないから、本当に使っていいのかなと不安になるかもしれません。
でも大きな会社だと、結構な頻度で短時間勤務で復帰してくる方がいます。世の中的には別に珍しいことではないんです。
法律で認められた権利なので、遠慮せず使っていただくのがいいと思います。
3歳で終わらない例外がある
さて、ここからが本題です。実は小学校就学前のお子さんがいる場合でも、短時間勤務を認める必要が出てくるケースがあります。
関わってくるのが「柔軟な働き方を実現するための措置」という制度です。2025年、令和7年の10月1日から施行されています。
これは、3歳から小学校入学前の子どもを養育する労働者に対して、会社が5つの選択肢の中から2つの措置をやってくださいね、という法律なんです。
具体的な5つを挙げると、1が「始業時刻等の変更」、2が「テレワーク等、月10日以上」、3が「保育施設の設置・運営」です。
4が「就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇、養育両立支援休暇の付与、10日以上」、そして5が「短時間勤務制度」です。
このうち2つを会社が考えて、うちならこれができるよね、と選んでやらなければいけません。
ポイントはここです。この5つの中から「短時間勤務制度をやります」と会社が選んでいる場合、原則3歳までだったものが小学校就学前まで伸びるんです。
迷ったらどれを選ぶか、私の考え方
ちょうど1年くらい前、この話をひたすらしていた気がするんですけど、よく「迷ったらどれがいいんですか」と聞かれます。
中小企業やスタートアップなど、そんなに資金力がない会社だと、まず3の「保育施設の設置・運営」はかなり非現実的なので、最初に外れます。
次に外れるのが2の「月10日以上のテレワーク」です。業種・業態によっては絶対にテレワークできないという場合、選択肢から外れます。
そうすると残るのが「始業時刻等の変更」「養育両立支援休暇」「短時間勤務制度」です。
短時間勤務制度は会社としても負荷が高いんです。なので本当にどれでもいいという場合だと、始業時刻の変更と養育両立支援休暇の組み合わせが挙がってきます。
養育両立支援休暇は有給である必要がないので、無給にすれば会社側の負荷は狭まります。
ただ、これはあくまで会社の負担だけを考えた場合の話です。
いろんなライフステージの中で継続して働けるようにするというのは、どの会社でも問われている命題です。単に楽な方を選べばいいのか、というところもあるんです。
会社が中長期的に発展していくには、どの施策がいいのかをちゃんと考えて講じたほうがいいと私は思います。
まだ決めていない会社は、早急に
結果としてよくあるのは、始業時刻の変更、養育両立支援休暇、短時間勤務制度あたりに落ち着きます。
ここで短時間勤務制度を選んだ会社なら、育児のための短時間勤務は小学校就学前まで延長されます。3歳から伸びるので、その点はご注意ください。
もし「柔軟な働き方を実現するための措置なんて知りませんでした」という会社なら、自社が5つのうちどれをやるかを決める必要があります。
もう法律は施行されていて、規模や資本金にかかわらずすべての企業がやらなければいけないことなので、早急に決めたほうがいいです。
子育てと仕事の両立で悩んでいる方も、自社がどの措置を選んでいるかを確認して、自分の持っている権利が何なのかを確かめたうえで、一度会社に相談してみるのも一つだと思います。
まとめ
育児のための短時間勤務は「原則3歳未満」ですが、会社が短時間勤務制度を選んでいれば小学校就学前まで伸びます。法改正から時間が経ったいまも、意外と対応できていない会社があるので、あらためて自社の状況を確認してみてほしいと思っています。
- 育児のための短時間勤務は、原則として子が3歳未満で利用できる権利
- 3歳未満のスタッフからの申し出を「制度がない」と突っぱねるのは法律違反
- 2025年10月施行の「柔軟な働き方を実現するための措置」で、5つのうち2つを会社が選ぶ義務がある
- この中で短時間勤務制度を選んだ場合、対象が小学校就学前まで延びる
