この回の対象と本の位置づけ
今回のテーマは「労務担当者必読書10選」です。読んでおいた方がよい本を10冊紹介する回になっています。
主な対象は、社会保険労務士として今後活躍したい人や、労務担当者として力をつけたい人です。専門性の高い本が続きます。
なお、ビジネスパーソンとして成功したいという文脈で必要になる本は別だと整理されています。
例えばロジカルシンキングの本とか、PDCAを回す本とか、ああいうのはああいうので読まなきゃいけないので、自己啓発本を読んで勉強してください。
紹介する書籍はすべてAmazonで手に入ると補足されています。
まず押さえたい辞書型の労働法・労基法本
1冊目は菅野先生の『労働法』、」「緑の本」です。労働の世界のバイブル的な位置づけだと説明されています。
裁判官や、労働者側・使用者側の弁護士が、判断に迷ったときにこの本の記述を確認するような本だとされています。
ただし文字数が多く、1ページ目から通読するのは現実的ではありません。手元に置き、必要なときに調べられる状態にしておくのがよいと話されています。
2冊目は労務行政が出している『労働基準法コメンタール(労働法コメンタール 労働基準法)』の上巻・下巻、令和3年版です。俗に「労基法コメンタール」と呼ばれています。
法律の条文を読んで、これってこういう意味だよねって理解できればいいんですけど、そうじゃないものがたくさんあるわけですよ。それを一条一条解説してくださってるのが、この労働基準法コメンタールです。
菅野先生の本と違い、こちらは比較的通読しやすいタイプとされています。一度通読し、わからないときに立ち返る使い方がすすめられています。
3冊目は厚生労働省が出している『労働基準法解釈総覧』です。労働基準法の解説で、条文の意味や関連通達が細かく書かれています。
重要な点として、解釈総覧や労基法コメンタールは労働基準監督官も持っており、それを基に指導されるケースが多いと指摘されています。そのため手元に置いておく価値があるとされています。
就業規則を作るなら読みたい実務書
4冊目は石嵜 信憲先生が編著した『就業規則の法律実務』です。版が更新されるたびに買っているほど繰り返し読んでいる本だと話されています。
特に就業規則を編集するのであれば、この就業規則の法律実務は私勝手に必読書だと思ってますし、大体どこの社労士事務所にも一冊はあるはずです。
Amazonでは8000円ほどと高めですが、内容を考えるとむしろ安いくらいだと評価されています。
労働基準法自体は変更できませんが、就業規則は編集できます。その際の注意点や、こう書くとリスクがあるといった点がわかる本だと説明されています。
5冊目は弁護士の西川先生が書いた『労使トラブル円満解決のための就業規則関連書式作成ハンドブック』です。体系的に書かれており、就業規則を編集する際に読んだ方がよいとされています。
この本については、著者のX(旧Twitter)での情報発信が非常によくまとまっていると強くすすめられています。
西川先生のポストだけは必ず通知が来るように設定してます。それくらい価値のある情報が無償で手に入るので、フォローしてない人はフォローした方がいいと思います。
6冊目は有斐閣から出ている労働基準法と労働契約法のコメンタールです。名著とされ、わからないことがあれば調べる用途で手元に置いていると話されています。
辞書型からの切り替え、入門書と実務特化書
ここまではお堅い辞書的な本が中心でした。手元に置き、わからないことを調べる行為を積み重ねることで、実力のある社労士や労務担当者になっていくと整理されています。
この調べる行為が積み重なっていくといろいろ知識が溜まっていくんで、それを繰り返していくと、実力のある社会保険労務士であったり、労務担当者になっていきます。
7冊目は坪谷先生・岩田先生・古茶さんの3人が書いた『図解 労務入門』です。紫色の本で、労務の入門を体系的に扱っています。
サブタイトルは「理論と実践の100のツボ」で、理論も実践も学べてわかりやすいと評価されています。図解でわかる点もよいとされています。
社労士法人ONE HEARTでは、入社したスタッフ全員にこの本を配っているそうです。辞書型がヘビーすぎるという人にはこの本がすすめられています。
8冊目は社労士の志戸岡先生が書いた『給与計算・年末調整の手続きが全部できる本』です。増補改訂版が令和6年に出ています。
給与計算を体系的に扱い、月次・年次のイベントがもれなく書かれています。給与計算を任された人が手元に一冊置いて読むのによいとされています。
産休育休の実務書と、そのほかの辞書型
9冊目は宮武貴美先生が書いた産休育休の実務がわかる本です。産休育休は非常に複雑だと指摘されています。
どうしてこんなに複雑になったんだろうっていうぐらい、社労士でもよくわからないというか。もちろんわかってるんですけど、正直調べながらやったりするんです。
この本は複雑な手続きを順序立てて説明しており、産休の手引きや社内で使える書式・PowerPointスライドが付録でダウンロードできる点がよいとされています。
10冊目は弁護士の安西愈先生が書いた『新しい労使関係のための労働時間・休日・休暇の法律実務』です。版は古いものの、多くの社労士事務所に一冊はある定番だとされています。
現在は絶版に近い状態ですが、電子書籍化されており中古でも入手可能だと補足されています。使い方は、わからないことを調べる辞書型です。
加えて、水町先生の労働法の本も紹介されています。辞書型の労働法解説では菅野先生の緑の本が不動の地位でしたが、最近は水町先生の本を読む社労士や弁護士も増えているとのことです。
| 書籍 | 著者・出版 | タイプ |
|---|---|---|
| 労働法(緑の本) | 菅野先生 | 辞書型 |
| 労働基準法コメンタール 上下巻 | 労務行政(令和3年版) | 辞書・通読 |
| 労働基準法解釈総覧 | 厚生労働省 | 辞書型 |
| 就業規則の法律実務 | 石崎信憲先生 編著 | 就業規則実務 |
| 就業規則関連書式作成ハンドブック | 西川先生 | 就業規則実務 |
| 労働基準法・労働契約法コメンタール | 有斐閣 | 辞書型 |
| 図解 労務入門 | 坪谷先生ほか | 入門書 |
| 給与計算・年末調整の本 | 志戸岡先生 | 給与実務 |
| 産休育休の実務がわかる本 | 宮武貴美先生 | 産休育休実務 |
| 労働時間・休日・休暇の法律実務 | 安西愈先生 | 辞書型 |
まとめ
今回は、社労士や労務担当者が実務で頼れる必読書10冊が、辞書型・実務書・入門書に分けて紹介されました。調べる用途と学ぶ用途を使い分け、手元に置いて繰り返し参照することが実力につながると整理されています。
- 辞書型の菅野『労働法』、労基法コメンタール、解釈総覧は手元に置いて調べる用途で使う。
- 就業規則を作るなら『就業規則の法律実務』と『就業規則関連書式作成ハンドブック』を活用する。
- 辞書型がヘビーな人には、体系的でわかりやすい『図解 労務入門』が入り口としてすすめられている。
- 給与計算や産休育休など、テーマ特化の実務書は付録や手引きも含めて役立つ。
- 最近は菅野先生の緑の本に加え、水町先生の労働法の本も読む専門家が増えている。
