オンボーディングという言葉との出会い
今回のテーマは新人研修。ばっしーは、細かい研修内容よりも「新人が入ってきた時にどんな思いで接しているか」を、お互い話題を共有しながら語りたいと切り出します。
その入り口になったのが「オンボーディング」という言葉です。
私もオンボーディングを学んだ方がいいよって社長に言われて、オンボーディング?って思って、ネットで調べてますね。
今当たり前のようにオンボーディングとかって言ってますけど、最初はそんなもんです。
ばっしーは、この言葉を「チームとして受け入れていく」「仲間に入っていく」ことと言い換えます。研修は育てる側面が強いですが、それだけでなく、学生から社会人になる人をどう迎えるかが大事だと話します。
入社前の内定期間にやっていること
話はまず入社前に移ります。薬剤師や管理栄養士は内定から入社まで数ヶ月あり、その期間に何をしているのかという問いです。
キシモトの会社では、6年制で忙しい薬学生に課題を出すことはほぼせず、その代わり国家試験対策のフォローを外部会社に依頼しています。
予備校の中の順位だと、あなたはこれぐらいだからこの動画を復習するといいよみたいなのを、外部の先生をちょっと頼りながらやらせていただいてる感じですね。
キシモトは自身が薬剤師ではないため、薬学的なことはプロの先生を頼るのが方針だと話します。ばっしーは免許を取ってもらわないと薬剤師として採用できない、薬学部ならではの難しさに触れます。
一方で、勉強の補助とは別に「リフレッシュ系」の取り組みもあります。ばっしーの会社では、新卒が決まった年に社長が学生へレッドブルを箱で贈り、寄せ書きを添えたことがあったそうです。
翼を授けて。
去年は管理栄養士2名の入社を前に、夏の「おばんざいクルーズ」という社内の集まりへ内定者を招き、クルーズ薬局のエプロンを着てもらって一緒に写真を撮ったといいます。
このメンバーの仲間になれるよみたいな、そういう意味も込めてやったりしましたね。
盛り上がる内定者イベントとアイスブレイク
ばっしーは、ただ飲みに行くだけだと学生は緊張するし、社員旅行のように「雰囲気分かったでしょ」と押し付けがましくなりかねないと指摘します。そこで工夫した企画を紹介します。
前職では、内定者懇親会で社長の話を長く聞くだけにならないよう、リアル脱出ゲームを企画しました。日曜で閉まっている店舗にキーワードを置き、解いて次の店舗へ向かわせる仕掛けです。
さらに、内定者一人ひとりに自分に関するクイズを作ってもらい、スライドにして出題する企画も行いました。お互いの関係性ができるのが狙いです。
キシモトも、ペーパータワーやマシュマロとスパゲッティといったチームビルディング系を実践したことがあると振り返ります。
ただ、採用担当としてはネタが年々尽きていく恐怖もあると2人は笑います。そこでばっしーが一番好きだというアイスブレイクが披露されます。
一番好きなアイスブレイクが中華料理のトップ3。その人気トップ3をチームで決めてくださいって言ったら100パー盛り上がるんで。
中華料理はチャーハン、餃子、ラーメン、小籠包など範囲が広く、チームで意見が割れるから盛り上がるのだといいます。キシモトは「後で答えを教えてください」と食いつきます。
新人が業務を習得するまでの期間と関わり方
話は入社後へ。店舗業務をしっかり習得するまでの期間について、キシモトは本配属まで半年ほどを見ていると答えます。
1年目は全然できないものとして、1としてはカウントしないでっていうのはありますけど。
ばっしーは、薬剤師は1年ほど、管理栄養士は事務業務ができるまで半年ほどを目安にしつつ、習得度は本人の姿勢や能力にもよるため、現場任せだけではコントロールしきれない難しさを挙げます。
キシモトの会社では、全社員が集まる研修が年3回、1年次だけの研修が月1〜2回あり、月2回ほどは新人と接触して会話しているそうです。
何があったかとか、楽しいかとか大丈夫かみたいなのは確認しながら。
ただし聞き方は難しいところです。「成長できてますか」と聞けば「できてます」としか言えないため、質問の仕方が重要だと2人は共感します。
これできる?って聞いたらできるってなるけど、一人でできる?って聞いたら、いやできませんってなるとか。
ばっしーは、一番怖いのは「全部できます」と言って一人にした時に何もできないパターンだと話します。だからこそ、定期的に一人にしたり負荷をかけたりすることが必要だといいます。
新人を「割れ物注意」で可愛がりすぎると、本人は精神的に安全でも「まだやらせてもらえないのか」と感じ、ホワイトすぎて退職につながることもあると指摘します。負荷の塩梅が難しいテーマです。
教え方の「好み」と相性
負荷だけでなく、説明の仕方にも人による好みがあると話は進みます。一から十まで細かく説明した方がいい人、マニュアルを渡された方がいい人、ざっくり説明してとりあえずやってみたい人がいます。
私はざっくりが好きなんですよ。全部説明されたらせっかちなんで、説明してもらってんのに長いなみたいな。
ばっしーもやり方を決められるのが苦手なタイプで、「これって最終的にどうなったらいいんですか」とゴールをすぐ聞くと話します。2人はゴールを言ってくれない人が苦手だと意気投合します。
ここのボタンを押して、ここクリックしたらできんねんって言われたらわけわかんない。なんでこの順番にしないといけないかがわからんと全く覚えられへんんですよ。
動作だけを教えられるのが苦手なばっしーは、マニュアルは基本的に「なぜそうするか」を書かないため、それだけでは覚えにくいと語ります。
一方でキシモトは、この好みの違いに気づいてから、最初に「1から10まで教えられるのが好き?ざっくりが好き?」と本人に聞くようにしていると話します。教え方の好みを先に確認する工夫です。
一から十まで手順を丁寧に説明してもらった方が安心して覚えられる
全体像とゴールを先に知り、とりあえずやってみながら覚えたい
ばっしーも、相手の顔色を見て操作を教えるか判断することはあるものの、そのアジャストは難しいと認めます。
メモの取り方と、わかったつもりの落とし穴
新人時代の「メモを取れ」という風潮についても話が及びます。キシモトは説明を聞きながら一緒にメモを取るのが苦手で、取っているふりだけになっていたと打ち明けます。
言ってることを1から5まで工程があったら、メモ見たら1と2しか書いてなくて、3からもう書いてない。
一方で、綺麗にメモを取れる人もいます。キシモトは、聞きながら整理して自分なりにアウトプットできるのは才能だと評価します。
ばっしーの整理法は、説明を受けながら「つまりこれがこうなって、こういうことですね」と自分の言葉に言い換えて定着させるやり方です。ただし相手が操作しか覚えていないと成立せず、上司も選べない難しさがあると話します。
上司も選べないですからね。
さらに2人は、大人になると自分が「わかったつもり」で実はいろんなパターンのうち1つしか理解していないこともあると気づいたと語ります。一度落ち着いて聞くフェーズが要るという結論です。
相性を見た配属と、巣立ちを見守る喜び
教え方の相性は配属先を考えるときにも重要になります。キシモトは、自分がざっくり派なのにきめ細やかすぎる上司につけば潰れると思うと語り、マッチングがその後の伸び方を左右すると2人はうなずきます。
ばっしーは、研修の設計やスケジュール、担当や進捗の管理をしつつ、その根本にある思いを新人にわかっていてほしいと話します。
ぜひ最大限に成長してほしいし、最大限仲間になってほしいし、活躍してほしい。1年後どういう姿になってほしいなっていうのを想像しながら接してるわけじゃないですか。
キシモトは、どの採用担当も「すぐ辞めちゃったら悲しい」と思っているはずだと語ります。小さな会社では採用担当が研修でも上司としても関わり続けるため、入社後に活躍する姿が見たくて採用しているといいます。
キシモトは新人を「ツバメの雛」にたとえます。相談が最初は自分に全部来ていた新人が、現場に頼れる先輩を見つけ、薬局のメンバーとご飯に行くようになる。その姿を巣立ちのように感じると話します。
飛び立っていく子供たちみたいな感じで、なんか感慨深いなって思いますね。
ばっしーも、前職で学生時代から関わり九州から出てきた新人が、退職後もSNSでつながり、学会で初めて発表するので見に来てくださいと連絡をくれたエピソードを紹介します。
1年目は質問し放題の「ボーナスタイム」
エンディングで2人は新人へのメッセージを残します。ばっしーは、学生と関わる間はその人のキャリアを預かる気持ちが強いので、安心して採用担当や研修担当に甘えつつ、自分でできることを最大限やってほしいと語ります。
キシモトは、仮配属中の新人たちを思い浮かべながら話したといいます。1年目は「これ聞いていいのかな」と迷う場面が多いですが、むしろ聞きまくった方がいいと伝えます。
1年目だからめっちゃ聞きまくったらいいと思ってて。それがボーナスタイムじゃないですけど。
自分たちの年齢になって新卒のように「メモってどうやって取るんですか」と聞けば叱られてしまう。だからこそ今のうちに質問し、恥ずかしがらず先輩の姿を吸収してほしいというエールで締めくくられます。
まとめ
薬局の新人研修は、業務を教えるだけでなく、新人を仲間として迎え入れる「オンボーディング」の視点が鍵になります。内定期間のフォローから相性を見た配属、そして巣立ちを見守るまで、受け入れる側の思いが一貫して語られた回でした。
- 内定期間は国家試験対策のフォローとリフレッシュ系イベントで、仲間意識を育てる
- アイスブレイクや脱出ゲームなど、緊張をほぐし関係性を作る企画が効果的
- 習得度は聞き方で変わるため、負荷の塩梅と質問の仕方が重要になる
- 教え方には「きめ細かく」「ざっくり」といった好みがあり、相性を見た配属が伸びを左右する
- 1年目は質問し放題の「ボーナスタイム」。恥ずかしがらず先輩から吸収してほしい
