今回のゲストは、株式会社ディー・エヌ・エー1999年に設立されたインターネットサービス企業。ゲーム、スポーツ、ヘルスケア、オートモーティブなど多角的に事業を展開する。代表取締役会長の南場智子DeNA創業者。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て起業。日本経済団体連合会(経団連)の副会長も務める。さんと、STORES 株式会社ECサイト制作、POSレジ、キャッシュレス決済など、中小事業者のデジタル化を支援する「STORES」を運営。取締役の佐俣奈緒子コイニー(現STORES)創業者。PayPal日本法人の立ち上げなどを経て起業。人事組織・文化醸成を牽引。さんです。
DeNAが掲げる「AIにオールイン」という大胆な意思決定の裏側や、インターネット黎明期以来となる巨大な波をどう捉えているのか。起業家の解像度を上げるための向き合い方から、それぞれの意外な野望まで、ベテラン経営者たちの熱い対話の内容をまとめます。
南場智子流・AI情報のインプット術
01:51 から再生するDeNAが「AIにオールイン」という方針を打ち出す中、南場さんがどのように最先端の情報を収集しているのかについて語られました。驚くべきことに、南場さんは年に4回ほどサンフランシスコ(ベイエリア)シリコンバレーを含む、世界的なテクノロジー企業やスタートアップが集積する米国カリフォルニア州の地域。を訪れ、現地の起業家たちと「シェアハウス」で寝食を共にする合宿を行っているといいます。
ベイエリアの起業家たちと一緒に1週間、2週間過ごすと、彼らは息を吸うように新しいツールを使いこなしていて、その話題で持ちきりなんです。それが一番の刺激になりますね。
日本国内でも、DeNAのOB・OGを含めた「DeNA Galaxy」というコミュニティで「AI Night」などのイベントを開催し、情報のアップデートを欠かさないようにしているそうです。ベンチャーキャピタリストベンチャー企業に出資し、経営支援を行う投資の専門家。である佐俣アンリベンチャーキャピタル「ANRI」代表。シード期のスタートアップを中心に投資を行う。さんも、起業家の近くに居続けることの重要性に強く同意していました。
今、南場さんが出資したい起業家とは
07:43 から再生するリスナーからの「今出資するならどんな起業家に投資したいか」という質問に対し、南場さんは「変化を本能的にワクワク楽しめる人」を挙げました。特にAIによって産業構造が激変している今、その目まぐるしさを恐れるのではなく、楽しむ姿勢が不可欠だといいます。
また、南場さんは独自の指標として「ベロシティ」物理学における「速度(ベクトル)」。ビジネスでは単なる「スピード」だけでなく「正しい方向性」を伴っていることを指す。という言葉を使っています。これは単なる速さだけでなく、正しい方向に向かっているかどうかの両方を備えていることを指します。
DeNAの本業は「事業創出プラットフォーム」
09:07 から再生するゲーム、スポーツ、ヘルスケアなど、多岐にわたる事業を展開するDeNA。「一体何屋さんなのか?」という問いに対し、南場さんは非常に興味深い回答を示しました。
DeNAは、会社のありようそのものがプロダクトなんです。
特定の事業を指して「本業」とするのではなく、多様な人材が集まってそれぞれの夢を形にしていく「事業創出プラットフォーム」そのものがDeNAの正体であると語ります。かつては「知的体育会」とも呼ばれたDeNAですが、現在は突出した個性を重視し、メンバーが持っていない強みを持つ人を積極的に採用しているそうです。
営利団体だからこそできる「社会善」の拡大
11:53 から再生する話題は「経営者がNPONonprofit Organization。非営利団体のこと。社会貢献を目的とし、利益を分配しない組織形態。活動などの非営利団体に関わることの意義」に移りました。南場さんは、あえて「私は営利団体が好き」と断言します。それは、人がお金を払うほど価値のあるものを作るという営み自体が社会善であり、利益を出すことでその善意をさらに大きく「拡大再生産」できるからだという考えに基づいています。
スタートアップのナレッジをNPOにトランスファーすることで、社会課題の解決スピードを上げるという交流は、すごく可能性がある気がしますね。
佐俣アンリさんも、ラクスル印刷、物流、広告のプラットフォームを運営する企業。ITの力で伝統的産業の非効率を解消している。の共同創業者がNPOに転身して圧倒的なスピードで成果を出している例を挙げ、異なるセクター間での人材流動が日本を変える鍵になると語りました。
「AIにオールイン」を決断した背景
14:49 から再生するDeNAがAIへの全賭けを決めた背景には、2022年11月の「生成AIの民主化」があったといいます。南場さんは、この変化を「1990年代後半のインターネット普及期と同じ」と表現しました。
2022年11月:生成AIの民主化(ChatGPT等の登場)
→ 誰もが否定できない「全普及」の確信
厳しいタイミングだからこそ、大きな冒険で会社を変えられる
→ 既存のルールを破壊する意思決定
「全普及、間違いなし」と誰もが確信できる波が来ている中で、まだ実社会の産業にAIエージェントが入りきっていない今の状態は、あらゆる場所にビジネスチャンスが転がっている「楽しい時代」だと南場さんは強調します。
STORESが描く「中小企業を元気にする」野望
24:01 から再生するSTORESの取締役である佐俣奈緒子さんは、同社のこれからの勝負所について語りました。創業から7年、複数のM&Aを経て成長してきた同社ですが、今年ようやく全てのプロダクトが統合されるフェーズに入ります。
プロダクトがバラバラ。データも個別に保持。
共通基盤の上に全サービスが乗る。AI活用の土壌が完成。
プロダクトが一つに統合されることで、蓄積されたデータをAIで活用しやすくなり、日本の中小企業をより強力に支援できるようになるといいます。DeNAも同様に「ID統合」などの顧客統合を進めており、巨大なコンパウンドSaaS複数の業務機能を一つのプラットフォームで提供するソフトウェア。データが統合されているため、効率的な運用が可能。としての進化を目指す姿勢で共鳴していました。
未来への抱負:英語とサーフィンへの挑戦
25:46 から再生する番組の最後には、それぞれの個人的な目標も明かされました。佐俣アンリさんは「英語にフルベットする」と宣言。投資の仕事をしていても意外にも12年ほどベイエリアに行っていなかったことを告白し、ローカルからグローバルへの視野を広げる準備を進めています。
一方、南場さんの野望は意外なものでした。
私、サーフィンを始めたいんですよ。来年の2月に1週間休みを取って、サーフィンの学校に行こうと決めています。スリルが足りないので、波に乗っていきたいんです!
来年1月までびっしりと予定が埋まっているという驚異的な多忙さの中でも、新しい挑戦への「火」は消えていないようです。最後は「みんなでベイエリアで飲もう」という約束で締めくくられました。
というわけで
日本を代表する起業家・経営者である南場智子さんと佐俣奈緒子さんの対談は、単なる技術論を超え、「変化をどう楽しむか」というマインドセットの話に終始しました。「AIにオールイン」という言葉の裏にあるのは、インターネットが世界を変えたあの時の興奮を、もう一度自分たちの手で再現しようとする強い意志でした。ベテランたちがなお「スリル」を求め、自らをアップデートし続ける姿は、あらゆるビジネスパーソンのハートに火をつける内容でした。
- インプットの極意は「起業家の近くに居続けること」と「現地の熱に触れること」
- DeNAの正体は「事業創出プラットフォーム」という会社そのものがプロダクト
- AIは1990年代のインターネット以来の巨大な波。全普及は「間違いなし」の確信
- 成果を出す起業家の条件は「方向性と速度(ベロシティ)」を兼ね備えていること
- 何歳になっても英語やサーフィンなど、新しい「スリル」への挑戦を止めない
