集客とは何か、Peatixが追う「出会い」の仕組み
番組冒頭、二人はいつものように企画を決めてスタート。今回のテーマは、イベントに欠かせない「集客」です。
企画キメてますか?
キメちゃうよ。キメてるよ。
自分がこんな世界をやるといいんじゃないかっていうアート的な部分もあるじゃないですか。でも集客につながるかどうかと、自分がやりたい世界って一致するかどうかもわかんない部分もあって。アフロさんがイベント企画するときって、集客ができるってことをベースに考えるのか、自分が面白いと思ったものを突き詰めていくのか、その辺を聞いていきたいなと思ってですね。
こんにちは。ということで始めていきますが、今回はですね、イベントやるからには必ず出てくるのが集客ですよね。集客をするっていうところとイベントの企画みたいなとこって、どんな風に絡んでいくのかを聞きたいなと。
ちなみに先に聞いちゃうと、Peatixってチケット会社だと思ってる人多いかもしれないですけど、どっちかっていうとプラットフォームですもんね。キーワード的に言うとコミュニティとか集客ってとこもありますよね。
そうですね。我々の一番ユニークな部分って、Peatixを使ってた主催者から見ると「初めて来た人が結構多いな」とか、どれだけイベントとユーザーの皆さんをマッチングできるかみたいなところが強みだと思ってるんで、そこはものすごい追求してるところですよね。
Peatix的には今、集客ってどう考えてますか?イベントの。
世の中にいっぱいイベントあるじゃないですか。アフロさんと話してる時に「この前こんなイベント行ったんだよ」って聞いて「それ知らんかった」みたいなことがあるわけですよ。気づいてたら行ったのに、っていうのは残念な気持ちになる。
今この瞬間で言うと2万5000件ぐらいのイベントが見れる状態になってるんで、ユーザーの皆さんがおそらく興味を持つであろうイベントをちゃんと届ける、気づいてもらう。その精度をどう上げるかを、この15年間ずっと追求してきたところで、最近でいうとAIを使ってマッチングの精度を上げるところをかなり考えてるんです。
これ、精度上がるとめっちゃいいですね。Spotifyとか使い始めると「あなたにおすすめ」の曲出てくるじゃないですか。すごいっすもんね、あの精度。iTunesとか使ってた中でいくと、出会わなかった曲だけど結構精度高く好きみたいなのが来るんで。
「なんでわかるの?」みたいなやつだ。
まさに出会いの場作ってますもんね。そういう感覚ってことですよね。
まさにそうですね。昔でいうと、Peatixって主催者がご自身のイベントの属性をタグという形で振れるんですね。「パーティー」とか「クラブ」とか。そのタグをベースに、東京のマーケティングのイベントに3ヶ月以内に参加した人だったら興味あるよね、っておすすめする感じだったんですよ。
でもAIが進化してくると、イベントページに書かれてる告知文のキーワードを解析する精度がものすごい高くなる。今までタグ5つでマッチングしてたところから、全文の情報を元に「アフロさんこういうのに興味あるんだ」って解析できるんで、精度がより細かく見られるようになる。
とはいえAIを活用するってコストもすごいかかるんで、そのコストがどんどん下がって精度が上がってくるところで交差すると、一気にマッチングの精度が上がるだろうなって。今ちょうど面白いところで、そこを研究しながら精度を高めてる感じですね。
なるほど。じゃあ集客をしたかったらPeatixを使えと。
あ、なんか宣伝みたいになっちゃいました。でもそうですね、集客ができる仕組みがあるのかどうか。Peatixを使わないにしても、それは一つポイントになるんじゃないかなと思いますよね。
集客の本質は「動機」をどこまで考え抜くか
ここからアフロマンスさんが、集客の本質は「動機」だと切り出します。なぜこの人はこのイベントに行くのかを、どこまで考え抜けるかがカギだといいます。
改めて話を聞きながら、集客とは何なのかを考えた時に、いろんなアプローチの仕方はあるんですけど、すごく厳選して言うならば、多分動機だと思うんですよ。なぜこの人はこのイベントに行くのかっていうのをどこまで考え抜くかだと思うんですよね。
意外とイベントやってる人、そこまで考えてない人が多かったりする。逆に言うと、考えられてる人は集客がある程度できると思いますね。
例えば、このアーティストが見たいから、っていうのもあるし。うちのイベントとかでいくと、アーティスト押しもあるんですけど、この空間で見せるわけですよね。絵とか体験とかで。この面白そうな世界に行ってみたいっていうのが動機作り。
泡パだったら泡パの絵、脳汁横丁だったら脳汁横丁の絵が、実際に広告回してても一番引きがあるんですよ。有名な出演者を並べた広告と、絵のパースをやった時に、絵のパースの方が反応がいいというか。
ビジュアル的に。
出演者やクリエイターも動機付けには絶対なってるんですけど、渋谷の街中を歩いてる何百万人の中で、どれくらいの人がファンなのかとか、なかなかどんな人だって限定的なわけですよ。空間とか体験ってところは全員にアプローチできるんで、その中から行きたい人たちが来るという感じ。
もっと緩い感じでいくと、ファミリーが「今週末ないかな」くらいの感じで調べて、「これ行ったら子供も喜びそうだし、半日潰せそうだし」で行くみたいなのもある。イベントや企画によって設計の仕方はいろいろあるんですけど、いずれにしても集客でいくと、その動機をどこで作れているかってことですよね。
「行かない理由」を天秤にかける
アフロマンスさんは、動機と対になる「行かない理由」も考えるべきだといいます。人はこの二つを天秤にかけて、行くかどうかを決めているそうです。
さらに僕が結構考えるところでいくと、その逆もあるんですよ。行かない理由っていうのもあって。行かない理由も考えた方がいい。例えば、遠すぎる。行きたいけど遠い。遠いと行きたいを天秤にかけた時に、遠いが勝ったら行かないわけですよ。
高いとかもあるし、俺は超行きたいけど家族が反対すると思う、とかもある。もうちょっと緩い感じでいくと、行ったらイケてる感じとか、逆に行ったら周りから変な目で見られちゃうとか、対外的なマイナスの要素もあるわけですよ。
多分人がそのイベントに行くか決める時には両天秤にかけるわけですよ。行きたい動機と、行きたくない理由。すごく離れてても行きたさが勝てば、県外からだって遠征して行く。でもいくら近くても動機がなかったら、極端な話、無料で近所でも行かないですよ。
ポイントはね、これが意外と逆でもないってことですね。動機と行かない理由は対照ではないんですよ。行かない理由を解消したら行くかっていうと行かない。これって結構別のベクトルの話ですよね。
行く理由が行かない理由よりも重くなるように考えるってことですね。だから企画の内容によっては「あれ、これまだちょっと行かない理由が勝っちゃう」、この場所だとこれぐらいの企画だとちょっとまだ足りないな、もっと考えよう、みたいになるってことですね。
そうです。
巨大マシュマロと泥のバー、動機の作り方
続いて、動機をどう作るのか。佐賀県有田町のイベントと、青山の泥のバーという二つの実例が語られます。
わかりやすい事例でいくと、僕、佐賀で「アリタ・マシュマロ・クリスマス」っていうイベントを企画してやってるんですけど、佐賀の中でも中心地ではないんですよ。中心地から車で1時間ぐらいかかるかなみたいな。
佐賀県から最初に相談された時に、県内だけじゃなくて県外からも呼びたいと。福岡とか長崎からも有田町に人を呼びたいと。
まさに遠い。
遠い。福岡の人がわざわざ車で1時間半かけて有田に行くのを想像した時に、クリスマスのイベントとは決まってたんですけど、普通に超綺麗なイルミネーションがありますって、行かないですよね。だって福岡にいくらでもあるし。
ってことは、福岡に存在しない魅力的なイベントを作らなきゃいけない。それが絶対条件になってくる。アロタ・マシュマロ・クリスマスっていう巨大なマシュマロを使ったイベントになっていったし、あれくらいやらないと絶対来ないって説明するし。
だから、もうめっちゃイルミネーション数倍にしましょうよとかだと、それだってもうそこでやるやつ見ていいじゃんみたいな。
まさに。ビン�オやりますとか、近隣の人は来るけど、福岡から来た人がやってれば喜んで滞在はするんですけど、それ目当てでは来ないですよね、動機としてね。今回の企画の来場動機って何だろうっていうのはめっちゃ考えるし、それが行かない理由をちゃんと越してるのかも考えますね。
面白いですね。行かない理由って結構あるじゃないですか。自分に置き換えれば、ちょっとめんどくさいなっていうのは割とすぐ思いつくから。自分が普段どう考えてるかをそのままトレースすれば、自分の企画を考える時にいけるってことですよね。
どのタイミングでそのバランスって考えるんですか?企画の骨子を固めて「よし、これでいこう」ってタイミングなのか、常にバランスを考えながら企画を温めていくのか。
両方あって、一番最初に企画を出す時に、面白い体験空間とかがメインになってくるんですけど、「面白いけど、なんか行かないかな」みたいなものは採用しないですね。僕が普通に他人事でSNS流れてきて「いや行くわ」「それは行くわ」って思えるかどうか。
あとは企画によっては5000人じゃ足りなくて1万人は呼んでほしいとか、3万人じゃなくて5万人呼んでほしいとかもあるんで。コアのところだけだと弱いかなと思った時に、参加してくれるアーティストやクリエイターからの発信で、この空間にさらに掛け算されたら倍来るなとか。足りてるかな、超えてるかなっていうのはすごく考えて企画してますね。
苦戦から学ぶ。泥のバーと桜のバーの違い
アフロマンスさんは、過去に苦戦した企画も振り返りながら精度を上げてきたといいます。象徴的なのが、同じ場所でやった泥のバーと桜のバーです。
過去に苦戦した企画を思い返しながら、ですね。わかりやすいのでいくと、「GATA-BAR」。これも佐賀県とやったやつですけど、干潟の泥に入るバーを青山に作ったわけですよ。場所もいいし、インパクトもめちゃめちゃすごいし。
なんだけど、表参道沿いで泥に入るバーで、しかも道路から見えてるわけですよ。多分まあまあハードル高いですよね。参加しない理由が面白さと天秤にかけた時に、結構なハードルだなみたいな。
でもこれが、同じ表参道で次に「SAKURA CILL BAR」をやったわけです。120万枚の花びらに埋もれるバーみたいな。そっちは毎回1時間半の行列みたいになったわけですよ。場所は変わってないし、何かにまみれる体験も変わってないんだけど、泥から花びらになったら、ハードルが下がるわけですよ。
ちなみにGATA-BARの時は、実は集客がKPIじゃなかったので。メディアの取り上げとか話題化みたいな。それは十分達成できたんで良かったんですけど。
まあ成功ではあるけどもってことですね。
仕事としてはOKだったんだけど、僕の感覚はその時「いや、みんな入るでしょ」みたいな。それは世間とちょっとずれてるわけですよ。
だってそんなの見たら絶対声かけて「行こうよ」って行く感じですよね。
そうそう。だからその時は僕と世間のずれですよね。でもそういうのをやりながら、これくらい反応来るかなって思ったら何十倍も来たこともあるし、逆に「俺だったら行けるな」って思ったけど意外と参加しねえんだ、みたいなこともある。あとは声も聞くかもしれないですよね。「行きたいんだけど、こういう理由でハードル高いかな」とか。そういうところで精度を上げていく感じですね。
精度上げるでいうと、自分が主催じゃないイベントにも参加するじゃないですか。行った時に「こういうバランスで考えてるのかな」とか、他の人のイベントから集客のポイントを学ぶみたいなことってやられます?
企画者がどう考えてるかはわかんないけど、「こういう企画に世の中こういう反応するんだな」「このイベントでこんな人来るんだ」って。めっちゃいいと思ったら意外と人少なくて「これニッチなんだ」「俺そのニッチな層だったんだ」みたいなこともあるし。それを繰り返してた結果、最近はそんなにずれないですね。
当たり前にやってることは、「なんでこのイベントにこの人たちこんな来てんのかな」はありますよ。見る限り演者のファンばっかだ、振りとかみんな知ってるしみたいな。これはこの演者のファンで埋まってんだなとか。逆にバラバラな人が来て、遊び方あんまりわかってない感じだと、単純にこの企画に惹かれて来てるんだなとか。
この企画は何が面白いんだろうなって分析はするんで、そこまでブレイクダウンして考えると参考になりますね。
結構ね、もったいない企画も結構ある。典型的なのでいくと、チケット500円とか。500円取って意味あんの?みたいな。入場無料とかって、ふらっと行ってみたいなとかあるじゃないですか。
500円って、100人来ても5万円でしょ?それによってお客さんが10分の1になっちゃうかもしれない。それよりはフリーにして、まず人を集めてファンにして、もっとちゃんと2000円でも3000円でも払ってもらえるイベントに連れていく方がいいんじゃないかとか。動機と行かない理由をしっかり考えたら、同じ内容でももっと人はいられるのになとか思いますよね。
あえて集客しない。リピーターが人を呼ぶコミュニティ
一転して藤田さんが、自身が4年続けている「あえて集客しないイベント」を紹介します。集客の話をしてきた流れで、その逆の設計が語られます。
ずっと集客の話してるじゃないですか。で、僕自分でもイベントやってるんですけど、Peatixは集客のプラットフォームだって話もした中で言うと、全く集客をしないイベントやってるんですよ。もう4年ぐらい、月に2回、渋谷でコミュニティ作るのやってるんですけど、一切集客しないですね。
月に2回この場所でやってますってことだけ言って、告知もしないんですよ。どういうルールかっていうと、参加してくれた人が「このコミュニティいいかも」って思った友達を連れてくるっていう仕組みで設計したんですよ。初期の頃は誰もいない日とかもあって、主催は5人でやってるんで、5人で飲めばいっかみたいな。
ずっと集客はしません、皆さんで作っていく空間ですってことを徹底してやり続けたら、一定もう毎回人が集まるようになってくる。面白い人が増えるみたいなところが実はあって。集客しちゃうからPeatixも使ってないんですけど。商業的ではないんですけど、そういう考え方も一個あるなっていうのは。
なるほど。まあだから、それは集客しないっていうか、分解すると、多分リピーターがいるってことですよね。リピーターが誰かを誘って来たいイベントになっているってことだと思うんですよ。
さっきの動機付けでいくと、ゼロイチのところからの話なんで、その先には、毎月なのか毎年なのかやってた時に、去年来た人がまた来たくなるようなイベントにできているかみたいな。でもそれって告知じゃなくて来た後の話ですよね。本当に「これはまた行きたい」って思えるものができたかっていう観点が一つ。
あとは、このコミュニティってでかければでかいほどいいってわけでもないじゃないですか。いたずらに増やしたくないなみたいな。Burning Japanの話ですけど、この熱量を保ったまま、ある程度これくらいがいいみたいな方針でいった時に、結論が集客しないっていう結論なんで。聞いてる人が勘違いしない方がいいのは、集客しないぞってやったらそうなるってことではなくて。
ではないですね。
来た人がまた人を誘って来たくなる、かつ主催側がそんなにでかくもしたくない、っていう掛け算によって生まれてる話だと思うんで。
整理していただいてありがとうございます。
集客をかけてないだけで、人が集まったら盛り上がるんで、我々としては嬉しいわけですよ、運営としては。で、アフロさんが最初に言ってたその天秤、来たい動機と行かない理由みたいなところをもう少し考えていくと、さらにいろいろ深まっていくんだろうなっていう。
そうだと思います。だから今日のメッセージとしては、やっぱ動機。なんでその誰々はあなたのイベントに来るんだっけ?っていうのをちゃんと考える。かつ、行かない理由を潰すのか、それを超えるような動機をちゃんと考えなきゃいけないっていうことです。
ちょっと学びがある回だったじゃないですか、今回。
綺麗なまとまり方しましたね。集客っていうのは非常に大きいテーマなんで、また違った角度でも話していければとは思いますけども。
じゃあ今日は、イベントの集客みたいな話でした。企画の摂取、ご注意ください。ありがとうございました。
まとめ
今回は、イベント集客の本質について語られました。カギになるのは小手先のテクニックではなく、「なぜこの人はこのイベントに行くのか」という動機を考え抜くことです。さらに、遠い・高い・家族の反対といった「行かない理由」を天秤にかけ、それを超える動機を作れているかが問われます。巨大マシュマロや桜のバーの事例、そしてあえて集客しないコミュニティ設計まで、二人の具体的な経験から集客の考え方が立体的に見えてきました。
- 集客の本質は、動機をどこまで考え抜けるかにある
- 人は「行きたい動機」と「行かない理由」を両天秤にかけて参加を決める
- 動機と行かない理由は別ベクトルで、理由を消すだけでは人は動かない
- 同じ体験でも、泥から桜へ変えるだけで参加のハードルは大きく下がる
- あえて集客しない設計は、また誘いたくなる良質な体験があってこそ成立する
