速報回と深掘り回、週2配信はどう分かれる?
「おちつきAIラジオ」は、AIエンジニアのしぶちょーさんと、AI素人を名乗るかねりんさんの対談番組です。この回は、最新のAIトレンドを短く紹介する「速報回」で、収録日は2025年10月7日です。
しぶちょーさんは冒頭で、今後の番組の立て付けを説明しています。前回のエピソード4も速報回だったため、番組が速報中心に変わったと誤解されないように、という配慮からの説明です。
週末金曜日にそういう深い解説回を出しますんで、落ち着きAIラジオはその2本立て、週2でやっていきますんで、よろしくお願いします。
しぶちょーさんによると、火曜日にはその週のAIトレンドをかいつまんで紹介する速報回を、金曜日にはこれまでのNanoBanana解説のような深掘り回を配信します。今回の速報回は、火曜日に収録してそのまま火曜日に出すという即時性の高さです。
深掘り回が肝ということでね。(中略)速報はおまけ。
その週のAIトレンドをかいつまんでライトに紹介する。収録してすぐ配信する
1つのテーマを技術面まで掘り下げて解説する。番組の本質的なパート
Sora2はなぜ「挽回」と言われるのか
最初のトピックは、OpenAIの動画・音声生成モデルSora2です。しぶちょーさんによると、9月30日にSora2がリリースされ、同時にソーシャルアプリのSora Appも発表されました。
かねりんさんは、収録時点でリリースからちょうど1週間であることに触れ、実際に触ってから取り上げるのが番組として適切だと話しています。Sora2は招待制で広がり、ようやく多くの人に行き渡りつつある段階です。
日本から使えるかどうかについては、しぶちょーさんも確信がない様子でした。かねりんさんはVPNを使っていたため判断がつかないとしつつ、ブラウザ版は重く、スマホアプリはサクサク動いたと話しています。
みんなを騒がせてるのはやっぱクオリティだよね。Sora2の動画生成のクオリティ。
しぶちょーさんは、Sora2の動画生成のクオリティは他の追随を許さないほどで、今ダントツだと評価します。GoogleのVeo3 ── Googleが開発した動画生成モデル。映像と音声を同時に生成できる点が特徴として知られていますも音声と動画を同時に生成できる強いモデルですが、Sora2はそれをしのぐ勢いだといいます。
しぶちょーさんによると、もともとSoraはあまり期待されていませんでした。2024年2月に研究ベースの初代Soraのサンプルが公開されて期待が高まったものの、実際に使えるサービスではありませんでした。
その後、2024年の6〜7月ごろにLuma AI ── 動画生成サービス「Dream Machine」を提供するアメリカの企業。誰でも使える形で公開し、動画生成ブームのきっかけの一つになりましたのDream Machineが一般に使えるようになり、動画生成がバズります。満を持して2024年12月にSoraが公開されたものの、期待外れだと受け止められました。
まあまあまあすごいけど、まあもうそれよりすごいのいっぱいあるしなみたいな。
しぶちょーさんは、がっかりされていたSoraが、今回のSora2で「これはやばい」と言われるところまで挽回してきたと整理しています。
破綻しない動画と、サム・アルトマンだらけのタイムライン
かねりんさんは、Sora2には機能が多く、「クオリティ」と言われてもどこに驚けばいいのかわからないと率直に尋ねます。しぶちょーさんの答えは、プロンプトに対して破綻なく動画を作れる点です。
僕なんてもう動画生成って言ったらさ、あのスパゲッティを食べてる誰だっけ、あの俳優。(中略)ウィル・スミスがスパゲッティ食べてるさ。
しぶちょーさんにとって、動画生成の原体験は、ウィル・スミスがスパゲッティを食べる不自然な動画でした。急にわけのわからないものが出てくる非現実的な感じが楽しかった一方で、Sora2の動画は「ほぼ破綻しない」といいます。
かねりんさんは、何も知らない人から見ればSora2は「サム・アルトマンを量産するアプリ」に見えるかもしれない、と冗談交じりに話します。Sora Appのタイムラインには、OpenAIのCEOであるサム・アルトマンさんの動画があふれているためです。
いやもうサム・アルトマン一生分見たよね。
しぶちょーさんは、これだけフェイク動画が上がっていると、サム・アルトマンさんが何をしていても誰も驚かず、本物の映像でも信じてもらえないだろうと話します。来日中のサム・アルトマンさんと草野絵美さんのツーショットが、生成AIの画像だと疑われていたという話題も出ました。
著作権を無視した生成と、日本のIPが狙われる理由
Sora2は話題になる一方で、著作権の扱いが問題になっています。しぶちょーさんは、Sora2の特徴の一つを「著作権ガン無視の生成」と表現し、かねりんさんもピカチュウやドラゴンボール、マリオが大量に出ていると応じます。
しぶちょーさんによると、収録の前日か当日に、権利者に関するルールが変わりました。もともとはオプトアウト ── 本人が除外を申し出ない限り、利用を認めたものとして扱う方式。事前に同意を得る「オプトイン」と対になる考え方です方式で、権利者が除外申請をしない限り作品が扱われてしまう仕組みでした。
新しいルールでは、権利者がかなり細かく利用をコントロールできるようになったといいます。かねりんさんは、使われた分を権利者にキックバックするようなオプションが計画されている、という記事も見たと話しています。
オプトアウト方式。権利者が除外申請をしない限り、作品が扱われてしまう
権利者が利用をかなり細かくコントロールできる形に変わった
なんかさ、こういう時にさ、日本のIP使われすぎじゃね問題あるよね。
かねりんさんが「日本は舐められているのでは」と投げかけると、しぶちょーさんはそれもあるとしたうえで、別の見方を紹介します。日本は生成AIサービスに寛容で、導入のターゲット市場になっているという話です。
海外とかって生成AI自体が人の仕事を奪うと、人の権利を奪ってしまうということで、すごい国ぐるみで反発して強い規制がかかったりとか。
しぶちょーさんの説明では、海外ではデモやストライキが起きて生成AIを社会に入れにくい一方、日本にはそうした文化がないため、新しいAIサービスが広がりやすいといいます。これはAI時代の日本の武器になるという見方もあるそうです。
ただし、しぶちょーさんはこの話を「偉い人が言っていたことの聞きかじり」と断っています。海外で開発されたものが日本で使われ、少しずつ吸い取られているような感じもする、とも話しています。
権利元は怒っている?「訴えられる前提」という見方
孫悟空やルフィのような日本のアニメキャラクターがSora2で大量に使われている状況について、かねりんさんは権利元がどう受け止めているのかを尋ねます。しぶちょーさんは「嬉しくないでしょ」と即答しました。
もう裁判をするつもりだと思うけど、その裁判を見越してるんじゃないかっていうふうにも言われてる。
しぶちょーさんによると、そもそも訴えられることを前提にした予算組みになっているという見方があります。さらに、権利を侵害しているのは生成して投稿した人だという考え方から、小さな共犯者を大量に作るためにあえてSNSプラットフォームにしたのでは、という説もあるそうです。
しぶちょーさん自身は、この説を「陰謀論ぐらいの信憑性のなさ」と位置づけています。最初は話題作りを優先して、後から謝って調整するという流れは、どこのAI企業にもあると話しています。
かねりんさんが、賠償金を払えば商売として成り立つのではと尋ねると、しぶちょーさんは否定します。ブランド価値の毀損や、そこから派生するフェイク動画の広がりは果てしなく、賠償金額には含められないだろうという理由です。
毀損するっしょ。あんなカオスな、なんかスマッシュブラザーズじゃないけどさ。あんなごちゃ混ぜにされたら。
かねりんさんは、AIサービスが出るたびに日本のIPが世界に発信されるのは「愛されている」とも捉えられるのでは、と別の視点も出しています。しぶちょーさんも、その捉え方はあるかもしれないと認めました。
一方で、Sora2ではスター・ウォーズやディズニー作品のような海外のIPは弾かれ、ジブリやポケモンは開いていると二人は話します。かねりんさんはこれを「悪意しかない」と表現し、しぶちょーさんも日本は舐められていると思う、と同意しています。
確かにね、ミッキーと悟空は戦わないもんね。
しぶちょーさんは、既存の法整備では追いつかず、新しいルールを作るしかないのではと話します。そのうえで、法律の専門家ではないと断りつつ、一ユーザーとしてはみんなが楽しんでいる側面もあると述べています。
かねりんさんは、悟空を登場させるのはダメでも、ドラゴンボールの一場面を模倣して自分とサム・アルトマンさんが戦う動画はどうなのか、と線引きの難しさを挙げます。しぶちょーさんは、キャラクターでなければいいのではと答えつつ、「カメハメ波」と叫ぶ場合は判断が難しいと話しました。
本物と区別できないフェイクと、消せるウォーターマーク
しぶちょーさんは、自分もアニメをデフォルメした画像を時々投稿しているため、他人事ではないと認めています。そのうえで、アニメを作っている分にはまだいいとしつつ、現実との境がわからないフェイクには強い懸念を示しました。
なんか現実との境がわからないようなフェイクを作り出されると、だいぶ社会問題にはなってくると思う。
かねりんさんが総裁選のフェイク動画について尋ねると、しぶちょーさんは、政治関係はすぐ訴えられるので多くは出ていないのではと推測します。ただし、平気でやられてしまうだろうとも話しています。
実際の例としてしぶちょーさんが挙げたのが、赤ちゃんと猫の動画を投稿するインスタグラムのようなアカウントです。本物の動画だと信じられてバズったものの、すべてSora2で生成された動画だったといいます。
Sora2の動画には「Soraで作りました」というウォーターマークが入ります。しぶちょーさんによると、Sora上では消せないものの、ウォーターマークを消すツールを使えば簡単に消せてしまうそうです。
生成
Sora2で赤ちゃんと猫の動画を作る
加工
別のツールでウォーターマークを消す
投稿
本物の動画として大量に投稿する
拡散
多くの人が本物と信じ、アカウントが伸びる
発覚
生成AI動画だとわかり、問題の代表例として扱われる
かねりんさんは、自分の顔を変えるAIを使う配信者は今もいるとして、それ自体が悪いとは思わないとも話しています。しぶちょーさんは、今後もいろいろな手法でこうした事例が出てくるだろうと見ています。
リアルすぎて「切れない」?Sora2と物理法則
しぶちょーさんが面白いと感じたのは、SNSで見かけたSora2の弱点です。GoogleのVeo3では、ガラスのようなイチゴなど、不思議なものを切るASMR ── 聴覚や視覚への刺激で心地よさを感じる体験のこと。動画では切る音や触る音を強調したコンテンツが人気です動画が流行っていました。
あれすごいコンテンツとして面白いんだけど、SORAだとあれ(ガラスを切る動画)できない。
あの、ちゃんと刃が立たないの。
しぶちょーさんによると、Sora2ではリアルすぎて刃がカンカンと弾かれてしまうといいます。プロンプト次第かもしれないとしつつ、クオリティが高い分、非現実的な描写はデフォルトでは出にくいのかもしれないと話しています。
かねりんさんが「物理法則を学んでいる」という話と関係があるのかを尋ねると、しぶちょーさんは、破綻しないとはそういうことだろうと応じます。非現実的なことも書けば作れる一方で、Sora2は現実を知りすぎている側面があるのかもしれない、という見立てです。
30本作って見えた遊び方と、プロンプトのコツ
かねりんさんは、前日の夜からSora2で30個ほど動画を作ったそうです。同時に回せるのは3つまでで、自分の顔をカメオ ── Sora Appで自分の顔や声を登録し、生成動画に本人として登場させる機能ですに登録し、サム・アルトマンさんと剣道をしたり、お茶をかけ合って喧嘩したりする動画を作りました。
しぶちょーさんは、トレードマークのアフロでカメオを登録したいものの、手元に画像しかないため、まだ試していないと話します。
みんな触ったほうがいいのかという問いに、しぶちょーさんは「一回は触った方がいい」と答えます。招待コードはすぐに取られてしまうため、落ち着いたら一般公開されるのではと見ています。
あのアプリ自体は生成AIの画像で生成した動画しかないTikTokって感じだよね。
かねりんさんも「TikTokより面白い」と話し、しぶちょーさんは新時代のSNSだと評価します。そのうえで、動画生成は本当にセンスによる、とも付け加えています。
プロンプトについて、しぶちょーさんは英語がよく、なるべく細かく書くのがよいと勧めています。具体的には次のような工夫を挙げています。
しぶちょーさんによると、入れた分だけしっかり反映される一方で、さらっと書いてもちゃんとした動画は出るそうです。参考プロンプトの情報もすでに多く出回っています。
かねりんさんは、権利侵害の動画生成に膨大な計算量を使うなら制限がかかりそうだと懸念します。しぶちょーさんによると、現状でも1日30本程度の制限があり、24時間たつと回復する仕組みだといいます。
Grokの「スパイシー」モードという倫理観の問題
しぶちょーさんは、Sora2はまだ良心的なほうで、xAIのGrokのほうが倫理観がないと話します。Grokでも動画を作ることができ、なぜか性的な動画を作れる機能が追加されたそうです。
なんかスパイシー動画っていうのがあって、なんかスパイシーっていうのを選択すると、なんか脱ぐのよ。
しぶちょーさんによると、映っているのが人間なら、とりあえず上半身を脱ぐという謎のモードです。しぶちょーさんは実際にイーロン・マスクさんの画像で試し、その内容をnote記事にまとめています。
しぶちょーさんの説明では、自分でアップロードした写真の人物は脱がせられませんが、Grokで生成した人物なら脱がせられます。イーロン・マスクさんのような有名人は名前で生成できてしまうため、しぶちょーさんは「ガバガバ」と表現しています。
さすがイーロンっていうところですね。
AIブラウザCometは普通のブラウザと何が違う?
2つ目のトピックは、PerplexityのAIブラウザ ── AIエージェントを中心に据えたウェブブラウザ。検索や閲覧、複数ページの整理などをAIが代わりに進めることを前提に作られています「Comet」が全ユーザーに公開されたというニュースです。かねりんさんは、Cometを初めて聞いたと話しています。
かねりんさんは当初、AIブラウザを「普通のブラウザにAIが接続されているだけ」だと考えていました。しぶちょーさんは、近いものの違うと答え、ブラウザにAIエージェントとしてAIが入っていると説明します。
言葉をパパッて入れたら、AIが勝手に検索して、その結果とその概要についてまとめたものが出てくると。
しぶちょーさんによると、ChatGPTではリンクを開くとGoogle Chromeのタブに移りますが、Cometではタブを含めてすべてPerplexityの機能の中で処理できるそうです。真正面にAIエージェントがいて、動きながら検索してくれる次世代ブラウザだといいます。
既存のGoogle ChromeやFirefox、Edgeは、ウェブのブラウジングを前提とした作りで、今から根本的には変えにくいとしぶちょーさんは話します。AIブラウザは、従来の検索という概念を捨てて、AIを使うために作られたブラウザです。
検索ボックスに文字を入れ、検索結果から自分でページを開く。ウェブのブラウジングが前提の作り
真正面にAIエージェントがいて、検索や結果のまとめを進める。AIを使うために作られている
Cometは、これまでは有料プランなど一部のユーザーに限定されていたものが、全ユーザーに公開されたという位置づけです。しぶちょーさんは、ウェブの検索体験を根本的に変える可能性がある技術として注目しています。
パスワードを預けるのは怖い、AIブラウザ戦線の今
しぶちょーさんはCometを実際に触ってみて、「悪くはないが」と含みを持たせます。気になったのは、ブラウザにパスワードやクレジットカード情報を預けることです。
やっぱブラウザってさ、ちょっとさ、あのパスワードとかさ、クレジット情報とか預けるじゃない。(中略)ちょっと怖いよね。
Cometは導入時に、Google Chromeからパスワードや履歴、ブックマークを取り込むかを聞いてきます。取り込めばChromeをそのまま移植したように使えますが、しぶちょーさんはその情報を与えてよいのか不安で、取り込まずに使っているそうです。
しぶちょーさんによると、AIブラウザはCometのほかにもいくつも出ています。今年に入ってから「AIブラウザ戦線」がにぎやかになっているとして、次のようなものを挙げています。
- Genspark(ジェンスパーク)のAIブラウザ
- 開発終了したArcの会社が作ったAIブラウザ「Dia」
- OperaのAIエージェント搭載版「Opera Neon」
Arc ── The Browser Companyが開発したブラウザ。独特の画面設計で人気を集めましたが、開発元が新しいブラウザ「Dia」に注力するため開発を終了しましたは、かつてAIサービスとの親和性が高くて使いやすく、覇権を取るのではとまで言われていたブラウザです。しぶちょーさんは、「まだGoogle Chrome使ってんの?」とドヤれたと振り返ります。
しぶちょーさんによると、Arcの開発終了の理由は、本格的なAIエージェントブラウザに作り替えるためだったようです。その結果として出てきたのがDiaだといいます。
ブラウザってやっぱインフラだからさ、そう気軽に変えれるもんじゃないっていう。
みんな使ったほうがいいのかという問いに、しぶちょーさんは慎重です。学習コストが高く、情報流出のリスクもあるため、既存のブラウザと並行して入れ、情報は守りながら触ってみるのがよいと勧めています。
しぶちょーさん自身は、数ヶ月後に情報流出が起きているかもしれないとして、Google ChromeかEdgeしか信じられないと話します。まずはAIブラウザという概念があることを知っておくのがよい、という着地です。
ハイプサイクル2025、幻滅期のWeb3とピークのAIエージェント
3つ目のトピックは、Gartnerが発表した2025年の日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクルです。かねりんさんは、黎明期から幻滅期に落ちていくあのグラフだと応じ、多くの人が見たことがあるはずだと話します。
しぶちょーさんによると、ハイプ・サイクル ── 新技術への期待が、黎明期、過度な期待のピーク期、幻滅期、啓発期、生産性の安定期へと移る様子を示したGartnerの図ですは、アメリカの調査機関Gartnerが毎年出しているものです。今どの技術に期待が集まり、何がこれから落ちていくのかが大まかに見えるといいます。
かねりんさんが信頼してよいのかを尋ねると、しぶちょーさんは「割といいと思う」と答えています。そのうえで、グラフ上の技術の位置を具体的に読み解いていきます。
| 技術 | グラフ上の位置 | 二人の受け止め |
|---|---|---|
| メタバース、Web3 | 幻滅期の底あたり | 体感に合っている。ここから定着していくゾーンへ |
| AIエージェント | 期待のピーク | ここから落ちていくのではと言われている |
| 生成AI | 幻滅期に入りつつある | AIエージェントと粒度が揃っておらず微妙 |
| 汎用人工知能 | 期待が上がってきている途中 | AIが目指す到達点 |
| AIファクトリー、インダストリーAI | 黎明期の入り口 | ものづくりでは生成AIがまだ使われていない |
かねりんさんは、生成AIがこれから落ちていく一方という見方には違和感を示します。しぶちょーさんは、グラフの後ろにはAI関連の技術がいくつも控えていると話しています。
これ違いがわからん。AIエージェントとエージェント型AIの違いがわからんと。
汎用人工知能は「猫型ロボット」?グラフの見方と使い方
しぶちょーさんは、グラフの右側にある汎用人工知能を、AIが目指す到達点だと説明します。かねりんさんが「猫型ロボットってこと?」と尋ねると、しぶちょーさんは「猫型ロボットのこと」と答えました。
しぶちょーさんによると、AIにはもともと弱いAI ── 画像生成だけ、翻訳だけなど、限定されたタスクだけをこなすAIのこと。汎用的に何でもこなす「強いAI」と対比されますと強いAIという区別があります。今のAIはできることは増えているものの、タスクがある程度限定されています。
エージェントがもうちょっといろいろ(中略)できるように道具を使いこなせるようになったら、もう本当にドラえもんみたいなやつらが出てくるんじゃねえかと。
かねりんさんは、グラフの頂点は完成を意味するのではなく、過度な期待を表していることを確認します。しぶちょーさんは、AIエージェントが「世界を変える」と言われている今の状況がまさにそうだと話します。
グラフの下の方にあるインダストリーAIやAIファクトリーについて、しぶちょーさんは産業での活用だと説明します。生成AIの判断で物を作ったり、工場の中に生成AIを実装したりする領域で、今は浅いところでしか使えていないものの、いずれ来るだろうと見ています。
かねりんさんは、グラフの山の左側にある技術をキャッチアップしておけば驚かなくて済むのでは、と使い方を整理します。しぶちょーさんも、AI以外に月のデータセンターのような技術もあるとして、どういう技術なのかを見ておくとよいと話しています。
次だからドラえもんできたとかになった時に、このグラフを思い浮かべると、ちょっと冷静になれるのかな。
一回落ちるぞっていうのがね、やっぱテクノロジーのサイクルとして絶対あるから。
ただし、しぶちょーさんは、すべての技術がこの形をたどるとは限らないとも補足しています。2024年版と比べても、技術がそのまま進んでいるわけではなく、消えた技術もたくさんあるそうです。
しぶちょーさんは、どこまで信頼するかは置いておくとしつつ、ハイプサイクルは参考になると話します。解説や考察をしている人も多いため、そうした人の視点を見ながら視野を広げるのがよい、という勧めです。
旋盤ゲームで試したClaude Sonnet 4.5の実力
最後の話題は、前回の速報回で紹介したAnthropicのClaude Sonnet 4.5です。しぶちょーさんは実際に使ってみて、「驚いてOKのやつだった」と評価しています。
しぶちょーさんには、新しいAIが出たときに必ず試すことがあります。動画生成なら工作機械が人型ロボットに変形する動画を作り、コーディング系のAIなら工作機械のゲームを作らせるそうです。
旋盤のゲームを作ってって言って、どこまでゲームとして成り立つものができるのかなっていうので、いつも個人的にベンチマークとして使ってるんだけど。
旋盤 ── 材料を回転させながら刃物を当てて、金属などを削る工作機械。円筒形の部品の加工に使われますのゲームは世の中にほぼ存在しないため、既存のゲームを真似するだけでは作れません。シューティングゲームやブロック崩しなら必ず作れる、というのがしぶちょーさんの考えです。
Claude Sonnet 3.7では作れなかった
Claude Sonnet 4.5では、細かい調整はしたものの、ほぼ一発で動くゲームができた
しぶちょーさんは、コーディングAIをいろいろ触ってきたなかで初めての体験だったと話します。旋盤を理解し、物を削ることを理解し、ゲームとして成り立たせている点に驚いたといいます。
かねりんさんが、どこがすごいのかを尋ねると、しぶちょーさんはゼロから企画を作れる点を挙げます。目標ラインを勝手に引き、そのラインに近く削れたら得点が高いという設計まで、Claude Sonnet 4.5が考えてくれたそうです。
俺のこのマニアックな要望に本当に応えられるか、お前はっつって。
しぶちょーさんは、自分のベンチマークが正しいかはわからない「直感ベンチマーク」だと認めています。Sora2もClaude Sonnet 4.5もかなり応えられるようになったため、ベンチマークの難易度を上げる必要があると話しています。旋盤ゲームは概要欄のリンクから遊べます。
素人のバイブコーディングは1000行と毎日5時間
かねりんさんは、Claudeに課金したと報告します。ポッドキャストが配信されたら、各プラットフォームのリンクを自動で取得してDiscordに投稿するプログラムを作ろうとしていたそうです。
GPTで始めたんだけど、レスポンス遅いし、なんかもう、これ何バージョンめっちゃもう20とか上がってんだけど、全然完成しないじゃんってなって。
そこで、しぶちょーさんがClaudeのコーディングを評価していたことを思い出し、Claudeに引き継いだところ、レスポンスが速く次々にコードが出てきたそうです。ところが途中で無料枠が終わり、かねりんさんは泣く泣く課金しました。
その後もエラーを伝えては修正するやり取りを繰り返し、一応形にはなったといいます。しぶちょーさんは、これをまさにバイブコーディング ── 細かい仕様を自分で書かず、AIと対話しながら雰囲気でプログラムを作っていく開発スタイルのことですだと表現しました。
かねりんさんは、エラーになりそうなパターンを考えるとコードが1000行ほどになり、想像以上に難しかったと話します。Claudeは会話が長くなると早めに打ち切られ、次に引き継ぐのが大変だったとも振り返っています。
もう何がバイブコーディングだよってさ。もうここ一週間ずっとそんなんばっかやってたもん。毎日5時間ぐらい。
しぶちょーさんは、1000行程度なら普通だとしたうえで、最初に大まかな流れを書かせてからコーディングさせるなど、プロンプトのコツで効率はかなり上がると助言します。それでもClaude Sonnet 4.5のコーディングの威力はすごく、以前ならもっとやり取りが必要だったはずだと話しています。
かねりんさんは、一撃で完璧なものが出てきてほしいと期待を語ります。しぶちょーさんは、Claudeはまだ4.5なので5も来るだろうし、Geminiもバージョンアップを控えていると見ています。
全部追わないと遅れる?AIの情報FOMOとの付き合い方
かねりんさんが、2年ほど前と比べて実用的なものが次々に出てくるので落ち着かないと話すと、しぶちょーさんは、追いすぎないことを勧めます。
追ってないと世間から置いてかれてるんじゃないかっていう良くない、その、ね、落ち着かなさが出てきちゃうから。やっぱある程度はもう割り切るしかないと思うよ。
かねりんさんは、しぶちょーさんから流れてくる情報だけに絞ると宣言し、しぶちょーさんも「それでいい」と応じます。しぶちょーさんは、全部キャッチアップしないと遅れると思い込んでいる人を「一番救ってあげたい」と話しています。
かねりんさんは、Web3や仮想通貨の世界にいた経験から、この感覚がよくわかるといいます。仮想通貨の世界ではFOMO ── Fear of Missing Outの略で、取り残されることへの不安のこと。投資の世界では、儲けを逃す恐怖から焦って行動する心理を指しますと呼ばれ、寝ている間に爆益案件を逃すのが怖くて眠れない人が続出していたそうです。
かねりんさんによると、草コインと呼ばれる銘柄が一瞬で何十倍、何百倍になり、次の瞬間には0円になることもあります。ただ、お金が絡む仮想通貨ならわかるものの、お金が絡まないAIでも情報でFOMOになる人がいることが意外だと話します。
AIってさ、ちょっと魔法的な感じあるじゃん。その今までできなかったことができるみたいな。
しぶちょーさんは、魔法的なAIに乗り遅れるとチャンスを逃すという感覚があるのではと分析します。さらに、情報量が多すぎてSNSで情報を集める人が多く、情報に出会えるかどうかが運に左右されるため、SNSにかじりついてしまうのだろうと話しています。
そういう人たちを落ち着かせるというのがこの番組の趣旨でございますからね。
表層の速報回と深層の深掘り回、番組が目指すもの
締めくくりに、二人は速報回と深掘り回の役割を改めて整理します。速報回は「今このくらい追っておけばいい」というライトな回で、深掘り回は技術や本当の面白さを掘り下げる回です。
この表層と深層みたいな感じなんだよね。
かねりんさんによると、深掘り回だけでは、表層のトレンドがギラギラしていてリスナーがソワソワしてしまうかもしれません。そのため、トレンドも追える速報回を始めたという経緯です。
番組は思いつきで始まり、2週目からいきなり週2配信になったため、Xでは「全然落ち着いてねえじゃん」といじられたそうです。二人はそうした投稿に感謝し、ハッシュタグ「#おちつきAI」で感想や質問、取り上げてほしいテーマを募集しています。
しぶちょーさんは、速報回はほぼ原稿を作らずトピックだけ用意して話す軽い回だと説明します。それでも今回は1時間話したことに、二人で「何がさらっとなんだろう」と笑い合って番組は終わります。
まとめ
今回の速報回では、Sora2の圧倒的なクオリティと、その裏にある著作権やフェイクの問題を中心に、AIブラウザ、ハイプサイクル、Claude Sonnet 4.5までが語られました。しぶちょーさんは、驚くべき点を認めつつ、リスクや過熱を冷静に見る視点を繰り返し示しています。
- Sora2は破綻しない動画でSoraの評価を挽回したが、日本のIPの扱いや本物と区別できないフェイクが課題になっている
- AIブラウザCometは検索体験を変える可能性がある一方、パスワードなどの情報を預けるリスクから、並行して試すのが無難とされた
- ハイプサイクルでは期待のピークの後に「一回落ちる」と知っておくと、新技術のニュースにも冷静でいられる
- Claude Sonnet 4.5は、世の中にほぼない旋盤ゲームを一言からほぼ一発で作れるほどコーディング能力が高い
- AIの情報をすべて追う必要はなく、ある程度割り切ることが落ち着いて付き合うコツとされた





