文字起こしに意味はあるのか
西野さんは、いつもボイシで喋った内容を文字起こしして、Facebookやnoteで読めるようにしています。
その意味は決してゼロではない、と話します。
耳が不自由な方に発信を届けられますし、テキストの方が速く情報を仕入れられる人もいるからです。
音を聞くよりも、動画を見るよりも、読む方が早いんですよ。どう考えたって、慣れてる人は。だからテキストの方が助かりますっていう方が、一定数いるのはわかってるんです。
ただ一方で、文字起こしをすると切り抜かれてニュースになってしまう可能性があると指摘します。
そこで対比として出てくるのがラジオです。ラジオはニュースになりにくいため、込み入った話ができる、と西野さんは考えています。
ラジオってやっぱりね、ニュースになりにくいんですよ。それが面白いなと思ってて。だからちょっと込み入った話できるんですよね。
トークイベントで録音・録画を禁止するのも同じ理由だと言います。
出回る前提だと、裏の話や「ここだけの話」ができなくなり、その空間を面白くできないからです。
記事にできない話をラジオで
西野さんはここで、あえて込み入った話に踏み込みます。
熊本で地震があり、イオンモールで爆発があった件です。
調べるほど胸が痛い、と話します。イオンモール熊本は、災害時に防災拠点として町と協定を結んでいた施設だったからです。
避難先として頼りにされるはずだった場所で事故が起きたことに、西野さんは肯定も否定もできない複雑な思いを語ります。
僕は別に今肯定も否定もしていなくて、いや、胸痛いなっていうだけなんですよ。防災モールとして、ここは震災があった時、ここで拠点にしましょうねっていう約束をしてて、そこでそういうことが起きてしまうと、どうすればよかったんだろうなっていうのはあるなと思って。
そしてこの話こそ、テキストなら燃えてしまう、と西野さんは言います。
ラジオなら、この時間を長く語れば語るほど、文字起こしや切り抜きをする人はいなくなる、というわけです。
売上ではなく現金が尽きて会社は潰れる
二つ目のテーマは、事業の寿命を延ばす話です。
西野さんが運営のバトンを預かっている、河口湖の音楽と森の美術館に関する現状報告です。
チムニータウンが最初の二、三ヶ月でやったのは、お金周りの見直しでした。
ポイントは、売上を伸ばすことではなく、利益を増やすことに絞った点です。
多くの人は赤字を見ると「もっと売らなきゃ」と考えます。しかし売上は景気や競合、天候など、自社ではコントロールできない要素に左右されます。
一方で支出の見直しは、今日この瞬間から始められる、と西野さんは言います。
環境や景気、競合に左右され、投資も時間もかかる。空振りのリスクがある
今日から始められ、翌日には利益が改善することも珍しくない
そして西野さんが最も強調するのが、会社が潰れる本当の理由です。
売上を伸ばそうとすれば、広告費や人件費、仕入れがかかり、大空振りが待っている可能性があります。
事業再生の局面では、その体力が残されていないことも少なくありません。
だからまずやるべきは止血だ、と西野さんは例えます。
船底に穴が開いてる船で、必死にオールを漕いでも意味ないわけですから、先にやるべきは穴を塞いで浸水を止めるっていうことですよね。
支出を抑えることは節約ではなく、企業の寿命を延ばす行為だと位置づけます。
利益を作れれば時間ができ、チャレンジする余裕が生まれるからです。
レジを三つから一つにしても売上は変わらなかった
具体例として挙げられたのが、グッズ売り場のレジです。
美術館のグッズ売り場には、レジが三つあり、それぞれにスタッフがついて常時六人が配置されていました。
しかしレジは、そこまで列が並ぶほど回っていなかったと言います。
そこで三つあったレジを一つに集中させました。各フロアにレジを作るのではなく、商品をレジに持ってきてもらう形です。
三つあったレジを一個にして売上が変わんないって。みたいなことをもうずっとやってたんですよ、この二、三ヶ月。
固定費は下がり、売上は一切変わりませんでした。
グッズも一つひとつ、どのペースで売れているか、棚に並べるべきかを見ていったそうです。
こうした地味な作業の積み重ねで、年間で固定費を一千数百万円削ることができた、と報告しています。
しかもボトルジョージシアターや千年砦といった施設を追加した上での削減だといいます。
西野のチムニータウンの事業再生、めっちゃ地味だけど得意かもしんない。
思った以上にインパクトが大きいイベント上映
三つ目のテーマは、イベント上映についてです。
映画『えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』は通常の映画館での公開に加え、イベント上映も始まりました。
八月八、九日の川西ACキセラホールには、二千人以上が来場する見込みだと言います。
千葉のさわやかちば県民プラザでも、現時点で六百人以上が来る予定です。
自分たちで箱を押さえているため、ロビー設計もグッズ配置も自由にできる点が大きいと語ります。
特に注目しているのがグッズとポップコーンです。
映画産業で一番利益率いいのはポップコーンなんですよ。ですが、ポップコーンって劇場が販売するっていう話になってるから。で、ここどうにかならんのかなと思って。
製作委員会の幹事である自分たちがイベント上映することで、会場でポップコーンを自分たちで売れる状況を作った、と説明します。
去年の夏のミュージカル『えんとつ町のプペル』は観客動員数三万人でしたが、イベント上映を積んでいけば余裕で超えていく、と見込んでいます。
西野さんたちはNetflixやAmazonプライムでの配信をしないと言い切り、イベント上映に賭けているそうです。
川西の上映後には、収支をボイシのプレミアム放送で明らかにする予定だと話しています。
まとめ
この回で西野さんは、発信の形と事業運営の両面から「表に出すこと」と「守ること」を語りました。文字起こしの功罪、支出見直しの重要性、そしてイベント上映の可能性という三つの話が並びます。
- ラジオはニュースになりにくいからこそ込み入った話ができ、文字起こしがないことに価値がある
- 会社は売上が低いから潰れるのではなく、現金が尽きるから潰れる
- 事業再生ではまず止血、つまり支出の見直しから始めるのが定石
- レジを三つから一つに集約しても売上は変わらず、固定費だけが下がった
- 自分たちで箱を押さえるイベント上映は、グッズやポップコーンまで握れる可能性がある
