番組を始めたきっかけはコロナ禍のデマ
この番組を始めたきっかけは、コロナ禍に流れた数々のデマだったと、あきさんは話します。
あきさんはもともと分子生物学や生命科学と呼ばれる分野を学んでいました。そのおかげで、ワクチンや世の中に流れるコロナ関連の情報について、明らかにおかしいものはすぐにわかったといいます。
正しい知識を持ってないところから、どうしてもそういうデマに踊らされてしまう。デマを信じてしまう人が一定数出てしまうんだなと感じました。
わかっていないから信じて拡散してしまう。そういう人をたくさん見てきたことが、YouTube「あそぶ科学」やこのポッドキャストを始める動機になったと語られています。
ビル・ゲイツとICチップのデマ
当時流れたデマの一つに、ビル・ゲイツがワクチンにICチップを仕込んでいる、という話がありました。
ビル・ゲイツが、いろんな人たちにマイクロICチップを埋め込みたいから、それを注射させるためにワクチン開発にお金を出しているとか。
さらに、ワクチンを打つと体に鉄が張り付き、人間磁石になるという噂もあったといいます。
そもそも注射針は非常に細く、そこからICチップを入れるのは現実的ではないと、あきさんは説明します。
極太のピアスを打つぐらいのやつで入れます。全然注射ではなさそうですね。
仮に超小型のチップができたとしても、それが鉄を引き付ける根拠はありません。もし本当なら、ワクチンを打った人はみな砂鉄まみれになっているはずだと二人は指摘します。
だとしたら今だって、打ってる人たちはみんな生きてるだけで砂鉄まみれになってますよね。
蚊やダニが媒介する人獣感染症とコロナ
話題は、ビル・ゲイツが資金を出す蚊の撲滅プロジェクトから、感染症の媒介へと広がります。
蚊は人間を最も多く殺している生物だと、あきさんは話します。マラリアやデング熱など、多くの病気を媒介するためです。
蚊は血を吸う前に、前に吸った相手の成分を少し戻すといいます。同じ針で回し打ちをするような状態になり、これが病気を運ぶ仕組みになります。
山でのダニも同じで、動物の血を吸ったダニが人に張り付くと、動物由来のウイルスや病原菌が人に入ることがあります。
コロナウイルスもこうした人獣感染症の一つで、コウモリ由来ではないかと言われています。同じ仲間には、ハクビシン由来のSARSやラクダ由来のMERSがあると紹介されました。
| 名称 | 由来とされる動物 | 特徴 |
|---|---|---|
| SARS | ハクビシン | 発症後すぐ重症化し感染拡大は限定的 |
| MERS | ラクダ | 中東で広がった |
| COVID-19 | コウモリ(推定) | 潜伏期間が長く感染が広がりやすい |
SARSは感染すると即座に重症化したため、かえってパンデミックが広がりにくかったといいます。一方でCOVID-19は潜伏期間が長く、健康に見える人からも感染が広がった点が違いだと説明されています。
ワクチンが効くしくみとはたらく細胞
話は坂口志文先生のノーベル賞にも及びます。制御性T細胞は免疫を抑える細胞で、あきさんにとって営業マンとして関わりのあった研究室だったため、個人的にも思い入れのある受賞だと語られました。
いつか受賞するだろうと言われてて、やっと来たって感じでした。
ここから、メッセンジャーRNAワクチンのしくみが具体的に説明されます。
ワクチンを打つと、そのRNAが注射付近の細胞に取り込まれます。RNAにはコロナウイルスのスパイクタンパクの設計図が載っています。
細胞はこの設計図をもとに、いわば発注書を受け取ったタンパク質工場のようにスパイクタンパクを作ります。
作られたスパイクタンパクは細胞の外に提示され、免疫細胞がそれを見つけて「自分ではないもの」と判断し、その細胞を排除します。
対応できるキラーT細胞はメモリーT細胞として体に残り、本物のウイルスが入ってきたときに一気に分裂して対処します。これがワクチンで免疫がつく意味だと説明されました。
とみーさんは映画「はたらく細胞」を見たことで、このイメージがつかみやすかったと話しています。
タクシーの「ワクチン判定器」は本当か
番組の中心となるのが、二人がコロナ禍にタクシーで体験した話です。
タクシーには、空気中の粒子を測る測定装置が置かれていました。これはPM2.5やほこりの量を測り、増えたら換気を促すための機械です。
コロナウイルスも飛沫として空気中に飛ぶため、飛沫が増えれば粒子計の数値も上がります。ほこりっぽくなったら換気する、という使い方自体は科学的に間違っていないと、あきさんは言います。
ところが運転手は、その測定器を「ワクチンを打った人が乗ると振り切れる機械」だと説明したといいます。
ワクチン打った人が乗ってくるとメーターが振り切れる機械だっていう、嘘発見器みたいな機械だって言ってたんだよね。
運転手は、ワクチンを打つと体からスパイクタンパクが出る「シェディング」が起き、それを検知していると話しました。
しかしあきさんは、体内で作られたスパイクタンパクは細胞の外に提示された段階で免疫に排除されるため、外に放出されるしくみは人間の体にはないと説明します。
これが外に出るメカニズムは人間の体にはありません。なので、あのタクシーのおっさんが何を言っとるのやと。
そもそも粒子測定器はほこりや換気の目安を測るためのもので、スパイクタンパク判定器ではありません。実際、二人はワクチンを打っていましたが、メーターは振り切れませんでした。
間違った使い方で正しく反応は出てません。
デマを見極めるために論文を確かめる
最後に、情報の見極め方について話されます。とみーさんの「どういう情報源を見るとよいか」という問いに、あきさんは答えます。
正しいかどうかを調べるとき、どういう情報源を見るとよいですか。
ここを見れば正しいという情報源はありません。ただ、今はAIがあるので、その主張の根拠になる論文があるかをAIに聞いてみるのがよいと語られました。
論文はデータを取り、それが正しいかを考察したうえで世に出されます。取り下げられることもありますが、誰かのブログよりは信頼できると考えられます。
大事なのは論文を最後まで読むことより、論文があるかどうかを確かめることだと、あきさんは言います。今はAIが英語の論文も要約してくれます。
医者が言ってるからとか、テレビが言ってるからっていうのは、すごく根拠が薄いです。
コロナのデマの時には、医者や研究者自身が見当外れなことを言っていたこともあり、がっかりしたと振り返られます。だからこそ、特定の人を崇拝せず、自分で調べて考える姿勢が大切だと話されました。
まっすぐ信じるよりも、確かめる癖をつけたいね。
まとめ
コロナ禍のデマを、ICチップやシェディング、タクシーの測定器といった具体例で検証した番外編でした。二人は、権威や噂をそのまま信じるのではなく、根拠となる論文があるかを確かめる姿勢を勧めています。
- ICチップやワクチンで鉄が張り付くという話は、注射針の太さや実際の観察から見てデマだと考えられます
- 蚊やダニは人獣感染症を媒介し、コロナウイルスもコウモリ由来とされる人獣感染症の一つです
- ワクチンで作られたスパイクタンパクは免疫に排除され、体外に放出されるしくみはないと説明されました
- 粒子測定器はほこりや換気の目安を測るもので、ワクチン接種を判定する機械ではありません
- 医者やテレビの発言でも鵜呑みにせず、根拠となる論文があるかを自分で確かめることが大切です
