ついに「ルックバック」を観た!
どうも、深夜のログアウトです。
おお、ですです。
いやー、最近映画づいてますね、我々。
映画づいてますね。かなり通ってる。映画館の売り上げに貢献している(笑)。
今回は、『ルックバック』を見てきました。ついに。
ルックバックは、僕が見てえ見てえと騒いでたんですよね。
『チェンソーマン』で知られる漫画家、藤本タツキ先生が2021年に発表し、劇場アニメ版も大きな話題を集めた同名漫画を、『万引き家族』、『怪物』の是枝裕和が監督、脚本、編集を手がけて実写映画化。
漫画へのひたむきな思いで結ばれた二人の少女の13年間にわたる軌跡を、秋田県にかほ市を中心に撮影された美しい四季とともに丁寧に描き出すと。
美しかった。
良かったですね。結論。
良かったです、とても。
5年ぶりに見て、大事なことを忘れていた
私、漫画は当時、アプリのジャンプ+で公開されて、たしか無料で。
サイトめっちゃ重かった記憶があります。藤本タツキの読み切りか~!みたいなので話題になってた記憶。
面白いっていうよりかは、なんか、うわぁ、考えさせられるわ~みたいな感じで。なので私はその公開された当日に一回だけ見たきりで。
なんせ5年前ぐらいに読んで以降、何の情報も入れずに今回の実写版を見たので、まず「あれ?こんな話だったっけ?」みたいな。
これネタバレありでも大丈夫ですか?
いっちゃいましょう。ネタバレありで。
【ここからネタバレを含みますので閲覧ご注意ください】
あの、まあね、京本がね、亡くなるという描写があると思うんですけど、完全に抜け落ちてて、それが。
それを忘れてたんですね。
え、(京本は)死ぬんだっけ?っていう。
そこがこの話の肝と言っても過言じゃないんだけど。ここ忘れてましたか。
だから完全に抜けてて、ほんと初見みたいな感じで見れたんですけど。
過去は変わらないけど、背中を押してくれる
当時、読み切りを読んだ時とやっぱり同じような心象というか。面白かったっていうよりかは、あぁ、うわぁ、みたいな感覚の方がでかくて。
私、こういう映画見た後って結構一人で咀嚼する時間が必要で、あんますぐ感想出てこなくて。人のコメントとかレビューとか読まないタイプなんで。
自分の中でいろいろ感想を考えていたんですけど、やっぱり過去はまず変わらない。じゃないですか。
過去は変わらない。
これちょっと実写の方ではあんまり言葉にされてなかったから、原作との違いかなと思うんですけど。(藤野の)「誘わなきゃよかった。私のせいで」みたいなセリフが原作にはあって。
本当に一番、なんとも胸が痛いシーンですよね。
藤野を演じられていた出口夏希さんはもう美しい方で、表情の演技が素晴らしくて。
京本のIfとしてね、藤野と幼少期に一緒に漫画を描かなかった世界線の話もされてたと思うんですけど。
そこですよね、この漫画のおもろいところはね。
仮にそうだったとしても、多分京本は描いていただろうと。何らかの形でね。仮に藤野と一緒にやってなくても。
結局、今って過去の積み重ねというか、いろんなことがあって今があって。
藤野が最後、絵を描く姿で終わるじゃないですか。過去の積み重ねっていうか、頑張れる理由とか、結局こう過去が背中を押してくれるみたいなことでもあるよなとか思ったり。
だからポジティブにも後ろを振り返るって、そういう意味でも大事なんじゃないかなって思ったっていう感じでしたね。
是枝監督は、なぜ「言わせない」のか
是枝さんの映画こそ、結構"俺たちが自慢したい邦画"って感じがちょっとしてるんですよ。
藤本タツキ先生は明らかに映画狂なんで。作品見れば分かりますけど、『さようなら絵梨』っていう短編なんか、完全に映画についての話をしてると言っても過言じゃないぐらい。
その藤本タツキですら、このルックバックの一番エモーショナルなシーンでは、まだちょっと説明するんだよね。「私と出会わなければ」っていうのを、ちゃんとセリフに出して言うじゃない。
是枝さんはそれすらキャラクターには言わせないじゃん。
あそこを言わないのって、結構勇気だと思うんですよ。けど、"言わなくてもいける"とも思ってたんだと思うんですよ。
この作品で伝わりたいものは、言わなくても伝わるって思ってるんだと思うの、是枝さんは。その辺がいいなって。
その後、(藤野と京本が別々に生きる)フィクションな世界に行くじゃないですか。特に今回の実写版はルックス的にもすごいことになるじゃない。
だから、分かりやすい邦画か、超大作洋画ばっか見てると「何?!」ってなるのかなみたいな、感覚はちょっとあったんですけど、そういう感じは特になかったですか?
私は幸いそこは原作を読んでたんで。大事なところが抜け落ちてましたけど(笑)、こういう感じの話だったなってことは、幸か不幸か入っちゃってたんで。
意味がわからないとか、どういうこと?みたいなのはなかったなって感じですね。
ルックバックは、藤本タツキの半自伝だった
『ルックバック』は、天才藤本タツキの実質半自伝と言ってもいいのかなと。舞台も同じ地元の秋田で。
藤本さんは東北芸大に行っていて。実際、幼い頃に「絵なんかばっか描いててもキモいよ」ってクラスメイトに言われたらしいと。
東日本大震災が起きた時に、同じ東北の人間として何かできることがないかと、ボランティアに行ったんですって。で、何にもできなかったと。悲しくなるほど何の力にもなれなくて。
当時クラスメイトに言われた「絵なんか描いてても何の役にも立たないよ」っていう、その感覚をめちゃくちゃ食らったと。
だから、クリエイターのクリエイティブ論なんだよね、ルックバックって。何かを作る人間が作ることに向き合うっていう話なんだよ。なぜ作るのかっていう話でもあると思うんですよ。
某アニメーションスタジオに起こっちゃった、あるとても悲しい事件とかも、かなり影響を与えていると。パクりパクられみたいな話につながってくるんですけど。
アイデアだけ自慢するな。生成AIの炎上から考える
2週間ぐらい前かな、XでAI使ってこんなの思いついちゃいましたっていうポストをして大炎上した件があったんですよ。
「こんなグッズ思いついちゃいました」っていうのを生成AIで作って、見てくださいつって。僕に3%だけ売り上げください、みたいなポストを(笑)。
これ絶対にやっちゃいけないことなんですよ。一番の理由は、それをもし、メーカーさんなりがやろうとしてる人がいたら、実際にやれなくなっちゃうんですよ。
確かに。
もしこの企画が進んでいたとしても、「あいつのポストを見て企画したんだ」っていう風評も避けられないし。
そもそも、アイデアなんて思いついた瞬間に、大体1000人ぐらいの人が思いついてるっていうぐらいなんで。思いついちゃったってことに大した価値はないんですよ、正直。
僕は大体「お、これ良くない?」と思ったら、「いやでも1000人思いついてんな」って必ず一回思うようにしてるんですけど。
それをどうやって多くの人を巻き込んで、企画にして、マーケティングして、世の中に届けて、成立させるかってことが5億倍大変なんで。思いついて言うだけなんていうのは誰でもできるんですよね。
…みたいな問題意識も、ルックバックの中に藤本先生が入れてるのかもしれないと。
短い、余計なことをしない。実写版ならではの魅力
この作品の、最も分かりやすい素晴らしい魅力を一言で言っていいですか?
短い!
一時間半ちょっとか。
短い映画はだいたい良いんですよ。余計なことを一切やってないですね。
余計なこと一切やってないのに、ちょいちょい気の利いたエッセンスの+αがやっぱあって。一番は藤野の家族がちゃんと描かれると。
野呂佳代がママをやっていて、すごくいい味出てるし。藤野の両親ってこんな感じかもなっていう。
京本って原作版だとほぼ謎の人物というか、天然アーティストみたいな描かれ方なんだけど、おばあちゃんっていう背景を少し見せることで、バックグラウンドが見えるんですよね。
原作「ルックバック」は、僕は藤野の話だなと思うんだよね。なんだけど、今回は藤野と京本の話にちゃんとなっている気がしていて。
これ確かに漫画と全く同じだと、実写化した意味は?とかってね、なったりもしますからね。
けどちゃんと原作をトレスしてるんですよね。脱線してるわけでは全然ない。より肉付けが足されてるというか。
でも実写で、生きた人間でやる以上、動機とかが漫画とかより求められるような気はするから。唐突すぎちゃうとね。
漫画にはできない「音」の表現
でもやっぱり一番は"音"じゃない。漫画には絶対にできない表現ですよね。
最初はシャーペンでシャッシャシャッって線を引いていた音が、京本と組み始めてからGペンとか丸ペンって言われる、ちょっと硬い音、カリッカリッみたいな音になって。
ちゃんと漫画の作画指導をしたそうです。さすが是枝さん。本当に役者さんが線引いてるもんね。しかも結構なスピードで、慣れた感じで。
その音が、時代が流れると今度は液タブになり、PC環境になって、コンコンコンってクリックする音とか。スクリーントーンだったのがデジタルでペタッと貼り付けて。
いやーさすがのこだわりですね。
是枝監督が品川の駅で「ルックバック」に出会った
僕は日本で最もちゃんと売れてる映画監督だと思うんですよ、是枝さん。
ドキュメンタリー出身っていうのもすごくでかいですね。とにかく役者さん方のお芝居が超自然なんですよ、是枝作品って。
是枝さんの映像が好きすぎて、ちょっとTVドラマ的な日本映画が見れなくなっちゃって。
特に子役の演技指導はもう本当に神がかってますね。子役の場合は台本を渡さないっていうやり方をするんですよ。その場で、口でセリフを伝えて、あとは自分の感じで言ってごらんっていう。
ちゃんと狙ってマーケティングもできるんですよ。当てにいける。これは本当に偉いこと。
そういう人が品川の駅で見つけたのが「ルックバック」なんですって。後ろ姿の表紙が気になって、読んだらもう食らってしまったと。
じゃあ本当に普通に一読者として最初は買って読んで。映画化するから読んだとかじゃなくて。
誰かがキャスティングしたんだと思ってたんですよ。是枝さんお願いします、と。でも違くて、彼がやりたい企画だったんですよ、ちゃんと。
ものづくりというものに対して、最終的にはすごく背中を押してもらったような感覚があったと。ちゃんと運命的に出会ってる作品なんですよね。
ラストが完璧。何も言わずに描き始める藤野
最後、クライマックスからラストですよね。これ完璧だと思ってて。あの四コマ漫画がスッて流れていく、あの流れって、何が起こったの?ってなるじゃないですか。
あれをどう捉えるかっていう話をみんなとしたいよね。あのシークエンスは何なのかっていう。
Ifの世界の話だと思ってましたけど。
Ifですよね。あのシーンがほんと好きなんですよ。ああいうのがフィクションのいいところだと思いません?
本当にノンフィクションだったら、悲しい事実を悲しく伝えるだけの物語になっちゃうじゃないですか。それを変えることできるのが、やっぱりフィクションのいいとこだと思うんですよね。
その先に、初めて藤野が京本の部屋に入るっていう、これは漫画版でもありますよね。けど、その部屋の中がやっぱり全然違うと。
今回の実写版は、京本は京本の描きたいものがちゃんとあって、それを徹底してやりきってたっていう部屋になってるんだよね。よりそっちのがつらいというか。
これ多分実写だけだったと思うんですけど、子供の時のやりとりで、京本が確か「藤野ちゃんぐらい絵うまくなるよ」みたいな。原作にはなかったんですけど、私あれめっちゃ良かったなって。
藤野が「私の背中を見ながら育ちたまえ」みたいなことを言う回想シーンが、あえてもう一回こう挟まってるのは良かったなって思いましたね。
しそして振り返った藤野はあの"ちゃんちゃんこ"を見ると。その後は何も言わずに部屋を出て、そして描く。
何も言わない藤野を信じる、完璧なラストショット
本当の最後の最後のラストショット。あそこロケーション完璧じゃない?藤野のスタジオで、一面ガラス張りに向き合っていて。
明け方なのかな。一本の電車がパーって来て、始発なのかな?スーって過ぎていって終わるっていう。何か、一本の物語がまた動いていくという。
何も言ってないんですよ、藤野はこの間。あの部屋に入って、泣いて、またデスクに向かうまで、一言も何も言ってないのよ。それすごくないですか?
いや、すごいですね。
さすがにこれは「私のせいだ」ぐらいは言ったっていいと思うよ、僕は。もうちょっとお客さん呼ぼう、そこは。僕がマーケティング担当なら入れます。「私のせいだ」って泣く藤野のシーンを、なんなら予告編に入れます。
でも言わないんだよね。言わなくても伝わるって思ったんだと思うんだよね。お話の強さとか、役者さんのお芝居の強さを信じてる。もっと言うと、観客を信じてるんだと思う。
伝わるよね。
是枝さんだから許される、やらせてくれるんですよ。
生半可な企画だったら、プロデューサーが「監督、これはお客さん分からないかもしれないんで、原作のセリフは言わせましょうよ」って絶対言いますもん。是枝さんだから言わなくていいんです。
音楽も、アニメの飛躍も。名作を語り終えて
曲も良かった。私、好きなドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の曲作ってる方でした。道理でいい曲なわけだって。
坂東祐太さんですか?米津玄師と仲いい人ですね。今回米津玄師もちょっとギター弾くので参加してるんですよね。
なんか友情出演的な。
泣けちゃいますね、音楽だけで。曲美しかったね。主張しすぎるでもなく、大人しくしてるわけでもなく。
『シャークキック』のアニメ化っていう話があって、二人にとってのアニメーションが空想の中で流れていくっていう、あの流れは映像作品ならではの表現で。アニメーション世界まで行くっていう。
僕はあれぐらいぶっ飛んだ表現っていうのは、逆にありかなと思って見ちゃいましたけどね。二人はアニメが見たかったんだよ。藤野は京本とアニメを見たかったんだよね。
いや、ルックバック良かったです。これが売れないのは悲しいな。
面白かったです。
名作でした。これは良かったわ。
実写ならではのルックバックでしたね。
正直泣きました。
おお、泣いたか。私も5回ぐらい泣きました。ありがとうございました。
まとめ
藤本タツキ原作・是枝裕和監督の実写版「ルックバック」を、二人がネタバレありで語り尽くしました。5年ぶりに見たゆうさんは、過去は変わらないけれど背中を押してくれるという受け取り方を語ります。ルックバック信者を自称するパジマさんは、原作の半自伝性、是枝監督の演出、実写版ならではの肉付け、そして完璧なラストという4つの切り口で魅力を掘り下げました。二人ともに劇場での鑑賞を強く勧めています。
- 過去は変わらないけれど、頑張れる理由として背中を押してくれる、という受け取り方
- 原作は藤本タツキの半自伝で、「なぜ作るのか」を問うクリエイティブ論でもある
- 是枝監督は原作の直接的なセリフをあえて言わせず、観客の理解を信じている
- 短さ、音の表現、京本側のストーリー強化など、実写版ならではの魅力がある







