なぜ「初心者による入門講座」なのか?
この回のメイン企画は、格ゲー歴半年のゆうさんが提案する「今からでも間に合うスト6入門講座」です。企画自体はパジマさんが考えたもので、まずはその理由から話が始まりました。
きっかけの1つは、YouTubeの管理画面にいるAIが「入門講座はどうですか」と提案してきたことだそうです。パジマさんはそれを見て「確かに」と思ったと話します。
もう1つの理由は、番組の視聴者データです。YouTubeでは女性リスナーがほぼ1%台まで下がっていて、間口を広げたいという狙いがありました。
YouTubeはもう壊滅的にね、格ゲーおじしか見てないことが確定しているので、間口を広げていきたい。
そして、このプレゼンができるのはゆうさんしかいない、という話にもつながります。長年やってきた人やスト6から入った人のレビューは多いけれど、「まだ半年、しかも初めての格ゲー」という語り手はなかなかいないからです。
まだ半年ですっていう人はね、なかなか多くないと思う。しかもこれが初格ゲーですっていう人も多くはないと思うんで。
スト6を知らなかった頃の「篠原涼子7割」なイメージ
プレゼンはゆうさんがCanvaで作った資料に沿って進みます。まずは、スト6を始める前に格ゲーへどんなイメージを持っていたかという話から。ここでは格ゲーとスト6をほぼ同じ意味として扱っています。
驚きなのが、ゆうさんの中でストリートファイターのイメージの7割ほどを占めていたのが、篠原涼子さんだったという点です。
(スト6をやるまでのイメージが)もう本当7割ぐらいは篠原涼子さんしかなくて。
これはアニメ映画版の主題歌『恋しさと せつなさと 心強さと』を篠原涼子さんが歌っていたことに由来します。恋しさとせつなさと心強さと ── 篠原涼子さんが1994年に発表した楽曲。ストリートファイターのアニメ映画版の主題歌として使われ、大ヒットした。ただ、この曲のリリースはゆうさんが生まれる前で、パジマさんも「認知が歪んでる」と笑います。
残りのイメージは「男の人がいっぱいやってる」が2割、「難しそう」が1割ほど。特に難しそうという印象は、多くの初心者が抱くものと重なりそうです。
アクションゲームとかゲーム自体は全然好きなんすけど、なんか格ゲーってやっぱ難しそうだから、ちょっと初心者が入ってくるのは(ハードルが高い)みたいな。
同僚とポッドキャストが背中を押した、購入までの半年
そんなゆうさんが、なぜスト6を始めたのか。時系列で振り返ると、きっかけは1つではなく、じわじわ積み重なっていったものでした。
最初の接点は職場です。定時後の休憩室で、同僚たち(番組内では「王子」と呼ばれる面々)が集まって対戦会をしていて、「そんなに盛り上がってるの?」と気になったといいます。
(社内で)定期的にやるって、なんかそんなに盛り上がってんの?みたいなのはまずちょっと(気になった)。
さらに、普段見ている配信者やVTuberがこぞってスト6を配信し始めたことも重なります。ただ、この時点ではまだゲーム画面すら見ておらず、「面白いんですかね」くらいの温度感でした。
大きく動いたのは、この番組を始めてからです。2026年3月16日に初めてスト6を取り上げた回で、パジマさんがカプコンカップや選手の話をしたのが直接のきっかけになりました。
そこからウメハラさんのショート動画や、昇竜拳をひたすら練習する動画などを見るようになり、「面白そう」に変わっていきます。パジマさんに画面共有でプレイを見せてもらったことも後押しになりました。
(ウメハラさんが昇竜拳を練習する動画が)めちゃ良かったです。
結局ゆうさんがスト6を購入したのは2026年3月31日。収録時点ではまだ厳密には半年経っていない、春スタートでした。
ゆうさん自身、格ゲーがずっとやりたかったわけではないと振り返ります。ポッドキャストをやっていなかったら、多分買っていなかったという、ゆるやかな入り方だったのが印象的です。
初心者を救う「モダン操作」がありがたすぎる
ここからは、実際に半年やってみてどうだったかという4つのポイントに入ります。ゆうさんが「これが一番でかい」と挙げたのが、モダン操作のありがたさでした。
従来の格ゲー(クラシック操作)は、技を1つ出すのにもレバーやボタンを複雑に入力する必要があります。ゆうさんは、初心者が「難しそう」と感じる理由の多くがここにあるのでは、と分析します。
一方でモダン操作なら、本来は複雑な入力が必要な技も、シンプルなボタン操作で出せます。パジマさんは「スマブラっぽさがある」と補足します。
ゆうさんはもともとアクションゲームに抵抗がなく、ボタンで技を出すこと自体は問題なかったそうです。ネックだったのは「レバーをガチャガチャする」部分。だからこそモダンが刺さったといいます。
やっぱ自分にとってモダンのこのシステムはやっぱありがたかったなっていうのは(大きい)。
パジマさん自身も今はバリバリのモダン使いです。クラシック勢からいろいろ言われることもあるものの、モダンの登場がスト6の話題性を支えているという点では2人の見方が一致していました。
戦うだけじゃない「ワールドツアー」と「まねもん」という遊び方
2つ目のポイントは、スト6が「人と戦うだけのゲームではない」ことです。ゆうさんはやってみて驚いたと話します。
1つはワールドツアーというモード。地図を移動し、装備を買い、体力を回復し、レベルを上げてストーリーを進める、いわゆるRPGのような遊び方ができます。ボス戦ではエナドリで体力回復にお世話になったそうです。
もう1つがマネモンです。世界中のプレイヤーの戦い方を再現したAIと戦えるモードで、トレーニングモードより実戦を意識した練習ができます。苦手なキャラや、これから戦う予定のキャラの対策に向いています。
いきなり対人戦は抵抗がある、という初心者にとって、これらは操作に慣れるための場になります。さらに、ゲームよりキャラに興味がある人が、ワールドツアーでキャラの性格を知る楽しみ方もあると言います。
パジマさんはワールドツアーで「絶対ケンを使う」と決めていたため、ケンにしか弟子入りしなかったそう。一方ゆうさんは全キャラに弟子入りし、その過程でマノンを好きになったといいます。
私それ(ワールドツアー)でマノンのことすごい好きになったんで。
ワールドツアーはそれだけで1本のゲームとして成立するほどのボリュームで、「おつりが来るくらい」とゆうさんは太鼓判を押していました。
31キャラから「自分の相棒」を探す楽しさ
3つ目は、とにかくキャラクターが多いこと。投稿日である9月14日時点で全31キャラ、さらに追加も予定されています。
性能もビジュアルもさまざまで、攻守バランス型、攻撃全振り型、スピード型、特殊なキャラまで揃っています。ちなみに資料内のタイプ分けについては「異議がある方はコメントまで」と、ゆうさんはあらかじめ予防線を張っていました。
この数だからこそ、自分に合うキャラを探すのが楽しいといいます。ゆうさんは最初、見た目でサガットを選び、プラチナまで到達しました。
その後いろいろ触ってみて、今は投げ技を得意とするリリーを使っているそうです。投げが決まった瞬間の快感が大きく、負けても1回投げられれば満足、というほどのハマりようです。
一方で、苦手なキャラもはっきりしています。ゆうさんが挙げたのはJPとイングリッド。遠距離からペチペチ攻撃されて近づけないタイプが苦手だといいます。
(JPやイングリッドには)もう近づけないんですよね。飛んだら落とされるし。こっち来いよって。
それでも、勉強してこの技が刺さると分かったり、前より特定の攻撃を食らわなくなったりする瞬間があると言います。キャラの数だけ戦い方と対策があることが、大変であり一番面白いところだとまとめました。
惜しみなく共有される、格ゲーシーンの文化が面白い
4つ目は、スト6に限らない話として、格ゲーシーン全体の面白さです。ゆうさんは「みんなで強くなろう、楽しもう」という空気があるのが不思議で、いいなと感じているといいます。
強くなる方法や対策が、攻略サイトだけでなく、プロを含むいろんな人から惜しみなく共有されている。自分の強さのために情報を抱え込んでもよさそうなのに、そうならない文化に驚いたそうです。
なんかこんなに惜しみなく、これはこうするといいよとか、強くなる方法はこれみたいなのが、いろんな人たちが持ち寄って知識共有して(いる)。
パジマさんは、スポーツのプロシーンではこうした共有コンテンツが実は少ないと指摘します。理由は「自分の食いぶち」に関わるから。だからこそ格ゲーは特殊だと言います。
この共有文化の背景には、格ゲーが不況の時代を通ってきたことや、世界で勝つには閉じていては厳しいという事情もあると、梅原さんの言葉を引きながら話されました。
大会そのものの面白さにも話が及びます。半年見てきて「みんないつ休んでるの?」と思うほど大会が続いていること、そして観戦がスポーツ観戦に近い感覚であることに驚いたそうです。
ゆうさん自身、ハマる前は「ゲームの大会でそんなに盛り上がる?」と思っていたと正直に明かします。でも実際は、攻撃・防御・ゲージの状況が分かりやすく、選手の因縁やエピソードも含めて楽しめると話しました。
ゲームの大会でそんなに盛り上がるの??って正直ちょっとあったんですけど、見てみたら選手の数だけ歴史があった。
迷っている人へ「思ってる以上に軽い気持ちで始められる」
最後のパートは「スト6を始めるか迷っているあなたへ」。2人とも、格ゲーの敷居がまだ高いことは認めつつ、思っている以上に軽い気持ちで始められると強調します。
ゆうさんは、始める前の「篠原涼子7割・男臭い2割・難しそう1割」だった認識を振り返りつつ、実際にやってみて自分に合っていたと語ります。チームではなく自分との戦いで、昨日の自分より上手くなれるかを実感できるのが魅力だといいます。
遊び方の入り口も1つではありません。対人戦が苦手でも、大会だけ見たい人も、推しやキャラに興味がある人も入れるように設計されている、というのがゆうさんの見立てです。
- モダン操作など初心者向けの操作スタイルがある
- 対人が苦手でもワールドツアーやマネモンで遊べる
- 大会観戦や選手を追うだけでも楽しめる
- 好きなキャラの性格を知る入り方もできる
負けたら本気でイラつくこともあるけれど、勝った時にはちゃんとおつりが来る。セールも来やすいので、そのタイミングで買ってみては、という現実的なアドバイスも添えられました。
プレゼンの締めは、シリーズおなじみのフレーズ「俺より強いやつに会いに行こう」。パジマさんが「カプコンのPR案件じゃないですよね?」と念を押すほど、熱のこもった内容でした。
初心者は「強いキャラ」を使うべき?フード本を片手に
プレゼン後は質疑応答へ。まずパジマさんが「最初は強いキャラを使いたいよね」と切り出します。
31キャラいる中で、初心者にとっての強いキャラってどんなキャラだと思う?
ゆうさんの答えは、自分が苦手なキャラ=強いキャラという感覚。具体的にはJP、そしてバランスの良いリュウを挙げました。逆に「弱いキャラ」については、いないという立場です。
(弱いキャラは)いなくって、私的に。なんかやっぱ誰が使ってるかみたいなことなのかな。
その例として、自分が今使っているリリーを挙げます。かつては弱い・使われないと言われがちだったものの、プロのひびきさんが大会で好成績を残したことで「リリー強いんじゃね?」と評価が変わったといいます。
ここでパジマさんが取り出したのが、ふ~どさんの書籍『勝つための7つの理論 フード流 十年使える格闘ゲームの攻略』です。
この本の冒頭で、ふ~どさんは「勝ちたいなら最強のプレイヤーが使っている強いキャラを選ぶべき」と断言しているそうです。最強クラスのひびきさんがリリーを使うなら、その理論にも合っている、という流れになりました。
モチベを保つ練習法は「楽しいうちに量をこなす」
続いては練習とモチベーションの話。ゆうさんは最初、練習をほぼせずランクマッチをやりまくっていたそうですが、あるところで壁にぶつかったと言います。
プラチナへ上がろうとするタイミングで急に勝てなくなり、今のやり方だけではダメだと気づいたそうです。そこからコンボ練習や、パジマさんに教わった対空・インパクト返しの練習を取り入れました。
ちゃんと継続してるというよりは、ヤベッて思った時にやってるみたいな感じなんですけど。
この話は、パジマさんが引くふ~ど本の第2章「勝つための練習」ともリンクします。楽しいうちに量をこなし、量だけでは厳しいと感じたら質を考える、というのがフードさんの主張だそうです。
コンボが安定すると、相手と「せーの」で読み合う回数(格ゲー用語で言うじゃんけん)が減り、勝率が安定するという理屈です。当たり前のようでいて、レジェンドが言うと説得力があります。
モチベーションが下がった時の対処も具体的でした。ゆうさんは、萎えた直後は無理にプレイせず、YouTubeでJP対策や好きな選手の練習動画を見るそうです。
まだまだだなと、強くなりてーって思って、やっぱ練習しようって言って、次の日からまたやるみたいな。
パジマさんも同意し、しんどい時にプレイすると萎える一方だと言います。ゆうさんは負の感情が態度に出やすいタイプで、うわっとなると負けが込むそうです。
フード本の第6章でも、ゲームは人生を楽しむツールの1つと捉え、人とのコミュニケーションの道具と考えるとコスパがいい、と書かれているとのこと。近くにやっている人がいたら「実は始めた」と声をかけるのも手だと2人は話します。
萎えた日はモード替え、そして「31人待ってる」
パジマさん自身のモチベ管理も話題になりました。ランクマッチはレートが可視化されるぶん、ポイントが目減りすると萎えやすいと言います。
なんか貯金が目減りしていくみたいな感じは、なんか「クる」じゃん、可視化されちゃうから。
そういう時は、スト6自体をやめるのではなく、まねもんやランク非依存のカジュアルマッチ、コンピューターと戦うストーリーモードなど、ストレスの低いモードに切り替えるそうです。その日はランクマをやめ、別の日に挑む形です。
キャラを替えることも気分転換になります。パジマさんは最近、難しいとされるC.ヴァイパーでマスターに到達し、これで3キャラ目のマスターになったといいます。
久しぶりに触ったキャラの良さに気づく感覚を、2人は元恋人にたとえて盛り上がります。「失ってから気づく」けれど、キャラは失っていないのでいつでも呼び出せる、というオチでした。
(キャラは)失ってないから、いつでも呼び出せるからさ。31人待ってるから。
プレゼンから質疑応答まで、初心者ならではの実感と、ふ~ど本の理論が重なり合う内容になりました。プレゼンを一言でまとめるなら、やはり「俺より強いやつに会いに行こう」に集約されます。
まとめ
格ゲー歴半年・初格ゲーのゆうさんが、初心者目線でスト6の魅力をプレゼンした回でした。難しそうなイメージの正体と、それを崩すモダン操作や多彩なモードの存在を、実感を込めて語ってくれました。
- ゆうさんはポッドキャストと職場の同僚がきっかけで、ゆるい気持ちでスト6を購入した
- 初心者にとって一番大きいのはモダン操作。複雑な入力なしで技が出せる点がハードルを下げている
- ワールドツアーやマネモン、大会観戦など、対人戦以外の楽しみ方が豊富
- 練習は「楽しいうちに量をこなし、限界を感じたら質へ」。萎えた日は無理せずモードやキャラを替える
- 31キャラから自分の相棒を探し、昨日の自分より強くなる過程を楽しめるのがスト6の魅力





