AIは便利、でも制作者が減る?という違和感
この回のテーマは「AIでボドゲ制作者は減る?」です。Manaさんはこれまでの配信で、AIがボードゲーム制作に便利だと繰り返し話してきました。
具体的には、テストプレイの補助、説明書の作成、確率計算、説明書の翻訳など、AIはさまざまな場面で役立つとされてきました。
そうしてボードゲーム制作はしやすくなってきた一方で、Manaさんはこのままだとボドゲ制作者自体が減る恐れもあるのではないかと感じたと言います。
相談が増える中で見えてきたこと
Manaさんは、Xやnote、ポッドキャストなどで日々熱量高く情報発信をしています。プライベートでもボードゲーム制作の話題が尽きないそうです。
その熱量に感化されてか、普段の付き合いの中でも「ボードゲームを作ってみたい」「どうやって作るの?」といった相談を受けることが増えてきたと話します。
ボードゲームカフェが面白かったという報告や、海外での盛り上がりを見て作りたいと思う人が増えていることを、Manaさんは良い傾向だと受け止めていました。
AIでアプリ化すると、そこで満足してしまう
相談を受ける中で、ルールをみんなでディスカッションし、いざ作ろうとなった段階で、多くの人がAIでブラウザゲームアプリとして作ってみる流れになるそうです。
出来上がったアプリを実際にプレイしてみると、普通に面白く、自分にはない視点で作られていることも多かったとManaさんは言います。
自分で考えてみたボードゲームを、ちょっとAIによってブラウザゲームアプリ化してみましたみたいな話とかもよく受けます。
ただ、最初は「面白かったから作ってみたい」程度の熱量の人にとって、作って売っていくという意識はそこまで強くありません。
その結果、AIでアプリを作って自分たちで遊んでみたら、それで満足してしまうケースが少なくないのではないか、というのがManaさんの見立てです。
いざ製品化しようとすると立ちはだかる費用
ゲームとして形になり、実際に作ってみようという話になると、次は費用の相談に移ります。作ったことがない人は、何にいくらかかるかがわからないからです。
必要なコンポーネントを洗い出し、カードが何枚必要か、どんなコマが必要かを整理して、Manaさんが簡単な見積もり額を伝えると、多くの人が高さに驚くと言います。
(見積もりを伝えると)えっ、そんなかかるの?高いね、みたいな、そんな形になるわけなんです。
大量に作れば単価は下がると説明しても、初めて作るボードゲームで大量に売る気持ちはなかなか持てないため、結局は小ロットの話になります。
小ロットで予算を下げようとすると、コンポーネントの質を下げるしかなく、製品というより同人作品やハンドメイドの簡易版のような形にせざるを得なくなります。
品質の落差が、作り手の意欲をそいでしまう
質を下げた仕様では、普段自分たちが遊んでいるボードゲームの品質には到底及びません。ここで作り手が微妙だなと感じてしまう、とManaさんは指摘します。
Manaさんが作る製品版のボードゲームを見て「かっこいい」と思っていた人ほど、それと比べてしまい、簡易な仕様に満足できなくなる傾向があるようです。
従来は、ルールを思いついて発表したいとなれば、遊んでもらうために製品化が必要でした。テストプレイ用に作っても、ちゃんとしたプレイ体験にはならないからです。
ところがAIでアプリ化すれば、それなりに遊べて、それなりの見た目のものができてしまいます。作ってみたいという欲が、そこで満たされてしまうのです。
作る快感がAIで簡単に得られる時代
従来は、作り上げなければ遊んでもらえませんでした。50個や100個の小ロットで作り、ゲームマーケットなどの発表の場で売るしか選択肢がなかったとManaさんは振り返ります。
だからこそ、作ってみたい人も無理をしてでも製品化するしかなかった。ところが今は、その「作って誰かに遊んでもらいたい」という欲がAIでサクッと満たされてしまいます。
今までであれば本当に作ってようやく得られる快感が、AIによってサクッと作ったもので簡易的に得られてしまう。
そこから、コストをかけてプロダクトとして作り上げ、売っていこうというモチベーションを持つのは、一発目で作ってみたいという人にとっては敷居が高いのではないか、とManaさんは考えます。
残るのは熱意のある作家だけになる未来
AIでサクッと作れる選択肢が出たことで、ボードゲーム制作のライト層は、作り上げて売る前の段階で満足してしまう恐れがある、とManaさんは見ています。
そうなると、費用を切って製品化し発売するところまで行くのは、よほど熱意のある人だけになります。結果として、売っていく気概のあるインディーズ作家しか残らない未来もあり得ると話します。
ルールを作る人はたくさん出てくる一方で、アナログゲームとして製品化して売る人は減るかもしれない、というのがManaさんの予測です。
相談・アイデア
ルールを思いつき、作ってみたいと相談する人が増える
AIでアプリ化
ブラウザゲームとしてサクッと形にして遊べてしまう
欲が満たされる
遊んでもらって面白いと言われ、そこで満足する
製品化を断念
費用と品質の壁で、製品化まで進む人は減る
デジタルは広がり、アナログは尖る
Manaさんは、デジタルゲームを作れる人はどんどん増え、アイデア勝負にもなっていくと見ています。ボードゲームというジャンル自体は広がっていくという見立てです。
一方で、アナログゲームを商品化していくインディーズ作家は、なかなかの難易度になっていくのではないかと話します。作ってみたい人はデジタルへ流れていくからです。
だからこそ、アナログには対面のコミュニケーションや、ルールに縛られすぎない余白感といった、アナログで遊ぶからこそ得られる良さがあるとManaさんは強調します。
さらに、自分自身で処理していく部分があるため、高度な処理や複雑な処理は逆にそぎ落とす必要があります。人間だからこその遊びにこだわりきれるかが、より洗練されていくと考えられます。
これは悪い変化ではない、という視点
アナログのボードゲーム作家は、特出したスキルを持ち、洗練された人しか続けられなくなるかもしれません。本当にアナログの楽しさを見いだした、よほどの熱量が必要な世界になっていくとManaさんは見ています。
ただし、ゲーム作家全体で見れば人はどんどん増えていくため、これはとても良い傾向だとも話します。デジタルもアナログもルールを考える人が増えることで、作り方も進化していくからです。
オンラインで遊ぶボードゲームがもっと市民権を得て、新たなジャンルとして浸透していく未来もあるかもしれません。Manaさんはこれを決して悪いことだとは思っていないと述べます。
作って売り切る人はほんの一握り
AIに限らず、Manaさんはこれまでもルール作りや見積もりの相談を数多く受けてきました。しかし実際に作ってゲームマーケットに出す人は、ほんの一握りだと言います。
ボードゲームを作るのは難易度が高く、せっかくルールができてもお金の面で断念する人も少なくありませんでした。だからこそ、今ゲームマーケットに出ている人たちの熱量と意気込みは尊敬すると話します。
今ゲームマーケットに出てる人たちってすごい熱量だし、すごいですよね、意気込みが。
難易度が高いからこそ、手軽にできてしまうところで満足する人が、AIの登場によって増えていくのではないか。それがこの回の問題意識です。
アナログの良さをどう尖らせるか
この話に明確なオチはないとしつつ、Manaさんはアナログにこだわる人こそ、その理由を深く考える必要があると呼びかけます。
アナログで作ってる人たちは、何がデジタルと違うんだろう、私たちは何にこだわってるんだろう、どうしてこれを作っているんだろう、っていうところをもうちょっと深く考えて尖らせていく。
そこを掘り下げて尖らせていかないと、アナログゲームの良さそのものが薄れてしまう可能性もある、とManaさんは締めくくります。
まとめ
AIによってボードゲームは手軽にアプリ化でき、作って遊んでもらう欲がすぐに満たされるようになりました。その結果、費用と品質の壁を越えて製品化する人は減り、アナログの作り手には従来以上の熱量とこだわりが求められる、というのがこの回の予測です。
- AIでのアプリ化により、製品化前の段階で満足してしまう人が増える恐れがある
- 小ロット制作は費用が高く、質を下げると自分たちの遊ぶ品質に届かず意欲をそぐ
- 結果として、売っていく気概のあるインディーズ作家しか残らない未来があり得る
- デジタルゲームは広がる一方、アナログの製品化は難易度が上がっていく
- アナログの作り手は、対面や余白感など「何にこだわるのか」を尖らせる必要がある





