「多芸ですね」は、たぶん誤解です
聞いてくださっている方はわかると思いますが、僕は決して多芸ではないんですよ。
「多芸だな」と見えているのは、たまたまご自身が持っていないスキルを僕が持っているから、そう見えているだけじゃないかと思うんです。
たとえばこうして『Webディレクションやってますラジオ』で喋っているのも、昔、声で喋ることを仕事にしたいと思っていた時期があって、その時の経験が今に活きているだけです。
だから、これも芸というほどのものではないと思うんですよね。
むしろ僕は、自分の能力やスキル、好きや嫌い、そういうものが活かせる場所はどこだろう、と考えながらやってきました。
外から見えるのは、僕が比較的得意な領域でやっているところばかり。だから上手そうに見える、というだけなんです。
自分が苦手なところばかり選んで、毎回失敗しているのは、気分的にも嫌じゃないですか。だから得意なところで勝負しているだけなんですよね。
結局は「興味を持てるかどうか」だと思う
僕、本来は飽きっぽいタイプなはずなんですよ。何かがものすごく長続きしたかというと、そうでもないんです。
それでも20何年この仕事を続けてこられたのは、日々新しいツールやプロダクトが出てくる、その先端側にいられる業界だからだと思います。
この仕事が楽しくてやっている。興味とか関心がなくなったら、僕はもうこの仕事はできないんじゃないかなという気がします。
たとえば『ChatGPT』と『Bard』の違いについて別の番組で話したのですが、あれもわざわざ時間を作って勉強しているという感覚はないんです。楽しいからやっているだけで。
せっかくITをやっているんだから、面白いことは自分で試したいし、知っておきたい。その気持ちだけなんですよね。
だから何か勉強しようというより、本当に興味を持って手を出してみる。それが一番いいんじゃないかなと思います。
20年やれば、できることは自然と増える
Webの仕事だけで言えば、今年で27年か28年になってきたわけです。
一つの仕事を20年以上やれば、そりゃあできることは多少増えますよ。どうやったって。
今もまだ現場にいて、インフラの構築や設計をやったり、プロトコルフローを書いたり、監視の設計をやったりしています。
でも僕、サーバーをゼロから作ることは全然できないし、『AWS』なんてサービスがいろいろありすぎて、わかっているのはごく一部ですよ。
結局はOJTの中で「こういうのがあった」というのを、その時に泥縄的に調べて積み上げてきただけなんです。網羅性を持って勉強してきたわけじゃありません。
これは前も言ったのですが、自分の過去の経験は、自分で使うようにしていかないと使えるようにはならないと思うんですよ。
昔、ハードウェアを買って、データセンターにサーバーを持っていって、キッティングをして、ということもやっていました。そういう経験が今に活きているから、多芸そうに見えていただけているんじゃないかなと思います。
制作の知識も、マーケティングの知識も、どっちも必要
ディレクターにとって、制作の知識とマーケティングの知識、どっちが重要か、という質問もいただきます。でも僕の答えは、どっちも必要、です。
ディレクターは、いろんなメンバーの間で翻訳をして、ハブになっていく人間ですよね。
クリエイティブのメンバーの言っていることが全然わからなければ、「こいつに言ってもしょうがないや」と思われてしまいます。
一方で戦略や戦術を練るには、マーケティングの知識も要る。これはデジタルマーケティングに限った話じゃありません。
人が購買行動を取るのはどういうきっかけなのか、社会の変化で人の行動はどう変わるのか。そういうレベルも含めての話です。
今はWebだけを考えていればいい時代ではもう全然ないので、これはもうどっちも必要というのが答えだと思っています。
じゃあどう学ぶか。もうこれも頑張るしかない、というのが正直な答えなんですよね。
知識も「空気を吸うように」身につけたい
そもそも僕は、Web制作の知識もマーケティングの知識も、興味を持ってほしいと思っています。
本当に一番最初にHTMLを書いた時、マーキーというタグがありました。文字を囲むとブラウザ上で右から左に動くんですけど、あれを見て「うわ、文字が動いた」と感動したんですよ。
あとは最初にパールでカウンターを自分のサイトにつけて、500回見られている、おおっ、と。すごくのどかな感じですけど、あの頃はそれでワクワクしていました。
この原体験は、今でも自分の活力になっていると思うんです。
自分に知識があれば、クリエイティブのメンバーとちゃんと話ができる。彼らを追い抜く必要はないけれど、ちゃんと話ができるように、というのは大事なんですよね。
マーケティングも同じで、お客さんと話をするときに、何をもとにその数字を言っているのか、という定量的なデータを出すには、何を調べるかを考えられる方がいい。
だから、その知識を身につけることが苦にならないくらいじゃないと、この仕事を続けていくのは正直しんどいんじゃないかと思います。本当に空気を吸うように身につけるのが大事かなと。
どんどん新しいものが出てくる業界です。だからこそ、興味を持って頑張れるかどうか。結局はそこに戻ってくるんじゃないかなと、僕は思っています。
最後に少し告知になりますが、ここからしばらく9月ぐらいまで、いろんなところでセミナーに登壇させていただく機会が増えました。8月26日は鳥取、9月9日は名古屋の『ダブキャン』というイベントで登壇します。お越しいただける方がいれば、久しぶりにご挨拶できたら嬉しいです。
喋ってくれよという話があれば、いつでもどこでも赴きますので、ぜひお声がけいただければなと思っております。それでは、また来週。
まとめ
僕は多芸なわけではなく、得意な領域でやっているのと、20何年続けてきた積み上げがあるだけなんです。制作もマーケティングもどっちも必要で、それを空気を吸うように身につけられる興味があるかどうかが、この仕事を続ける鍵だと思っています。
- 「多芸」に見えるのは、得意な領域で勝負しているから
- 興味と関心がなくなったら、この仕事は続けられない
- 過去の経験は、自分で使おうとしないと使えるようにならない
- ディレクターには制作の知識もマーケティングの知識も両方必要






