怖いのは、なくならない
正直に言いますね。ダメ出しが怖いこの気持ちは、絶対になくならないと思った方がいいです。
私も昔は絶対そうでしたし、なんなら今でも結構そうですよ。
特にこの年になってお客さんのところに出ていくと、「あなたのキャリアで期待してたのに、これですか」みたいな顔をされたらどうしよう、そんなことになったら死にたくなるな、とか思いながらやってます。
デザイナーでもディレクターでもエンジニアでも、営業さんが見積もりを作った時でも、ものを作る仕事にこの怖さはずっと付きまとうものだと思うんです。
だからまず、なくならないものとして受け入れてしまう。そこがスタートかなと思います。
むしろ「ダメ出しをしてくれ」と思っておく
おハガキの方はデザイナー2年目ということでした。だとしたら、むしろ考え方を逆にした方がいいです。
端からダメ出しは出るものだ、というくらいに受け入れておく。黙っていても、キャリアを重ねると誰もダメを出してくれなくなるんですよ。
これはできる・できないの話じゃなくて、年齢が大きいと思うんです。
20代なら「ここはこう考えなきゃダメでしょ」と言ってもらえる。でも、たとえば45歳や50歳で始めた人だと、「もうできてくるんじゃないか」と勝手に思われて、指摘されなくなっていく。年齢やキャリアに、いろんなものが勝手にくっついてくるんですよね。
だから若くて2年目の今こそ、「諸先輩方は私が成長する糧になれ」「あなたたちは自動で私にダメを出すマシンだ」くらいに心で思っておく。
ダメ出しをされるたびに、よしよし、いいダメ出しをしてくれるじゃないか、それも全部私の糧になるのだ、と。それくらい思っておかないと、もの作りの仕事なんてできないですよ。
先輩は身内。厄介なのはお客さんの方
それにね、先輩なんて言ってしまえば身内ですよ。まだ自分の会社の人です。
足の引っ張り合いをしているような会社は別として、そうでなければ先輩は身内なわけです。
本当に厄介なのはお客さんの方です。
先輩もOK、ディレクターもOK、なんなら社長もOKしてる。それでお客さんに出したら「違うね」と言われる。じゃあ何を信じたらいいんだと、若い時は本当にそう思いましたからね。
それに比べれば、先輩の「これはこうした方がいいよ」は、少なくともいいものになってほしいからだし、あなたの成長のためだと思っているのは、まず間違いないと思うんです。
私自身、うちの会社の子に厳しいと思われているかもしれません。でも、そう思ってやっているつもりなんですよ。
「自信」の意味を取り違えない
おハガキには「自信を持てるようになるには何から」と書かれていました。ここで大事なのは、自信の意味を取り違えないことです。
自分の出したものを全員が納得してくれる、というレベルの自信なら、2年目でそこは目指さない方がいいです。
そうではなくて、まず押さえるべきセオリーはあるんですよ。黄金比のような比率の話もあれば、赤は暖色・青は寒色といった色彩の話、PCで見た時のFの法則やZの法則みたいな視線誘導もある。
こういう座学で押さえられることをやっていないと、「調べたらわかるのに、なんでやってないの?」という、いちばん厳しく聞こえるダメ出しが来ます。
その上で、UIやユーザー体験みたいな部分は、先輩の経験や感覚から来るものです。
「なんでそう思うの?」と言われたら、あなたが10年やってきた経験をこう言ってくれるのか、それはもらっておこうじゃないか、と思えばいいんじゃないかと思うんです。
ダメ出しは人格否定じゃない、と思えるまで
偉そうに言っている私も、簡単にここへ来たわけじゃありません。
声優の養成所に行った最初は、こてんぱんにダメ出しされて、本当にきつかったです。
素直に受け入れられるようになったのは、東京に出てきて3年目くらい。いろいろあって、別に自分の人格を否定されているわけじゃないんだと、ふと思い至れたんですね。
若い時は多少跳ね返ってもしょうがないとは思います。でも、その跳ね返り方は気をつけた方がいい。
「お前らは年ばかり取った老害で、私のセンスがわからない」みたいな方向はやめておいた方がいいです。
なんでもかんでもペコペコ従えという話ではないんです。ただ、言ってくれる人がいる限りは素直に受け取ってしまって、それを自分の中でどう生かすか殺すかを考える。そのくらいでいいんじゃないかなと思います。
まとめ
ダメ出しの怖さは、たぶんこれからもなくなりません。私だってビビりながらやっています。それでも、2年目の今こそ「もらえるうちにもらっておく」くらいの気持ちでいてほしいなと、今は思っています。
- ダメ出しの怖さはなくならないので、まず受け入れてしまう
- 若くて経験が浅い今こそ、ダメ出しを成長の糧としてもらいに行く
- 先輩は身内。本当に厳しいのはお客さんの評価の方
- 全員を納得させる自信ではなく、まずセオリーを押さえることから始める






