そもそも「勝つ方法」なんてあるのか
正直に言うと、これで絶対勝てる、みたいなものはないと思っているんです。
だってコンペには外的な要件がいっぱいありますよね。
お客さんの財布事情、付き合える会社の規模、上場していないとダメとか。
そういう自分ではどうにもならない条件で決まってしまうこともある。
企画書としては自分がすごく頑張ったけど、他社の人がもっとすごかった、ということだってあるわけです。
なので「自分は頑張った」「いい提案だった」というのは、なかなかそのまま評価にはつながらないんですよね。
それでも1つだけ、私がずっと意識していることがあります。
==クライアントを何で口説き落とすのか==がはっきりしているか
私が大事にしているのは、このお客さんを何で口説き落とすのか、それがどれだけはっきりしているかということなんです。
そして、できればそれを金額にするのは最後の手段であってほしい、と思っています。
「こうすればこのサイトやサービスはもっと伝わるし、もっと良くなるのに、なんでやってないんだろう」。
そういうものを見つけて、これをやれるのは私だけです、絶対に任せてくださいと自信を持って言える何かが企画の中にあるかどうか。
ここが分かれ目じゃないかなと思っているんです。
というのも、お客さんの問題がはっきりしている場合、その答えって、ある程度ウェブを作ってきた人なら誰でもそれなりに出せるんですよ。
問い合わせを増やしたいなら、動線の設計はできているか、そのインダストリーへの理解があれば「ここできてないですね、こうした方がいいですね」とは言えます。
でも提案された側からすると「そうだね、わかるわかる」で終わってしまう。
刺さるわけではないんです。
「そうだったのか、この提案すごいな」と言わせる何かがいる。それが私の言う「口説き落とす何か」なんですよね。
淡い期待に、誠実にノーを言うという口説き方
口説き方は、必ずしもいい提案をぶつけることだけじゃないと思っています。
たとえばお客さんが淡い期待を持っているものに対して、誠実にノーを言う、というやり方もある。
「いやいや、それでうまくやりたいって、できるわけないじゃないですか。うちはずっとやってきて、それでうまくいかないと知っているから、今回はむしろやめる提案をしているんです」。
そう言われると「ちゃんと言ってくれるんだ」と感じてもらえるかもしれない。
もちろん、それがお客さんにとって絶対にやめちゃいけないことだったら、依頼の全否定になってしまう。
だから言い方や提案書の出し方はすごく気をつけないといけないんですけどね。
要は、この人に自分の思いを信じてもらえるか、理解してもらえるか、いいねと思ってもらえるか。
これがないと、最後の数社まで残っても金額勝負になった瞬間、めちゃくちゃ不利なんです。
金額にメスを入れるのは、最後の最後にする
私は本音を言うと、他社より高いくらいの金額で出して、それでもうちにくださいと言いたいんです。
だってそれは、私たちの企画書を文字通り高く買ってくれているということですからね。
だから金額を下げて取ることには、なるべく手を出したくないんです。
いちばん最悪なのは、値下げして取ったのに、お客さんがその値下げを知らないパターン。
こっちは「値下げしてやってるんだ」と思っているのに、お客さんは「満額出しているのに、なんでその態度なの」となる。
これ、口に出せない喧嘩みたいになって、決していいものはできないんですよ。
だから金額にメスを入れるのは、最後の最後の最後くらいにしておいた方がいいと思っています。
5連敗が続いているのは、もしかすると「これで口説き落とすんだ」というものがお客さんに感じられていないからかもしれません。
横並びで「この提案もいいよね」になっていたり、あいみつのために残されているだけだったり。
それだとショックですけど、社内で見返したときに焦点がぼやけていないか、確かめてみてほしいんです。
あれもこれも全部に重きを置くと、結局どこにも重きが置かれていないことになる。
見ている側は「面白いのはわかるけど、他との差別化はあんまりない」となってしまうんですよね。
まとめ
コンペに絶対勝てる方法は、たぶんありません。でも、お客さんを何で口説き落とすのかを研ぎ澄まして磨いて、最後に「ああ、そういうことか」とわかる企画書になっているか。まずはそこを見返してみてほしいなと、いまの私は思っています。
- 「絶対勝てる方法」はないが、口説き落とす一点をはっきりさせることはできる
- お客さんの問題への答えは誰でも出せる。刺さるのは「これをやれるのは自分だけ」と言える何か
- 淡い期待に誠実にノーを言うことも、信頼を得る口説き方になりうる
- 金額を下げて取るのは最悪の喧嘩の火種。メスを入れるのは最後の最後にする



