答えはシンプルで「それ以外できないから」
結論から言うと、私がウェブディレクターを名乗っているのは、それ以外にできることがないからなんです。
もちろん経営者はしています。でも、お客さんとの打ち合わせで「はじめまして、経営者の名村です」なんて言わないですよね。
案件においての役割は、経営者でも代表でもなくて、ディレクターなんです。
プロデューサーと名乗らない理由も、これはもうはっきりしています。私はプロデューサーには絶対になれないからです。
以前この番組にゲストで来てくれた角掛健志さんはプロデューサーなんですが、彼と話していると「あ、俺は絶対にプロデューサーになれないな」って毎秒思うんですよ。
考え方がまったく違うんです。角掛さんと私でセミナーをやったとき、タイトルが「角掛さんと名村さん」になったくらい、見ているものが違いました。
デザイナーも無理でした。マークアップも、サーバーサイドも、インフラもやりましたけど、才能はなかったし、残ったのは知識だけ。
消去法みたいで少し情けないんですけど、私に残っているのはウェブディレクションだけなんです。
「ウェブディレクターを誇れる仕事にしてください」という言葉
名乗り続けているのには、実はもう一つ理由があります。
この業界にいて、私がすごく尊敬している同世代の友人が何人かいるんですが、そのうちの一人に言われた言葉なんです。
2006年か2007年くらいだったと思います。当時からウェブディレクターは「何をやってるかわからない」「全体の雑用だ」なんて言われることもありました。
その彼が書いた本にサインをしてもらったとき、「ウェブディレクターを誇れる仕事にしてください」と書いてくれたんです。
別に呪縛だとは思っていないし、そこにものすごく固執しているわけでもないんです。
でも、この番組のタイトルが「ウェブディレクションやってますラジオ」なくらいなので、やっぱりウェブディレクターへのこだわりはあるんだと思います。
私はもう2000年からウェブディレクター育成講座をやっていて、今年で25年目くらいになります。ウェブディレクターの地位向上みたいなことは、なんとなくずっと思い続けているんですよね。
この仕事が、いまだにおもしろい
そもそも私は、ディレクターという仕事が好きなんです。
企画を考える、ワイヤーを引く、スケジュールを管理する、定例でお客さんと膝を突き合わせて侃々諤々やる。その一つひとつが全部好きなんですよ。
私は多分かなり飽きっぽい性格なはずなんですけど、これだけ長く続けられているんだから、まだ自分の中でおもしろいんだと思います。
やっていると「ああ、もっとこうすればよかった」と毎回思うんです。コミュニケーションのことも、ドキュメントのことも、UIやユーザー体験の設計のことも。もっといいものができるんじゃないかと今でも思っています。
トクサトさんが「会社員だからウェブディレクターを名乗るのは自然だ」と書いてくれていて、その感覚は私もよくわかります。
私は自分の会社のオーナーですけど、少し言葉遊びかもしれませんが、「サービシンクという人に代表をやれと言われている」という感覚なんですよ。
日本では会社を法人と言いますよね。だからやっぱり人なんです。サービシンクさんという人に「お前が経営者をやれ」と言われたから、わかりましたとやっている。
その意味では、私も会社の中での役割としてウェブディレクターなのだから「はい、私ウェブディレクターです」と言っているだけ。トクサトさんとまったく同じなんです。
経営者やプロデューサーになった人たちは、見ている視座ややることがピボットしたから、そう名乗っているんだと思います。私はプロデューサーになれないので、なれないというだけなんですよね。
まとめ
ウェブディレクターを青春だったとは思わないし、かっこつけて言うなら今も青春かもしれない、くらいには楽しくやっています。意固地になって名乗っているわけではなくて、他のものがどうにも自分にはまらない、というのが正直なところです。そんな大層な理由じゃなくてごめんなさい、という感じですが、いまの私の現在地はこんなところです。
- 私がウェブディレクターを名乗るのは、消去法的に「それしかできない」から
- 尊敬する友人にもらった「ウェブディレクターを誇れる仕事にしてください」という言葉が、いまも自分の中にある
- 企画・ワイヤー・スケジュール・お客さんとのやりとり、その一つひとつが今でも好きでおもしろい
- 経営者は「会社に代表をやれと言われている」感覚で、役割としてはやっぱりウェブディレクター






