フロント出身の私が、いつのまにかシステム好きになった話
いただいた質問はざっくり言うと、私はシステムが強そうに見えるけど、デザインやUIUX側も強いのか、両方強くすることってできるのか、という内容でした。
まず正直に言うと、私はスクラッチ開発、いわゆるゼロからのシステム開発は大好物なんですよ。
でも意外に思われるかもしれませんが、WordPressはほとんど詳しくないんです。プラグインもわからないし、いわゆる魔改造なんてもう全くできないと思います。
ちゃんと仕事でWordPressをいじったのって、もう何年もないんじゃないかな。会社のサイトがWordPressなのでブログは投稿してますけど、実装まわりはさっぱりです。
で、そもそも私はもともとフロントの人間なんですよね。フロントエンド実装とか、当時で言えばIA、情報設計みたいなところがどストライクでした。
UIやUXも、ディレクターとしてワイヤーを書くときにどうあるべきか、学術的なところは何度か勉強した上でやってきたので、好きは好きなんです。
それがですね、自分の会社を立ち上げてからゼロベースの開発がすごく増えて、サーバーの負荷が上がらずに済む設計みたいなところに興味がだんだん増えてきたんです。
その結果、今はシステムがゴリゴリに絡むスクラッチ開発も大好きになった、という順番なんですよね。
苦手なままでいい、と私が思う理由
では両方強くできるのか。これはね、苦手だというのであれば苦手なままでいいんじゃないかな、というのが私の答えです。
たとえばデザインが好きで得意な人が、システムもゴリゴリ行けますよ、というケースってそんなに多くないと思うんですよ。フロントはあると思いますけどね。
フロントやUIの話と、システムゴリゴリのところって、趣味嗜好が全く違う世界なんじゃないかと思います。
だから苦手なら、システムが強い後輩ディレクターや、エンジニアに頼る。私はそれでいいんじゃないかなと思いますよ。
何でもかんでも全部一人でやらなくてもいいんです。私はただ好きだからやってるだけなので、ディレクターだから全部できなきゃいけないなんてことは思いません。
私はWebディレクター育成講座をずっとやってますけど、そこでも、用語や仕組みは覚えておいた方がいいけど、エンジニアと対等に技術を語れるほど詳しくなる必要はない、と伝えています。
だってそのためにエンジニアがいてくれるわけですからね。
「伝書鳩」と言われないための最低限
ただ、おハガキには「あいつは伝書鳩か」という評価が耳に入ってきて焦っている、と書かれていました。
これはね、わからないからよろしく、という丸投げをしていると、どうしてもそうなっちゃうんですよね。
だから苦手は苦手でいいんですが、エンジニアという職域の人たちと話せるようになるための用語の理解は、仕事として必要だと思います。それは純然たる事実です。
ここで思うのは、私たちの仕事って比較的専門職だということなんです。
大きな会社だと、総務に行って営業に行って人事に行って、というジョブローテーションがありますよね。「人事なんてやったことないけど、辞令だからやるか」と皆さんやっているわけです。
でも私たちの業界で、デザイナーがある日突然「明日から君はエンジニアだ」と辞令で言われることって、ほとんどないじゃないですか。
私は去年まで大学院に行っていて、製薬会社の友人とかもいるんですけど、彼らだって最初から今の仕事に興味があったわけじゃなくて、仕事だから勉強して成果を上げているんですよね。
だから私たちも、「エンジニア苦手なんで」で止まらずに、伝書鳩と言われない程度の知識は、努力して覚えるべきかなと思うんです。
丸投げするんじゃなくて、一回自分がクッションになる。ここまではわかったけど、ここってどうなの、と自分のところで通過させる。それができればいいんじゃないかなと思います。
両方ゴリゴリに、は時間が解決するしかない
では、両方ともゴリゴリに強くなることは現実的にできるのか。
エンジニアと話しても「お前エンジニアか」と言われ、デザイナーと話しても色の話まで語れる。そのレベルの強さは、もう時間が解決するしかないと思います。簡単には無理です。
私だって今年で30年目ですからね、この仕事。30年もやれば誰でもできるようになりますよ。いろいろやってきて、辞めてないからです。
だから私が得意そうに見えるものがあったとしても、それは時間が解決してくれているだけなんですよね。
私だってWebの出島のあたりは全然苦手ですし、でも知識は一応押さえておかなきゃね、というくらいの話です。
企画力や想像力は、鍛えた方がいい
もう一つ、想像力や企画力が弱くて毎回苦労している、というおハガキもいただきました。ChatGPTのディープリサーチに助けられているけど、自分に想像力がないから結果が正しいのかわからない、と。
結論から言うと、これは鍛えた方がいいと思います。
調べることは、これからどんどん生成AIに任せるのが当たり前になっていくはずなんです。今年の年末にはもっとすごくなっていると思いますし。
そうなると最後に残るのは、だからどうする、という部分なんですよね。今のところ、ここは人間の仕事として残ると思います。
企画や発想って、ゼロから作るものはそんなになくて、情報やアイデアの種を掛け合わせて生まれる、と昔から言われています。だから情報をたくさん入れるのは大事だけど、だからどうする、を考えた方がいいんです。
発想が苦手な人には、ちゃんとしたスキームがあります。ブレインストーミングみたいな強制発想法や、発散した発想をまとめるKJ法みたいなフレームワークですね。
最初はこういうフレームワークを使って、頭に発想の回路を作るのがいいんじゃないかと思います。
そして、私が育成講座でよくおすすめしているのが、目に映るものに「なんでやねん」とツッコミを入れて、その答えを自分の頭で考える癖をつけることです。
人間が作ったものには、形や色や大きさに何かしら意味があるはずなんですよ。正解じゃなくてもいいから、これはきっとこういう意図だろう、と考えてみる。
これを癖づけていくと、企画やアイデアを考える回路が頭の中にできてくるんじゃないかと思っています。
まとめ
フロントもシステムも両方ゴリゴリに、というのは正直ハードルが高いです。でも、苦手なままでも、丸投げにしない最低限の知識を持つことはできる。いまの私はそう考えています。
- フロントとシステムは趣味嗜好が違うので、両方ゴリゴリに強くするのは簡単ではない
- 苦手なら人に頼ってもいいが、伝書鳩にならない程度の用語や知識は努力して覚える
- 両方の強さは、結局は時間が解決してくれる部分が大きい
- 調べることはAIに任せる時代でも、だからどうするを考える想像力・企画力は鍛えた方がいい






