若手の「できることで補う」気持ちはわかる、でも
相談をくれた方は、まだできることが少ないから、自分のできることで目標達成に近づけようと考えたそうです。
掃除を頑張る、来客時のお茶出しを率先する、朝早く出社する。どれも部内の誰よりもやっている自信がある、と。
この気持ち、僕もすごくわかるんです。若手の時って大した成果を上げられないので、そういったことでしか貢献できないなって思うんですよね。
僕が若い時、20年、30年くらい前は、挨拶がちゃんとできるとか、声が大きいとか、朝早く出ているとか、そういうことも今より評価されていました。
ただ今の時代、それだけで評価を取りに行くのは、やっぱりちょっと難しいんじゃないかと思います。
評価には優先順位がある
ここで一番大事なのは、評価には優先順位があるということなんです。
何を評価していくか、という順番があって、エンジニアだったらエンジニアでやるべきことができた上で、掃除やお茶出しをやっているなら、それは評価できると思います。
これは僕もすごく納得できるんです。
なぜなら、自分の職域が達成できていないんだったら、そういうことをやる前に、まず評価を取るための本業の部分をちゃんと頑張りなさい、ということだからです。
自分のやるべきことができていない中で他のことをやると、エンジニアからすると雑な仕事になってしまう。
そこをやっても、自分の給料を稼いでいることにはならないんですよね。
「作業をしている」と「稼いでいる」は違う
仕事をしていると、「給料分は稼ぎなさい」みたいな話はなんとなくわかると思います。でも、それってどうやればいいのかは、意外とわかりにくいんですよね。
特にクライアントと直接やりとりをしていなかったり、見積もりで「高いね」なんて言われる立場じゃない場合、自分がいくら稼いでいるのかって、やっぱり見えづらいと思うんです。
そうなると何が起こるかというと、作業をしているから自分は働いている、という錯覚に陥りがちなんですね。
たとえば本来1時間で書くべきプログラムを30分で書けたら、同じ1時間で倍のものが作れるということです。ものすごく単純化していますが、これが生産性という話です。
来客時のお茶出しも、総務の人からすると「若手なのにありがとう」と思ってくれるかもしれません。
でも本質的には、それはその人の役割の仕事なんですよね。
総務の方が電話でどうしても手が離せない、みたいな事情ならわかります。でも、自分のプログラムで成果が上げられないからお茶出しをするというのは、本末転倒なんです。
その時間があるなら、総務の仕事をわざわざ取るより、自分のプログラムの研鑽を積む方が優先度が高い。上司の方はきっと、そういう評価をしたんだと思います。
学校と会社は、そもそも立場が違う
相談の中に「世間的にも普通なのでしょうか」とありました。程度の差はあると思いますが、キャリアを積んでいくほど、こういう評価はどんどん色濃くなっていきます。
ここで大事なのが、学校と会社の違いなんです。
会社は、給料をもらって仕事をしているところ。一方で学校は、自分たちがお金を払って行っているところなんですよね。
だから学校からすると、究極的には全員がお客様なんです。
僕自身、遠回しに聞いた話ですが、私立の学校では入試を何人が受けてくれるかが、先生方の成績になっているというのを聞いたことがあります。
学校の時なら、勉強はいまいちでも体育祭の運営委員で頑張ったり、文化祭で頑張ったりすることが「あいつあそこら辺で頑張ってるよね」と評価されていたと思うんです。
でも、社会は残念ながらそうはいかないんですよね。会社という組織はそういう場所なんです。
この違いを理解した上で付き合っていかないと、すごくフラストレーションが溜まってしまうと思います。
なので僕はよく言うんですけど、もうポジティブに諦めて、「しゃあねえか、そういうもんか」と一回口に出す。
その上で、まずはエンジニアとしてのスキルを高められるように、会社にいる時間を全部そこに費やしてほしいなと思います。
まとめ
厳しい言い方になったかもしれませんが、まず本業のスキルを上げること。他のことで補おうとするのは、その次でいいんじゃないかと僕は考えています。学校の感覚と会社の感覚は違う、というところにさえ気づければ、しんどさはだいぶ変わってくるんじゃないでしょうか。
- 会社での評価には優先順位があり、まず自分の職域の仕事ができているかが最初に見られる
- 本業ができていないまま他の貢献をしても、上位の評価を補完することにはほとんどならない
- 作業をしているだけで「働いている」と錯覚しがちだが、稼げているかは別の話
- 学校は全員がお客様だが、会社は給料をもらって働く場所という、根本の違いを理解しておく






