美大にも行かず、スポーツ推薦から始まった経歴
『北沢直樹』さんは、アーティストや声優さんのキャラクターデザインをしたり、テレビや新聞にイラストを提供したりしているそうです。
ワンピースや攻殻機動隊のデフォルメキャラを商品用に描いたり、『Adobe Express』のアンバサダーとしてワークショップもされているとか。
ただ、経歴を聞いていくと、いわゆる王道ではないんですよね。
北沢さんは「まず僕は美大には行ってません」と話されていて、もともとは中学でサッカー、高校はスポーツ推薦で陸上という、ガチガチのスポーツマンだったそうです。
それが大学で夜のクラブ活動に勤しんで昼夜逆転してしまい、「もうこのままじゃ良くない」と自分で気づいたのがきっかけだったと。
そこから、あるゲーム雑誌の裏に載っていたデジタルハリウッドの広告を見て話を聞きに行き、大学を辞めてデザインを学び始めたそうです。
この行動力の時点で、僕はもうすごいなと思って聞いていました。
「持ち込み」で仕事を取ってきた行動力
デジタルハリウッドを出たあと、北沢さんは一度Web会社に就職したそうなんですが、イラストだけでいいと言われて入ったのに「コードとか勉強して」と言われて、1ヶ月で辞めたんだそうです。
イラストレーターとしてやるなら持ち込みだろう、出版社なら東京だろうということで、大阪から東京に出てきたと。
コンビニで雑誌を立ち読みして、裏に載っている電話番号をメモして、そこに電話して「持ち込ませてください」と予約する。
ポップティーンやキューティーみたいな雑誌に、そうやって描かせてもらうようになったそうです。
もちろん、もらえない出版社もたくさんある。ポートフォリオを置いて帰って、あとは連絡待ち。仕事がないから引っ越しのバイトもしていたと話されていました。
今ならSNSがありますけど、当時はこのやり方しかない。その行動力がないと、やっぱり無理なんじゃないかと思いながら聞いていました。
実はこの話、僕も他人事じゃないんですよね。
僕は学生をしながらバイトでWebの仕事を始めて、就職して東京に出てきて、役者の夢が破れて、気づいたら会社を作っていました。
20代の頃の自分に「そのぐらいのことになるよ」と話しかけても、絶対に信じてもらえないと思うんです。
まさかのSEOで、テレビの仕事の指名が来る
北沢さんは「テレビの仕事が大好きなので、テレビの仕事をやりたい」と何度も話されていました。
自分のイラストがテレビに使われると嬉しくてたまらない、テレビっ子なんです、と。
そこで僕が気になったのは、雑誌とテレビって別じゃないですか。テレビにどうやったら使ってもらえるのか、これって多分みんな分からないと思うんですよね。
選んでテレビ側に行けるものなんですか、と聞いたら、返ってきた答えがまさかのSEOでした。
北沢さんのポートフォリオサイトは、会社の仲間が作っていて、SEO対策をしっかりしているそうです。
何をしているかというと、「テレビロゴ」で画像検索すると、北沢さんの画像が一番上に出るようになっているんです。
収録中に実際にモニターで検索してみたら、本当に一番上に出てきて、僕は思わず「すげえ本当だ」と声が出ました。
テレビ番組のディレクターやADさんが「ロゴを描ける人を探してこい」と言われたとき、大体「テレビロゴ」で検索する。そこにちょうどいいのが出てくる、という仕組みなんですね。
サイトのグローバルナビゲーションの制作事例も、一番上が「テレビ」になっている。これも、自分がテレビの仕事をやりたいからだと話されていました。
実際に見つけてもらって連絡が来る。先日のBS吉本のロゴデザインも、完全にこの流れだったそうです。
「どうやって僕のことを知ったんですか」と聞くと、Web検索で出てきたという答えが多い。だからSEO対策しかないだろう、という作戦なんですね。
Web屋の僕らより、よっぽどWebのことを考えている気がして、正直ちょっと驚愕でした。
「見つけてもらう施策」を打ち続けるということ
もう一つ印象に残ったのが、北沢さんが自分の仕事を「運です」と言い切っていたことです。
SEOは実力で取りに行くものだけど、そこで見つけてもらえるかは運。描いた絵にOKをもらえるのは実力だけど、そもそも見つけてもらうのは運だと。
だからこそ「見つけてもらうための施策はどんどん打っていきたい」と話されていて、この姿勢はイラストの世界に限らないなと思いました。
ギャル曽根さんのイラストを別の局で描いたときは、ご本人が「あの時の絵が可愛かったからあの人に描いてほしい」と言ってくださったそうです。
描いた人が喜んでくれるのが、イラストレーターとして一番嬉しい瞬間で、それがモチベーションなんだと。似顔絵でもみんな喜んでくれる、と話されていました。
北沢さんは2000年デビューで、当時はTwitterもなかったからこのやり方しかなかった、とも言っていました。
今は漫画家さんがSNSで作品を出してバズってデビューする流れもありますよね。時代によって「見つけてもらう」入り口は変わるんだなと、改めて感じました。
まとめ
イラストの楽しさを聞くつもりで始めた収録が、まさか一番の学びがSEOだったとは、僕も思っていませんでした。手段は時代で変わっても、「見つけてもらうための施策を打ち続ける」という考え方は、僕らWebの仕事にもそのまま効く気がしています。
- 北沢直樹さんは美大にも行かず、スポーツ推薦の経歴からイラストレーターになった
- 若い頃は雑誌に電話して持ち込みを重ねる、という行動力で仕事を取っていた
- 今は「テレビロゴ」の画像検索で上位を取り、テレビの仕事の指名につなげている
- 見つけてもらうのは運だからこそ、そのための施策を打ち続けるという姿勢が印象的だった







