地元2市町の道路予算「カットした」
問題となったのは、農林水産大臣を務める衆議院議員の簗和生さんの発言です。神田さんによると、簗さんは地元の自民党支部の会合で、那須烏山市と那珂川町の令和8年度(2026年度)の道路予算を大幅にカットしたという趣旨の話をしたといいます。
簗さんの地盤は栃木県の3区で、両市町はその中にあります。神田さんの説明では、発言の中で那須烏山市は前年比64%減、那珂川町は54%減にしたと述べたとされています。
会合は今年5月で、9月末に週刊文春と週刊新潮のそれぞれのネット版が報じたのが発端だと神田さんは説明しました。国土交通省から両市町に交付される交付金は実際に減っており、簗さんの言う通りになっていたといいます。
自民大勝の衆院選で、なぜ敗れたか
発言が問題になった背景として、神田さんは2026年2月の衆議院選挙を挙げます。高市早苗首相のもとで初めての選挙で、神田さんによると自民党が大勝し、立憲民主党と公明党が組んだ中道改革連合は小選挙区で7人しか当選しなかったといいます。
その中で、自民党公認で立候補した簗さんは選挙区で敗れました。神田さんによると、栃木3区では党籍が自民にある無所属の新顔候補が当選し、保守分裂選挙になったといいます。
簗さんは何度も当選してきた人物で、惜敗率によって比例区で復活当選しました。神田さんは、自民党がこれだけ勝った選挙で選挙区で負けたこと自体が珍しいと話します。高市首相も「私の簗ちゃん」「大事な簗ちゃん」と言って、しきりに応援していたといいます。
神田さんによると、那須烏山市の市長と那珂川町の町長は、この選挙で新顔候補の支援に回っていました。会合での発言は、そうした対応をするなら予算をカットするという趣旨だと受け取られているといいます。
発言は認めたが、働きかけは否定
簗さんは10月2日に記者会見を開き、報じられた発言を大筋で認めました。神田さんによると、道路予算を削減するよう働きかけたことはないと否定し、予算配分の結果について問い合わせただけだと説明しているといいます。
簗さんは「カットした」との発言を撤回して謝罪する一方、農林水産大臣の辞任は否定しています。
発言の問題点について、神田さんは、両市町は簗さんの地元で、簗さんに投票した有権者もいると指摘します。そのうえで、国会議員は自分に投票した人もそうでない人も含め、国民全体のために働くのが当たり前だと話しました。
神田さんは、自分を応援しない人に対しては政治家として仕事をしないと言っているのに等しいと述べています。神田さんによると、自民党内からも「奢りであり、決して許されるものではない」といった批判が出ているそうです。
高市首相は国会で簗さんを厳しく注意したとしています。ただ、神田さんによると「とにかく働いて仕事で返せと言っている」として、更迭は否定しているといいます。
神田さんは、簗さんが裏金問題で裏金を受け取っていたとされる人物で、高市首相が「実行力重視の人選だ」と説明して起用した経緯にも触れました。簗さんが辞めることになれば任命責任を問われるのは免れず、首相としても簡単に辞めさせられないのだろうというのが、神田さんの見方です。
事業延期を迫られる名指しの自治体
神田さんが心配だと話すのは、名指しされた自治体の側です。那須烏山市は2026年度の道路工事費として約1億5000万円の交付を国に求めていましたが、配分はその7割だったといいます。
那珂川町については、例年は要望額の7、8割ほどが配分されていたのに対し、今年度は約3割だったと神田さんは説明しました。予算不足で、両市町とも一部の事業を延期せざるを得なくなったといいます。
神田さんによると、那須烏山市の市長は「疑念は一層深まるばかりだ」「納得できる説明責任を果たされたい」とコメントしました。那珂川町の町長も「一日も早く不安が払拭されるよう説明していただきたい」と求めているそうです。
神田さんは、国会議員が橋や道路を作ると地元に利益誘導をアピールする例はよく見られる一方、逆らえば予算を渡さないと言うようなマイナスの例はあまりないと言われていると話します。そのため、簗さんだけの問題なのか、他でも起きていないのかが課題になっているといいます。
「単なる失言ではない」とされる理由
神田さんによると、野党は詳しく調べるべきだとして追及の姿勢を強めています。神田さんは、その対応を「当然でしょうね」と話しました。
理由として神田さんは、こうしたことがまかり通れば、有権者が怖くて自民党の候補にしか投票できないと思うようになってもおかしくないと説明します。
神田さんは、選挙制度や政治の根幹に関わる問題であり、単に言い間違いをしたというレベルではないため、大きく報じられていると述べています。
まとめ
神田さんは、簗さんが対立候補を支援した首長のいる2市町の予算を「カットした」と語り、実際に配分が減って事業延期が出ている点を挙げ、選挙制度の根幹に関わる問題だと説明しました。簗さんは働きかけを否定し、高市首相も更迭を否定しているなか、両市町の首長は説明を求めています。
- 簗さんは会合での「カットした」発言を大筋で認めて撤回・謝罪したが、予算削減の働きかけは否定し、大臣辞任も否定している
- 神田さんによると、那須烏山市の配分は要望額の7割、那珂川町は約3割で、両市町とも一部事業を延期せざるを得なくなった
- 神田さんは、国会議員は投票しなかった人も含め国民全体のために働くべきだとし、単なる失言ではないと見ている



