店舗を減らして旗艦店を増やす、ユニクロの方針とは?
ユニクロが絶好調の一方で国内の店舗数は減っており、店舗の業態も大型店や旗艦店を増やす方向へ改革していく、というニュースが今回の題材です。CEOセオさんはこの報道を深掘りし、ユニクロが今後どんな展開を考えているのかを読み解こうとしています。
かつてのユニクロにはロードサイドのイメージがあり、いろいろな場所に店舗がありました。ただ今後は、銀座店のような1000坪クラスの巨大な大型店・旗艦店に力を入れていく、とセオさんは整理しています。
セオさんによれば、ユニクロは今や世界2位のアパレルブランドにまで来ています。そこから10兆円を目指すうえで、どのような展開があるのかが今回の焦点です。
まあ私もユニクロ、まあ結構買いますよ。ただ私はオンラインなんですね、多く買うのは。
セオさん自身はユニクロの商品を多くオンラインで買っているといいます。サイズ感がEC上で細かく示されていて、一度買ったことがあれば2回目以降はネットで十分だと感じているそうです。
(ネットは)届くのも早いし、非常にいい梱包で届きますから、何の不便もないということも言えるんじゃないかなと思うんですけども。
「すべての店舗がブランドのメディア」という考え方
セオさんが紹介するニュースの要約は、標準店の出店を抑え、都心部の旗艦店や大型店を充実させる方針が報じられた、というものです。国内店舗から撤退するのではなく、店舗を大きくしてモデルを変えていく方向だと説明しています。
ユニクロの公式でも、全ての店舗がブランドのメディアであり、生活のインフラになると語られているそうです。そのうえで、大型店や旗艦店を中心に質の高い体験を提案していく、というのがユニクロの考え方です。
ユニクロはもうブランドも、知名度ももうほとんど100パーセントだと思いますから、あとはどういった体験が提供してくれるのかと。
知名度がすでにほぼ行き渡っているユニクロにとって、店舗で問われるのは「何を体験させてくれるか」になる、というのがセオさんの見立てです。
京都と錦糸町、場所ごとに役割を変える新店舗
具体例として、セオさんは2つの店舗を挙げています。1つは2026年11月6日開業予定の、京都初のグローバル旗艦店です。約960坪・4層という非常に大規模な店舗で、外国人客が多い京都をしっかり味わえる店になるとしています。
もう1つは、2026年9月25日に改装するアルカキット錦糸町店です。約750坪のワンフロアに改装し、キッズ・ベビー売り場を約3倍にするファミリー向けの展開だといいます。
2026年11月6日開業予定。約960坪・4層。インバウンド客に向け、京都を味わえる店で世界へ発信
2026年9月25日改装。約750坪ワンフロア。キッズ・ベビー売り場を約3倍にするファミリー向け
ユニクロは、ただ大型化するだけでなく、場所やシチュエーションに合わせて店舗の役割を変え、お客さんに来てもらおうとしている、とセオさんは整理しています。
ECが伸びたから店を閉じる、は本当か?
セオさんは当初、このニュースを見て「ECが大きくなったから店舗を減らしたのだろう」と見立てたといいます。ところが数字を見ていくと、ユニクロは店舗がとても強いことがわかったそうです。
確かにEC伸びてるんですけど、やっぱりユニクロって店舗が強いんですよね。数字とかを見ていくと強いので。
セオさんは、ファッションはなんだかんだ言ってもブランドビジネスなので、体験や顧客接点をどう作るかに力を入れているのだろうと考えています。京都の旗艦店の公式発表でも、訪日客に加えて世界への発信が明示されていると指摘しています。
そのうえで、ユニクロのEC化率の推移を紹介しています。2022年8月期は16パーセント、2023年8月期は15パーセント、2025年8月期は14.8パーセントで、おおむね15パーセント前後の横ばいです。
ファッション全体の平均EC化率は25パーセントと言われる中で、ユニクロは15パーセント程度にとどまっています。セオさんはこの点から、ユニクロは店舗でしっかり買っている人が多いと読み取っています。
世界の店舗売上トップ10に日本が3店舗
セオさんは、店舗の強さを示す別の数字として、2026年上半期のグローバル店舗売上トップ10を挙げます。1位は銀座店で、その後にニューヨーク五番街などの米国、フランスのパリオペラ店などが続きます。
並びは、銀座、米国、フランス、イタリア、英国、米国、スペインの後に新宿本店、イタリア、そしてユニクロ東京だとセオさんは紹介しています。日本の店舗がトップ10に3つ入っていることから、単純にECだけとは言い切れないという見方です。
ECの質の高さと、XXL・3XLサンプルへの要望
一方で、セオさんはユニクロのECも高く評価しています。Amazonのような大手ECプラットフォームと比べても遜色がなく、届くまでの期間や梱包の質、UIやUXも含めて全部満たしていると話しています。
むしろ、どうでしょうか、僕ユニクロの方が質が高いと思いますね。送られてくる状況としては。
ユニクロは大きなサイズをオンライン専用にしており、店舗とECの棲み分けもできています。ただセオさんは、XXLや3XLはネットで買えてありがたい反面、サンプルを見られないという問題があると指摘します。
だからこのサンプルをぜひ店舗に置いてほしい。1枚とか2枚でいいんですよ、別に。
国内に約770店舗ある以上、すべてに置くのはニーズに合わない可能性もあると、セオさんは認めています。それでも、店舗で試着してネットで買う流れができれば、OMO ── Online Merges with Offline の略。オンラインとオフラインを分けずに融合させ、顧客体験を一体として設計する考え方ですの取り組みとしてそこまでやってほしい、と要望しています。
インバウンド客にとって店舗は「買う場所」
セオさんは、インバウンド向けの店舗も単なる広告ではなく、実際の売り上げをしっかり取っていると話します。ECで購入すると免税の対象外になるようで、ECで買って店舗に持ち込むような方法も通用しないそうです。
そのため訪日客は基本的に店舗で買う流れになり、インバウンド客から見ると店舗は見せるだけのショールームではなく、買う場所になっている、というのがセオさんの整理です。
店舗を約70減らしても増収増益になった仕組み
国内ユニクロの数字として、セオさんは売上収益1兆260億円、事業利益1800億円を紹介します。前年比で売り上げは10パーセント、利益は17.5パーセント伸びているそうです。
国内の店舗数は2013年8月の834店舗がピークで、そこから減り続け、2026年8月末時点で772店舗です。約70店舗減っているのに、売り上げは増えています。
2013年8月、国内834店舗がピーク
2026年8月末に772店舗へ約70店減。それでも売上10%増、利益17.5%増
セオさんは、その背景にレジなどのDXによるコスト削減があるとみています。店舗を増やせば売り上げが上がるというロジックを逆転させている点が、ユニクロのすごさだという見方です。
在庫・店舗・人員を抱えるビジネスで世界2位になる難しさ
セオさんは、ファッションは在庫を抱え、店舗を抱え、人員も抱える、難易度の高いビジネスだと話します。その中でも効率化を図って利益を出し、世界2位のブランドになっている点を評価しています。
さらにユニクロは自社で商品を作るメーカービジネスでもあります。不動産や車のように数百万円、数千万円、億単位の商品を売るのではなく、数百円から数千円の商品でこれだけの売り上げを作っている、とセオさんは強調しています。
やっぱ僕、ユニクロはほんとすごいなと思って。日本を代表する企業だとはもちろん、もう当然なんですけども。
インバウンド構成比約10%、訪日客消費6700億円の意味
ユニクロの売り上げは今や海外の方が国内より多いものの、セオさんはインバウンドの構成比にも注目します。2025年8月期は約9パーセント、2026年は約10パーセントと徐々に伸びていて、ECの15パーセントと比べても無視できない規模だとしています。
国内では、店舗での体験を持ち帰ってもらい、自国でECや現地店舗で買ってもらう流れもありうる、とセオさんは考えています。また訪日客の買い物代は2026年4〜6月で約6700億円で、前年同期の6547億円から3カ月で200億円ほど伸びていると紹介しています。
千坪の旗艦店のリスクと、ロードサイド店の行方
セオさんは、1000坪クラスの旗艦店や大型店は家賃が大きく、リスクも高いと指摘します。そのリスクを広告費、インバウンド客、体験によるロイヤリティ向上に変えて、本業の利益を生み出すことが重要だという見方です。
高い家賃とリスク
1000坪クラスの都心の大型店を抱える
価値への変換
広告効果、インバウンド需要、体験によるロイヤリティ向上
本業の利益
リスクを上回る利益を生み出す
逆に、ロードサイドの「買うだけの店」はこれから縮小していくだろう、とセオさんは予想しています。ネットが苦手な高齢者などもいるため店舗数はある程度キープされるものの、約770店舗から増えることはあまりなさそうだと話しています。
まあそう考えると、まあ日本って770店舗ぐらいしかもうできないと、ファッションはということも、まあある種ユニクロのこの計画からも見えるのかなという気は、しました。
デジタルでも体験重視、そしてラグジュアリーと同じ一等地の論理
セオさんは、ユニクロがECやデジタルでも妥協していない点を挙げます。スマートフォンのサイトはスワイプ式で見づらさもあるとしつつ、ユニクロCや新しいコラボを最初に動画で見せるなど、商品を売るより体験に力を入れていると話しています。
AI時代にデジタル化が進むほど、リアルの体験への回帰が起きている、とセオさんは見ています。そのうえで、1000坪の土地は他社がそうそう真似できない点が重要だと指摘します。
セオさんは、LVMH ── ルイ・ヴィトンなどを傘下に持つフランスの高級ブランド複合企業。世界最大級のラグジュアリーグループですやケリング ── グッチなどを擁するフランスのラグジュアリーブランドグループですといったハイブランドが強い理由として、一等地を巨大な面積で確保していることがよく挙げられると紹介します。土地は有限で、彼らが出ていかない限りその場所は買えません。
セオさんは、ユニクロの1000坪クラスの旗艦店も、他では代替がきかない価値を実現しているのではないかと考えています。錦糸町店などが改装されたら行ってみたい、とも話しています。
まとめ
ユニクロは国内店舗を約70減らしながら増収増益を続け、標準店から都心の大型旗艦店へと店舗モデルを切り替えています。CEOセオさんは、EC化率が15パーセント前後にとどまる店舗の強さ、インバウンド需要、そして一等地の希少性から、この戦略の合理性を読み解いています。
- ユニクロのEC化率は約15%で横ばいで、ファッション平均の25%より低く、店舗で買う人が多い
- 国内店舗は2013年の834店から772店に減ったが、売上は10%、利益は17.5%伸びている
- 京都はインバウンド、錦糸町はファミリーと、大型店ごとに役割を変えている
- 訪日客はECでは免税にならないため、店舗はショールームではなく「買う場所」になっている
- 1000坪クラスの一等地は代替がきかず、ラグジュアリーブランドと同じ強さにつながるとセオさんは見ている


