堆肥を屋外に置けない? リスナーが読んだ記事の疑問
今回の配信は、Spoonのリスナー「みずみずしい」さんから届いた質問から始まります。専門的なテーマですが、川上さん自身も初めて知る内容だったそうです。
久留米市の酪農家は、堆肥を使ってカブトムシを育て、小学校に配る活動をしていたが、法律が変わり、家畜排せつ物を指定施設外に置けなくなったそうです。久留米のカブトムシ特区を作ったことで、昆虫飼育のための堆肥が特例で認められたという記事を読みました。家畜排せつ物は指定施設に置かなければいけないという法律を知りませんでした。川上さんも指定場所に置くのですか?
牛は1日にかなりの量の糞尿を出します。川上さんによると、多い時は1頭で30キロぐらいにもなるそうです。それを処理する「堆肥舎」が牛舎にはあるのですが、これを作らなくてよい特区がある地域を、川上さん自身も知らなかったといいます。
僕もこんな特例特区みたいなところがあるのを知らなかったので、すごい勉強になりましたね。
そもそも「家畜排せつ物管理法」って何?
まずは法律そのものの話から。正式名称は「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」です。
この法律は1999年に成立し、2004年11月に管理基準が完全施行されました。目的は、糞尿が雨で流れて川を汚したり、臭いで地域に迷惑をかけたりしないように管理するという環境保全にあります。
具体的にやるべきことも決められています。固形の堆肥は雨水が染み込まない構造の施設で、液肥は水を通さない貯留槽で保存する必要があります。
さらに、施設内での保管に加えて、点検や修繕、年間発生量などを記録することも義務づけられています。
小さな農家は対象外? 法律が適用されない条件
この法律、すべての農家に一律で適用されるわけではありません。一定の頭数より小さい農家は対象外になります。
| 家畜 | 適用除外となる規模 |
|---|---|
| 牛・馬 | 10頭未満 |
| 豚 | 100頭未満 |
| 鶏 | 2000羽未満 |
つまり、ある程度以上の頭数を飼う酪農家は、堆肥舎と呼ばれる指定施設を必ず持つ必要がある、ということですね。
川上牧場はどうしてる? 堆肥を地域に届けるしくみ
では、川上牧場自身はどうしているのでしょうか。牛舎の横にはきちんと堆肥舎があり、そこで適切に管理しているそうです。
堆肥舎ではブロワー ── 堆肥に空気を送り込む送風機。酸素を供給して微生物の働きを活発にし、発酵を進めて良質な堆肥にするために使われます。をかけて堆肥を発酵させ、近くの耕種農家へ届けています。
出雲だとお米農家さんやぶどう農家さん、お花の農家さんなどに届けたり、家庭菜園をする人に販売したりして処理しているとのこと。
さらに、家畜の糞は資格や県の認証がないと勝手に販売してはいけないという決まりもあります。川上牧場は島根県の堆肥処理施設・管理農家の名簿にも登録されているそうです。
久留米のカブトムシ特区はどうやって生まれた?
ここで、質問にあった久留米市のケースに戻ります。福岡県久留米市に住む酪農家、内田龍二さんの活動がきっかけでした。
内田さんは子供たちにカブトムシを配りたいと、堆肥を屋外で山積みにして幼虫を育てていました。ところが法律の施行で、この屋外での堆積がアウトになってしまったのです。
そこで内田さんは市と国に掛け合い、2005年に「久留米カブトムシ構造改革特区」が誕生しました。
この特区では、行政の監視のもとで防虫ネットや防水シートを使い、堆積期間に上限を設けるなど独自の管理ルールを定めて、例外的に屋外での堆肥を認めてもらったそうです。
川上さんはこの仕組みを、特区は裏技ではなく、追加の責任を負う代わりに例外を許可されるものだと整理しています。
内田さんはこの活動を30年以上続け、全国の子供たちに年間数千匹のカブトムシを、無償でボランティアのように配っているそうです。その積み重ねが認められて、特区の実現につながったのですね。
また酪農の可能性が広がったなと思って。こんなやり方もあるのかと、面白いなと思った取り組みでしたね。
川上さんは賛成?反対? 酪農家目線のホンネ
温かい話に聞こえるこの特区ですが、川上さん自身はどう感じているのでしょうか。コメントで賛成か反対かを問われて、はっきり答えています。
どっちかというと反対ですね。適切に処理してから、その堆肥を山にしとけばいいじゃないって思いますから。
その理由は、川上さんの経験に基づいています。きちんと処理した堆肥でも、カブトムシの幼虫は育つというのです。
去年ぐらいの残ってるやつとか、堆肥舎の隅っこの固まった堆肥をほじくってみると、そこに幼虫がいたりする。わざわざ野積みする必要あるのかなと思ったりしますね。
一方で、川上さんは昔ながらのやり方や、もらった子供たちの嬉しさにも理解を示します。
昔からの活動みたいなのがあったりするので、なかなか言えないところがある。もらった子供たちは嬉しいかなと思いますし。
リスナーからは「昆虫すごい」「カブトムシなんて山で採るまでがカブトムシだ」といった声も。子供の可能性を狭める面もあるのでは、という視点も出ていました。賛否両論いろいろある、というのがこの回のホンネのようです。
まとめ
リスナーの質問をきっかけに、牛フンの処理を定めた法律と、それを乗り越えるための特区のしくみが見えてきた回でした。ルールを守りつつ地域とつながる酪農の姿が伝わってきます。
- 家畜排せつ物管理法は、糞尿による川の汚染や悪臭を防ぐための環境保全法
- 一定規模以上の農家は、雨水が染み込まない堆肥舎で保管し、記録することが義務
- 牛・馬10頭未満などの小規模農家は適用除外になる
- 屋外で使いたい場合は、行政と相談して特区や許可制度で追加ルールを守れば道はある
- 川上さんは酪農家目線から、きちんと処理した堆肥でも幼虫は育つとして、野積みにはどちらかというと反対の立場




