晴れた土曜日、牧場の朝はどんな一日から始まる?
配信は、島根県出雲市の小さな牧場からスタートします。3月8日の土曜日、久しぶりに週末が晴れて、最高気温も10度ほど。お出かけ日和のあたたかい一日です。
この日の川上さんのお仕事は、牛の種付け1頭に子牛の牛舎の掃除。それに堆肥が運べたら、近所の田んぼの方へ堆肥を運んでいく予定だと話しています。
子供がいるんで、お昼ご飯を準備しないといけないんで、早めに作業を終えて、今日はチャチャッとやっちゃおうかなと思っております。
今回のテーマは、農相が石破新内閣で変わってから、牛肉の輸出などの農業まわりがどんどん動いているという流れの中で出てきた、昨日のニュースです。10分〜15分ほどでお届けする回になっています。
牛乳で乾杯、今日の牛の調子は「一桁」?
本題の前に、まずは恒例の牛乳で乾杯。この時期は牛の調子が良く、久しぶりに体細胞の数値が一桁になったそうです。
調子がいいですね。これが本当、年中続けばいいんですけどね。美味しい牛乳になっております。
乾杯のあとにはお知らせも。グッズ販売サイトのSUZURIで新生活応援セールをやっていることや、Instagramの「#未来の牛乳」の取り組みが紹介されました。
「#未来の牛乳」は、こんな牛乳や乳製品があったらいいなというアイデアをAIアートでNFTにして販売する企画です。売上は、こども食堂への牛乳支援や、食育活動の活動費に充てられるとのことです。
新聞が伝える「食品流通の改正法案」って何?
ここから本題です。取り上げるのは、日本経済新聞ウェブの「食品コスト増、取引価格への転嫁を努力義務に、草案決定」という記事です。
政府は7日、食品流通や取引の改善に向けた改正法案を閣議決定しました。食品や農産品の流通・加工を担う事業者を対象に、肥料や燃料といったコスト増加分を考慮して取引する努力義務が課されます。
ねらいは、サプライチェーン全体での取引価格の適正化を促すこと。今は農産物がなかなか価格転嫁できず、せっかく作っても高く売れないために、やめていく農家さんもいると川上さんは話します。
そんな中でのこの法案について、川上さんは「農産物は安いのが当たり前」という今までの空気が、少しずつ変わってきているサインかもしれないと受け止めています。
新法案の3つのポイント、何がどう変わる?
この法案では、食品流通法と卸売市場法の2つが改正されます。政府は今国会での成立を目指し、2026年夏までの施行を見込んでいるとのこと。川上さんは記事の内容を3つのポイントに整理して紹介しました。
3つ目について、川上さんは身近な例で説明します。たとえばお米には国から補助金が出ているので、「補助金分をもうちょっと値段下げてもいいですよね」といった交渉が実際にあるそうです。
いやいや、そこの補助金は、今までの儲けがなかった分で支援として払ってもらってる分なんで、そこを取られちゃってどうしようもないですよ。
これまではそう言えなかったところが、少しずつ言えるようになってきた。それがこの改正のポイントだと川上さんは話しています。
「努力義務」ってどこまで意味があるの?
今回の法改正でカギになるのが「努力義務」という言葉です。川上さんは、これが何なのかも丁寧に説明します。
努力義務のメリットは、コスト増を考慮する意識が広がり、価格交渉をしやすい環境が整うこと。一方でデメリットもあります。
それでも、第三者委員会や公正取引委員会が入ることまで書かれているので、少しは意識されるんじゃないかと川上さんは見ています。
お米が高いと消費者から声が上がっている今、燃料や肥料、人件費が上がっていることをちゃんと伝えれば、消費者も理解してくれるかもしれない。そんな期待も語られました。
酪農にとってこの法案が「うれしい」理由とは?
川上さんは、この仕組みが酪農にとってとても良いと感じているそうです。今の乳価は、乳業メーカーと酪農家の団体、間に入る中央酪農会議やJミルクなどが関わって決まっていきますが、牛乳はなかなか価格を上げにくいと言います。
もし牛乳を値上げして消費量が落ちてしまうと、牛乳が余ってしまい、その余剰をどうするのかという話になってしまうからです。コロナのときには、実際にこうしたことが起きました。
だからこそ「法案で決まっているから」「これを加味すればこの値段」と言えるようになるのは、酪農家にとって交渉しやすいポイントになります。ただし根本の課題も残ります。
結局、消費者の皆さんが食べてくれないと農産物は作れないんで、ここら辺のバランスはどうするのかなっていうのを、今後ちょっと期待するところではあります。
そのうえで川上さんは、繰り返し伝えたいことがあると言います。
農産物が高い、農家は何をやっているんだ、ではなく、「給料が安いぜ」というところを会社に言ってほしい。そんな半分冗談まじりのメッセージで、ニュースの解説はしめくくられました。
「陰謀だ」ってコメントに川上さんはどう答えた?
最後はコメント欄へ。「面白かった。陰謀だ」というコメントに、川上さんは「陰謀ではないですよ」と応じます。むしろ気になるのは、仕入れよりも「その先」だと言います。
スーパーなどが適正価格で仕入れても、販売するときには目玉商品や特売のチラシの品に使われがちなのが、牛乳や卵、お米などの「白物」だという指摘です。
もやしとか白いものって、そういうのにやられがちなんですよね。安売りの時しか買わないみたいな消費者動向があって、牛乳とか卵はもう安いもんだみたいな意識があって売れない。
つまり、努力義務で仕入れてくれても、末端の販売までルールを決めておかないと、結局同じことになるのではないか。川上さんはそんな懸念も口にしました。
うれしい報告もありました。Spotifyのポッドキャストで再生数が2500を超え、これまで40代・50代の男性が多かったところに、10代・20代のリスナーが18パーセントまで増えてきたそうです。
これが嬉しい。ありがとう若者。若者にも合わせて配信やっていきたいんで、おじさんに質問してみて。やりにくいか。
土曜日でお休みの人も、学校やお仕事の人も。「いってらっしゃい、みんな牛乳飲んでね」と、いつもの一言で配信は終わります。
まとめ
今回は、閣議決定された食品流通の改正法案を、酪農家の川上さんが自分の言葉で解説する回でした。ポイントは「努力義務」という言葉のリアルと、仕入れだけでなく販売の末端まで意識する必要があるという視点です。
- 改正法案では、事業者が肥料・燃料などのコスト増を考慮して取引する努力義務が課される
- 第三者機関の指標で農家が価格交渉しやすくなり、悪質な取引には公正取引委員会が動く可能性もある
- 「努力義務」は強制力がなく、据え置きでも違法にならないため、末端の販売までのルールが課題として残る
- 酪農では余剰の問題から牛乳を値上げしにくいが、法案を根拠に交渉しやすくなる期待がある
- 「農産物が高いのではなく給料が上がっていない」という川上さんの視点が、この回の芯になっている





