今年入れた機械、まずは250万円の「バンクリーナー」
今回はリスナーの匿名さんから届いた質問がテーマです。「最近導入した新しい技術や機械があれば、それが酪農の作業にどんないい影響をもたらしていますか?」というお便りですね。
川上さんはまず、売上がなかなか上がらない中でも、酪農を続けるために買わなきゃいけない設備がある、と前置きします。
最初に挙がったのが、5月に買い換えたバンクリーナーです。牛のうんちやおしっこをダンプまで運ぶ機械で、チェーンが劣化してすぐちぎれるようになったので更新したそうです。
川上牧場は牛が移動せずベッドの上で立ったり座ったりする「つなぎ牛舎」なので、こうした糞尿を運ぶ機械が欠かせません。
このバンクリーナーの価格が250万円。リース事業を使ったので一括で請求が来るわけではないそうですが、それでもなかなかの設備投資ですよね。
堆肥車の壁もブロワーも。控えている修繕がずらり
これから控えている投資も、川上さんは金額つきで教えてくれます。まずはXでも反響があったという堆肥車ですね。
堆肥車の壁が壊れたので修繕する予定で、これが280万円ほど。JAに融資を相談したものの、修繕するだけで売上が上がるわけではないので、話が絞られてしまったそうです。
これはあのJAとかに、こうなんとかなりませんかとか、融資できませんかみたいな話したんですけど、やっぱりこれ売り上げが上がらないんですよね。それを変えたとしても。修繕するだけなんで。
結局この280万円は自己資金です。補助対象にはなるそうですが、いくら補助が出るかはわからないまま、8月から9月ごろの工事を目指しているとのこと。
さらに堆肥を発酵させるブロワーを1台20万円で2台、あわせて40万円。並行して細かい更新が続いていきます。
- バンクリーナー(5月更新):250万円
- 堆肥車の壁の修繕:280万円ほど
- 堆肥を発酵させるブロワー2台:40万円
牛の暑さ対策にも投資。水が足りない問題を解決
今年は国の暑熱対策の補助事業が出ていたので、牛の夏対策の工事もするそうです。
頭数が増えて乳量も増えた結果、牛が飲む水の量も増えているのに、水の出る量が少ない状態になっていたそうです。
そこで水圧を上げるポンプを増設し、耐圧性の高い配管に変える工事をします。これがだいたい50万円とのこと。
鳥取から獣医が来る。「OPU-IVF」という新しい技術
ここからは機械ではなく技術の話です。川上さんが今年やろうとしているのが、OPU-IVFという受精卵を作る技術です。
牛の卵巣に直接針を刺して卵子を吸引し、シャーレの上で培養して受精卵にしていく、という流れですね。
島根県ではこの技術がなかなか進んでいなかったそうですが、お隣の鳥取県で開業した獣医さんが来てくれることになったのがきっかけです。
費用は1回5万円、高ければ10万円くらい。取れる卵の数によって変わるそうです。優秀な牛の子を産ませられるのが大きな狙いです。
「もうAIなしでは生きていけない」と語るもう一つの投資
川上さんが毎回のように口にするのがAIです。今回も、機械と同じく投資したものとして名前が挙がりました。
今はChatGPTと、GoogleのGeminiの有料課金をしていて、酪農の仕事でもプライベートでも大活躍しているそうです。
トラクターのタイヤのパンク交換に10万円、ダンプの車検やリコール対応に20万円ほどと、細かい出費も次々に続いていきます。
「これ全部、修繕なんですよね」現状維持の限界
ここで川上さんは、今やっている投資の性格を冷静に振り返ります。8月に牛乳を値上げしたものの、今やっているのはほとんどが修繕だと言います。
AIやOPU-IVFは技術投資と言えるかもしれないけれど、それでも生産拡大ではなく現状維持にとどまっている、という見方です。
これをしていったらどこかでどん詰まりになってしまうんで、いや投資しないといけないですよね。いろんなもっと新しい技術や機械とかにね。そういうところまでちょっと手が伸びてないので。
自動餌やり機やホイールローダーも壊れかけ、就農して17年ほど使っているダンプも「そろそろやべえな」と思いながら使っている状況だそうです。
だからこそ、牛乳を飲み続けてほしい、そして牛乳が足りなくなる12月ごろにもう一度値上げできたら嬉しい、と個人的な本音も語られました。
まとめ
今回は「最近導入した機械や技術」という質問をきっかけに、酪農経営のリアルなお金の流れが見えてきた回でした。数百万円単位の修繕が続くなかで、現状維持から生産拡大へどう踏み出すかが、これからの課題として語られています。
- 今年の投資はバンクリーナー250万円、堆肥車の壁280万円ほどなど、修繕が中心
- 牛の暑さ対策として水圧を上げるポンプ増設と配管工事に約50万円を予定
- 技術面では鳥取の獣医によるOPU-IVF(1回5万〜10万円)に今年チャレンジ
- ChatGPTやGeminiなどのAIも「なしでは生きていけない」投資として活用中
- 現状はほぼ修繕で生産拡大には至っておらず、牛乳の消費と応援が支えになる




