AIに仕事を奪われる時代、軸はやりたいことでいいのか
この回は、いなけんが「実際にあったつらいこと」をぼかして話すところから始まります。クライアントのところへ直接行かなければいけない仕事を控えている、という状況です。
そこからいなけんは、AIに仕事が奪われるという話題へと抽象化していきます。リモートワークが主流になった一方で、直接会うというホモサピエンス的な行動は、フィジカルを持たないAIにはできないことだと感じたと言います。
シンギュラリティから転じて、AIに仕事が奪われるっていうのを「ギュられる」。まあ特にSNS界隈ですかね。
いなけんは、思考力ではいずれAIに勝てないと見ています。囲碁の強いプロ棋士がAIに歯が立たなかったように、コンサル的な思考力は淘汰されるかもしれない、と話します。
最後、人と人とのコミュニケーション能力みたいな、そこに価値を発揮するしかないと雑に考えた時に。「でも本当にそれってやりたいことなんだっけ?」っていう問い。
この問いに対して、しもちゃんは「時代が変わるからといって、やりたいことかどうかの軸はぶらさない方がいい」と返します。
AIに代替されないから将棋をやるっていう人がおったら、それはやっぱりおかしいなと思いますもん。
(自分がやりたいんじゃなく)生存戦略としてそっちを取るのって、なんか違うくない?
仕事はなくならない、暇だから人は働く
しもちゃんは、いい職種が本当に担保されるのかという不安の文脈も理解しつつ、それでも仕事自体はなくならないと考えています。理由は「時間が余るから」だと言います。
(AIに)ギュられたとしても仕事はなくならないと思います。だって時間が余るから。暇だから働くじゃないですか、人なんて。
しもちゃんは、システム面をAIが担っても、物理の面や意思決定は人が担い続けると見ています。仮に意思決定まで代替される時代が来たら、それはもう人が作る社会ではなく、別のものが作る社会に移行している、という整理です。
だからこそしもちゃんは、人の社会が続くという前提に立てば、将棋やチェスのような競技もなくならないと考えます。AI同士の対戦がメインではなく、人の限界を競うスポーツと同じだからです。
しもちゃんは、裏側のエンジニアが淘汰される一方で、AIを管理する新しい職業も生まれると話します。自分が夢中になれる仕事は一つではない、という点を強調します。
一個だけなわけないじゃないですか、自分が夢中になれる仕事が。
(AIが)どうのこうのじゃなくて、今、ちゃんと自分がやりたいことをやればいいんじゃないですか。
満員電車が、つらいのに出られないコンフォートゾーンになる
しもちゃんの意見に、いなけんは「それはそう」と同意しつつ、正論すぎる側面もあると返します。世の中の大半の人は、満員電車に乗りたくなくても乗らざるを得ない、という現実があるからです。
ここでいなけんは、逆説的な見方を持ち出します。満員電車がつらいはずなのに、それがコンフォートゾーンになって出られなくなっている、というものです。
満員電車に毎朝乗るのがつらいんだけど、逆にそこがコンフォートゾーンになって出られなくなっちゃってる。
自分は意図してないのに、無意識に選択的にその行動になってる。
いなけんは、瞑想を駆使してその状態に至ったしもちゃんと違い、そうでない人に「毎日やりたいことをやればいい」と言うのは、正論かつ暴論で救いがないのではないか、と踏み込みます。
目の前のことに集中すると、思ってもみなかった選択肢が現れる
この指摘にしもちゃんは、目の前の仕事やるべきことをやるしかない、という結論自体は変わらないと答えます。ただし、そこには集中できているかどうかの差があると言います。
今に集中できてない人って、仕事やりながら「あー、転職しようかな、年収低いしな」とか「この後の会議だるいな」とか、やりながら目の前のタスクやってると思うんすよ。
しもちゃんは、本当に目の前のことに集中すれば、「これってこうできるな」「こうやったらもっと楽になるやん」という気づきが必ず出てくると話します。いなけんはこれを「企みが生まれる」「面白がる力」と言い換えます。
そうした気づきの積み重ねがあると、お客さんや上司から思ってもみなかった選択肢を提示され、「これいいかもな」と感じるようになる、というのがしもちゃんの見立てです。
落ちきったからそう思ってます、今。
いなけんは、この話をコンフォートゾーンの枠組みで捉え直します。やりたくないことを自分の外側にあることと捉えるなら、あえてそれをやることで新しいやりたいことが確率論的に見つかる、という解釈です。
しもちゃんは、漠然と将来を不安に思う人に向けて、まず具体的な行動を勧めます。
一個でいいから、9時から10時の間だけ集中するとか、そういう時間作ってやるのがいいんじゃないですか。
「成長機会だ」というマントラが、コンフォートゾーンの外へ連れ出す
いなけんは、かつて一緒に働いた会社にいた、何事も「成長機会だ」と言う人の話を持ち出します。特に逆境のとき、つらいことに対してこの言葉を使っていたそうです。
いなけんは、そのマインドを素敵だと感じたと言います。心が「やりたくない」と言っていることに「成長機会だ」と上塗りすることで、コンフォートゾーンの外へ行く可能性が生まれる、と考えたからです。
「成長機会だ」っていうマントラを唱え続けることによって、コンフォートゾーン外のアクションが、臨場感を持ててる。
しもちゃんは、これはまさに瞑想の話だと応じます。同じ困難な出来事でも、体験する人が変われば「気持ちいい」「いいやん」と感じることもある、と具体例を挙げます。
大ミスをしました。リカバリーしないといけません。「うわ、めっちゃだりー」って思う人もおったら、「っしゃ、この時にこれでリカバリーしたらお客さんとの関係性絶対良くなるわ」って思う人もおる。
しもちゃんは、この違いの起点は「自分がどうあるか」を先に定義できるかどうかにあると言います。その力が瞑想で養われる、という考えです。
不安を「不安」とタグ付けした瞬間に、輪郭が生まれる
いなけんは、まだ起きていない未来を不安に思うことについて考えを広げます。戦争の当事者のように現実の危険がある場合と違い、食うに困らない日本での不安は、心のざわつきに過ぎない側面があると言います。
いなけんは、不安を反芻していると、嫌なシナリオが現実に近づいてしまう感覚を語ります。「不安だな」と思い続けることで、無意識に自分がそのシチュエーションへ動いてしまう、という見方です。
「不安だな、不安だな」って思い続けて、ネガティブな嫌なシナリオを頭の中で反芻してると、マジでそのリアルに起きてもくないことが目の前に起きてしまいがちだ。
だとすれば、逆に脳の使い方を変えればポジティブに転換できる、といなけんは考えます。同じ出来事でも、どちらのレンズから見るかで、その後の進み方が変わるという整理です。
これに対ししもちゃんは、不安を「なしにする」という発想そのものに違和感を示します。ゼロを意識した瞬間に一が生まれてしまうからです。
いなけんは、この考えに強く反応します。感情は目に見えないのに、「不安」という言葉のタグを付けた瞬間に、不安な事象だという輪郭が生まれてしまう、と受け取ったからです。
不安っていう言葉のタグ付けをした瞬間に、不安な事象であるっていう輪郭が生まれちゃう。
二人は、これを「無視するのとは違う、あえて無でいる」トレーニングだと表現します。ただしいなけんは、「不安だ、どうしよう」という防御反応をいきなり手放すのは難しく、鍛錬が必要だと付け加えます。
ゼロにしようと意識した瞬間に「不安」と「不安でない」が生まれ、かえって不安が輪郭を持つ
不安という言葉のタグを付けず、あえて無でいることで、心のざわつきを事象として固定しない
ヴィパッサナー瞑想と唯識、知識と身体知をつなぐ
しもちゃんは、自分が学んでいるのが唯識という仏教の一派だと明かします。AIに概念のテストを作らせて知識をインプットしつつ、体験としての瞑想を重ねてきたと言います。
以前参加したヴィパッサナー瞑想の体験について、しもちゃんは「実際によかった」と振り返ります。学びになったのは、意識の向け方だと言います。
意識って自分の体でも、体じゃないものでも、触れてても触れてなくても向けれるんやと思ったら、脳みそも意識向けれるなって最近思って。
しもちゃんは、反芻思考のときにどの脳部位が活性化するか、集中モードではどこが働くかといった知識をインプットしたと話します。そのうえで瞑想を体験することで、知識と身体感覚が結びついたと言います。
AIが思考を肩代わりする時代、悟りのハードルは下がるのか
いなけんは、AIが加速度的に進化する時代には、悟りを得る人がとんでもない数生まれるのではないか、という思考実験を投げかけます。修行や学びのうち、思考を駆動させるエンジンをAIに任せられる、という発想です。
人間の真理はこうですっていう補助線を簡単に引いてくれるやつが出てきた場合に、あとは身体感覚がひたっとくるやつは、割とすぐに悟っちゃうのかな。
これに対してしもちゃんは、可能性は低いと見ています。AIは人が作り出したアウトプットから学んで再生成する仕組みで、基底にあるのは人の体験だからだと言います。
基底になってるものってやっぱり人の体験だと思うんすよ。
しもちゃんは、人の文明が続くと仮定すれば意思決定は人が担うため、AI側が悟りの基準を出すことは構造的にできないのではないか、と述べます。
一方でいなけんは、勉強の仕方は確実に変わると考えます。要約されたものを咀嚼し、そこからさらに思考を深められる装置があることで、かつてはエリートしかたどり着けなかった領域が平民にも降りてくる、という仮説です。
頭でっかちと身体、両方を混ぜると加速する
しもちゃんは、真理の追求に知識はそれほど要らないのではないか、と疑問を挟みます。いなけんは、それこそが言いたかったことだと応じ、話を整理し直します。
いなけんは、人を大雑把に「頭でっかちベース」と「身体ベース」に分けます。自分が頭でっかち側、しもちゃんが身体側だとしたうえで、両方のミックスが必要だと考えます。
いなけんは、しもちゃんが脳の構造を知ることで身体感覚側の理解が進んだ例を挙げます。身体感覚をドライブしてきた人が思考的な枠組みを手に入れやすくなり、歯車を回すスピードを上げられる、という主張です。
身体感覚側の人たちが思考的な枠組みを手に入れやすくなったから、より身体感覚の歯車を回していくスピードを加速度的に上げられる。
いなけんは、思考が肥大化したAIについていけて、なおかつフィジカルの理解も飛び抜けたスーパーマンが現れたら、新たな時代の教祖になるのではないか、と妄想を語ります。
戸塚ヨットスクールと体罰、コンフォートゾーンから見る教育
しもちゃんは、戸塚ヨットスクールの校長が近年「神格化」されつつあると話を向けます。いなけんはネットミームの文脈もあるのではと返しますが、しもちゃんはコメント欄の温度感はそうではないと言います。
しもちゃんによれば、討論番組などで戸塚側を推すコメントや高評価が数万単位でついており、体罰が根絶された世代も肯定派にいると考えられる、という見立てです。
いなけんは、修行や苦行が痛みを伴う点をコンフォートゾーンと結びつけます。痛みの刺激はコンフォートではないため、体罰は無理やりコンフォートゾーンを脱するハウの一つだと解釈します。
外部からいい悪いは一旦置いといて、暴力とか体罰によって無理やりコンフォートゾーンを脱するハウの一つは体罰である。
しもちゃんは、擁護も批判もしない前提で戸塚の主張を解釈します。言葉で諭すのは、論理を正しいと判断できる意識が成熟した人には有効だが、そうでない相手には難しい、という整理です。
右も左もわからない、ないしは親子からすでに間違った価値観を植え付けられてる人って、ショック療法的なものをしないと短期間で治すのは難しい。
いなけんは、言葉の通じない乳幼児のしつけを例に挙げます。危険なものを食べようとしたとき、「ダメ」と手を払うのは、言葉が理解できないから物理的に止めるしかないからだ、と話を広げます。
正しい教師なら、相手によってコミュニケーションを選ぶ
しもちゃんは、体罰が横行する場を批判する理由の一つに、学校を監視するシステムが機能していない点を挙げます。先生が間違っている可能性を考慮しないと、一方的な暴力の押し付けになるからです。
三権分立じゃないですけど、ちゃんとそういう仕組みもあった上でやったら、まあ別に間違ってるとは言い切れないんじゃないですかね。
話は、戸塚がヨットで単独横断のレースに出て優勝した逸話に及びます。風の中にいるため2時間ほどしか連続で眠れない、41日間の過酷なレースだったとしもちゃんは語ります。
いなけんは、その体力に感心しつつも、同じ刺激への許容量は人によって違う点に注意を向けます。雑に投げても割れない器もあれば、少しの衝撃でヒビが入る器もある、というたとえです。
器をちゃんと正しく把握せずに、一律の体罰をするっていうのは、是ではないと思うけど。
しもちゃんは、正しい教師であれば、相手によってコミュニケーションやしつけの手段を選ぶはずだと述べます。だから理不尽なことはそう起こらないのではないか、という見方です。
図体も190センチぐらいあって筋肉ムキムキのやつに、自分より背丈も筋肉もないやつから言われても、やっぱ説得力ないじゃないですか。
最後に二人は、教師と生徒という関係性自体が変わる過渡期ではないかと話します。知識がそこら中に落ちていて、AIで自発的に学べる時代だからです。
自分で種差選択できる最強の子供というか、生物がこっから強くなる。自分にセルフで体罰できるやつ。
まとめ
AI時代の仕事不安から始まったこの回は、不安を消そうとするのではなく、不安と名前をつける前の心の状態にどう向き合うかへと着地しました。瞑想や唯識、身体知、そして教育の変化まで、話題は広がりながらも「どう捉えるか」という一点でつながっています。
- AIに代替されないかを軸に選ぶより、今やりたいことに集中する方が新しい選択肢が見えてくる
- つらい満員電車も、慣れると出られないコンフォートゾーンになりうる
- 不安を「不安」とジャッジした瞬間に輪郭が生まれるため、名前をつけずに扱うトレーニングが有効
- AIが思考を肩代わりしても、悟りや真理の基底にあるのは人の体験だとしもちゃんは見る
- 体罰の是非をコンフォートゾーンや器の違いから捉え直し、正しい教師は相手に応じて手段を選ぶと二人は考える





