店番明けの夜、なぜ歩いて帰りカップ麺を食べたのか?
収録は10月22日の朝10時です。おしょうさんは前夜、自分のお店に立った営業がとても盛り上がり、体力が残っていない状態だと話します。
普段はワクイさんワクイが一緒に入りますが、この夜はおしょうさん一人でした。手荒れのあるおしょうさんに代わり、お客さんのジンくんが溜まったグラスをすべて洗ってくれたといいます。
途中途中で一回も洗ってないから、もう最悪。(ジンくんが)洗ってくれなかったら、明日の学生の子が洗うことになるのかって思いながら見てた。
帰り道について、おしょうさんは竹ノ塚のタクシーが苦手だと語ります。運転手さんが悪いわけではないものの、疲れているとコミュニケーションがしんどく、この夜も2台止まっていたタクシーを見送って歩いて帰りました。
夕方には営業に備えてカツカレーを食べたのに、歩きながら低い度数のお酒を飲み、最寄りのコンビニでとうとうカップヌードルを食べてしまったそうです。
清水いずみさんも、筋トレに2か月行っておらず、今月だけで4回ほど夜中の12時にセブンイレブン限定の中本のカップ麺を締めのご飯まで食べていると告白します。この2か月で3キロ太ったという話に、おしょうさんは「超意外」と驚いていました。
歩きながらずっと感謝、感謝、感謝しながら。飲みながら感謝。こんな(お店に)立ってくれてありがとうって思いながら。
取材で訪れたオフィスと、お礼の連絡が追いつかない日々
前日、二人は営業の前に取材にも出かけていました。訪問先は永田町の大きなオフィスで、清水さんにとっては学生時代のインターンで研修を受けたホテルニューオータニの裏手という思い出の場所でした。
取材相手は株式会社オカムラオカムラの岡本さん岡本です。おしょうさんは、あれほど立派なオフィスで働くと相当頑張らなければいけないプレッシャーで「多分病むと思う」と冗談まじりに話します。
清水さんは、そうした重さを感じさせない岡本さんの軽やかさが印象的だったと振り返ります。一方のおしょうさんは、岡本さんへのお礼のメッセージをまだ送れておらず、収録中もそわそわしていると打ち明けました。
支援者に届く300冊、ジンくんの本に込められたサイン
話題は、PAY FORWARD CAFEの代表であるジンくん(一條人一條人さん)の著書に移ります。トネリライナーノーツはこの本のクラウドファンディングを伴走支援しており、本は発売日30日に発売予定です。
清水さんは出版社ブックダムブックダムを訪ね、クラファンの支援者と寄贈希望者に向けた300冊以上の発送作業を手伝いました。会議室に積まれた本に、ジンくんが1冊ずつサインを書いていたといいます。
清水さんがもらったサインには、米津玄師さんの曲の歌詞をもとにした言葉と「思いやりを広げる人に」という一文が添えられていました。清水さんの好きな曲をジンくんが覚えていたことに、二人とも感心します。
すっごい集中力で、多分右手もすごい痛かったはずなんだけど、めちゃくちゃ幸せそうに(サインを)書いてました。
クラファンの価値は、終わった後にある?
清水さんにとって、クラウドファンディングの始まりから終わりまでを目の前で見たのは今回が初めてでした。支援の数を本の物理的な量として目にし、支援者一人ひとりの顔が見える感覚があったと話します。
なんかこの応援の数がこの本の物理的な量で目の当たりにして、すごいなっていう感情になった。
清水さんは、世の中ではクラファンを「お金集め」と捉える人も多く、自分も若干そちら寄りだったと認めます。今回の体験で良い面を実感でき、安心して取り組めると感じたそうです。
おしょうさんはこの感想を受け、クラファンは終わった後のほうがはるかに大事だと強調します。伴走支援をやめたことも明かしつつ、プラットフォームへの率直な考えも語りました。
本当に大事なのはその終わった後に、その支援してくれた人たちとの関係をどうやって築くかとか、ファンになってもらうかのほうがはるかに大事だから。
おしょうさんによれば、CAMPFIRE ── 日本の代表的な購入型クラウドファンディングのプラットフォーム。プロジェクトの集まった金額に応じて手数料を受け取る仕組みですは開始前から実施中までの関わりは濃い一方、終了後の関わりは物足りないかもしれないといいます。そこに力を入れたほうが、クラファンという文化は根付くのではないかという見立てです。
プラットフォームの関わりの密度が高く、集まる金額が手数料につながる
支援者との関係を築き、ファンになってもらう。おしょうさんが「はるかに大事」と語る部分
清水さんはブックダムのチームにも刺激を受けました。代表の菊池さん菊池、編集者の三田さん三田、事業推進の伊藤さんの3人体制で、伊藤さんは「編集長と代表は天才」と曇りのない目で語ってくれたそうです。
ジンくんの本の感想は、ハッシュタグ「#やさでざ」を付けて投稿すると本人が喜び、本が広がると清水さんは呼びかけます。
万全でないまま突入する『ガチ足立』クラファン
いよいよ自分たちの番として、雑誌『ガチ足立』のクラウドファンディングの話に入ります。おしょうさんは、連絡も追いつかず体力的にもしんどく、個人的な事情も重なる中での「万全じゃない」突入だと率直に話します。
大丈夫大丈夫。ブックダムさん見習っていこう。
期間は11月14日から12月27日の予定で、収録時点ではまだ審査を通っていません。制作費はすでにGachi Adachi Clubから出しているため、クラファンの使い道は印刷費、出版準備金、芸能人のブッキング費を含む販促費です。
| 項目 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 期間 | 11月14日〜12月27日 | 収録時点では審査前の予定 |
| 価格 | 1冊900円 | 送料・手数料込み |
| 使い道 | 印刷費・出版準備金・販促費 | 制作費はGachi Adachi Clubから |
清水さんはプロジェクトの紹介文を朗読します。紹介文では、足立区・荒川区のメディア「トネリライナーノーツ」が2023年12月から出版に向けて走り続け、「雑誌の作り方もわからないし、お金もない」中で回り道をしながら続けてきたことが語られています。
紹介文は「街を面白くするのは人です」と続き、街を面白くする人100人を取材した雑誌を全国に届け、応援が循環する街を増やしたいと結ばれていました。
おしょうさんの作戦は、チラシを人に思いを伝えながら渡すことと毎日のSNS発信です。ただFacebookの効果は薄れている気がしており、反響の大きいインスタライブやこのPodcastを含め、毎日どう発信するかを考えていると話します。
足立区の雑誌を、誰が買うのか?
清水さんは、『ガチ足立』というタイトルから足立区の人だけの雑誌だと思わないでほしいと話します。街を愛して一歩踏み出す人の物語が、読んだ人の背中を押すことを願っているといいます。
これを見た人が自分もやってみようとか、自分も挑戦してみたい。事の大小に関わらずね、明日もうちょっとなんか違うことができるかもみたいな気持ちになってくれたら嬉しい。
おしょうさんはその先のビジョンとして、全国の「この街が好き」な人と雑誌を通じてつながり、一緒に何かをしたいと語ります。
撮影はすべて終わり、デザインの戻り待ちの段階です。おしょうさんは今、この雑誌が読者にとって何なのかをもっと言語化しようとしています。
きっかけは、箕輪さんが関わる公開収録ご神託ラジオで「この足立区の雑誌、誰が買うんだよ」と問われたことでした。俯瞰して見ればその通りだと感じ、別のYouTube収録でも問われてうまく答えられなかったといいます。
もっとちゃんと、カチッと自分の中で落とし込んでやりたいなと思って。
清水さんも、自分の言葉で語った数がまだ少なく、語り続けることで定着する言葉が足りていないと感じています。そのうえで、一緒に考えたいと応えました。
なんでこんな大変なこと始めちゃったんだろう、俺。あの当時ノリで。
ここまで想像してたら怖くて動けなくないですか?
人をつなぐ場と、自分の言葉で伝えること
おしょうさんは、雑誌づくりがあったからGachi Adachi Clubも生まれたと振り返ります。前夜のお店にも自分のコミュニティを持つ人が何人も来ていて、お互いのコミュニティを訪ね合う約束が生まれていました。
清水さんはこの様子を、取材した岡本さんの話と重ねます。岡本さんは、知り合ってはいてもつながるきっかけのない人同士を、会社として文脈を作ってつなぐ役目があると語っていたそうです。
おしょうさんは、関わる人数の多い大企業だからこそ言葉を大事にしていると感じたといいます。自分は「わかっていれば大丈夫」という癖が抜けず、ゼンガクジ フリー コーヒーも当時は妻と二人がわかっていれば回っていたと振り返ります。
ちゃんとその言葉に落とし込んで、みんなにちゃんと伝えていかなきゃいけないんだよね。それがすごい多分苦手なんだよね、俺。
伝える役を任された清水さんは引き受けつつも、下手でも和尚自身の言葉で語ることも大事だと返します。そのうえで、Gachi Adachi Clubの公式LINEで送るおしょうさんのメッセージの第2弾を頼みました。
チラシ配りも、飲食店では空振りが多いためアポを取ってから回ることにします。前夜のお店では、清水さんにチラシを全部渡していたため一枚も配れなかったというオチもつきました。
声で届ける小説、江國香織『号泣する準備はできていた』
後半は「声で届ける小説」の第2回です。おしょうさんが青春時代に影響を受けた本の一節を、清水さんが音読します。おしょうさんは高校までは本を読まず、大学生から20代後半、30代ごろまでよく読んでいたそうです。
選ばれたのは江國香織 ── 日本の小説家。透明感のある独特の文体で知られ、『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞していますの『号泣する準備はできていた』(新潮文庫)です。バイオリン教室の後に原宿のフルーツパーラーでピーチメルバを食べる場面や、夏希が「時々は泣く」と答える場面などが読まれました。
おしょうさんが惹かれたのは、社会性がまったくないところと、登場人物の「血が濃い」ところだといいます。言い換えると、登場人物が自分の人生を生きている感じだそうです。
おしょうさんは山田詠美 ── 日本の小説家。恋愛や性を率直に描く作品で知られ、直木賞をはじめ多くの文学賞を受賞していますと江國香織の両方を好んで読んでいました。二人は文章のトーンが対照的でも、共通点があると話します。
江國香織と比べると、ややロジカルな書き方
感覚で書いているようなところがある
共通点は、社会性がないことと自分の人生を生きる登場人物が出てくることです。おしょうさんは、作者名を伏せて文章を読んでもどちらの作家かわかるのがアーティストのすごさだと語り、一時期は江國節を模倣する小説家志望が乱立したとも振り返ります。
何なんだろう、その物語の中に入って没入してる感覚なのかな。
小説はよく風呂で、濡れるのも気にせず読んでいたそうです。今はスマホを持ち込み、スポーツニュースや箕輪さんの新作動画を見ていると明かし、また心配させてしまうとジンくんの名前を出して笑っていました。
400円の文庫と出版のビジネスモデル、そして告知
清水さんは、小説の文庫本が400円ほどで楽しめるエンタメであることに驚きます。おしょうさんは、それは当時の値段だとしたうえで、出版のビジネスモデルにはもう少し何とかしてほしいと話します。
だってこれで印税いくらよっていう。こんだけ頑張って書いてみたいな。
おしょうさんは、人口も本を読む人も減る中で、本は値段を上げて嗜好品になっていくのかもしれないと想像します。例として、話題になった『マタギドライブ』著者名・書名が500ページほどあり高価だという話を挙げ、清水さんが調べると4180円でした。
雑誌の行方を問われると、おしょうさんは広告が多すぎてカルチャーという感じが薄れており、ビジネスモデル的に廃れていくと思うと答えます。清水さんは、池袋のジュンク堂に並ぶ大量の雑誌の中から限られた予算で選ばれるのは厳しい戦いだと感じたそうです。
雑誌が廃れていくという見立ての一方で、二人自身は雑誌『ガチ足立』を世に出そうとしています。最後の告知では、11月14日から12月27日まで先行予約販売のクラファンを行い、1冊900円(送料・手数料込み)であることを改めて伝えました。
これの登録をしてくれてる73人の人はきっと買ってくれるだろうから、73冊は固いんじゃない。
清水さんは、しばらくクラファンの話が多くなるかもしれないが、気を悪くせず聞いてほしいと呼びかけて締めくくりました。
まとめ
この回は、雑誌『ガチ足立』の先行予約クラウドファンディングを前に、ジンくんの出版を手伝った体験から「応援の受け取り方」を考え、雑誌が誰に何を届けるのかを言語化しようとする二人の現在地が語られました。
- ジンくんの本の発送作業を通じて、清水さんは支援の数を本の量として実感し、クラファンの印象が変わった
- おしょうさんは、クラファンは終了後に支援者と関係を築くことのほうがはるかに大事だと強調した
- 『ガチ足立』のクラファンは11月14日〜12月27日の予定で、1冊900円(送料・手数料込み)
- 「足立区の雑誌を誰が買うのか」という問いを受け、雑誌の意味を自分の言葉で語ることが課題になっている
- 音読コーナーでは江國香織『号泣する準備はできていた』を取り上げ、自分の人生を生きる登場人物の魅力が語られた




