「言ってもうたな」47都道府県の自販機プロジェクト
Ketchup RGBは、映像作家のYoshiとペインターのYuhが、人や物をゆるくキャッチアップしたり、ケチャップしたりする番組です。
じゃあ今回、ゲストで来ていただきます。WALL SHAREの川添さんです。
川添です。
川添さん、簡単に自己紹介をお願いしても。
僕はWALL SHARE株式会社を代表してる者でして、WALL SHAREはミューラル、壁画をプロデュースする会社です。
大阪を拠点に、今6年目を迎えた、まだまだ小さい会社です。
6周年おめでとうございます。すごいミューラルをいつも入れてらっしゃるのは、もちろん我々は知っていて、すごい素敵な活動されてるなと思ってます。
個人的に私は、サントリーさんのお仕事、万博のやつでお世話になって、すげえ嬉しかったです。
こちらこそです。
すげえ地元の友達たちが喜んでくれて。
え、熱い。
ここの県の方のアーティストを起用してっていうのが、大都市はあるだろうけど、島根であんまやってる人いなかったので、そういうの見てよかったねみたいな。
それ、島根でやったプロジェクト?
島根ではなくて、大阪万博の企画のやつで、関西圏に47都道府県にゆかりのあるアーティストさんのキュレーション。
えっと、自動販売機のやつ。
そうそう。そこの島根枠でお世話になってっていう感じで。島根の作家って、なかなかだったりするので、その中に入れていただけたのはすげえ嬉しいなと思ってます。
超大変でした、あれ。
サントリーの自販機にアートを描くこの企画は、WALL SHARE側から47都道府県を提案したものだったと、川添さんは振り返ります。
サントリーさんは万博に力を今回すごく入れていて、水上のショーとかも実施されてますけど、あそこだけじゃなくて街にも広げたいよねってことで。
自販機って改めて、日本ならではというか、海外って治安的に置けなかったりするじゃないですか。それを生かせるのってすごくいいよねってことで、相談をいただいて。
僕らから47都道府県しましょうって言ったんですけど、途中で「うわ、言ってもうたな」って。
でも、すごいチームで、先方も(一緒に)乗り越えたって感じで。
結構ファイン寄りの作家さんとか、グラフィティの大先輩の方々も含めつつっていう、WALL SHAREだからこそのキュレーションだなってすごい思っていたんです。
今回、ミューラルじゃないアーティストさんともご一緒できたら嬉しいなと思ったし、街に作品を残すっていう面では、WALL SHAREの普段の活動とも親和性があることなので。
大成功。
壁画10作品から30作品へ。富士フイルムが支える此花区
収録前、3人は此花区の壁画を歩いて見て回ったそうです。数年前に訪れたYoshiさんは、作品数の増え方に驚きます。
さっきも壁画を見させてもらって、街歩き、もう最高でしたね。
(壁画を)歩いて見るとか、あんまり日本ではないですよね。
僕、2、3年前ぐらいに一回、多分初めてちらっとここら辺を一周した時は、まだ(壁画が)少なかったです。
10作品ぐらいだったんですよね。
そこから比べても、またものすごく増えてますね。
もうすぐ30になるんで。
すごい。めっちゃ増えてるな。
ありがたいことにうまくタイミングが合いながらで、幸いにも富士フイルムという大企業のスポンサー(がついて)。
かつ、アートは自由度高く表現できるってないじゃないですか。
こんな大企業がこんなアートの支援の仕方をしているのは、もっと広まるべきだと思ってるんですけど。すごいかっこいいアクションだと思ってるんで。
もうinstaxってのがいいですよね。
そうですね、親和性が強くあるし。今、もうすぐ丸2年が終わるっていう感じですね。
富士フイルムは、最初こっちから(声をかけに)行ったんですか?
パートナー的な企業さんに、この企画を育てていて、伴走してくれるパートナーを探してますって相談した頃、富士フイルムさんを一緒に提案してみましょうってことで。
富士フイルムさんは、特にチェキが今、海外で爆発的に改めて広まってるっていうのもあって、ミューラルを知ってる社員の方も中にいらっしゃって。
海外では当たり前に見かけるものとして、日本でもやってるんだってことの提案がすごく刺さって。
一発で描くミューラル、一発撮りのチェキって親和性もあるし、シンプルにカメラ撮りながら回るってこともあり得るし。
チェキっていうブランドが、日本でこれから来るかもしれないミューラルカルチャーをこの時期から一緒にしてるってイケてる感じになる可能性があるっていうところで、スポンサードしてくださってるっていう形ですね。
本当におかげさまで、バンバンやれるんで。頂いたスポンサー費はもう全部、(壁画に)ありがたく使ってます。
素晴らしいですね。本当にお好きですし、リスペクトを持って接されてるのが、すごい伝わってくるなって思ってて。
好きなことなんでね。
日本語ラップから始まった、ビジネスとカルチャーの両足
そのお仕事を始められようと思ったきっかけを、ちょっとお聞かせいただいてもいいですか。
始まりは、日本語のラップを聴くようになって、10代の後半ですね。グラフィティとかがラッパーの背景で写ってたりとか、カルチャーは一緒だったりすると思うんで。
それで僕は、ヒップホップの要素でもラップとグラフィティに興味を持って。歌えないし描けないんですけど、ヘッドとしてすごい好きだったカルチャーで。
元々、体育大学なんで体育の教員の免許を持っていて、神戸市の先生になるつもりで体育大学にも行って。
でも先生になるのは早いなと思って一般企業に就職したんですけど、その時ぐらいから、やっぱ起業したいなって思いも高まりつつあって。
起業したい時に何やるかって言ったら、自分の好きなことを広めたいなっていうことで。
起業も一回プチ失敗みたいなこともあったんですけど、結局今WALL SHAREをやって6年目で、きっかけはヒップホップですね。ラップです。今も大好きなカルチャーですけど。
マインドセットが、ヒップホップのシーンにいらっしゃる方と結構近いというか。しかもビジネス側の側面も理解された上での気合というか、そこがすごいいいバランスなんだろうなと勝手に思っており。
イメージ的には本当に、ビジネスとカルチャーに両足、軸足があるみたいな形で。どっちつかずじゃないですけど、だからこそWALL SHAREだと思っていて。
だから、スタートからいる仲間の廉平は、小2から、同じ日に同じ小学校に転校してきて。
小2?
あ、そうなんだ。幼なじみとは聞いてたんですけど。
2学期の始まりの始業式やったんで、何年前ですか?20年以上前とか。長いですよね。
朝礼台の右にいたのは覚えてます。向こうは兄弟で僕一人やったんで、控えの保健室で2人はペチャクチャ喋ってて、なんかアウェイ感出されたな(笑)。
そこから一緒で、ずっと遊んでたし、聴く音楽とかも似てて。
だからこそ、カルチャーの目線を僕らなりにリスペクトを持って持ててるのは、廉平がいてこそっていう。
「これダサいんすよ」を商談で言う理由
もう理解があって、その言語もすごく近いというか。なので、お話もすごいスピーディーに進まれますよね。
まだ道半ばなんですけど、これがカルチャーとかアーティストにとってかっこいいのかダサいのかみたいな、絶妙なところあるじゃないですか。言葉遣いにしても、WEBの表記にしても。
そういうところを僕らなりに考えてキープできるのは、一つ強みなのかなっていうのは。それで仕事をやるやらないを選ぶ時もあります。
僕らなりに感覚の物差しがあって。それって、なかなか言語化できない。特にビジネスシーンで「これダサいんすよ」って言っても意味わかんないですけど、全然言うんですけど。
それがビジネスシーンに多分めちゃくちゃないって思ってて。アートをプロモーション施策として活用した企業が、結果ダサくなっちゃってるみたいなことってあったりする。
売り上げとまた別の軸ですね。かっこいい、かっこわるいは。
流行りだからやるのもかっこいいかどうかわかんないしとか、絶妙なところを僕らなりに考えてやってるって感じですね。
だから初めての打ち合わせとかでも、「かっこいいかダサいかで言うと、僕らなりにはダサくなっちゃうね」とか言っちゃうみたいな。
どういう顔されるんですか?クライアントさんって。
でも今は、サイトを見ても実績がめっちゃあるんで、説得力というか。で、こんなキャラでいくんで。
もう結構、このまま行かれるんですか?
WEBとかにも全然これで堂々と登場するし。同じこと言っても、多分このキャラで言うからちょっとわかってくれる。伝わってない部分もきっとあるとは思うんですけど。
信じてください(と伝える)。もちろん、いろんな言葉を添えながらは。
ダサいということを伝えるだけではなくて、じゃあだったらこういう提案ができるよっていうところも含めてってことですね。
一緒にカルチャーに寄り添ってやっていきましょうっていうのを言っていくっていう。
なるほど。神髄ですね。
僕らなりの。勉強中ですが、まだまだですが。
僕は会社員で2社経験してきてるんですけど、どの会社よりも、クライアントさんと一緒にやってる感があるというか。一緒に街の景色を変えることをしているわけじゃないですか。
例えばそれが企業の倉庫に描くとかだったとしても、絶対その前を子供も通るし、車も通るし。そのやった感を一緒に感じれるのは、すげえいい仕事だなって思いますね。
表面を洗うことを良しとしてしまって、単年はそれでいいかもしれんけど、結局何十年と先に残っていくカルチャーになるかどうかって、そこの骨の部分だと思うので。
AI、ChatGPTとかに「その言葉ダサいからちょっとやめてくれ」って、私、結構言うんですよ。でも、そのダサいっていう私の感覚を入れてあげないとわかんない。
でもそれ、言語化できないことが多すぎるから、キリがないというか。だから、ほんとそれこそAIの時代と逆行じゃないけど。
そうですね、だからこそケアが必要ちゃうかなと思うんですよね。欠かせないことだと思う。
見せ方を相手ごとに変える、ミューラルのビジネス設計
ビジネスのフォーマットみたいに作れたのもすごいですよね。ミューラルで、その壁の(オーナーの)人のメリットとかね。
その辺は今も練り上げ中ではあるんですけど、オーナー向けの見せ方、クライアントさん向けの見せ方があって。
クライアントさんにも、広告費が源泉となるプロモーションなのか、もう少しCSR的な街づくりとかブランディングなのかで、見せ方も違うし。
アーティストは基本的に統一ではあるんですけど、見せ方は資料も違うし、言い方も違うし、考えてやってるかなと思いますね。
何名ぐらいで会社はされてるんですか?
人数は書き起こしから聞き取れませんが、9月にもう1人加わる予定とのこと。そのうち1人はフランスから移住してきたメンバーだそうです。
9月にもう1名、加わる感じで。
ずっと(メンバーを)探してましたよね、SNSで。
4ヶ月ぐらい無理かなと思ってたんですけど、意外にいいリファラルが。
今みんな日本人でしたっけ?
1人、フランスの人がWALL SHAREで働くために移住してくれて。
僕も英語そんなですし、彼女も日本語を今勉強中なので。まあまあでも、できてると思います。
(彼女は)フランスでもアート系の企画をやったりしてたんですけど、結構本気でストリートアートを好きな方で。
日本も好きで働いてみたいという思いもあり、WALL SHAREのことは何回か記事で見て知ってくれてて。たまたまリクルートページを見て、まさかのフランスからオファーが来て。
彼女の今のミッションは、日本にいながら海外のアートの助成金を獲得したりとか、各国にあるミューラルの団体とのコミュニケーションを増やすこと。
ミューラルのエクスチェンジみたいな企画を仕掛けていこうってことで、海外のアーティストが来る環境は作り始められてるんで、日本のアーティストも一緒に海外に行けるみたいなことで。
今年もこれから(海外に)行く予定があって、来年もどんどん増えていくんじゃないかなと。
去年ポーランドの政府とお仕事させてもらったんですけど、もう契約書とか何か国語なんですよ。
相違がないようにってことですか。
そういったもの(契約書)をアーティストはすべきでないなと僕は思ってるんで。もう描いてもらう立場だと思ってるんで、そういうところは僕らの仕事だと思うし。
作品制作だけに没頭できるなら、その方が絶対作家さんは嬉しいと思うんで。
「昨日も怒られてますよ」家族を巻き込む働き方
お子さんいらっしゃって、まだちっちゃいじゃないですか。仕事はバキバキにハードじゃないですか。それってどう。
もう昨日も怒られてますよ、僕。
怒られてんねや。
(奥さんから)「ほんま連絡せえな」って。LINE来てました。
でも、それこそミューラルの現場に子供を連れて行ったりとか。岡山なら1週間、子供を連れてって一緒に現場に行ったりとか。
この前も千葉と東京の仕事があったんで、息子を連れて行って。結構大きな企業さんのアポに、息子連れて行きますって行くみたいな。
そこのバランスって、やっぱずっとみんな悩んでいくことだと思うから。
僕のそれの今の結論は、巻き込むですね。だから壁珈琲も、奥さんが(コーヒーを)淹れてるんですよ。
子供も一緒に連れて行ったりとか。僕の子供たちは、日本で圧倒的にミューラルアーティストに出会えてると思う。
それこそアレサさんの時は、近くに書道教室があって、(絵が)ちょうど白黒じゃないですか。黒の部分、子供たち一緒にやろうって。
アレサが「アートしてる?」みたいなのを聞いて、「カリグラフィーもアートやで」って。一緒に描こうよみたいな。
めっちゃ良かったですね。みんな足場に登って手伝って、写真撮ってみたいな。
職業選択で一個(ミューラルが)浮かぶのがいいですよね。絵が好きな子にとって。
僕も絵が好きで、学校行こうと思った時に、アニメーターか漫画家ぐらいしか思い浮かばなくて。
「わしあれ好きやけど、あれ嫌いやな」が言えるアート
一つの絵を怖いって人もいれば、かっこいいって人もいるし。居酒屋とかで隣のおっちゃんに「あ、にいちゃんがやってんねや」みたいな。
そのおっちゃんが言ってくれるのは、「わしあれ好きやけど、あれ嫌いやな」みたいな。もうめっちゃいいことやなと思って。
美術館の絵を目の前にして、「これ嫌いや」って言う人、多分いないじゃないですか。でも本来は、批判じゃなくて批評すべきものだと思うんですけど。
感想をすげえ言いやすいアートとして、ミューラルは存在してるなとはすごく感じてて。
モニュメントとかだったら、またちょっと難しいなっていう印象を持ってて。ミューラルだからめっちゃ(感想を)言いやすい。すげえカジュアルな。
でもクオリティは誰が見てもやばくなるし、どうやったの?になるし。現代アート的なパブリックアートとはまた別のポジション、唯一無二なんじゃないかなって。
アーティストの顔が見えるから、またいいですよね。壁画だと2週間とか1週間かけて、あの子が描いたんやみたいな。
描いてる現場に出会えるみたいな。プロセスに出会えるのは、ミューラルならではかもですね。
この壁珈琲を作ったのもそれに紐付くんですけど、ここに来たら壁画の情報を知れるとか、マップをゲットできるとか、ハブ的なものになったらいいなと思ってるんで。
言われたものは描かない。商業ミューラルの交渉術
商業で壁画を入れる部分について、どういうところを大事にしてらっしゃるのか聞きたいです。
アーティストのスタイルがちゃんと反映されているかどうかって感じですかね。大企業とプロモーション的にやるにしても、言われたものをそのまま描くってことは基本的にしない。
某企業とやった時は、ロゴのあり方みたいな。やっぱ向こうはロゴをドカーン。でもそれ、ミューラルじゃないんで。
代理店に対しても、ロゴの位置も最終決めさせてもらって。実際に壁画になった時のかっこよさって、PCじゃ測れないじゃないですか。
どうやって交渉するんですか?ダサいっていう言葉を言ったとて、全部伝わるかわかんないですけど。
いや、「これ以上言ったら、僕ら(仕事を)受けないかもしれません」。
極論ですね。手引きますよぐらい。まあそうならないように、事前の期待値ですね。
海外に比べたら小さいミューラルの市場の中で、それなのに挑戦した企業があなたたちです。
なのに押し付けっぽい表現になってしまったら、せっかくの大挑戦がダサい挑戦……ダサいという言葉を禁止するならば、カルチャーに沿ってない表現になってしまう。
結局アンブランディングになるんで、寄り添っていい作品を作るこそ、挑戦がよりカルチャーに沿ったかっこいいものになると思ってますっていう期待調整を、事前からしてる。
マインド的には本当にアーティストファーストなんですけど、そうすることが企業の挑戦を最大化することだと思ってるんで、それを丁寧に伝えているっていう感じ。
だから僕、結構自分たちのことをエージェンシーっていうのを避けてて。「ミューラルプロデュースカンパニー」としてまして。マッチング事業者では絶対ないと思って。
創業から4年ぐらい、代理店さんから連絡が来ても、よくないですけど、ほぼ無視させてもらってたんですね。
めっちゃ強気ですね。
調子乗ってるんですけど、実績を作ってからやりたい案件を決めようっていうのがあって。今のところ僕ら、200作品ぐらい作ってきていて。
今でも、多分90%ぐらいは直接企業さんとか、自主企画的なものです。
二重請けみたいなのは、もう絶対やりませんって決めてて。クライアントさんとのミーティングに入らせてもらうことを条件にするとか。
今まで無視した方々、すいません(笑)。
お仕事しないと会社としては回っていかない部分もあるじゃないですか。
ヒーヒーでしたよ。ヒーヒー何回やったかわかんないぐらいヒーヒーでした。
その仕事の金が欲しいみたいなのも(ポリシーに合わないと)断ったりもしたし。なんやかんや生きてます。
僕らが大事にしてることでいくと、コンペ案件とかは基本的に受けないんですよ。
あとは、コーポレートサイトにアーティストページを、あえて作ってなくて。アーティストが企業に所属してるっぽく見えるのは、良くないんじゃないかなと思ってて。
「退屈ないですね」好きを動力に動き続ける
退屈やなって思うことあります?生きてて。
ないですね。
今は物理的にないかも。ありがたいことに。例えば案件がピタッと止まったとしても、提案したいアイデアはいっぱいあるわけで、そっちに時間を割こうかなってなるかな。
描いた未来でした?10年前。
いや、描けてないですね。来月海外行くんすよなんて言えてるとも思ってないし。
会社員の時代とかは、目標を立てて逆算だみたいな。僕はあれは難しい。ミューラルの会社って時点で、やってることも再現性ないじゃないですか。
ああいうのは今、主軸から消えてる。とりあえず今やなって感じですね。やり続ける。
そのモチベーションを保てるのは、やっぱり自分がほんまに好きなことで、毎回フレッシュに出来上がって最高みたいな感じなんで。マジで好きなことなんで。
壁珈琲もオープンできて、宿泊もできてって、ポイントポイントで広げてるじゃないですか。どれぐらい先を見てやってるんですか?
いや、もうたまたまですよ。千鳥温泉の店主さんが、「川添さん、隣の物件が空くらしいで」みたいな。
このままやったら倉庫で使われそう。もったいないってなるじゃないですか。銭湯の横で。3日後ぐらいに決めてるみたいな(笑)。
改修費用もかかるから、半年誰も借りずにキープしてくださいって不動産に交渉して。半年後なんとか契約できて、やっとっていう感じで。
ギャラリーっぽく見えるの嫌だなと思ってて。硬い感じで入りにくいのは、僕らのキャラ的におもんないなって思っちゃうんで。
実際に子供が来て絵を描いたり、じいちゃんばあちゃんもコーヒー飲みに来たり、世界のアーティストも来るし。いいカジュアルさを目指してて、今いい路線なのかなと。
(上手くいってるのは)表面上だけですよ。裏側はもうボロボロですよ(笑)。
全部確認して待って意見してたら絶対遅いと思うんで、とりあえずやってみようのイメージですかね。考えすぎずに。
シンプルなんでね、ミューラルをどんだけ増やせるかのゲームだと思ってるんで。外でミューラルを描くならWALL SHAREっていうのを、全員に知ってもらう。
真庭、門司港、コザ。ローカルだから生まれる壁画
地方だからこそ(の価値)ってめっちゃあるなと思って。梅田とか難波とか渋谷にはない良さが、やっぱ地方の企画ってすごいあるなって。
岡山県の真庭市では、今行っても多分みんなおかえりって言ってくれるような街で。SUIKOさんの時も、延べ何十人来たかわからんぐらい街の人が手伝ってくれて。
多分それは、シティじゃできない。タウンだからできるというか。ローカルならではのミューラルの価値というか。
北九州の門司港では、完成日の夜に打ち上げしようって言ったら30人ぐらい来てくれて。出会ったこともないような人も来てくれて、みんなで乾杯してみたいな。
沖縄は、コザの銀天街っていう、言葉を選ばずに言うとシャッター街なんです。でもそこを地元にするラッパーがカフェをしてて、放課後に子供たちが集まってくるんですよ。
僕は10代の時からDDSさんのラップを聴いてたんですよね。当時は呼び捨てで「DDSやばい」みたいな。その人と一緒に仕事してるみたいな。
沖縄って子供の貧困率がすごい高い場所で、沖縄市はさらに一番高いと言われてて。
社会課題どうこうもあるんですけど、ミューラルをかっこよく届けることに対して、ネガティブはきっとないんだろうなと思ってて。
延べ結局2200名、50カ国から(オープンコールに)応募があって、すごいことになって。
LEKAってオーストラリア出身のアーティストで、僕も去年別のフェスで撮影して会った人が、オープンコールで優勝したから「おーおめでとう」みたいな。
渋谷の中心街ってもう物理的に壁ないじゃないですか。広告イコール人がいないといけないみたいな期待値が広がりすぎてるんで。僕はミューラルはそうじゃないなと思ってて。
80個ぐらい広告がぶわってあるスクランブル交差点じゃ、ミューラルも多分埋もれると思うんですよ。そこから少し歩くとこにこそ広告の効果が生まれるんじゃないかなと。
来週それも含めて東京に行くんですけど。壁取りに。
壁取りに。
壁取りに。
車の営業で身についた、ゆるさと緩急
ビジネスとの中だから、もうちょっと硬い部分もあるのかなと思ったんですよ。荒波の岩みたいな方かと思ってて。かなり凪ですね。
もちろん、全然ネガティブじゃない。でも対クライアントは、ケースバイケースです。商談のゴールに向けて、緩くいくのか、ガガガっていくのか。
僕がビジネス的なスキルで長所と思ってるのは営業力なんで。急にめっちゃ喋って説得力あるように見せたり、全部喋っていただいてからバッと言ったり。企業秘密です(笑)。
フォルクスワーゲンの営業をしてたんですけど、たまたま配属されたのが、毎年売り上げ上位を取ってる西宮の店舗で。すぐ辞めるか、しぶとくめっちゃやるか。僕はたまたま後者に行けたんで。
メーカーのご褒美旅行でドイツやLAに行って、空き時間や早朝はわざわざランニングシューズを持って行って、グラフィティ巡りする。
さん付けで呼ばれてたのが、途中から川添くんとかに変わるから、距離縮まったなって。お客さん以上、友達未満みたいなところを、クライアントさんとは築きたくて。人が好きなんで。
悪いやつじゃないです。多分(笑)。
夜行バスで見に行った、渋谷のNORIKIYOの壁画
初めてミューラルを描いてる現場とか見たのは、どういうタイミングだったんですか?
衝撃を受けたミューラルの話なんですけど、NORIKIYOさんってラッパーのアルバムのジャケが、渋谷の道玄坂のマンハッタンレコードの横のビルにミューラルとしてあって。
ラッパーとしても好きだったし、初めて東京に行ったのが、そのミューラルを見るためだけに夜行バスに乗った時。何この壁画みたいな、すごい衝撃だったですね。
そのアーティストと今やってるなんてって感じです。
その壁は渋谷で一番いい壁やったんですけど、今はコンサートホールが建つので使えない状態になって。もう幻なんですけど。
NORIKIYOさんの昔のスタジオの住所を見つけて行って。本人はいなかったんですけど、他のライターさんにも会えて、今もそのタグのキャップとかも残ってて。
仕事になるとは思ってませんでした。
本当にファンとして、プレーヤーには全く関わらず、リスナーとしていたっていうところなんで、今すごく嬉しいですね。
先駆者的なアーティストが築き上げてきたものがあって今があるんで、そういう人たちともどんどんやっていきたいし、壁に描くことにこだわりを持ったアーティストといいピースを作っていけたらいいなと。
此花に生まれる新しいお祭り「えのえん祭」
9月21日ぐらいから、ブラジル、アメリカ、スペイン、カンボジアの5組がこの此花に来て、5作品を一気に描くっていうのをします。
その完成に合わせた9月27日に、同じ此花区にある神社で、音あり、キッズアートあり、出店あり、大抽選会あり、全てを詰め込んだお祭りを開催します。
絵の御縁の「えのえん祭」というお祭りを、第1回目で開催をします。すごく楽しくなると思いますので、ぜひ来てください。
ちょっといい映像作るんで。頑張ります。
此花はローカルな祭りが多いエリアなんですけど、ローカルかつ世界のアートもあるし、音楽も東京からも呼ぶし、新しい風を此花に吹かせたいなって思いも持ってやります。
壁珈琲というコーヒー屋兼事務所の2階が、10月から泊まれる施設になるので、アーティストも一般の方々も、家族でも此花に遊びに来てください。
WALL SHAREの川添さんでした。
川添でした。
まとめ
川添さんは、ビジネスとカルチャーの両方に軸足を置き、アーティストのスタイルを守ることが企業の挑戦を最大化すると語りました。代理店との付き合い方やコンペを受けない方針にも、その考えが表れています。此花区や地方での取り組みからは、街の人を巻き込むミューラルならではの価値が伝わってきます。
- 言われたものをそのまま描かず、アーティストのスタイルが反映されることを重視している
- 「ダサいかどうか」の感覚を商談でも伝え、事前の期待調整で企業と向き合う
- ミューラルは誰もが好き嫌いを言いやすく、制作のプロセスにも出会えるアートだと考えている
- 此花区や真庭、門司港、コザなど、ローカルだからこそ街ぐるみの壁画が生まれている
- 9月27日には此花区で新しいお祭り「えのえん祭」が開かれる







