イベントでのルール説明、どこまで話すべき?
ボードゲームを作ると、ルールを説明する場面は遊ぶときのインストだけではありません。ゲームマーケットや楽市などの販売イベントでも、自分の作品を説明する機会があります。
Manaさんによると、宣伝ではキャッチコピーや対応人数などのスペック、ゲームの面白さを伝えるのが一般的です。ただ、ルールを聞かれたときにどう説明するかは、多くの作家が悩むところだといいます。
簡単に説明しすぎると伝わらないし、長々と説明してもそこまで求められていない時に、時間の無駄というか、双方に結構不幸な結果を招くっていうような時もあったりするかなと思います。
Manaさんが「双方に不幸」と表現するのは、ルールを聞いた人が説明の途中で「ちょっと違うかも」と感じても、途中で断れる人は多くないという状況です。
一方で作者はルールをしっかり理解してほしいので、軽く聞かれただけで本格的なインストを始めてしまうことがあります。
軽い質問
来場者が「どんなゲームですか」と軽く聞く
フルのインスト
作者がルールを最初から最後まで説明し始める
序盤で興味を失う
聞き手は途中で「興味ないな」と感じても言い出せない
双方に損
購入にはつながらず、作者も他の来場者に声をかける時間を失う
できるだけ短いほうがよいというイメージを持つ人は多いものの、実際にどのくらいが適切なのかは、きちんと議論されてこなかったとManaさんは話します。
SNSの宣伝を見比べて気づいた「売れているところを参考に」という発想
Manaさんは、宣伝の手本を探すためにSNS上の宣伝投稿を見て回りました。口頭の宣伝を聞き比べたのではなく、一番シンプルに伝わる形としてSNSの投稿を参考にしたといいます。
ブースカットのような1枚絵は、文字やキャッチコピーがいろいろ書かれていて、どこがルール説明なのかがわかりにくいものでした。Manaさんはそうした画像を、ルール説明ではなくバナー画像として捉えています。
ルール説明を載せている投稿もありましたが、テキストで長々と書くもの、説明書を画像でそのまま載せるものなど、やり方はさまざまでした。
やっぱり(宣伝用のルール説明で)成功しているのって売れてるところなわけなんですよ。
宣伝の目的は、ルールを理解してもらうことよりも、買ってもらうことにあります。だからこそ、実際に売れている作家のやり方を見るべきだというのがManaさんの考えです。
オインクゲームズの「遊び方」は4つのポイントだけ
Manaさんが最初に思い浮かべたのは、オインクゲームズ ── 小箱で手軽に遊べるボードゲームを多く手がける日本のメーカー。国内外で人気がありますでした。販売実績が大きく、全体的に軽いゲームが多いので、ルール説明も簡潔なのではないかと考えたといいます。
オインクゲームズはX(旧Twitter)で、新作ごとのバナー画像とは別に、遊び方を1枚の画像にした投稿をしています。その構成は毎回決まったフォーマットで、遊び方を4つのポイントに絞っているのが特徴です。
Manaさんは、この4つのポイントを読んだだけで実際に遊べるわけではないと認めています。それでも、ゲームの雰囲気や大まかなルールは十分につかめるといいます。
いわゆる面白そうって思えるかどうか、自分でもできそうって思えるかどうか、誰々と遊ぶと良さそうだなって思えるかどうか、そういったところは十分判断ができるわけなんですよ。
細かいルールは実際に遊ぶときに把握すればよい、というのがManaさんの見方です。ただし、この時点ではまだ1つの事例にすぎないと考えていました。
オインクゲームズは古くから活動していて実績とブランドが浸透しているため、この程度の説明でも売れている可能性がある、とManaさんは慎重に考えたのです。
勢いのある新鋭イブインクも同じフォーマットだった
Manaさんが次に調べたのは、新しく登場して勢いのある作家として思い浮かんだイブインクです。アークライト賞なども次々に受賞している印象があるといいます。
イブインクの投稿を見ると、オインクゲームズと同じく、1枚の画像の中に「遊び方」が4つのポイントでコンパクトに収められていました。
イブインクがオインクゲームズを参考にしたのか、たまたま同じなのかはわからないとManaさんは話します。オインクゲームズがいつからこの形なのかも把握していないそうです。
ただ、オインクゲームズのショップで見たデザイナーズノートなどにも、ポイントが4つにまとめられていた気がするといいます。そのためManaさんは、イブインクがいろいろなものを吸収する中でこの形を取り入れた可能性はあると見ています。
(売れている人たちの簡単ルール説明の)フォーマットが揃っているっていうことに気づいて衝撃を受けましたね。これってもうこれが正解なんじゃないかなって思いました。
イブインクはSNSだけでなく、イベントのブースでも4つのポイントのポップを立てています。来場者はルール説明を聞かなくても、ポップを見るだけでどんなゲームかがわかる仕組みです。
キャッチコピーだけでも、全部の説明でも足りない理由
Manaさんは、現時点ではこの4つのポイントが最適解だと考えています。
「なんとかのゲームです」というキャッチコピーだけでは、どう遊ぶのかがわからない
1から100まで全部説明すると時間がもったいなく、何が売りなのかもぼやける
短すぎても長すぎても「このゲームは結局どう遊ぶのか」が伝わりません。その中間でちょうど収まりがいいのが、4つのポイントだというのがManaさんの結論です。
Manaさんの記憶では、イブインクは以前、横長のポップで「遊び方1・2・3」と3つのポイントにしていた気がするといいます。Manaさん自身も、最近のポップではそれを参考に3つのポイントでまとめていました。
3つから4つへ。SNSと会場の両方に収まる形
Manaさんによると、3つのポイントの横長ポップはゲームマーケットなどの会場ではとても使いやすく、棚にもフィットして見やすかったそうです。一方で、SNSでは使いにくいという悩みがありました。
横長の画像はSNSで見にくく、正方形にすると3つでは1マス余ってしまいます。空いたところにパッケージを載せる手もありますが、パッケージはバナー画像で大きく見せたほうがよいため、ルール説明の画像としては収まりが悪かったといいます。
3つのポイントの横長ポップ。会場では使いやすいが、SNSでは横長で見にくく、正方形にすると1マス余る
4つのポイント。SNSでも会場のポップでも収まりがいい
古くからの会社と新しい個人作家という、勢いのある2者が同じフォーマットを使っている点を、Manaさんは興味深いと話します。
4つのポイントはルールをだらだら書くのではなく、一言二言のテキストと、それを表す図版のセットで構成されています。文章を読んで理解するより、図版で雰囲気が伝わるように作られているのです。
口頭のトークも4ポイントで1分以内に
Manaさんは、画像やポップだけでなく、イベントでルールを聞かれて口頭で説明するときのスクリプトも、同じ構成でよいと考えています。
前提はこんな感じなんです。で、こういう風に考えて遊んでいくんですよ。だけどこんなこともあるよ。で、こうなったら勝ちですよみたいな。そんな説明でいいと思います。
Manaさんによると、この形なら1分ほどで説明できます。まず全体の流れを伝え、細かい話は聞かれてからするという順番が大切だといいます。
4つのポイントを起承転結にできるか
4つという数から、Manaさんは起承転結の構成になっているのではないかと考えました。前提があり、展開があり、面白みがあり、最後にゴールがあるという流れです。
しかし、さまざまな作品を見る限り、必ずしも起承転結にはなっていないようです。作品ごとに伝えるべきポイントの数が違ったり、起承転結にうまく収まらなかったりする事情もあるとManaさんは見ています。
それでも、起承転結になっていたほうが見た目としてきれいだと考え、Manaさんは今後、4つのポイントに絞りつつ起承転結を意識していきたいと話します。
なかなかやっぱりどうしようかなって悩んでる時は、ちゃんとうまくいってる人のものを参考にするといいよなっていうふうに改めて思ったような回でもございます。
まとめ
イベントやSNSでの宣伝用ルール説明は、短すぎても長すぎても伝わりません。Manaさんは、売れているオインクゲームズとイブインクが共通して使う「遊び方を4つのポイントに絞る」フォーマットに、その答えを見いだしました。
- 宣伝の目的は買ってもらうことなので、売れている作家の手法を参考にする
- 遊び方は一言二言のテキストと図版のセットで、4つのポイントにまとめる
- 4つのポイントはSNSの正方形画像にも会場のポップにも収まりがいい
- 口頭の説明も4ポイントで1分ほどにし、細かいルールは聞かれてから話す
- 可能なら4つのポイントを起承転結の流れにすると、よりきれいにまとまる


