父親が家にいない、跡継ぎが育った家庭とは
今回のテーマは「ローカル企業と家庭」です。どんな家で育ち、どう結婚したのか。収録前の打ち合わせの時点で「面白い」「言えない話が多すぎる」となったほど、赤裸々な内容から始まります。
小平さんの家では、父親がほとんど家にいませんでした。毎晩飲み歩き、家にいるときも近所の友達と飲み会をしていたと言います。
うちは父親ほぼほぼ家にいなかったから、もう毎晩飲んで回ってて。うちにいる時も、基本的には飲み会してたよね、近所の友達と。
全自動雀卓があったんで、二次会のご飯をうちでみんなで食べて外に出るか、徹夜で麻雀してるかみたいな家だったかな。
父親を見ること自体がレアだったと振り返ります。小学3年ごろ、朝帰りしてきた父親に声をかけた場面をよく覚えているそうです。
「あら、お父さん朝帰り?」って俺が聞いて。「今日お母さんには黙っててパフェ食べに行こう」みたいなことを言われたのをすごく覚えてる。
それでも家庭が壊れなかったのは、母親が愛の人だったのと、奇跡だと小平さんは話します。母方の祖父に刀で追い回されたという話も聞いたことがあるそうです。
桺本さんの家も似た状況でした。1989年生まれでバブル全盛期に育ち、父親は桺本さんが小学校低学年のころに別居状態になります。
もう僕の覚えてる記憶だと、基本毎日、京都なんで祇園にいるというような父親で。毎日飲み歩いて朝帰りするっていうのが記憶ですね。
この世代の経営者には「俺は何億夜の街に使った」と自慢する人が多い、という点で2人の見方は一致します。桺本さんの家は祖父も父も毎日祇園に行くのが当たり前でした。
子どもながらに受けた「帝王学」
夜の街に連れ回された記憶も共通しています。小平さんは中学生で初めてスナックに、大学時代には祇園や天文館のクラブに連れて行かれたと言います。
クラブとか行ってもみんな大体同級生だからさ、あんまり楽しくもないのよね。なんでこんなに金使うんだろうと思いながら、ダシに使われていろんなとこに遊びに行かされた記憶はあるな。
桺本さんも、舞妓さんや芸妓さんに抱っこされている幼い自分の写真がたくさんあり、あとから写真で「連れて行かれていた」と知ったそうです。
一方で、こうした環境が別の学びにもなっていました。小平さんの家には経営者がよく訪れ、その横でずっと話を聞いていたと言います。
父親の飲み会の時にはフィンガーチョコとか明治のドックとか、ああいうのが食べれるんで嬉しくて、ちっちゃい子がずっと横で話聞いてたのは覚えてるかな。だから経営に関する帝王学があるとすれば、その時が帝王学だったかもな。
桺本さんの祖父にまつわるエピソードも印象的です。ガス事業を作った祖父はもともと鍛冶屋で、小学校しか出ておらず、文字を書けなかったらしいと最近になって知ったと小平さんは語ります。
ずっと読書してる人だったから。契約書にサインができなかったって話を聞いて。文字を認識できない症状があるじゃない、多分それだったんじゃないかって言われて、すっごくびっくりした。
桺本さんの祖父は、毎日食卓で経営や経済のクイズを出す人でした。桺本さんが答えても「それは俺の答えとは違う」と言われ、毎日のように言い合いになったそうです。
祇園でブイブイ、そして愛人問題という世代
桺本さんの祖父は、小平さんの祖父とは対照的なインテリでした。神戸大学を出て、当時大きかった柳本製作所のボンボンとして、祇園でもてはやされていたと言います。
イケメンやし、金持ってるし、インテリやしっていうので、祇園でもてもてやってたらしいです。
祖父は祇園で知らない人がいないほどで、プライベートバーを持つなど、京都のお金持ちにありがちな遊び方もしていたそうです。
話は、この世代に共通する愛人・隠し子問題へと進みます。跡継ぎにとっては、株式承継や財産分割の場面で切実な問題になるからです。
隠し子問題ってさ、我々の代になると切実に、遺産分割とか株式承継の話でリアルに出てくるからさ。
小平さんは父親に隠し子がいると思い込み、22歳のころ、母親が席を外したタイミングで直接確認したと言います。結果は「いない」という答えでした。
本当に隠し子はいないのかっていう話をしたら、残念ながらいないっていう、よくわかんない答えをされたんだけど、うちはいないらしいで。
なぜ小金を持つと愛人を持つのか。2人は、学生時代にあまりモテなかった反動で走る人と、元々そういうのが好きな人がいる、と分析します。お金を持つと言い寄られやすい事情もありそうだと話します。
桺本さんの祖父は会社をいくつも持っていました。亡くなったとき、知らない会社が10個ほど出てきたそうです。資産管理会社に土地や工場の資産を集め、そこを通じてお金を使っていたという話も出ます。深入りは避けつつ、2人は「今じゃ絶対できない」と口をそろえます。
26歳で結婚 桺本さんの馴れ初め
ここから話題は、2人自身の結婚へと移ります。今の家庭環境は、育った家とはずいぶん違うと言います。
桺本さんが結婚したのは26歳。同年代では早いほうでした。法政大学在学中、卒業直前のフットサルサークルの飲み会で、今の奥さんと出会います。
20人ぐらいで、男一人女の子呼んでこようぜみたいなノリで、先輩が連れてきた女の子に手を出したっていう感じ。純粋に顔がドタイプだったっていう。
出会って2週間ほどで告白して交際が始まり、4年ほど付き合ってから結婚に至りました。社会人になって3、4年後のことだったと振り返ります。
相撲取り好きの妻と、社員紹介からの結婚
一方の小平さんは、28歳で東京から鹿児島へ戻ります。地方のお坊ちゃまとして大量のお見合いが来たものの、まったくピンと来なかったと言います。
それまでちょっとメンタル弱い人が好きだったのね。不安定だったり、少し癖のある文系の子が好きだったんだけど、もうそれがお腹いっぱいになってて。
転機は社員の紹介でした。地域のおじさん友達で作っていた「合コンクラブ」に呼ばれてきたのが今の奥さんの友達で、その縁が回り回って小平さんにつながります。
2人は2月に会って7月に結婚という、かなりのスピード婚でした。奥さんの好みのタイプが「相撲取り」だった点も決め手になったと言います。
その当時俺95キロあったから、好みのど真ん中だったらしく。体目当てって言われて、なんと面白いと思った。
奥さんは元々ギャルでサーファー、英語も堪能なバリキャリでした。加えて、小平さんの母親と同じ湯之元地区で生まれ育ち、見た目も似ていた点も大きかったそうです。入籍が7月、式が11月で、現在15年目を迎えています。
家庭では「ポンコツ」 経営を支えるパートナーシップ
小平さんの奥さんは、船舶や貿易会社の社長秘書を務めた経験があります。会社の財布と個人の財布を一緒にする会社を間近で見ていたため、そこは絶対にしないようにと徹底しているそうです。
小平さんは、プライベートの管理が苦手だと自認しています。マイクや薬を忘れて出張に行くこともあり、奥さんが「つまずきそうな石を全部拾ってくれている」と話します。
そのため小平さんは、奥さんを専業主婦としつつも重要な仕事を担うパートナーと位置づけ、臨時収入も含めて明細会計にして半分ずつにしていると言います。
桺本さんの奥さんも細かいことが得意なタイプです。桺本さんの実家について、本人や母親より奥さんのほうが物のありかを詳しく把握しているほどだと言います。
僕も僕の母親もめっちゃ忘れっぽくて、細かいこと気にしない人なんで、奥さんに全部聞くっていう。タスク使いみたいな感じになってますね。
実家との距離の近さも共通します。桺本さんは自宅から実家まで3分ほどで、土日はよく実家で過ごすそうです。小平さんも実家と仲がよく、結婚をきっかけに変わったと言います。
家に住んでた時とか、親が上司なわけじゃない。いつもすごい不機嫌そうにむっつりしてて、俺。だから結婚してからカンタが笑うようになったってすごい親に感謝されてた。
師匠からは「28歳で会った時はめちゃくちゃクソ野郎だった」と言われたと明かします。自分が一番優秀だと思い込んでいた時期を経て、「善良な田舎のおじさんになれてよかった」と振り返ります。
跡継ぎならではの結婚相手の選び方
話題は「未婚の人に伝えたい、やばい結婚相手の基準」へ。ただ2人とも、そもそもやばい人を選んでいないため難しいと苦笑します。
小平さんが挙げるのは、会社と個人の財布を混同する人です。加えて奥さんがよく言う視点として、社員から敬意を持たれているのは経営者のおかげであり、そこを勘違いすると変なことになる、という点を紹介します。
プライベートの家の片付けとか庭掃除を社員にやらせたりするオーナー社長の奥さんっているじゃん。あれしたらもう辞めたくなるよねと思う。
桺本さんは、金銭感覚が合うことを重視します。自身も質素倹約なタイプで、価値観が合わないと難しいと考えています。跡継ぎの場合、母親と仲良くできるかも結婚できるかの基準になったと言います。
一方で小平さんの家では、奥さんもバリバリ働いていたため、ブランド品も必要に応じて買ってきたと言います。今は旅行や美容、最近は運動に一緒にお金と時間を使うのが楽しみだそうです。
桺本さんは「この人だと思ったら早めに結婚したほうがいい」という考えです。親がごちゃごちゃ言うなら「やめだろ」ぐらいの気持ちで踏み切ったと話します。
離婚・財産分与・結婚式 跡継ぎのお金のリアル
結婚には跡継ぎならではのお金の問題もついて回ります。周りに離婚する人が多いことから、財産分与の話へと進みます。
小平さんは、結婚後に株式を承継すると、その評価額の半分をキャッシュで渡さなければならなくなる点を指摘します。配偶者側の不倫が原因の離婚でも発生するため、非常に厄介だと言います。
配偶者側の理由によって離婚することになった時もそれが発生するので、めちゃくちゃめんどくさいよねと。
桺本さんの父親は離婚と別の世帯を経て5年ほど前に亡くなりました。父親も100年以上続く会社を営んでおり、その株が奥さん側に渡る形になって非常に揉めたと明かします。遺言状で設計していても、法定の割合は守る必要があるため簡単ではなかったそうです。
最後の話題は結婚式です。2人とも小規模な式を選んだ点が共通しています。桺本さんは3月に籍を入れ、5月には親族だけで挙式。式場を1週間ほどで決めたそうです。
小平さんは京都の下鴨神社、行相殿参宮の親族20人ほどの式で、料亭で食事という形でした。白無垢のまま着替えもせず、当時25万円ほどで済んだと言います。桺本さんの妹も同じ下鴨神社・行相殿参宮だったそうです。
2人は、50人から100人規模が一番損をしやすく、大人数を呼ぶなら200〜300人集めないとペイできないと話します。ご祝儀を含めると、小さくやったほうが手元に残るという実感で一致しました。
まとめ
跡継ぎとして育った2人の家庭環境と結婚観を通じて、夜の街や愛人問題という上の世代の価値観と、現在の等身大のパートナーシップの違いが浮かび上がる回でした。金銭感覚や実家との関係、財産分与や結婚式の考え方まで、跡継ぎならではのリアルが語られました。
- 父親不在や夜の街の記憶など、跡継ぎに共通する育ち方が語られた
- 愛人・隠し子問題は、株式承継や財産分割で切実な問題として意識されている
- 家庭では「ポンコツ」を自認し、パートナーが経営を支える関係を築いている
- 結婚相手選びでは金銭感覚の一致と実家との相性が重視される
- 財産分与のリスクや結婚式の費用など、跡継ぎ特有のお金の現実が共有された





