好決算なのに、なぜ株価は9%も暴落したのか
Alphabetは年間換算で約5000億ドルの売上ペースを出し、本業の利益も前年比30%増でした。それでも決算直後に株価が約9%下がった、という話から番組は始まります。
皆さん、こんにちは。「米国株投資」の耳寄りな話へようこそ。
いきなりなんですけど、年間換算で約5000億ドル、日本円にして約75兆円っていうとんでもない売上ペースを叩き出してて、しかも本業の利益も前年比で30%増。
こんな完璧な成長を見せつけた超巨大企業が、決算発表の直後に株価を9%も暴落させたとしたら、皆さんはどう思いますか。
そうですね、非常にドラマチックというか、現代の相場のリアルを残酷なまでに映し出した、そんな出来事でしたよね。
本当にびっくりしました。ということで、本日のテーマは「アルファベット、好決算でも株が9%下落の背景を探る」です。
今回の深掘り解説を聞いていただければ、売上高が過去最高っていう完璧に見えるIT巨人の決算の裏で、一体何が起きていたのか。
そして、現在の株式市場がAI投資に対してどんな本音、つまりセンチメントを抱いているのかが手に取るようにわかるようになります。
企業のファンダメンタルズっていう現実と、投資家心理っていう感情がどうぶつかり合っているのか、そのメカニズムを紐解いていくのは非常にエキサイティングな作業ですよね。
検索の会社から「AI時代のインフラ企業」へ
数字を見る前に、Alphabetがいまどんな会社になろうとしているのかを整理します。コホストは、Alphabetのインフラが大きく3つの柱に進化していると説明します。
早速本題に入りたいんですけど、数字を見る前に、ちょっと整理しておきたいコンテキストがありますよね。
アルファベットって、もはやただの検索の会社じゃないですよね。自らをAI時代のインフラ企業へと作り変えようとしている、まさにその真っ最中なのかなと。
その視点は不可欠ですね。これまでのアルファベットは、Google検索やYouTubeっていう圧倒的な独占市場から、事実上もう無限にキャッシュを組み上げるようなビジネスモデルだったわけです。
勝手にお金が増えていく打ち出の小槌みたいな。
まさにそんな感じでした。でも今は違います。アルファベットが持つインフラって、大きく3つの柱に進化しているんですよ。
まず1つ目が知のインフラです。検索はもちろん、AndroidやChrome、Googleマップ、YouTubeなど、リスナーの皆さんも毎日必ず触れるような生活基盤ですね。
確かに。私も今日ここに来るまでGoogleマップ使いましたし。
そうですよね。そして2つ目が産業のインフラです。企業のシステムを裏で支えるGoogle Cloudとか、働き方の標準になったGoogle Workspaceなんかですね。
なるほど。仕事でもどっぷり使ってます。
そして今最も力を入れている3つ目が、次世代のAIインフラです。最先端のAIモデルであるGeminiや、自社開発のAIチップ、TPUですね。
これらを通じて、物理的な計算リソースそのものを提供する基盤へと進化している最中なんです。
つまり、電気や水道と同じで、もし明日Googleが止まったら、私たちの日常も経済も完全に麻痺しちゃうってことですよね。まさに現代の生命線だ。
ええ、その通りです。ただ、OpenAIのような競合が現れて、ドル箱だった検索市場の足元が揺らいでいるのも事実で。
だからこそ、その次世代基盤への投資に、文字通り社運をかけているわけです。
独占企業から、激しい競争を勝ち抜くチャレンジャーに立ち位置が変わっていると。
はい。そして、その移行にかかる莫大なコストこそが、今回の決算における最大の焦点となったんです。
売上も営業利益も最高、クラウドは利益3倍
ここからは2026年第3四半期決算の中身です。ホストは「本業は桁違いの強さだった」として、売上、営業利益、クラウドの数字を挙げていきます。
そこで最新の成績表である2026年第3四半期の決算が登場するわけですが、これ、一言で言うとどんな決算だったんですか?
一言で言うなら、AI投資が実を結んでクラウド事業が爆発的に急成長する一方で、投資評価損などの一過性要因で純利益、EPSが押し下げられた、売上高過去最高の増収増益決算と言えます。
ちょっと情報量が多いですね。でも要するに本業は最高だったと。
はい、本業は本当に桁違いの強さでした。具体的な数字を挙げますと、まず売上高が1275億8000万ドルで、前年同期比25%増です。
1275億ドル、2四半期連続の過去最高ですよね。年間換算で5000億ドル規模って、ちょっと化け物級の成長じゃないですか。
ええ。そして営業利益も405億8000万ドルで、こちらが30%増です。利益率も31.8%に向上していて、本業の稼ぐ力は極めて強靭ですね。
利益率30%超えってインフラ企業としては凄まじいですよね。さっき言っていた3つ目の柱、クラウドはどうだったんですか?
クラウド事業の爆発力はすごかったですよ。生成AIやTPUの好調があって、営業利益が111億ドルと、前年比でなんと3倍以上に急拡大しました。
売上も最高、本業の利益も30%増で、クラウドの利益に至っては3倍?
はい、3倍です。
純利益が減ったのはなぜ?87億ドルの評価損
本業は好調なのに、純利益は約25%減りました。その理由として、コホストはアメリカの会計ルールと、保有株の評価損を挙げます。
なのに、なんで純利益が約25%も減って、一株当たり利益のEPSが市場予想の3.01ドルを大きく下回る2.12ドルになっちゃったんですか?稼ぐ力は上がってるのに利益が減るって、意味がわからないんですけど。
非常に鋭い、そして当然の疑問ですね。結論から言いますと、アルファベットの本業が稼ぐ力を失ったわけでは全くないんです。
じゃあ、何が原因で。
原因は、アメリカの会計ルールにあるんです。Mark to Market、つまり時価評価会計というルールですね。
今回、アルファベットが投資しているスペースXなんかの他社株式や有価証券の価値が、四半期末の時点で変動してしまって。
ああ、投資先の企業の評価額が変わったと。
そうなんです。それで、約87億ドルもの未実現損失、つまり評価損を計上しなければならなかったんです。
未実現損失。つまり、アルファベットがスペースXの株を実際に売って損を確定させたわけじゃなくて、今持っている株の評価額がちょっと下がりましたよっていう、帳簿上のペーパーロスに過ぎないってことですか。
まさにその通りです。ただのペーパーロスなんですが、アメリカの会計基準では、こうした保有資産の評価損益も、その四半期の純利益に直接反映させないといけないルールになっていまして。
へー、そうなんですか。
はい。その結果、このペーパーロスだけでEPSが単体で0.55ドルも押し下げられてしまったんですよ。これが、一見すると大幅減益に見えてしまったからくりです。
いや、それはいくらなんでも理不尽すぎませんか。本業のクラウドや検索でガンガン稼いでるのに、出資先のスタートアップの評価額がたまたま下がったせいで、ヘッドラインには「アルファベットEPS予想大幅に下回る」って出ちゃうわけですよね。
アルゴリズム売りだけでは説明できない下落
見出しの数字だけで機械的に売られた面はあるものの、それだけでは9%の下落は説明しきれない、という流れになります。
そうなんですよ。そして現代の金融市場では、この見出しの数字のブレっていうのが、致命的な動きを引き起こしてしまうんです。
それって、アルゴリズム取引の影響ですよね。EPSが予想を30%下回ったっていう見出しだけを見て、機械的に売りを叩きつけた側面がありそうです。
ええ、間違いなくあります。人間のアナリストがレポートの中身をじっくり読んで、これはただのペーパーロスだなって判断する前に、自動売買プログラムがコンマ数秒で反応してしまいますから。
でもアフターマーケットで9%も下落したじゃないですか。アルゴリズムのパニック売りだけなら、機関投資家がレポートを読んだ後で買い戻しが入っても良さそうですよね。
おっしゃる通りです。アルゴリズムだけではそこまで下落したままにはなりません。
実は、プロの投資家たちがレポートを読んだ後でも、なお本気で警戒したもう1つの大きな要因があったんです。
もう1つの要因、それは何ですか。
それが設備投資、つまりCAPEXの激増と、フリーキャッシュフローの赤字転落です。
「湯水のように」使う513億ドルとフリーキャッシュフロー赤字
AIインフラ投資の額と、それが手元の現金に与えた影響が語られます。コホストは、巨大なトラクターを借金で買った農家の例えで状況を説明します。
出ました、CAPEX。AI戦争を勝ち抜くための巨額投資ですよね。今回どれくらい使ったんですか?
今回のAIインフラ投資額は、なんと513億6000万ドルです。
前年同期の2倍以上に激増しました。
513億ドル。2倍ってものすごいペースですね。
ええ。そしてその結果、企業が手元に残せる自由な現金であるフリーキャッシュフローがマイナス90億7000万ドルと、まさかの赤字に転落してしまったんですよ。
赤字転落。ちょっと整理させてください。つまり、世界一キャッシュリッチなはずのアルファベットが、この3ヶ月間で入ってくる現金よりも出ていく現金の方が90億ドルも多かったってことですか?
そういうことです。
いくら未来への投資とはいえ、それはちょっと機関投資家が震え上がるのも無理はないですね。
本業は絶好調なのに、未来への投資にお金を使いすぎたせいで売られたってことですか。
ええ。AIモデルの学習や運用には、何万個という高価なGPUとか、巨大なデータセンター、そして膨大な電力が必要です。アルファベットは今、次世代の覇権を握るために、文字通り湯水のように資金を投入している状態なんです。
例えるなら、毎週しっかり1000ドルの利益を出している超優秀な農家が、ある日突然5000ドルもする巨大な最新トラクターを借金で買っちゃったみたいな状態ですよね。
ああ、それは非常に分かりやすい例えですね。
一時的に手元のキャッシュはマイナスになって、周りは「あいつ破産するんじゃないか」って騒ぐけど、そのトラクターを使えば来年の収穫量は4倍になるかもしれない。市場は今、その空っぽになった財布だけを見てパニックになってるってことですか。
ミスを許さない市場と、現実主義へのフェーズ転換
経営陣は投資の回収に強気ですが、市場の見方は厳しくなっています。2027年にも設備投資を増やす方針が示され、投資家心理の変化が語られます。
まさにその通りです。経営陣もそのトラクター理論を強く主張していますよ。発表後のガイダンスで、アナト・アシュケナジCFOは、このインフラ投資は長期的には資本コストを上回る魅力的なリターン、つまりROICを生むんだと強い自信を見せていました。
会社側は強気なんですね。
はい。2026年通期の設備投資見通しも1950億ドルから2050億ドルという超巨額の枠を維持していますし、さらに2027年は設備投資額がさらに大幅に増加すると明言までしましたからね。
2027年はさらに増えるんですか?さっきの農家で言えば、来年はもっとでかいトラクターをさらに2台買うぞって宣言してるようなものじゃないですか。
会社側は今は出血しても未来の天下を取るんだって強気ですけど、市場の投資家はそれに耐えきれなくなってるんですか?
そうなんです。ここが今回の最重要ポイントなんですが、現在の市場はビッグテックに対して、ミスを一切許さないっていう極めてシビアなハードルを課しているんですよ。
ミスを一切許さない。満点回答以外は全部売りみたいな。
ええ。今回、主力の広告事業、つまり検索やYouTubeの売上はしっかり成長していたんですが、一部の強気なアナリスト予想にはほんのわずかに届かなかったんです。
ほんのわずかですよね。
はい。でもそれだけで市場には、この先も数千億ドルのAI投資を本当に賄い続けられるのかという焦りと懐疑心が生まれてしまうんです。
市場の心理が、AIってすごいっていう無邪気な期待から、完全にフェーズが変わってきてるんですね。
そうです。巨額のコストに見合うリターンを厳しく求める現実主義のフェーズへと移行している。今回の株価下落は、その決定的な証拠だと言えます。
押し目買いのチャンスか、底なし沼の始まりか
最後は、今回の決算のポイントを振り返りつつ、リスナーへの問いかけで締めくくられます。
いや、めちゃくちゃ面白いですね。さて、本題の解説が終わったところで、今日のポイントをサクッと振り返りましょう。
はい、お願いします。
今回は、アルファベットの2026年第3四半期決算と株価急落の背景について解説しました。
ポイントは、本業のクラウドや検索は過去最高の強さを見せているのに、保有株の評価損っていう一過性の要因と、AI覇権を握るための巨額投資によるキャッシュフロー悪化に、市場が過剰反応したということでしたね。
ええ。短期的な見出しの裏にある本業の強さと、投資家心理の揺らぎが非常によく表れた出来事でした。
ということで、リスナーのあなたは、この株価下落をどう見ますか?市場の短期的な焦りが生んだ絶好の押し目買いのチャンスなのか、それともAIインフラ競争が本当に利益を圧迫し続ける底なし沼の始まりなのか。ぜひ皆さんの投資戦略の視点でも考えてみてくださいね。
こればかりは、投資家それぞれの時間軸によって見方が全く変わってきますからね。
そうですよね。皆さんの意見もぜひ聞かせてください。というわけで、番組終了前に皆さんにお願いです。「米国株投資」の耳寄りな話のYouTubeチャンネルへの登録をお願いします。
よろしくお願いします。
取り上げてほしい銘柄や番組の感想、ぜひコメント欄へ投稿してください。また、通勤中や家事の合間にバックグラウンド再生が可能なSpotifyやApple Podcastでも配信していますので、そちらもチェックしてくださいね。
コメントいつも励みになっています。それでは次回もお耳を拝借。
まとめ
今回は、Alphabetが売上高過去最高の好決算でも、株価が約9%下がった背景を見てきました。本業は強いままで、保有株の評価損という一過性の要因と、AI投資によるフリーキャッシュフローの赤字が重なった形です。市場は「期待」から「投資の回収を厳しく見る」段階に移ってきているのかもしれません。
- 売上高は1275億8000万ドルで25%増、営業利益は30%増と、本業は過去最高の強さ
- EPSが市場予想を下回ったのは、約87億ドルの未実現損失(ペーパーロス)が主な原因
- 設備投資は513億6000万ドルに膨らみ、フリーキャッシュフローはマイナス90億7000万ドルに転落
- 経営陣は投資回収に強気で、2027年も設備投資の大幅増を明言している
- 市場はAI投資に、無邪気な期待ではなく、リターンを厳しく求める姿勢に変わってきている


