なぜ島のWebライターが名古屋で対面取材を?
「在宅起業後の裏話ラジオ」の小林さんは、7月下旬から8月、9月と約2ヶ月、配信を休んでいました。忙しさが続いたためで、今後も配信は不定期になるかもしれないと話しています。
再開1回目のテーマは、9月の忙しい時期にコンフォートゾーン ── 不安やストレスを感じずに過ごせる、慣れ親しんだ行動範囲のこと。そこから出ることは、新しい挑戦や成長の機会とされますから大きく踏み出した仕事、つまりBtoBの導入事例取材です。
九月の忙しい中でも、まあ大きくこう、コンフォートゾーンから出た仕事の働きぶりみたいなのが一個あったので、その話をしたいなと思います。
小林さんはこれまでも導入事例 ── 製品やサービスを導入した企業が、導入の経緯や効果を語る形式のコンテンツ。BtoBのマーケティングで、検討中の企業への説得材料として使われますの記事を作ってきました。ただし多くはオンライン取材や、自社の匿名事例をヒアリングして書き起こすものでした。
今回の仕事は、サービス事業主の担当者と、実際にサービスを導入した企業の担当者が同席し、カメラマンが写真も撮る本格的な対面取材でした。小林さんはこれを「ガチガチの導入事例取材」と表現しています。
(今回は)それこそ本当に島の外に出て、そしてWEBの外に出て、ライターとして仕事をしてきたので、今日はその話をしたいなというふうに思いました。
淡路島に住む小林さんにとって、対面取材に出向くこと自体がめったにない機会でした。この回では、取材対応の感想と、その後の原稿執筆の話が中心になります。
2年来のパートナーから届いた、難易度の高いオファー
依頼主は、小林さんが2年ほどパートナーとして仕事をしている制作会社です。小林さん自身がBtoBやITジャンルに特化したコンテンツ制作をしており、IT系に強いこの制作会社からホワイトペーパー ── 企業が自社の知見や製品の有用性を解説する資料。BtoBでは見込み顧客の獲得に使われることが多いコンテンツですや取材の仕事を受けてきました。
その制作会社から「名古屋で導入事例取材があるが、行けますか」というオファーが届きます。小林さんは迷ったものの、ライターを名乗るなら対面取材も経験しておくべきだと考えて引き受けました。
(導入事例取材で)飯食ってるわけではないですが、まあホワイトペーパーのね、いいネタなんですよね、導入事例って。
小林さんにとって導入事例取材は、本業のホワイトペーパー制作の延長線上にある仕事です。将来を見据えての判断だったと話しています。
ただ、オファーから取材までは順調ではありませんでした。制作会社の先にエンドクライアントであるソリューション事業主がいて、さらにその先の導入企業との日程調整が難航したためです。
オファーから原稿提出までの流れは、次のように数ヶ月にわたりました。
今回の題材はネットワークソリューション ── 企業の通信網やネットワーク環境の構築・運用を支援する製品やサービスの総称ですで、小林さんがこれまで扱ってきたアプリケーション開発や業務システム開発とは分野が異なりました。
お医者様もさ、外科がいれば内科もいてって全然分野違うと思うんで、そんくらい畑違い。
知らない単語が次々に出てくる難しいテーマでした。制作会社は、こうした難しいネタの取材とライティングができる人を探していて、小林さんに行き着いたといいます。
事前打ち合わせでは、ソリューション事業主が関わる余地があまりなかったという導入の経緯もわかりました。「どうやって書いたらいいですかね」と聞かれた小林さんは「取材してみないとわかんないですね」と答えたそうです。最初の仕事にしてはハードルが高いと感じつつも、「なんとかします」というスタンスで臨みました。
9月に質問リストへの回答が返ってくると、小林さんは導入の経緯を把握し、当日深掘りしたい点を加えて質問をブラッシュアップしました。
まずジャケット探しから。対面取材の準備はなぜ大変か
初めての対面取材で、小林さんが最初にしたのはジャケットを買いに行くことでした。島でジャケットをどこで買うか悩んだ末に、ユニクロの感動ジャケットと感動パンツを選んだそうです。
ちょうど息子さんが熱を出して1週間ほど休んでいた時期で、熱が下がって元気になった頃に「お父さんに付き合ってユニクロ行ってくんないか」と、息子さんを連れて買いに行きました。ボイスレコーダーなどの取材道具は元々持っていたので、足りないのはジャケットだけだったといいます。
初めて導入事例というか、まあ対面取材する時ってどうしたらいいの?みたいなね、ノートも一本書けそうなぐらい悩みました。
服装以外にも、対面取材には段取りが多くありました。集合場所の確認、新神戸から名古屋までの新幹線の手配、交通費の請求書の発行など、久しぶりに会社員のような手続きが必要だったと振り返っています。
小林さんは、オンライン取材と対面取材では手間が大きく違うことを実感しました。
指定されたZoomに入って話せば終わる
集合場所の確認、新幹線の手配、交通費の請求書発行など段取りが多い
その差は見積もりにも表れます。小林さんは対面取材の手間賃は見積もりの時点で委託料に反映する必要があると話しています。今回はもともと対面取材を高めに見積もっていたので問題なかったそうですが、これも経験だと感じたといいます。
総勢10名の会議室で、取材はどう進んだか
取材当日、小林さんは遅刻できないからと、約2時間前に現地近くに着きました。カフェで質問リストを見ながら時間をつぶし、20〜30分前に集合場所へ向かっています。
制作会社の担当者とは、Web会議で顔を合わせただけで、直接会うのは初めてでした。集まってくる人の中に大きなスーツケースを持った人がいて、誰だろうと思っていたら、別に手配されたカメラマンだったそうです。
「じゃあいきますか」という形で、久々、久々にこうスーツ着て会社に入っていきました。
会議室では制作会社の担当者が段取りを説明し、取材は小林さんに任されました。カメラマンは自然体でいてもらえれば、こちらで撮っておくというスタンスでした。
参加者は、ソリューション事業主が2名、制作会社が1名、カメラマンが1名、導入企業の側が事業本部長などの管理職と担当者を合わせて5名ほどでした。全員で10名ほどの取材で、小林さんは「こんな人数いるのか」と驚いたといいます。
それでも準備をしっかりしていたので、取材は比較的滞りなく進みました。導入企業の担当者がいろいろな引き出しを持っていて、良い言葉や「撮れ高」が多く、どこを取捨選択するか悩むほどだったそうです。
録音はスマホとボイスレコーダーの2通りで取り、どちらも問題ありませんでした。小林さんは、所属するライター編集者ラボのコミュニティで受けたインタビューライティング講座や、導入事例に関するコンテンツに助けられたと話しています。
対面取材、なかなか丸腰だと結構いろいろ失敗しただろうなと思うんですけど、まあ無事、自分の体験としても取り組めることができたかなと思います。
AIで型をつかむ執筆と、出張取材のこれから
取材後の執筆は、Web取材と同じく音源を聞きながら内容を取捨選択する作業でした。5日ほどの枠の中で書き上げられたので、あまり苦労はしなかったそうです。
小林さんによれば、取材そのものは難しくても、BtoBのライティングには型があります。そしてAIを使えば既存の事例から型を見出せるようになったといいます。
お客様の既存の事例から抽象化して型に落として書くっていうのは、そこまで難しくなくなったので、そこはね、非常にやりやすくなったかなと思った。
原稿を提出して1週間ほど経っても修正依頼は来ておらず、小林さんは校了になるかどうかを待っている状況です。
Webライターを名乗っているとなかなか踏み出せない対面取材でしたが、小林さんは非常に良い勉強になったと振り返っています。最近は導入事例に特化した制作会社とも面談する機会があったそうです。
その制作会社からは、東京の会社が関西へ出張すると費用がかかるため、関西在住のライターに依頼したいという話を聞けました。小林さんは「そういう時代か」と感じ、各地での取材のための出張が増えたら面白いと話しています。
妻の了承があれば、まあ月一出張はちょっと多いかもしれないけどね。四半期に一回ぐらいの出張ぐらいだったら許してくれるんじゃないかなって思ってる感じでございますね。
撮影まで自分でまとめて担えればいいとも考えましたが、撮影には撮影のスキルと段取りが必要で、簡単ではないと感じたそうです。小林さんは今回のカメラマンを「さすがプロ」と評し、名刺も受け取りました。
カメラマンさんとの付き合いも、これ、導入事例取材の時はすごい重要だなとは思いました。
8月、9月は本当に忙しく、10月は少し落ち着いたものの、12月にかけてのホワイトペーパーも3本執筆したといいます。小林さんは今を中休みと位置づけ、次の種をまいている段階だと話しました。配信は週1〜2本でも出せたらいいと締めくくっています。
まとめ
淡路島から名古屋へ出張した小林さんの初めての対面導入事例取材は、事前の準備と学んできた取材のノウハウに支えられて無事に終わりました。対面取材ならではのコストや人数への驚きと、AIを活用した執筆のしやすさの両方が語られた回です。
- 導入事例取材は、本業のホワイトペーパー制作にもつながる仕事として引き受けた
- 対面取材は移動や請求書など段取りが多く、その手間賃は見積もりに反映する必要がある
- 総勢10名ほどの取材でも、質問のブラッシュアップと講座で学んだ基礎で乗り切れた
- BtoBライティングには型があり、AIで既存の事例から型を見出すと執筆しやすい
- 関西のライターを求める動きもあり、出張取材やカメラマンとの縁が今後の可能性になる



