ジェリーゴーとは何か。走るボードゲームストアという発想
この回のテーマは、ボードゲームの移動販売です。きっかけは、ピチカートデザインが「ジェリーゴー」という新サービスを始めると発表したことでした。
ジェリーゴーは、キッチンカーのように移動して販売するスタイルのサービスです。様々なボードゲームを車に詰め込み、いろいろな場所に出向いて出店する、いわば走るボードゲームストアだと説明されています。
出店先として挙げられたのは、公園でのイベント、マルシェ、施設の広場などです。人がたくさんいるところにストアのほうが出向いて販売する形態だと紹介されました。
Manaさんはこのサービスの動向を気にしていて、実店舗だけだとその場所の人通りや露出に依存してしまう一方、人通りのあるところにどんどん出店できる点はメリットだと話しています。
人通りが多くてもボードゲームは売れるのか
この回でManaさんがずっと引っかかっているのは、人通りがいくら多いところに出店したとしても、ボードゲームは売れるのかという点です。
物が売れる大前提として、人通りの多さや目に触れる人数はとても重要だと前置きしつつ、それが効くのは誰にとっても価値がわかる一般大衆向けの商材だとManaさんは整理します。
例として挙がったのが食べ物や食事系の商品です。食べるという行為をする人は非常に多いので、そこに需要があり、人が多い場所に出店すればたくさん売れる、という構造になります。
一方でボードゲームは趣味性が高く、一般的な市場もまだできあがっていないとManaさんは見ています。全国で見てもボードゲームファンはそこまで多くなく、人が集まる場所に行っても、そこにボードゲームに興味がある人がどれだけいるかは分からない、という懸念です。
食べる人は非常に多く需要が大きい。人通りの多い場所に出店すればたくさん売れる
趣味性が高く市場も未成熟。人が多くても興味を持つ人がどれだけいるかは分からない
遊んでみるにはきっかけがいる。目的外の来場者は買うのか
Manaさんは、ボードゲームに興味を持つ人自体は増えていると認めます。ただし実際に触れて遊んでみるには、何かしらのきっかけが必要だと指摘します。
そのきっかけとして挙げられたのは、誰かに誘われて遊んでみる、修学旅行やみんなでの旅行、お泊まり会などで何か遊べるものを探す、といった場面です。
問題は、そうした別の目的で遊びに来ている人たちに対して、ボードゲームが売っていたからといって買うのか、という点だとManaさんは話します。ここがどうなのだろう、と考えているようです。
自身が調べ続けたポップアップストアという選択肢
Manaさんはジェリーゴーを批判しているわけではなく、自身も似たことをずっと考えていたと明かします。それがポップアップストアです。
作品を増やしていったら、ポップアップストアをあちこちに出してみたいと考え、ずっと調べていたそうです。ポップアップストアは移動販売に近い考え方だと説明されます。
具体的な出店先として、ショッピングモールで1週間だけ店を借りる、モール内の展示ブースやイベントコーナーを借りる、といった方法が挙げられました。
さらに、絵の個展をやるようなイベントスペースは路面店や地下など街中にも出せること、イオンやららぽーとといった大型ショッピングモール、アウトレット、スーパー、原宿の人通りの多い区画なども貸し出しの募集があると調べていたと話します。ポップアップストアのマッチングサイトや募集サイトも結構あるそうです。
ゲマ並みの費用で出せる。でもどう売るかが難しい
費用面について、Manaさんはポップアップストアの出店料はゲームマーケットの出展料ぐらいで、思ったより安いと話します。
費用的には十分出せてしまう上、ゲームマーケットを超える量の人通りに対して販売できるのがポップアップストアの魅力だと整理されます。
ただし、たくさんの人にボードゲームを並べても、そもそも興味がある人でないと来ないとManaさんは言います。歩いていて急に「ボードゲームが欲しかった」とはならないだろう、というわけです。
いきなり歩いてて、あ、ボードゲームだ、ボードゲーム欲しいとか、気になるとか、買いたかったんだってならないと思うんですよね。
だからこそ、商品を並べたところでどう売っていくのかは、Manaさんがずっと考え続けてきた課題だと語られます。
試遊とニーズの掘り起こしという売り方
Manaさんが出した一つの答えは、商品を並べているだけでは売れない、というものです。イベントスペースやポップアップストアをやるなら、試遊スペースを充実させる必要があると考えています。
大人がいきなり試遊に入ってくるとは思えない一方、子供が「何これ?」と楽しく試遊を始め、いろんなボードゲームで遊んでみて、面白かったら買ってもらえる、という流れをManaさんは描きます。
もともと需要やニーズがない場所に出すなら、ニーズや需要の掘り起こしが必要になるとManaさんは整理します。試遊は、いわば試食のようなものだという捉え方です。
とりあえずちょっと食べてもらう、とりあえず見つけてもらうだとか、そういうような何かしらのフックといったもので、ニーズ、需要の掘り起こしといったものを大多数にやっていく必要は、ちょっと出てくるんじゃないのかなと思います。
そのため接客の負担も大きく、何でも売れるわけではないとManaさんは言います。ライトでファミリー層向け、軽めで、試遊でサクッと盛り上がり、友達と遊ぶイメージがわく商材である必要が出てくると考えています。
自作は移動販売向きではないという悩み
ここでManaさんは、自身の作品が移動販売やポップアップストアに向いていないという悩みを打ち明けます。じっくり腰を据えて考える系統のゲームが多いためです。
ポップアップストアはやりたいものの、商品数もまだそこまで多くなく、ゲームの種類も試遊で盛り上がる方向とは違うため、ずっと悶々としていたとManaさんは振り返ります。
そんな折にジェリーゴーというサービスが登場したので、本当にそれが成り立つのかどうか、動向が気になっていると話します。
共同ポップアップと一日店長という構想
Manaさんは、ジェリーゴーがうまくいくなら、自身もポップアップストアを横展開する作戦ができるのではないかと考えています。
いつかやりたいこととして挙げられたのが、モール内だけでなく路面店を長期的に借り、何人かのボードゲーム作者と共同で出展することです。
その形として、ボードゲーム作者が入れ替わる一日店長のような仕組みが挙げられました。作者自身が接客や自作の紹介をしながら、大勢の人にボードゲームを知らせていく企画としてアリなのではないかと語られます。
一日店長さんみたいなものが、ボードゲーム作者の人がこう入れ替わっていったりだとかして、実際に接客だったり、自分の作品の紹介だったりとかもしながら、大多数の人たちにボードゲームを知らせていける、そういうことも、ちょっと企画として、アリなのかなとは思っております。
こうした売るスキームを身につければ、ボードゲームの普及にも貢献できるとManaさんは見ています。
現状の販売経路は、ゲームマーケットに出すか、通販に乗せるか、問屋や出版社を通すかぐらいしかないとManaさんは整理します。そのうえで、もっとリアルで攻めの販売方法を構築できたら面白いと期待を語ります。
回転率と採算という現実的な壁
一方で、Manaさんは悩ましさも率直に語ります。試遊が売り方のポイントで、子供向けとなると、手間の割に回転率がどうしても良くないと考えているためです。
いろんな人が入れ替わり立ち替わり商品を買っていくのではなく、入ってきて遊んでどうか、という流れになるとManaさんは見ています。
その結果、一日の売り上げが出店料をペイでき、さらに利益の部分まで賄えるのか、という採算面が気になっていると話します。
ボードゲームに興味がある人はどこにいるのか
Manaさんが次に投げかけるのは、ボードゲームにちょっと興味を持っている人は普段どこにいるのか、という問いです。
ここでいう対象は、ゲームマーケットに来るようなボードゲームファンではなく、そこまではいかないけれど、売っていると気になって近寄り、購入してみようかなとなる層だと説明されます。
その層がどこにどれだけいるのか、というのがManaさんの疑問です。手がかりとして、出版社や流通問屋を通せば、ロフトや蔦屋、ドン・キホーテといった店でもボードゲームが売られていることが挙げられました。
そうした店で買う層をイメージすると、たまたま見て「これ欲しかったんだ」と手に取るような買われ方になるとManaさんは考えます。
一般大衆向けプロモーションとインディーズの戦い方
この層を狙うなら、ボードゲームファンに情報を届けるのではなく、広く一般に届けるメディア戦略が必要になるとManaさんは整理します。
宣伝手段の例として、Xだけでなくインスタのストーリー、YouTubeのショート、芸能人やインフルエンサーがそのボードゲームで遊ぶ姿を配信することなどが挙げられました。一般大衆向けのプロモーション戦略が重要になり、戦い方が変わってくるという見立てです。
そのうえでManaさんは、こじんまりとしたインディーズの立場でどう切り込むかが悩ましいと話します。インディーズは自立した存在でもあると補足されます。
最後にManaさんは、こうした考えをまとめる上でもジェリーゴーは素晴らしい挑戦であり、今後も動向をウォッチしていきたいと締めくくりました。
まとめ
この回は、移動販売サービス「ジェリーゴー」を起点に、人が多い場所でボードゲームは売れるのかをManaさんが制作者の視点で考察した内容でした。売り方の工夫と採算という現実の間で揺れる思考が語られています。
- ジェリーゴーは車で移動しながら販売する走るボードゲームストアで、公園やマルシェなど人の多い場所に出向く
- 食べ物と違いボードゲームは趣味性が高く、人通りが多くても興味を持つ人がどれだけいるかが課題になる
- 売るには試遊スペースを充実させ、子供やファミリー層を入り口にニーズを掘り起こす必要がある
- Manaさんは路面店の長期利用や作者による一日店長など、共同ポップアップの構想を温めている
- 試遊中心だと回転率が低く採算が読みにくいため、一般大衆向けのプロモーション戦略も鍵になる




