アブストラクトゲームとは何か、なぜコンポーネントが地味なのか
今回のテーマは、アブストラクトゲームのコンポーネントです。アブストラクトゲーム ── 運の要素がなく、情報がすべて公開された状態で戦う頭脳戦型のボードゲーム。プレイ人数は2人や4人などさまざま。は、運の要素がなく、すべての情報が平等に公開されたうえでお互いに戦うゲームだと説明されています。
代表例として挙げられたのが、チェス、囲碁、オセロ、将棋です。どれもマス目状のボードにコマがあり、ある意味それだけがパッケージだと言えるような構成になっています。
ほんとボードとコマだけみたいな。例えばチェスとかもアブストラクトゲームになりますし、囲碁もそうですね。オセロもそうです。
Mana氏は、こうしたコンポーネントの多くがシンプルで、地味になりがちだと指摘します。囲碁は白と黒のコマとマス目のボード、オセロは表が黒・裏が白のコマとマス目だけ、というシンプルさです。
さらにアブストラクトの定義について、運の要素がないだけでなく「抽象的」であることがより正確だと補足されます。特定の世界観や事象を持たせないノンテーマのゲームを指す、という整理です。
囲碁とオセロ、チェスと将棋、見た目で違いはわかるのか
アブストラクトゲームは、ゲーム自体もコンポーネントデザインも地味になりがちで、差別化が難しいとMana氏は話します。
わかりやすい例として挙げられたのが、囲碁とオセロの見た目のそっくりさです。ルールを知らない人が置いてある姿を見ただけで違いがわかるのか、という問いが投げかけられます。
囲碁とオセロ、もうほんとコンポーネントほんとそっくりですので、それの違いって何なの?
チェスと将棋についても、何か違う駒が並んでいる程度にしか見えない、とされます。ルールを聞いて初めて違いがわかるレベルで、非常に地味だという指摘です。
一方でカードゲームなら、ルールを聞かなくてもイラストや裏表のデザインで違いを出せます。しかしアブストラクト、しかもノンテーマとなると、違いを出すこと自体が難しいという状況になります。
カードにイラストや裏表のデザインを載せられ、ルールを聞かなくても見た目で違いを示せる
ボードとコマだけでノンテーマのため、ルールを聞くまで違いがわかりにくい
職人気質だけでは戦えない、いま求められる見せ方
昔はアブストラクトゲームを作ること、ゲームルール自体がアートという捉え方があり、好きな人はそこにハマっていったとMana氏は振り返ります。
しかし今は、ゲーマーだけでなく、それほどボードゲームで遊ばない人たちもボードゲーム界隈に参入してきています。
今はほんとゲーマーっていうよりも、ほんとそこまでボードゲームで遊ばない人たちもどんどんボードゲーム界隈に参入してきてるんですね。
そのため、魅力的に見せ、他と違うことを示していかないと、古風で職人気質なアブストラクトでも戦っていくのは難しい、とMana氏は考えています。
結論として、抽象的であることは前提としつつ、世界観やプロダクトデザインとしての作り込みが重要になると述べられます。
コマもボードも代用できる、だからこそ安っぽさが致命傷になる
こだわらないと安っぽく見える、というのがMana氏の懸念です。ある意味コマは何でもよく、オセロなら表が白・裏が黒であればよいし、囲碁も白と黒の駒があればできてしまう、と説明されます。
駒は百均のものやどこかで買ってきた識別できるもので代用でき、ボードもマス目さえ書いてあれば成立します。チラシやポストカードにマス目を印刷するだけでも遊べてしまう、というわけです。
その辺の百均のものでもいいですし、そういったものでやるとやっぱりちょっと安っぽくなってしまいます。
さらにアブストラクトはコンポーネントの種類が少ないという特徴があります。ボードと駒だけといった構成のため、種類も素材も安っぽいと、商品としての価値を出しにくくなります。
こだわるべきはまずボード、厚紙印刷でも価値は変わる
どこにこだわるべきかという問いに対し、Mana氏はまず駒とボードだと答えます。
ただし駒をフルオーダーメイドで作るのは敷居が高いとされ、まず現実的に取り組めるのがボードだと説明されます。多くの印刷会社が厚紙でのボード印刷に対応しているためです。
せめて厚紙でボードを印刷をするだとか、それがあるだけでも全然商品としての価値というものが違ってくると思うんですね。
素材は紙に限らず布でもよく、とにかく何かこだわりを入れることが重要だとされます。可能であれば駒にもこだわりたいところだが、そこは難しい面もある、と補足されています。
かさばるボードと箱サイズ、原価との勝負をどう乗り越えるか
ボードと駒だけのゲームが多い一方で、ゲームボードはかさばるという悩みがあります。駒が少なくても、ボードのためだけに化粧箱が大きくなってしまう点が難点だと指摘されます。
そこで、どれだけコンパクトにボードをできるかが課題になります。ただしコンパクトすぎると安っぽくなり、小さすぎると遊びにくくなるという難しさもあります。
木製などしっかりした素材のボードのほうがかっこいいものの、原価や箱のサイズとの兼ね合いを考える必要がある、とMana氏は現実的な視点を示します。
それでも何かこだわりを乗せられれば、そのゲームでしか味わえない体験や認知につながり、差別化と製品としての価値の両方が上がる、と述べられます。
その商品を買う意味を残すために、世界観まで作り込む
駒についても、素材屋で売っているアクリルキューブやトークンをそのまま使うだけでは工夫がなく、代用も効いてしまうとMana氏は言います。
テストプレイは適当なモックで行うことがほとんどのため代用できないコンポーネントはない、と前置きしつつ、市販品を使うと「あれで買ったものだ」とすぐわかってしまう、と指摘されます。
ボードもしょぼければ、コピー用紙にマス目を書いて百均の駒で遊ぶだけで十分になってしまい、その商品を買う意味がなくなってしまうという危うさが語られます。
ボードもしょぼかったとすると、ほんとコピー用紙にマス目を書いて百均で買ってきた駒で遊ぶ、それだけで十分になってしまったりするんですね。
だからこそ、世界観を導入し、デザインを入れ、プロダクトとしてのこだわりも乗せていく必要がある、というのがMana氏の主張です。
まとめ
アブストラクトゲームは、運のないノンテーマのゲームゆえに見た目での差別化が難しく、放っておくと安っぽく見えてしまいます。だからこそ、まずボードから現実的にこだわり、世界観やプロダクトとしての作り込みで「その商品を買う意味」を作ることが大切だと語られました。
- アブストラクトゲームは運がなく抽象的で、囲碁とオセロのように見た目で違いを出しにくい
- ゲーマー以外の参入が増えた今、職人気質だけでは戦いにくく、魅力的な見せ方が必要
- コマもボードも代用が効くため、こだわらないと安っぽく見え商品価値が下がる
- まずは厚紙印刷などボードからこだわると、商品としての価値が変わってくる
- 原価や箱サイズと折り合いをつけつつ、世界観とデザインを乗せて差別化する





