テストプレイは重要、でも「何を」確認しているか
番組「ボドゲの天下取り」で、制作者のMana(マナ)さんがこの回のテーマに選んだのは、テストプレイの心構えです。
多くの人がプロトタイプを作り、制作を進めていく中で、初めて遊ぶ人でも面白いと思ってもらえるかを確かめたいと考えます。
さらに、自分だけで動かすと似たような遊び方に偏りますが、他の人が遊べば違う遊び方やゲーム展開が見えてきます。だからテストプレイは重要だ、というのは制作業界では当たり前の話だとされています。
確認するのが結構「面白かったかどうか」っていう部分、それを確認している人が多いのかなっていうふうに思っております。
Mana(マナ)さんは以前の配信で、テストプレイのときは自分は参加しない方がいいこと、意見を集めるよりどう遊ばれているかを観察する方が重要なことを話してきたといいます。
今回はその一歩手前、テストプレイを行う前の事前の心構えが重要だという話です。
「面白かったですか?」という質問がうまくいかない理由
Mana(マナ)さんがもったいないと感じているのは、なんとなく遊んでもらって、面白かったかどうかだけで判断してしまうやり方です。
遊び終わったあとに「どうでしたか?」「面白かったですか?」「気になるところありませんか?」と尋ねる人も多いといいます。
最後のその質問って、なかなかちゃんとした適したフィードバックを得ることはできないと思うんですね。
理由の1つは忖度です。もう1つは、しっかり意見を言わなきゃという気持ちから、無理に何かをひねり出そうとする強引な意見が出てしまうことです。
さらに、その意見はあくまでその人の感想であり、たった1回プレイしただけのケースにすぎません。大多数がそう感じるとは限らない、と指摘します。
それなのに言われた通りに調整してしまったり、へこんでしまったりする。それは微妙だ、とMana(マナ)さんは話します。
テストプレイは「面白いものを探す作業」ではない
では、そもそも何のためにテストプレイをするのか。Mana(マナ)さんの考えははっきりしています。
テストプレイをしながら面白いものを探していく、という発想ではないといいます。
作者は「こういう風にやると面白いはずだ」という自己表現としてボードゲームを作ります。その通りになれば面白いはずで、テストプレイは想定通りになっているかを確認していく作業だと位置づけます。
時間・盛り上がり・展開――確認するポイント
Mana(マナ)さんは、確認するポイントをいくつか挙げます。まず単純な指標として、プレイ時間が想定通りかどうかです。思ったより早く終わることも、長期化することもあるため、時間は計測します。
さらに、実際に盛り上がったかどうか、どんな会話が生まれているか、そしてプレイスタイルも見ます。攻めるのか守るのか、といったゲーム展開も重要だといいます。
たとえば、序盤は準備フェーズで、途中から過激になり、最後は詰め将棋のように詰めていく展開を想定していたとします。ところが、最初から過激に攻める人がいると、それは想定外になります。
重要なのは、これらをなんとなく見るだけでは意味がないという点です。事前に想定していたかどうかが問われます。
そこの想定ができていないっていうのであれば、まだゲームを自分の中で消化しきれていないんだと思います。
想定と現実のズレを見つけ、面白さのレールに乗せる
作者は制作時に「こうなったら最高に面白い」という絵を描いています。テストプレイでは、その絵と何が違ったのかを見ます。
想定と違うということは、作者が思っていた面白さとズレているということです。そこで、面白いというレールに乗せてあげる必要がある、とMana(マナ)さんは考えます。
そのために、何が影響しているのかを探ります。デザインとして遊びにくいのか、扱うコマ数が多いのか、ターン数が多いのか。そうした要素を調整していくのが目的です。
この考え方に立つと、遊び終わったあとに尋ねることは、極論すると何もなかったりする、とMana(マナ)さんは言います。
「面白かったですか?」って言って「面白かったです」。それは嬉しいですけれども、じゃあこれで完成だってなるかっていうと、そうでもないです。
感想を聞く意味は「使えるパーツ」をもらえること
一方で、Mana(マナ)さんは感想を聞くことを完全に否定しているわけではありません。想定外が起きたときは、想定力が足りなかったり、ゲームとしてパーツが足りなかったりします。
そうしたとき、感想の中に、その解決に使えそうなパーツをもらえることが多々あるといいます。何を取り入れるかは作者判断ですが、凝り固まった考えに新しいアドバイスをもらう機会としては良いとします。
ただし、それも極論すれば、聞かなくても自分の中でなんとかできる部分もある、とMana(マナ)さんは付け加えます。
楽しんでいるか、それとも合わないだけか
もう1つの視点は、遊んでいる人の感情を読み取ることです。会話やゲーム展開は見ればわかりますが、それが想定通りに動いていても、楽しんでもらえているかは別問題だといいます。
作者は楽しいと思っていても、遊んでいる人は楽しいと思っていないかもしれません。その違いはある、とMana(マナ)さんは話します。
ここで切り分けたいのは、ゲーム自体が悪いのか、それとも参加メンバーに合わなかっただけなのか、という点です。
誰にでも好きなジャンルと得意でないジャンルがあり、ミスマッチが起これば、どんなゲームでも反応は鈍くなります。その状況を冷静に見て、メンバーを変えて再度プレイすることも必要になります。
デザインやシステムに調整すべき点がある
ジャンルの好みが合っていないだけかもしれない
どこに刺さるかを見て、ターゲットを絞る
メンバーを変えてプレイしていくと、刺さっている層と刺さっていない層が見えてきます。そこからターゲット層、つまりどこに向けてプロモーションすれば良い反応が得られるかがわかってきます。
微妙だと思っている人に買ってもらっても仕方がないので、面白いと思ってもらえる人に届けるための告知を考える。ボードゲーム好き全体、という広い対象から、ターゲットが明確になっていくといいます。
制作段階からターゲットを明確にできる人はすごい、とMana(マナ)さんは言います。ただ、自分の想定と実際の市場は違うパターンが多いため、試して感情を読み取らないとわからない部分があるとします。
面白いにもレベル感があります。その場は面白くても2回目はない、面白いけれど買うまではいかない、といった違いがある。どんな人が一番面白いと感じてくれるのかを見ていきます。
想定通りの展開でそうなったのか、違う展開でそうなったのかもポイントです。想定と違う方が刺さる場合もあり、そのときそれで良しとするか、こうした方が良いとするかは作者のこだわりになります。
テストは「正解」を用意してから臨む
微妙な状態でテストプレイに持っていき、みんなの意見を受け取りながら作り上げていく、という考え方は意味合いが違う、とMana(マナ)さんは念を押します。テストプレイはあくまでテストであり、出来上がっているものを確認する作業です。
確認ポイントはフェーズによって変わります。作りたての頃はゲームシステムが回るかどうかの確認、ある程度進むと遊びやすさの確認、という具合です。
だからこそ、正解を用意しておかないと確認ができません。Mana(マナ)さんはこれをシステムテストにたとえます。
ゴールが見えてないと、テストプレイ自体がやれるわけがないんですね。
想定は自分の中だけでも紙にまとめてもよいとしつつ、紙にまとめる時点で忖度や嘘が出てしまうので悩ましい、とも話します。それでも、何かしら必ず想定を持ち、それを確認する気持ちで臨むのが一番だといいます。
完成後にも続く、確認フェーズの段階
Mana(マナ)さんは、ゲームが出来上がったあとにも確認のフェーズがあると説明します。
最初は、作者自身が説明し、参加し、補足しながら誘導する、経験者としてゲームをコントロールする形が多いといいます。
次の段階では、作者が参加しなくてもメンバーだけで想定通りの展開になるか、作者がインストールせず説明書を読んでもらうだけで想定通り遊んでもらえるか、を確認していきます。
Mana(マナ)さんは、今回のテストでは何を確認したいか、どうなっていれば成功かを決めて臨むべきだと言います。ただし失敗はケースとして想定しにくく、「こうなっている」という正解を確認する意気込みが大切だとします。
なんとなく作ってみた、ちょっと遊んでみて面白いかどうか見てみて、っていう感覚だと、ちょっと有意義なテストプレイにはならなかったりします。
事前にゴールを想定し、それを確認していく。この準備をすれば、テストプレイは充実したものになる、というのがMana(マナ)さんの結論です。
まとめ
この回でMana(マナ)さんが伝えたのは、テストプレイは面白いものを探す場ではなく、作者の想定通りかを確認する場だという考え方です。事前に「こうなれば成功」という正解を持って臨むことで、テストプレイは意味のあるものになります。
- テストプレイは、作者の想定通りになっているかを確認する作業
- 「面白かったですか?」という質問だけでは、適したフィードバックは得にくい
- 時間・盛り上がり・会話・プレイスタイル・展開を、事前に想定してから観察する
- 想定と現実のズレの原因を探り、面白さのレールに乗せるために調整する
- 正解を用意してから臨むのがテスト。ゴールが見えていなければテストプレイは成り立たない



