テストプレイには段階がある
これからボードゲームを作ろうとしている人の多くは、いきなり販売する前にテストプレイが重要だ、ということは理解していると、Mana(マナ)さんは話します。
問題はその先で、テストプレイに使うボードゲームをどこまで作り込めばいいのか、という点で迷う人が多いといいます。まだアートワークやデザインが入っていない状態のものを、モックやプロトタイプと呼びます。
そもそもテストプレイには段階がある、というのがMana(マナ)さんの整理です。ゲームシステムとして面白いのかを見るテスト、遊びやすいのかを見るテスト、説明書だけで正しく遊べるのかを見るテストなど、目的が分かれています。
そして、これからテストプレイを始める人が向き合うのは、一番初めの「システムとして遊べるか」の段階だと、Mana(マナ)さんは指摘します。
なぜ「作り込まない」ことが正解なのか
いきなりデザインを乗せて遊びやすさをテストしても、ゲームルールに穴が見つかることは多い、とMana(マナ)さんは言います。その時にアートワークから直すのは、とても大変です。
だからこそ、サクッと作れて、サクッと直せることが重要になります。テストプレイのモック作りに時間をかけるのは、もったいないという考え方です。
どうせ一回でうまくいくとは思えないので。結構私も何回も何回もテストプレイをして、何回も何回も直したりしております。
作り込みすぎると、修正が大変になるだけでなく、ゲームの面白さとは違う要素まで判断に入り込んでしまう、とMana(マナ)さんは注意します。デザインの好き嫌いなどが混ざってしまうためです。
今回のプロトタイプ論の核として、Mana(マナ)さんは今何をテストするのか、今何を見るべきなのかを意識して作ることを挙げています。
付箋とコピー用紙から始める超初期の試作
Mana(マナ)さん自身のやり方として、超初期の状態では付箋やコピー用紙を使っていると紹介します。カードゲームなら、裏表の概念とカードの効果や数字さえあれば、一旦は遊べるという考え方です。
具体的には、付箋に1、2、3といった数字を書いて並べたり、カードの効果を書いて遊んだりします。コピー用紙に書いて切って使うこともあるといいます。
数字だけでなく、概念的なものも直接書き込みます。Mana(マナ)さんのゲームに登場する「ルース」という、じゃんけんのような仕組みでは、グー・チョキ・パーといった言葉をそのまま書いていたそうです。
私の一番初めのバーストオブマナも、本当にコピー用紙に絵を描いて、それを切って、というのでやっておりましたね。
この方法の利点は、すぐに破棄できることです。違うと思ったらクシャっとして、別の付箋に書いてすぐ試せる手軽さがあります。
一方で、付箋はベトベトしたり折れ曲がったりし、コピー用紙も折れたり切り貼りで形が不揃いになったりします。ゲームの流れを確認するだけならこれで十分ですが、実際に遊ぶ段階では課題が出ます。
たとえば、どのカードが何の効果か、何の数字かが見えてしまうと、そもそも遊べません。ここまで来ると、付箋やコピー用紙では厳しくなってくると、Mana(マナ)さんは説明します。
ブランクカードとトランプを使い分ける
付箋やコピー用紙の次の段階として、Mana(マナ)さんは大きく2つのパターンを使っていると話します。1つ目がブランクカードを使う方法です。
ブランクカードは、カード型にあらかじめ切られた厚紙で、Amazonなどで販売されています。両面ともフリーエリアのものや、裏面に柄が入っているものもあり、自分のゲームのサイズ感に合わせて買えます。
身内以外の人と遊ぶには、遊べる程度のギミックや作りをしっかりしておいたほうがいいため、ちゃんとしたカードの形にしていると、Mana(マナ)さんは言います。
ただ、ブランクカードは何十枚も書くのが大変で、色の概念をつけたいときも手間がかかります。トランプのようにスート(絵柄の種類)で4色にする場合、4色のペンを用意し、マークも手描きで区別しなければなりません。
そこでMana(マナ)さんの2つ目のパターンが、百均で売っているトランプを使う方法です。トランプを多めに買っておき、面倒なときは直接マジックで書き込むといいます。
トランプなら、数字も色も最初から書かれていて、カードの体裁も整い、裏面も透けないように模様が入っています。テストプレイのベースがすでに出来上がっている状態です。
あとはゲームに必要なデッキセット、何が何枚だとか、そういったものを基本的には用意するだけと。
数字と色以外に効果や意味を持たせたい場合は、そのトランプに直接書き込んでプレイします。準備に手間をかけすぎると、ブラッシュアップやテストプレイの回数が減って本末転倒になるためです。
周りで見かける「合理的」なやり方
自分のやり方に加えて、Mana(マナ)さんは周りを見て「頭がいいな」と感じるやり方も紹介します。それが、トレーディングカードとスリーブを組み合わせる方法です。
カードショップに行くと、弱いトレーディングカードはほぼタダ同然で手に入ります。それをたくさん買ってスリーブに入れると、裏面はトランプのように透けない柄になります。
ポイントはスリーブに入れていることです。表面のカードの柄の上から、付箋やコピー用紙に書いたものをスリーブの中に一緒に入れると、簡易的なカードセットが作れます。
変えたいカードだけスリーブから紙を取り出して書き直し、また入れるだけで、どんどんブラッシュアップできる仕組みです。この方法はブラッシュアップの観点でとても合理的だと、Mana(マナ)さんは評価します。
数字と色が最初からあり手軽。ただし書き直しはしにくい。字が汚くても遊べる状態を優先するMana(マナ)さん流
裏は透けず、中の紙を差し替えるだけで修正可能。ブラッシュアップの合理性が高くおすすめの方法
Mana(マナ)さん自身は面倒くさがりなので、色や数字も含めてトランプに直接書いてしまうことが多いといいます。字が汚いことも理由の一つです。
書くと実際にプロトタイプとしてテストプレイで遊んだ時に、あれ、この数字って2だよね、1だよね、7だよねとか、妙な混乱とかもしちゃうんですね。
それでも、おすすめとしてはトレーディングカードにスリーブを入れる方法が一番利口だと、Mana(マナ)さんは自分の癖と分けて伝えています。
テストプレイに持っていく前にやるべきこと
プロトタイプができたら、あとはガンガンテストプレイをしてブラッシュアップしていきましょう、とMana(マナ)さんは促します。作り込みが甘くて持っていくのが恥ずかしい、と感じる人もいるためです。
テストプレイの場は、こうしたモックやプロトタイプに慣れているので、そのくらいでも全然持っていっていいといいます。むしろ問題は別のところにあると指摘します。
むしろ最悪なのが、なかなかゲームシステムがちゃんと定まっていないのにテストプレイに持っていくというところです。
テストプレイは第三者を巻き込み、他の人の時間を使わせてもらう状況です。だからこそ、あまりにも未完成なものは持っていきにくいと、Mana(マナ)さんは考えています。
その前段として、まず自分の頭の中でシミュレーションし、プロトタイプができたら一人で何役かを決めて回してみることを勧めます。ゲームとして回るかどうかは、事前に自分でテストしておくべきだという考えです。
それがクリアされてから、自分のシミュレーションでは追いつかない部分、つまりいろいろな考え方の人が入ってきたらどうなるのかを試すために、第三者を含めたテストプレイをするのがいい、という流れです。
それでもテストプレイでお通夜のように暗い雰囲気になることはある、とMana(マナ)さんは正直に明かします。しかし、しょうがないと割り切り、協力してくれる人に感謝しながら続けているそうです。
コマ・トークン・盤は「ありもの」で代用する
カード以外で大変なのがコマだと、Mana(マナ)さんは話します。コマは余ったコンポーネントや、他のボードゲームのものを借りて使うこともあるといいます。
最近は百均にもポーン型やラウンド型のコマ、ミニチュアがいろいろな色で置いてあります。Mana(マナ)さんはセリアなどでこうしたコマをたくさん買っておき、コマを使うゲームで試しているそうです。
トークンについては、その辺の何でもいい、というスタンスです。クリップ、楊枝、綿棒など、何かしらのもので代用するくらいでテストプレイには十分だといいます。
- コマは余りコンポーネントや他ゲームからの借用、百均のコマで代用する
- トークンはクリップ・楊枝・綿棒など身近なもので代用する
- 盤やフィールドはコピー用紙に書き、現場で作ることも多い
盤やフィールドが必要なものは、ほぼコピー用紙に書いていると、Mana(マナ)さんは言います。むしろテストプレイの会場でA4用紙を広げ、その場で書いてしまうこともあるそうです。
その理由は、ボードのマス目の最適なサイズが変わりやすいからです。5×5がいいと思っても狭ければ7×7に、広すぎれば4×4にと、現場で変更するためです。
しっかり書いて作り上げたものを持っていくと、そこに手を加えにくくなります。マス目が曲がっていてやりにくいとクレームを言われることもあるそうですが、修正を素早くできる状態を優先しています。
Mana(マナ)さんは、初期段階のプロトタイプで最も重要なのは、手間をかけず修正を素早くできる状態にしておくことだと繰り返します。見た目やクオリティは二の次三の次で、ベースが固まってから作り込むべきだ、という結論です。
まとめ
テストプレイ用のプロトタイプは、作り込まずにすぐ直せる状態にしておくことが最優先だ、というのが今回の結論です。Mana(マナ)さんは、付箋やトランプ、百均グッズを使った具体的な代用術とともに、まず「何をテストするか」を意識することの大切さを語りました。
- プロトタイプは作り込まない。すぐ作れてすぐ直せることを最優先にする
- 超初期は付箋やコピー用紙、次の段階はブランクカードやトランプへの直接書き込みで試す
- トレカにスリーブを付けて紙を差し替える方法は、修正がしやすく合理的
- コマ・トークン・盤は他ゲームや百均、コピー用紙などありもので代用する
- テストプレイに持っていく前に、まず自分一人でゲームが回るか確認しておく




