平置きはなぜ「よくわからない」のか
この回のテーマは、ゲームマーケットの会場で作品を展示・販売するときのブースレイアウトです。
Manaさんは以前、初めてゲームマーケットに参加したときの気づきを配信したことがあると話します。そのときは「人がいても見える位置に、読める文字で書こう」という点が中心でした。
今回はそれとは別の視点として、テーブルの上の並べ方やブース全体の雰囲気に焦点を当てます。
多くのブースを巡ると、共通してやっていることが見えてくるといいます。高い位置に掲げるポスターやタペストリー、テーブルにかけるテーブルクロスなどです。こうした「みんなが同じようにやっていること」は参考にした方がよいと話します。
一方で、テーブルの上に商品を平置きで横に並べるレイアウトについては、Manaさんは「微妙かな」と感じているそうです。同人系の即売会ではよく見られる並べ方ですが、歩きながら遠目に見ると何を売っているのかわかりにくいと指摘します。
歩きながら遠目から見て何を売っているのか、やっぱりよくわからないっていうところですね。人が立ってるとまず間違いなく見えないですし。
近寄って上から見下ろさないと詳細がわからないうえ、いろいろ置いてあってもごちゃごちゃとして、一つずつ見る気になれない、という難点もあると話します。
立って正面から見えて、目線の高さにあるか
そこでManaさんが展示の大前提として挙げるのが、立って歩いている状態で、正面から見えるようにすることです。
ポスターやタペストリー、テーブルクロスも、人が正面から見られることを重点に考えるとよいといいます。
もう一つのポイントが、目線の位置に合わせることです。テーブルに箱を低く立てかけただけのブースは、自分の目線より下になり、遠目からはわかりにくくなってしまいます。
そのため、できる限り高い位置に、見てほしいものを展示するのが重要だと話します。できる限り上の位置に商品の目線がいくようにした方がいい、というのがManaさんの考えです。
ただし高すぎると規約違反になるため注意が必要だと補足します。
段ボール棚から有孔ボードまで、高さを出す道具
目線を高くする具体的な方法として、Manaさんはいくつかの手段を挙げます。
一つは、テーブル自体を底上げして高くし、そこに展示物を並べる方法です。もう一つが、正面からも見える飾り棚を使うことです。
飾り棚は高価という印象を持たれがちですが、Manaさんは段ボール製のものを使っていると話します。
実際あの結構かっこよくて使い勝手のいいもので、私は段ボール製の飾り棚を使っています。
使っているのは4段ほどのもので、平面の段ボールを組み立てると棚になるタイプです。色は黒でかっこよく、Amazonで2つセット2〜3千円ほどだったといいます。ニトリや家具屋のしっかりした棚ではなく、安めのものでも十分に違いが出ると話します。
段ボール棚なら商品を正面から向かい合うように配置でき、4段あるので上の段は目線が合うのが利点です。
ほかにも、100均やホームセンターで手に入る有孔ボードにフックをかけて展示したり、キッチン用品の網にフックで棚をつけて立てたりと、目線を高め・正面から見せる工夫をしている人がいると紹介します。
共通して大事なのは、平置きよりも、飾り棚のようなものを買うか作るかして、目線を高め、かつ正面から見えるようにすることだとまとめます。
下が空いた棚という気づき
一方で、実際のコンポーネントを並べるとなると、縦置きではスペース的に難しいこともあるとManaさんは話します。
そこで面白いと感じたのが、あるブースの棚だったといいます。
なんかこう棚なんですけども、下側が空いてる棚みたいなのを使っていたんですよ。
下側が空いているため、テーブルの奥行きをすべて使ってコンポーネントを並べられます。棚の上には商品の説明やパッケージを並べ、目線の位置でどんな商品かがわかる仕組みです。
近寄れば下側で実物のコンポーネントに触れたり見たりできる。この二段構えにManaさんは「なるほど」と感じたと話します。
目線の位置
商品の説明やパッケージを並べ、どんなゲームか一目でわかるようにする
棚の下側
テーブルの奥行きを使い、実物のコンポーネントを並べる
来場者の動き
遠目で内容を把握し、近寄って実物を触れる・試せる
Manaさん自身も、次のゲームマーケットでは下が空く棚を作り、その上に飾り棚を乗せる構成を考えているそうです。高さは規約内に調整しつつ、立って見たときに説明と商品が見え、近づけば下で実物を試せるブースを目指すといいます。
統一感が崩れると、当日は売れなくなる
Manaさんは、ブースレイアウトは展示方法だけが重要なのではないと強調します。
ブースには実際に人が訪れ、購買を検討します。そのため作品の世界観が重要になると話します。シリアスなゲームなのに花柄でポップなブースでは、雰囲気が合わないという例を挙げます。
作品に合ったテーマ性や世界観で統一されていると、はたから見ても雰囲気が良さそうに映り、近づいて「この商品か、納得」と感じてもらえる。そうした商品を際立たせる演出が大事だといいます。
Manaさん自身、商品が少なかった頃はその世界観に統一してよく売れたそうです。ところが作品が増えると、世界観の統一が難しくなってきたと振り返ります。
情報は場で開示した方がよいと考え、カードを額縁に並べたり、チラシを貼ったパネルを用意したりしていました。しかし作品数が増えるほど、それがごちゃごちゃしてきたといいます。
クレープも売ってればフランクフルトも売ってるし、みたいな。ああいうチラシがごちゃごちゃってなってて、何売ってるのかよくわかんないみたいな、そんな状態に。
作品が少ないうちは、予約がない新作でも雰囲気に惹かれて当日買ってもらえたそうです。しかしごちゃごちゃしていると、そこに何があるかもわからず、魅力的に見えません。
その結果、新作の当日販売が伸びず、予約分を売り切ると停滞してしまうことがあったと話します。
作品数が増えたら「サークルの統一感」へ
世界観の統一が必要だと痛感した一方で、Manaさんには譲れない思いがありました。
いっぱい持っていきたいんですよ。過去作も含めて。
新作だけ世界観を統一し、旧作は展示も販売もしないサークルもあります。しかしManaさんは、サークルの認知を高めたい思いと、過去作にも自信があり新たに知ってほしいという思いが強いといいます。
そこで、作品ごとの世界観ではなく、サークルとしての雰囲気を統一する方向へ考え直しました。
具体的には展示方法の統一です。棚に並べるだけでは統一感が出ないため、ルール説明などのPOPの体裁をそろえました。高級感を出したいため、要素をできる限り少なくし、洗練されたレイアウトを試すといいます。
各作品ごとに、キャッチコピー、概要説明、遊び方3つのポイントといった簡単な説明も用意しました。
さらに、再販で長期間使うことを見込み、POPのサイズを全作品で統一し、アクリルパネルの加工業者に依頼したそうです。全商品のPOPが同じサイズのアクリルパネルでそろい、棚の同じ位置に並ぶことで、ごちゃごちゃした印象を避けられると考えています。
黒基調とアクリルで「高級ブティック」を目指す
Manaさんは、昔のCDショップを参考にしていると話します。CDが並ぶ上にアーティストの説明が綺麗に並んでいた、あの見せ方です。これは前回話したブランドの統一感にもつながるといいます。
今回は全6作を持っていくものの、ごちゃごちゃさせず、高級ブティックのような雰囲気を目指すそうです。
全体は黒を基調にし、POPは高級感のあるアクリルで用意します。飾り棚の下には棚下の空間を使える棚を配置してコンポーネントを並べ、テーブルクロスの上には半透明のシートを敷くなど、こだわりを感じさせる演出も加えるといいます。
棚の上の飾り棚に商品を正面から見えるよう配置し、箱のサイズとPOPをすべて統一する。そうすれば作品ごとのアートワークが違っても、ブースとしての統一感は出るはずだと話します。
作品数に応じて統一の軸を選ぶ
Manaさんは、当日の売れ行きを左右するポイントとして、何でもいいから統一させることを挙げます。
何でもいいから世界観を統一させないと当日の売れ行きは厳しいだろうっていうふうに考えているんですね。
作品数や方針によって、統一の軸は変わってきます。
ブース全体・サークルとしてのレイアウトの統一感を目指す
作品の世界観に特化して飾り立てる
Manaさんはこの考え方がうまくいけば、1卓でおよそ10作品まではいけるはずだと見込んでいます。10作品までは統一と洗練をブラッシュアップし、さらに増えたら2卓借りることも考えているそうです。
同じ配置・同じレイアウトで2卓ぶんが並べばインパクトがあり、特定の作品目当てというより「綺麗に色々売っているんだな」と感じて来てもらえる人が増えればという狙いです。
それは、最新作だけでなく旧作を知ってもらう機会にもなります。Manaさんは常に旧作も持っていき、販売終了の作品を作らないようにしているため、新作と旧作の売れ行きの違いといったリアルな肌感覚も持っていると話し、今後そうした話もしていきたいと締めくくります。
まとめ
この回は、ゲームマーケットのブースレイアウトを、作品数の段階に応じてどう組み立てるかという実践的な話でした。平置きの弱点から、目線と正面を意識した見せ方、そしてサークルとしての統一感づくりまでが語られています。
- 平置きは遠目・立ち姿勢で内容が伝わりにくく、目線の高さ・正面から見えることを優先する
- 段ボール棚や有孔ボードなど安価な道具でも、目線を高め正面から見せる工夫はできる
- 下が空いた棚は、目線に説明・棚下に実物という二段構えで内容を伝えられる
- 作品数が増えたら世界観の統一が難しくなり、POPやサイズをそろえたサークルの統一感が有効になる
- 過去作も持っていくか最新作に絞るかで、統一の軸を選ぶことが当日の売れ行きに関わる

