新作と旧作、実際どちらが売れるのか
この回のテーマは、新作と旧作の売れ行きの違いです。実際にどちらが売れるのか、売れ方に違いはあるのかが語られます。
結論はシンプルで、ゲームマーケットでは旧作よりも新作の方が売れるというものです。これはManaさんのこれまでの経験からくる実感だといいます。
理由の一つは、商品の数の多さです。最近のゲームマーケットは新作だけでも見て回りきれないほどの数が発売されるため、旧作まで含めるとさらに膨大になります。
そんな中で選ばれるという点で、旧作は分が悪いと考えられています。
もう一つの理由はプロモーションの力の入れ具合です。旧作でもそれに特化して宣伝すれば売れ行きは維持できるものの、多くの人は新作の方に力を入れるためだといいます。
多作サークルが抱える「宣伝の配分」という悩み
Manaさんは毎回複数作品をゲームマーケットに持っていくため、どう宣伝するかが難しいと話します。
全部バーっと宣伝をすると、例えばX上でも宣伝だらけになってしまいますし、なかなか難しいよなって思っております。
広告宣伝費の面でも、全作品に100%の力を注ぐと、お金がいくらあっても足りなくなります。そのため、まだ見ぬ新作にプロモーションを入れざるを得ない実情があるといいます。
では、なぜそれでも新作を出し続けるのか。旧作だけだと、そのうち売れなくなっていくという声が背景にあります。
新作を出すことは新しいプロモーション活動をすることでもあり、新作を出すことで旧作にも告知の機会が生まれるとManaさんは考えています。だからこそ旧作を動かすためにも新作を出していった方がよい、という発想です。
旧作の売れ行きはどう変わっていくのか
ゲームマーケットでの旧作の売れ行きを、Manaさんは経験則として具体的な数字で語ります。
3回目以降はじわじわとした動きになり、ドンと売れるのではなく、欲しい人がポロポロと買っていく形になるといいます。前に遊んで面白かったから買いに来る人が多いようです。
さらに、出し続けているとサークルとしての信頼感が出てくると話します。
急に、新作含め旧作全部くださいみたいな、そんな言い方をされる方もいます。
あと、前買えなかったんですけど、ようやく買いに来ましたとか、そういったお声とかもあります。
つまり新作しか売れないわけではなく、逆に新作をフックに旧作も売れるようになる商品展開を考えるべきだ、というのがここでの見立てです。
新作に注力しつつ旧作を切り捨てない立ち回り
以前の回で、ゲームマーケットのレイアウトは世界観を統一した方がよく、新作一つに絞ると統一感を出しやすいという話があったといいます。その意味で新作の販売に注力するのは正解だとManaさんは考えています。
一方で、旧作もそこまで莫大には売れないため、新作の世界観を邪魔しない程度に販促するやり方も正解だといいます。
Manaさんのように全作品を並列で売りたい人は稀で、やりやすいのは新作に注力しつつ、他の作品を欲しい人が現れたときに提供できるよう在庫を用意しておくくらいがちょうどいい、と整理しています。
通販では旧作がじわじわ伸びていく
ここからは通販の話に移ります。Manaさんはゲームマーケット直後くらいから通販も行うといいます。
新作の通販は、まず前半でダッと来ます。会場に参加できなかった人や、当日に予算が尽きて後日買う人が集中するためです。
ただし、そのダッとした動きは一旦落ち着きます。長期間売っていく上では、その後の通販の伸びが重要になるといいます。
やっぱそこでバッと売り切っちゃったらもったいないと、いうふうにも考えております。
新作がバッと売れた後は、通販でじわじわと定期的に売れ始め、複数作品をまとめて買う人も現れます。
そのためManaさんは、会場で売れるよりも、長期的に通販などで売れている数の方が多いと話します。ゲームマーケットだけに特化して旧作をすぐ終売する人も多い中で、長く売り続ける価値があるという考えです。
新作が会場でバッと売れると、Xやボードゲーム会でのプレイを通じて口コミが広がるため、会場で売れた作品ほどその後の通販の伸びもよいといいます。
ふるさと納税という意外な販売チャネル
Manaさんは通販を自分のブースだけでなく、ふるさと納税でも展開しています。国や市に認められたような雰囲気が宣伝にもなるといいます。
ただし審査には時間がかかり、市の審査、総務省の審査、再び市の審査を経て認可が下りるため、新作が出てから半年ほどかかるといいます。
この時間差を逆手に取り、会場と通販の動きが落ち着いてきた頃に「ふるさと納税を始めました」と告知するやり方をしているそうです。
意外にもふるさと納税でもよく売れるといいます。2500円の商品がふるさと納税では1万円を超えることもありますが、それでも利用して買う人が多いようです。
ふるさと納税をすごく活用している方にとっては、すごくお得な買い方なんでしょうね。
さらに、ふるさと納税に登録されると、さとふる、ふるさとチョイス、楽天、ANAなど多くのプラットフォームで販売されるようになります。作品名で調べると多数ヒットするほどで、販売チャネル自体が増える効果もあるといいます。
販売店への卸とAmazon、そして今後の流通
Manaさんは委託販売はしていませんが、ボードゲームショップから「仕入れさせてほしい」という連絡を受けることが多いといいます。
そのため、ゲームマーケット後にはそうした販売店へ卸しています。流通会社や販社を通した卸はまだできていないものの、ショップから連絡があればまとめて納入しているそうです。
Amazonについては、月5000円ほどのランニングコストやバーコードの用意などが必要で、個人としては手を出していないといいます。
ただし、卸したショップがAmazonに出品することで、Manaさん自身の販売ではないものの、作品はAmazonでも買える状態になっているそうです。
こうして旧作は、会場よりも通販や他店舗への卸流通で盛り上がっていく傾向があると整理されます。一方で、新作が会場でどれだけ売れたかは初速としても長期の伸びとしても強いため、新作にはやはり力を入れた方がよいという結論です。
新作をゲームマーケットで販売
会場で初速の売上が立つ
直後に通販が伸びる
参加できなかった人や後日購入者が集中する
口コミと信頼が広がる
旧作も含めて通販でじわじわ売れ続ける
卸・ふるさと納税へ
販売店やふるさと納税など販売チャネルが増える
ストック型として続けるためのコスト戦略
作品数を出し続け、信頼を高めていけば、いつかボードゲームだけで生活できる状態も狙えるとManaさんは考えています。そのためには、どこかで大ヒットという「ガチャ」を引く必要があるとも話します。
そこで重要になるのが「いつまで続けられるか」です。自分のやりたいものを100%表現するとコンポーネントがリッチになり、原価も販売価格も上がってしまいます。
買いやすい価格に抑えるには大量に在庫を作る必要があり、たくさん作れば、たくさん売れないと次の予算が出ないという構造になります。
たくさん作った、たくさんコストをかけたってことは、たくさん売れないと次に作る予算が出ないっていうところがあります。
そのため、収入を一撃に集中させず分散できる形、つまりこまめに新作を出したり、出すペースを考えたりして、とにかくリスクを減らさないと続けられないとManaさんは強調します。
幸い大きな事故は起きておらず続けられているものの、より良いサイクルで回すには、コスト意識や利益意識、新作を出すスピードやタイミング、通販での伸ばし方をさらに学ぶ必要があるといいます。
一般流通まで見据えたステージごとの戦い方
今は販売店との直取引にとどまっていますが、ゆくゆくは全国の店舗流通まで手を出したいとManaさんは語ります。ロフトや東急ハンズ、蔦屋、ドン・キホーテなどに並ぶことを想定しています。
その段階になると、在庫の確保だけでなく、箱だけでユーザーが買いたくなるパッケージ作りも必要になります。
現状は箱の裏がシンプルな世界観のテキスト程度で、流通を考えると、箱の裏を見ただけでどんなゲームかわかり、魅力的で欲しいと思える情報を作る必要があるといいます。
今はまず自分の世界観を表現し、素晴らしいと思える作品作りに注力しているため、世界観の濃いものになっていますが、徐々に商業的な観点も入れていきたいと話します。
一般流通まで行けば大きな賞も狙え、インフルエンサーも扱いやすくなるといいます。
インディーズのゲームはすぐ終売・完売しがちで、紹介しても再生数が伸びにくい傾向があります。一方、長期的に販売される一般流通の商品なら、インフルエンサーの採用率も上がるイメージがあるそうです。芸能人のYouTuberやテレビ番組でも、そうした商品から選ばれやすいといいます。
新作と旧作、それぞれの特性を活かすバランス
一つの作品を長い時間をかけて育てることも重要ですが、新作と旧作それぞれの特性を見て、バランスよくやっていくことが必要だとManaさんはまとめます。
その場の爆発力と今後の伸びを意識し、会場で注力して売る
新作の伸びをどれだけ維持できるかが焦点で、売れ行きのメインは流通や通販に移っていく
一般流通まで行けば、旧作はヒットセラーではなくロングセラーを狙う勝負になります。ステージによって注力すべきポイントは変わってくる、というのがこの回の視点です。
それでも現場で旧作も十分売れるため、旧作にも力を入れて出展するのか、新作に特化するのかは、サークルによって違ってくるだろうと話されています。
まとめ
新作と旧作は売れ方が異なり、会場では新作が爆発する一方、旧作は通販や流通でじわじわ伸びていきます。だからこそ新作に注力しつつ旧作を切り捨てず、ストック型として長く続けられる形を作ることが、ボードゲームで生きていくための鍵になる、という回でした。
- ゲームマーケットでは、商品数の多さとプロモーションの配分から新作の方が売れやすい
- 新作を出すことは旧作に告知の機会を与え、新作をフックに旧作も売れていく
- 会場より、通販・卸・ふるさと納税など長期的なチャネルでの売上の方が多くなることもある
- たくさん作れば売れないと次の予算が出ないため、リスクを減らして続けられる形が重要
- 新作は爆発力、旧作はロングセラーと役割が異なり、ステージごとに注力点が変わる





