毎年数千の新作、好みの1本をどう見つけるか
この回のテーマは「好みのボードゲームを探すのも大変」です。番組はボードゲームで天下を取るためにビジネス的な視点を交えて考察するチャンネルで、Manaさんがその視点から話を進めます。
前提として、ボードゲームの市場では毎年数千を超える新作が出てくるとManaさんは話します。さらに「ボードゲーム」という言葉自体が広いことも、探しにくさの要因の一つだと指摘します。
趣味趣向によって「これは好みだ」「これは違う」という判断が分かれるのがボードゲームです。その一つひとつを毎回探し出すのは、それなりに大変だとManaさんは言います。
特に例に挙がるのがゲームマーケットです。年2回開催され、それぞれの開催概要のゲーム一覧を見ると、1000を超える作品が並びます。
1回の開催ごとに1000を超える中から、自分が面白いと思える作品を見つける。それ自体イベントとして楽しい一方で、効率よく面白いものを見つけられたらという思いが常にあるとManaさんは話します。
「自薦他薦問いません」募集の限界
探せないことを補う動きの一つに、X上での募集があります。「自薦他薦問いません」といった投稿で、自分の求めるゲームの情報を集める使われ方です。
Manaさんは、2人用でこういう世界観のゲームが欲しい、といった条件だと探しにくい場面を例に挙げます。そこで募集を投稿すると、宣伝のためにX界隈をよく見ている制作者から自然と情報が集まるメリットがあると説明します。
やっぱり探せないから情報が集まってきた方がいいよねっていうような動き方っていうのもあったりする。
ただしManaさんは、これはそこまで大きなメリットではないとも考えています。まず、その募集投稿を作者が見つけてくれるのか、という問題があります。
仮に集まったとしても、毎回大量に集まるわけではありません。精力的にX上で宣伝を頑張っている人の情報だけが集まる、という偏りが出てしまいます。
さらに、いろいろな人が募集をしていても、宣伝を頑張っている人たちの投稿で溢れ返ってしまうとManaさんは指摘します。結果として、どのテーマで見ても同じ作品ばかり出てくる状態になりがちです。
どこを見たとしても、結局どのテーマでも同じ作品出てるじゃんみたいな、そういったものとかもある。
宣伝でアカウント凍結?制作者側の手間とリスク
探しにくさは、制作者の側にも負担を生みます。募集の場があちこちに乱立するため、自分の紹介を回っていくだけで単純に手間がかかるとManaさんは話します。
その手間を減らそうと、ブースカットの画像と説明文をコピペであちこちに投稿するケースもあります。しかしManaさんは、これがX上でマイナスに働くと注意を促します。
同じ内容を繰り返し投稿すると、いわゆるコピーコンテンツに該当し、やりすぎるとアカウント停止や凍結の恐れがあるとManaさんは説明します。せっかくの宣伝活動でアカウントが止まっては本末転倒です。
やりすぎた、バンされましたとか、リポストしすぎましただとか、そういった悲鳴といったものも聞こえてくる。
だからこそ、宣伝活動の仕方そのものを考える必要があるとManaさんは述べます。
インフルエンサー紹介に頼るときの落とし穴
もう一つの選択肢が、インフルエンサーによる紹介です。「今回は1000円以下のボードゲームを紹介します、制作者は応募してください」といった企画が出てきています。
Manaさんはこれを良い動きだと捉えつつ、課題も挙げます。配信のネタとして詳細な情報が必要になるため、Googleフォームなど別の媒体から応募してくださいというパターンが多い点です。
この場合、応募という手間が一つ増えるうえ、そもそも募集に気づかなければ応募の機会自体がない、というデメリットがあるとManaさんは指摘します。
さらに、紹介してもらえるといっても、そのインフルエンサーの影響力に依存してしまいます。わざわざYouTubeへ聞きに行く必要があるぶん、届く分母は相当狭まるとManaさんは話します。
大人気のインフルエンサーであれば話は別で、Manaさんは北越さんの名を挙げます。ただ連日紹介していると1作品あたり3分ほどになり、埋もれてしまう恐れもあるといいます。参加した方がいいとしつつ、もう少しうまくできないかとManaさんは考えています。
使いにくいゲームマーケットの検索と、バラバラな粒度
こうした補い合いがまだ十分に循環していない要因の一つとして、Manaさんはゲームマーケットのサイトが使いにくい点を挙げます。サイトにはゲーム検索機能があります。
検索ではフリーワード、プレイ人数、プレイ時間、対象年齢、価格帯などで絞れます。ただ、フリーワードはタイトルなどを知っている人でないと使えず、プレイ人数で絞っても大量に出てきてしまうとManaさんは話します。
プレイ時間も難しく、「30分」と書かれていても本当に30分で終わるのかは分からない、対象年齢の幅も広い、といった具合です。結局は詳細検索で好みを探すことになると言います。
Manaさんは、この検索機能はゲームマーケットが今ほど盛り上がる前に作ったものではないかと推測します。需要の増加に合わせて選択肢を足していった結果、選択肢の粒度がバラバラになっていると指摘します。
例えば「ゲーム体験」という選択肢には「スタンダード」「エキスパート」があるものの、その時点で意味が分かりにくいとManaさんは言います。「1人から2人用」という項目もあり、これはプレイ人数の絞り込みと重複しています。
正直これ使える人、これを使ってる人って全然いないんじゃないのかなとは思っております。
ボードゲームは何軸で探すのが正解か
そこでManaさんは、ボードゲームをどんな検索軸で調べるのかを整理するだけでも、探しやすさは大きく変わると考えます。まず自分が何を求めているのかがはっきりします。
Manaさんは検索軸を2種類に分けて整理します。プレイ人数や時間、価格、対象年齢は、そもそも遊ぶ対象に入るかを判断するスペック情報だと位置づけます。
一方で、ゲームシステムのジャンルやテーマ性で好みに合いそうなものを絞れれば、それだけでほぼ目的を達成できるのではないかとManaさんは話します。
Manaさんは、ボードゲームのコミュニティサイトであるボドゲーマのジャンル分けにも触れ、それもしっくりこないと述べます。人によって考え方が違うためかもしれないとしつつ、もっと一般的で感覚的な分け方でよいのではないかと提案します。
背景には、ゲームマーケットで遊ぶ層が一般層にまで広がっている実感があります。ボードゲームに詳しい人ならシステム名で伝わるものも、初めての人には通じないという問題です。
Manaさんは、こうした用語を知らない人でも分かる言葉で探せるようにしたいと話します。狙いは、好みじゃないものを買って「ボードゲーム微妙かも」と思わせないことです。
Xで作りたい「ギルドの掲示板」のような場
Manaさんは、これらの検索軸を掛け合わせられる仕組みをXで作れないかと考え、企画を構想しています。
その一つが、あちこちでバラバラに行われている「自薦他薦問いません」の募集を、協力してひとまとめにできないか、という発想です。人のやりとりはとても参考になるとManaさんは話します。
誰かしらがこれ募集してますって言ったものを見ると、確かにそういうものって私も興味あるなあって思う。
そうしたやりとりがまとまっていれば、ゲームを探す人にとって分かりやすくなります。同時に、制作者もあちこち探し回る必要がなくなるとManaさんは説明します。
募集の場に告知していけば、求めている人へ届く。Manaさんはこれを「ギルドの掲示板のような形」と表現し、そうしたものをX上で作れたらと語ります。
マスからOne to Oneへ、届け方の考え方
続けてManaさんは、宣伝活動の「届け方」に話を移します。広く告知しようという考え方は多く、まず知ってもらわなければ判断もつかないため、認知は必要だと述べます。
繰り返し見たデザインは、会場を歩いていて「あれXで見たことある」と興味を引く効果もあります。ただ、それでもそのゲームにマッチする人へ適切に届けるという考え方が重要だとManaさんは強調します。
広く認知を取る手法は、対象が見つからないから面で告知し、その中から反応してもらうマスマーケティングに近いとManaさんは整理します。
Manaさんはマスマーケティングを、テレビやラジオのCMのようなものと説明します。番組を見ている視聴者の大多数に向け、その中からヒットを狙う考え方です。
しかしインターネットが登場してから、マス的な広告は反応が薄いとManaさんは話します。ネット広告では、年齢や興味関心で対象を絞るターゲティング広告が一般的になっているといいます。
Manaさんは、さらに進んだ理想としてOne to Oneマーケティングを挙げます。その人ごとに最適な情報を届ける考え方で、こうした状態にしていきたいと語ります。
興味があるものに対して教えてもらえると、それはありがとうって思えるような情報になる。
一方的な押し付けや興味のない情報はうざいだけで、ブロックや悪い印象につながりかねません。逆に面白いと思える人へ届け続けられれば、感謝につながる。Manaさんはそんな状態をXで作りたいと話します。
探すのをやめて、レコメンドで集まってくる形へ
そして究極の形として、Manaさんはレコメンドサービスの発想を挙げます。Xでは難しいとしつつ、目指す方向として語ります。
検索軸の整備も、Xで求める情報がまとまる状態づくりも、突き詰めればすべて「探す行為」だとManaさんは指摘します。探し方によって精度がまちまちになり、探すこと自体が重い、という限界があります。
探しやすいよっていうようなものではなくてですね、そもそもNot for me(興味のないもの)が来ないようにする。
Manaさんが描くのは、興味を持たなそうなボードゲームの情報は来ず、For me、つまり自分が求めるものが自然と集まってくる形です。おすすめ機能が強化されればいい、という発想です。
自分から検索軸や募集をたどる。探し方で精度が変わり、探す行為自体が重い
Not for meは来ず、For meが自然と集まる。おすすめ機能で届け方を最適化する
戦利品報告に眠る、同じ趣味の人とのつながり
レコメンドの鍵として、Manaさんはボードゲームでは同じ趣味を持つ人とのつながりが重要だと考えます。例に挙げるのがゲームマーケットの戦利品報告です。
戦利品の写真を見て、自分が買ったものと似た品揃えの人を見つけることはよくあります。そういう人とは趣味が合う、とManaさんは話します。
自分と同じような興味、趣味、趣向がありそうな人が私の知らないゲームを買っている。それ何なの?みたいな。
調べてみると面白そうで、見つけられなかったと悔しい思いをする。しかもそういうゲームに限って売り切れている、という場面もあるとManaさんは付け加えます。
Manaさんは、こうした「誰が何を買ったか」を集められれば、Amazonの「これを買った人はこれも買っています」に近い形で強力に働くのではないかと考えます。
Amazonほど広いと、たまたま買っただけの無関係な商品も混ざります。しかしボードゲームのようにニッチで趣味嗜好が色濃く出る商材なら、その情報は十分活用でき、マッチングサービスにできるのではないかとManaさんは話します。
来場者が主役の企画から、まず始めてみたい
一方で、実現には大変さもあるとManaさんは認めます。情報を集めるのも、わざわざそこへ行って調べるのも負担になるため、自然とできる形が理想です。
理想を言えばゲームマーケットのサイトでできるのが一番強いものの、なかなかそうもいかない。そこで直近では、X上でうまく回せる企画やお祭りから始めたいとManaさんは語ります。
Manaさんは既存のブースカットコンテストにも触れます。あれは出展者が出し、参加者が投票する形で、主役は出展者側だと整理します。
そのうえで、今度は来場者や購入者が主体となる企画を立ち上げたら面白いのではないかと提案します。まだ計画段階で、思いついたらまた話したいとのことです。
ゲームの体験軸だとか調べる軸、それの正解もちょっとわからないので、それもちょっと模索していきたい。
まとめ
この回は、毎年数千の新作から好みの1本を探す難しさを起点に、募集・インフルエンサー紹介・ゲームマーケット検索それぞれの限界を整理し、最終的には「探す」から「集まる」への発想の転換を提案する内容でした。
- 毎年数千の新作が出るなかで、好みのボードゲームを見つけること自体が大きな負担になっている
- X上の「自薦他薦問いません」募集は、宣伝を頑張る人の情報に偏り、同じ作品ばかり出てくる限界がある
- コピペ宣伝はコピーコンテンツ扱いで凍結リスクがあり、インフルエンサー紹介も応募の手間や影響力への依存が課題
- 検索軸をスペック情報と好み(ジャンル・テーマ)に整理し、初心者にも分かる言葉で探せる形が求められる
- 探す行為を減らし、Not for meを避けFormeが集まるレコメンドや、来場者主体の企画をXから試したいと構想している


